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総務文教常任委員会 平成29年9月8日(金)

印刷用ページを表示する 掲載日:2019年2月22日更新

(開会前)

※ 日程確認

(開 会)

委員長(島田君):ただいまより、総務文教常任委員会を開会いたします。(11:00)
本日の日程は、開会前に確認いたしましたとおり、次第に記載のとおり進めてよろしいでしょうか。(了)そのように確認いたします。
1付託案件の審査(1)請願第1号 「改正組織的犯罪処罰法」(共謀罪法)廃止の意見書提出を求めることについてを議題といたします。
昨日の委員会で確認しましたとおり、請願第1号に関して、法律の必要性について、国民に対する法律の影響について及び立法手続についての3点について、自由討議を実施してまいりたいと思います。
初めに、法律の必要性について、発議者の岡村委員からお願いいたします。

岡村君:委員長から御指名されましたので、余り最初に話したくないと思っていましたけれども、申し上げます。
私は、きのうもお話ししましたように、皆さんの御協力をいただきながら、きょう、こうして自由討議に参加させていただけることを大変うれしく思っています。
今回の審査においては、政治的課題、とりわけ法律ですから、法律に対する請願が出されればそれを審査するということからして、担当部局への質疑という審査経過になじまないこともありまして、中身をもう少し理解したいし、皆さんそれぞれの意見を聞いて学びたいという立場で参加したいと思っています。
法律の必要性につきましては、簡潔に、二つの点でお話をしたいと思っています。
一つは、なぜ今回の法律が必要だったのかということです。御承知のとおり、今回の法律に類似する法律が、過去に政府から提出された経過がございまして、どちらも3度だと思っていますけれども、結論が出せないという状況になったにもかかわらず、なぜ、今回、安倍総理のもとで出されてきたのかということが、ここの部分を解明する一つの課題なのだろうと思います。
そうしたことを考えると、過去の法案のときのそれぞれの総理大臣のお考えもあったのでしょうけれども、そういう経過がありながら、あえてまた安倍総理は出してきた。ここには、安倍総理の政治的なお考えが色濃くあるのだろうと私は思います。それは、この間、安倍政権誕生以来、安倍政権のもとで出されてきた安全保障にかかわるさまざまな法案、それも国民が十分理解できないという状況でも強行採決して法律制定をしてきた経過があります。それでも、今回、あえてこういう形で出してきたというのは、安倍総理自身の政治的な思いがそこにあるのだろうと私は思っています。
もう一点は、きょうの自由討議の課題について、国会でもそれぞれ質疑がされ、報道もされ、それぞれの見解が述べられていますから皆さんも御承知かと思いますけれども、その法律の必要性についてです。
日本は国連の国際組織犯罪防止条約をまだ締結していません。これに参加するためには、今回の法律を何としても成立させなければならないということを一つの理由にされているようです。これも、いろいろな論点が国会の中でも議論されて、その違いも浮き彫りになっていますが、私自身、いろいろと調べて、国連の条約の制定経過を見てみますと、今回、提案の説明をする前にいろいろな形で安倍総理が発言している内容の中に、例えば、テロ対策を急がなければならない、ましてや東京オリンピックの開催国としての責務としてぜひこの法律は必要なのだ、あわせて今言った国連の条約締結のためにも必要なのだと言っています。しかし、この条約そのものは、今申し上げたように、決してテロ対策のためにつくった条約でないということがいろいろな角度から検証されていますし、既に批准した国の代表も、国際的マフィアの経済活動への対策を立てなければならないということで条約がつくられたと言われています。
もう一つは、なぜ国連の条約のためにこの法律が必要なのかという点で言えば、私は、この法律がなければ条約締結に日本が参加できない、判断できないということでは決してないだろうと思っています。これも国会でいろいろ意見が分かれていますけれども、日本には、テロ対策を初めとするさまざまな現行法がございます。条約の中にも書いてありますけれども、それぞれの国の国内法で対応し、それを国際的な条約としてやるために、それぞれの国が締結にかかわっていると言われています。そういう意味で、この条約と法律との因果関係について、政府の言っている根拠というのは必ずしも正しいとは考えていません。
まだまだたくさんの論点がありますけれども、それぞれの皆さんの意見を拝聴したいという立場から、以上の2点に絞ってお話をさせていただきました。

委員長(島田君):ほかの委員からございませんか。

相馬君:TOC条約について、なぜ日本が参加するために新たな法律をつくらなくてはならなかったかということについて、今、岡村委員から、必要はなかったのではないか、現行法でよかったのではないかというお話がありました。私も、法律に詳しいわけではないですし、国会の議論をきちんと聞いているわけでもないですから、公明党の考え方の中で理解をしている点について、1点お話しさせていただきたいと思います。
日本が締結しているテロを防止する13の条約があるのですけれども、TOC条約というのは、テロの資金源を絶つという意味で、テロの防止にとって重要な条約の一つだと認識しております。
そして、TOC条約に関する国連の総会決議で、2000年に全ての国に対して国際組織犯罪とテロ活動のつながりを認識すること、適用することを要請すると国連の総会決議で出されているのですが、2014年にもTOC条約を優先的に批准して加入して実施することを要請すると明記されました。テロ対策として必要だと国連も認めるこの条約を、ほとんどの国が締結する中で日本はできていなかったということで、2014年6月にテロの資金供与対策を協議する政府間会合の中で、日本が名指しで必要な国内法の整備を行うようにと勧告されたそうです。異例の勧告だというふうに書かれていたのですけれども、テロを防止するという法律は今まで日本の中にもあるのですが、資金源を断つということが今の国際情勢の中で非常に必要だということで、今回の法律制定の経緯の一つになったのではないかと思っております。
もう一つは、先ほど岡村委員がおっしゃった中で、過去3回政府より提出されている共謀罪について、2回は総選挙で流れています。1回目は、民進党も対案を出して、それを飲み込んで、政府の案として共謀罪について出そうということだったのですが、そのときのいろいろな考え方で流れております。決して、そのときの体制が万全だったというわけではなく、そういうもので共謀罪が流れていると私は押さえておりますので、先ほど安倍政権云々ということもございましたけれども、事実としてはそういうこともあるのではないかということを申し添えさせていただきます。

委員長(島田君):ほかの委員からございませんか。

本間君:自由討議の1点目の項目についてでありますけれども、世界を見ると、日本ではなかなか考えにくいような大きな犯罪が非常に多く発生をしていて、こういったものには必ず大きな犯罪組織がかかわっていると言われています。一方、国内を見ても、いわゆる反社会的勢力、暴力団が少し地下に潜るような形で、また、詐欺集団と言われているような非常に巧妙化されたなかなか見えにくい犯罪も国内で蔓延をしてきています。
こんな中での法律でありますけれども、現行法で対応できるのではないかというお話ではありましたけれども、なかなかそうはいかない部分があります。これは、あくまでも現行法を補完する法律だと考えております。また、国際社会に話を戻すと、G7の中で締結していないのは日本だけということですから、ここは国際社会の一員としても一緒に協力をして進めていかなければならないと思っております。
1点目については以上です。

委員長(島田君):ほかの委員からございませんか。

齋藤一君:1点目の何のために必要なのかというところですけれども、岡村委員が言われたように、現時点で、TOC条約を結ぶ前から、日本では、テロにかかわる犯罪に対して13の条約を結んでおりまして、基本的には、現状の条約や法案でテロ組織の犯罪や行動に対応することは十分可能だと考えます。ですから、TOC条約を締結するためにこの法案が必要なのだという現政府の説明の仕方は、ちょっと違うのではないかと思います。
その上で重要なのは、この後の部分にもかかわってしまうのでなかなか言いにくいところもあるのですが、オリンピックのためとか、表立った部分で、今回、テロ等準備罪を含めて、改正組織犯罪処罰法を国会で通したわけですけれども、国民に対して説明責任が十分果たされているとは思えないところがあります。
その上で、国連特別報告者の書簡に対しても国会審議中に答弁を返さなかったということもありますので、全体的なところを通して、政府から、この法律が必要だという部分の説明責任がまず果たされていないということと、さきに言ったように、現状の条約や法律で十分対応できるのではないかと考えます。

委員長(島田君):ほかの委員からございませんか。

干場君:今の岡村委員と齋藤一委員の発言とかなり重複する部分があるのですけれども、私も同様に、今回の共謀罪においては、国内法、とりわけ2001年9月11日の同時多発テロ後に採択された条約への対応も含めて、十分対応できるものだと思っております。
法律関係の専門家の方々との学習会での私なりの理解の中でもその辺は納得できるものだと思っております。
そうした意味で、今回の共謀罪の目的について、政府が当初言っていたオリンピックを迎えるに当たってということから始まって、いろいろな議論がありましたけれども、むしろ、どういったところに本当の目的を持ってこの共謀罪を決定したのかということは、逆に疑問が増したところですけれども、政府が言っている対応については、現行の法体系で可能だという考えです。

角田君:現行法で対応できるという意見に対して、なぜ今まで締結ができなかったということに対して、皆さんにお答えいただきたいと思うところがあります。
まず、TOC条約については、共謀罪、海外の言葉で言うと合意罪になりますが、合意罪が制定されることが前提条件になっております。また、組織の規定についても条約規定に基づいた規定になっています。
実際に187の国や地域が締結している中で、日本で言う共謀罪、合意罪が全ての国、少なくともOECD加盟国は全てこの規定を持っています。日本は、今回の共謀罪制定の際に、法律学者からも、刑法の概念を根本的に見直す、つまり、合意段階から逮捕ができることは刑法の見直しだというところが議論になっておりまして、そこも反対の要素となっています。
そういった意味では、今回の共謀罪と言われる法律については、根本的に合意罪といった国際的に要求されたものを導入したものであって、これが条約締結のための条件であることは言うまでもないです。ゆえに、今回の法律で必要なのは、陰謀論や政府がどういうふうに考えているかではなく、実際に条約の条文に照らし合わせてみても正当化されるものであると思います。
ただし、この後の審議過程はまた別の話になりますが、刑法の根本的な見直し、法概念の見直しとはとても大きなことです。そういう意味で、政府のこういう政治をつくりたい、国をつくりたいといった陰謀論の議論になってしまったことによって、本来すべき議論がなされていないのではないかと考えます。
また、テロ等準備罪について、テロ対策については、現行法で可能だという部分については、否定することもないのですが、この条約は、先ほど岡村委員が言ったとおり、マフィア対策やマネーロンダリング対策のほか、テロも含んだ上での国際的な組織犯罪に対するものであって、それをわかりやすく説明するために、現状のテロも含むという形にして、そのテロが一番危惧されるオリンピックを出したことについては、決して政策的な誘導ではなく、わかりやすく国民の理解を醸成するために行った行為であります。ですから、例えば、戦争するためにとか国民を縛るためにというふうに国会の前で騒いでいる方々が言っているようなことではなく、きちんと国際法に基づいた、条約締結の要件に基づいた手続を進めてきただけだと考えております。
この条約自体、例えば犯罪者の引き渡しについては、二国間協議で行わなければならないとなっていますが、日本は、これはアメリカと韓国のみしか対応しておりません。この条約を締結することによって、加盟国全てからの犯罪者の引き渡し、あるいは、情報提供が可能となります。
そういう意味では、現行で既にできていないことにきちんと対応できる条約であるし、これを締結しようとして平成15年以降ずっと進めてきたことについて、過去3度出ておりますが、今回、安倍政権だからどうだこうだという話とは別の論議できちんとやっていただきたいと考えているところです。

委員長(島田君):ほかの委員からございませんか。

岡村君:皆さんのいろいろな意見を聞かせていただきまして、ありがとうございます。
とりわけ、角田委員から問題を提起されたように思います。今、私なりに感じるのは、今の自由討議の論点は、私としてはさまざまあるのですが、集約すると、まず、国連で締結されているTOC条約に日本がいまだに入っていない。そして、このTOC条約締結の必要条件、今回の法律が必要条件なのかどうかというところについて、私の意見との違いが浮き彫りになったと感じます。問題提起もありましたので、そこを中心に再度お話をさせていただきたいと思います。
ここの部分は、国会論議でも大変大きく論点化され、それぞれの考え方が質疑やそれ以外でも明らかにされています。もちろん、それぞれが受けとめてそれぞれが考えることというのは、当然違っても構わないと思っています。
そこで、論点にさせていただきながら、政府は、TOC条約の第5条を根拠として、国内法で新しく共謀罪をつくらなければTOC条約に参加できないということを理由にされています。それに即して、角田委員からも意見を聞かせていただきました。
私からは、この第5条について、今はインターネット社会ですからさまざまなアップロードされている情報を整理しながら、私なりに整理をした結論からいうと、第5条で求めていることは、先ほど言いましたけれども、日本の現在ある国内法では参加できないということを言っているわけではないです。そう言っているというふうに書かれたものは、私が見た限りでは、どこにもありません。
ですから、この条約締結の必要条件にはなっていないと私は判断していますし、それを根拠づけるものとして、国連の上級代表をお務めになっている中満泉氏が日本に来られて、3時間ぐらいという本当に長い時間、日本の報道機関からのインタビューを受けてお話をされたというのが公表されています。
この方は、国連で中心的な任務としては、この後の陳情第3号にかかわる核兵器禁止条約に直接的にかかわってきた方です。国連の上級代表という立場もありますが、今回の国内でのこういう議論を、大変関心を持って見ていたそうです。
そのインタビューで答えているのは、過去から日本の現行法では参加できないということを国連側から言ったことはないと思います。それは日本国内の判断です。それで今の状況になっているので、国内でぜひ締結に向けてそういう形になることを期待していますという発言をされています。
細かくいろいろ話しているのですけれども、結論としては、今紹介させていただきましたように、国連上級代表の中満氏は、決して今まで締結できなかったのではなくて、日本国としてその判断をしなかったとインタビューの中で答えています。私は、このことを受けとめながら、先ほど言いました考えで対応していきたいと思っています。

委員長(島田君):ほかの委員からありませんか。(なし)
次に、国民に対する法律の影響について、発議者である岡村委員からお願いいたします。

岡村君:ここは本当に幅広くて、国会でもさまざまな質疑があり、それを見た代表、団体、個人も含めて、さまざまな議論が紹介されています。そして、意見の違っている部分も承知しています。
私の立場から簡潔にお話をしなければならないと思っていますが、一つの論点は、一般人が対象となることはあり得ないのか、法律が制定されて既にスタートしていますけれども、この辺の疑問が国民の中にもいまだにあるのだと思っています。私の御近所の皆さんにも聞いてみますと、よくわからないというお話ばかりが耳に入ってきます。そういう意味では、国会で議論された、一般人が本当に対象にならないのかということがまず論点としてあるだろうと思っています。
もう一つは、そうしたことを通して、日本が監視社会になることはないのかという不安です。この可能性がますます高まっているのではないかということを論点の一つとして浮き彫りにしながら、皆さんの意見を含めてお聞かせいただけるとありがたいと思っています。
ほかの方からもお話があるので私からは簡潔にしますけれども、一つ目の一般人が対象にならないかという不安については、提案する前と、提案された後と、最終的に国会でも採決しようという段階までのスケジュールで見ますと、政府は、ここのところは揺れ動いています。私もいろいろ調べてみましたが、法務大臣の答弁、閣僚の答弁、官僚の答弁、それぞれ微妙に言い方が変わってきています。逆に言えば、法案を提出したけれども、確たる責任を持った対応ができる状況にないまま出してきたのかと思わざるを得ません。
そういう意味で、国会のやりとりですごくおもしろいと言うと失礼ですが、端的に言い当てた金田前法務大臣の答弁だけを拾ってきました。
一般人と組織的犯罪集団の見分け方はという質問をされて、金田前法務大臣は、花見であれば、ビールや弁当を持っているのが一般人、地図や双眼鏡、メモ帳を持っているのが組織的犯罪集団と、国会の正式の委員会の質疑でこう答えているのです。ほかにもたくさんございます。
そういったことからしても、一般人と組織犯罪のところが明確に説明し切れていない、国民の皆さんの理解を十分得ていないという状態が大きな問題だと思います。
もう一つ、監視社会になることはないのか。このことについては、私自身は数年前から少しずつ、とりわけ、安倍政権になって、関連法案や条例を含めていろいろ出されたものの中に、監視社会になるのではないかと思われるものが幾つかあります。そうした意味では、その集大成がこれなのかというような感じがしないわけでもありませんけれども、今度は法制化されましたから、きちんとした法の後ろ盾をもって、これまで以上の監視社会にどんどん進んでいくことを私は大変危惧しています。
改めて言いませんけれども、憲法で国民に与えられた権利や自由を束縛することになりかねないですし、それを今度は国家の権限でできるわけです。そして、それが現場で実際に捜査に当たる警察の判断に任せられているわけです。国会の質疑を聞いていても、そこが明確になっていないのです。こういうものは罰するけれども、こういうものはセーフだ、アウトだというところが極めて明確になっていないことも今日明らかにされています。
そういうことを含めて、この不安は大変大きいと言わざるを得ませんので、私の意見といたします。

委員長(島田君):ほかの委員からございませんか。

相馬君:一般人が対象となるのではないかというお話がございました。
先ほど岡村委員がおっしゃったとおり、かつて廃案になった共謀罪についても、組織的な犯罪が対象だったから一般人は対象になっていなかった、ただ、犯罪が心の中で示し合わせた共謀があったときには罰せられるという文言があったそうですが、今回のテロ等準備罪は、犯罪を犯そうとする合意だけでは罰することはできず、そのための準備行為が必要だということがあります。ですから、先ほど、地図を持ってくるとか双眼鏡を持ってくるということがもしかするとその準備に入ったのではないかととられたのかもしれませんが、さらにもう一つハードルがあって、組織的犯罪集団かどうかということが今回のテロ等準備罪で大きく違うことだと思っておりますので、一般の市民の方が花見に行って、それで監視されるのではないか、あるいは対象となるのではないかということについては、私としては違うのではないかと思っております。
それから、日本が監視社会になるのではないかというお話がありました。警察の監視の対象になるのではないかということですが、警察は、犯罪が起こったときに取り締まるのであって、そういうふうに思ったとか、そうしようかという心の中とか打ち合わせだけで警察が踏み込むことは、今もできないですし、今回もできるようにはしておりません。そういうふうに考えると、テロ等準備罪について一般市民の方が、自分たちが監視されるのではないか、プライバシーを侵害されるのではないかという不安をあおるようなことはないと思っております。

委員長(島田君):ほかの委員からございませんか。

本間君:まず、冒頭に、取り締まる側がきちんと精査できるのか、起きた場合にきちんと判断ができるのかという点には、多少の不安や課題があるというふうには思ってはおりますけれども、基本的には、市民生活への影響ということでいけば、テロ等準備罪の成立の要件の三つを満たさなければならないわけですから、陳情者の皆さんから話がありましたけれども、例えば、原発再稼働反対の運動とか憲法改正の運動といったことをされる方々が組織的犯罪集団ではないことは明らかでありますので、そこまでの心配はする必要はないというふうに逆に言いたいです。
特に、治安維持法への後戻りという話もありましたけれども、当時は、太平洋戦争の直前であったという時代背景を加味しなければならないと思います。司法より軍部のほうが力を持っていたということもあったと思います。しかし、近代は、三権分立で司法のチェックもその当時よりはしっかり機能していると思いますので、私たちの市民生活に特段影響することはなく、陳情者の皆さんの活動を阻害するものでもなく、ましてや結社の自由を禁止されているわけでもありませんから、その辺は大きな心配はないだろうと思います。

委員長(島田君):ほかの委員からございませんか。

齋藤一君:まず一つ目に、市民が対象にならないかどうかについては、国連特別報告者のジョセフ・ケナタッチさんが共謀罪法を国会で審議しているときに、国連の報告責任者として政府に対して懸念を表明して書簡を出しております。その中で、市民が対象にならないかどうかというところでいいますと、今回の法律の条文では、組織的犯罪集団の定義が漠然としていて、現在の法律の中身のままではテロ組織に対して明らかに限定していない、その対象の定義が本当に漠然なために限定できていないというところを一つの問題点として挙げております。
もう一つは、先ほどの監視社会にならないかというところともつながるのですけれども、現状の法案のままでは、定義が漠然としているがために、捜査機関が一定の犯罪集団、犯罪組織だというふうにみなせば、監視をしたり、捜査、逮捕することが可能だという状況になっているという部分において、同様にジョセフさんは、一方的な権力だけが決定するのではなく、現在の法律ではそれを監視するための独立した第三者機関を法令で設置することが想定されていないということを問題点としても挙げております。
この2点があるのですけれども、その上で、いただいた自由法曹団の資料の中にも同様の例が出されております。そのまま読ませていただきますけれども、例えば、沖縄県の米軍基地周辺で抗議行動をする人たちや、団体などの活動が兵器や弾薬などの損壊行為に向けた下見などの準備行為と捜査当局に解釈されてしまえば、日米地位協定の実施に伴う刑事特別法、軍用物の損壊等の共謀罪が適用されかねないという例を出されています。これは、市民運動というところで似たようなことは十分にあり得ると思いますし、一部の報道では、このテロ等準備罪の法案ができたことによって市民運動そのものが萎縮してしまうのではないかという指摘もされているのは報道を通して確認しているところです。

委員長(島田君):ほかの委員からございませんか。

角田君:相馬委員が言ったとおりだと思うのですが、一般人が対象となるかという視点については、さまざまな議論がなされております。実際に、警察の判断という要素は大きいと思うのです。これについては、自民党政調会長であった石破氏もその部分の運用については懸念を持っています。つまり、この制度は国民の人権にかかわるもので、運用をきちんとできなければ、当然、その政府は吹っ飛ぶ、そういう問題点があるような政府であれば交代させるべきだということを石破前政調会長が言っています。少なくとも、日本国憲法下で、また選挙が行われている環境下において、さらには司法がきちんとしている中においては、そういった懸念はフォローされる、きちんと対応できるようなシステムを既に有しているのではないかと考えるところです。
また、団体の規定については、実例を挙げるまでもなく、普通の市民活動団体であったもの、政治団体であったものが、その方針が変わったから、本体の方針が変わったからというものもありますし、それに納得できなくて、より暴力的な活動に進んでいった事例は多々あります。これをもって変質ということも考えられますし、その結果として、現在も監視対象になっている団体は幾つかあります。
そういう意味では、変質した団体、暴力的な思考を持った団体について、そこに加入しているメンバーは一般人かという議論が実は国会でなされています。
沖縄県の普天間基地を含めた市民運動について、既に道路交通法違反等々の違反行為を行いながらも、いまだに萎縮することなく活動しております。また、治安維持法の観点も、相馬委員からいろいろありましたとおり、この法律の運用及び動きが人権を侵害するもので、基本的人権の尊重という柱を持った日本国憲法に反するものであれば、違憲立法審査権の中で当然廃止されていく法律でありますから、現状としては、その動きは全くないという意味では問題ないのではないかと思います。
監視社会の不安については、アメリカでは9.11のテロの後に、愛国者法という法律の中で、無制限の盗聴等を認めるということもありましたが、日本においては、先日もGPSを使った捜査を、裁判所の許可なくやっているということで違法になっております。そういう意味では、想定していない新しいものを使おうとしても、きちんと裁判所に許可を得なければ、捜査権が存在していないという中においては、今後においても、裁判所の許可あるいは令状をとるというシステムはきちんと残されていくであろうし、万が一、警察が行ったとしても、裁判となって敗訴する可能性のほうがはるかに高いです。
そういった意味では、監視社会ということが懸念はされるけれども、実態としてはそこまで心配することはないのではないかと考えます。
また、先ほどジョセフ・ケナタッチ氏の話もありましたが、これは、あくまでも個人の意見であって、国連の意見ではないことはイタリアのシチリアサミットにおいて国連の事務総長が、個人の意見で、個人の資格で活動しているのであり、その主張は必ずしも国連の総意を反映するものではないとはっきり言っておりますし、あくまでも、そのような意見があったからマスコミ等でその報道があったのだろうという認識です。
また、自由法曹団についても、あるいは弁護士会の意見についても、組織犯罪に対応している弁護士の有志280名が逆に意見書を出しております。これについては、特に暴力団を中心とした組織犯罪について、実際に効果があったとして、これは運用がきちんとされている限りにおいては、国民に資するという概念の中で、弁護士会の意見であり、逐次反論した報告書も出しております。
そういった意味では、最終的には、警察等の運用、あるいは、検察、裁判所の問題であるので、これをきちんとしていくことが大切であり、そのために日本維新の会は、取り調べの可視化を含む3項目の修正を求め、自民党及び公明党と協議を行った結果、その修正を行っていることも、そういった懸念を払拭するために行った修正であることを申し述べまして、終了させていただきます。

委員長(島田君):ほかの委員からございませんか。

干場君:先ほどと同様に、岡村委員、齋藤一委員、また本間委員とも重なるところが若干あったと思いますけれども、私は、法の効果というのはすぐ出てくるものだと思っておりません。
当初、676とされていた対象犯罪を277に絞り込みましたが、その範囲は、数もそうですけれども、その中身の幅が非常に広くて、全てとは言いませんけれども、一般市民に関与し得る可能性が十分にある犯罪も多々あると思っております。
先ほど岡村委員が具体的な事例を挙げておりましたけれども、当時の法務大臣は、今申し上げたような懸念する事例を何度か発言しております。これは、言うまでもなく、合意だけで処罰につなげる可能性を印象づけたものだというふうに、国会の質疑を見て私は感じていました。
とすれば、私たち国民には、憲法が保障する思想、信条のうちに言論の自由があるわけですから、今回、まさしくこの法にそれらが奪われる違憲に近い立法であるというふうに私は解釈しており、そうした懸念がある法律だというふうに認識しております。

委員長(島田君):ほかの委員からございませんか。

相馬君:対象犯罪が減ったということで、市民に対しても対象となるものがあるのではないかというお話がありました。
676あったときの共謀罪を議論したときには、なぜ676もあったかということと、今、なぜ277に減ったかということだけをお話しさせていただきたいと思います。
今回、676に該当する団体がどんな団体かということが絞り込めていなかった。しかし、組織的犯罪集団という定義をしたことで、現実的にはあり得ないような犯罪を対象犯罪から除かれるようになったと私は理解しております。前回、676あったときから、このように犯罪対象を減らしたのは、合意だけでは犯罪とならず、実際の準備行為を必要とするという公明党の主張があったということを最後にお話しさせていただきたいと思います。

委員長(島田君):ほかの委員からございませんか。

岡村君:ありがとうございます。それぞれの御意見をいただきました。
今の意見を聞かせていただきながら、もう少し論点を絞って、また皆さんの意見を聞かせていただいて学びたいと思っています。
一つは、今、相馬委員からもありましたし、最初のお話の中でも、一般人と組織的犯罪集団を見分けるというところが国民もなかなか理解をできていないということです。それで、先ほど、私たちの身近な例として金田前法務大臣の花見のときの話をしましたが、花見であればビールや弁当を持っているのが一般人というのは、私はそうだろうと思います。これは、まだ準備行為に入っていないと思います。もう一度整理すると、今回の法律は、いろいろと紆余曲折はありましたけれども、最終的に制定された法律は、いわゆる計画合意と準備行為の二つが整ったら処罰の対象であるということです。ですから、先ほどほかの委員の意見にあったように、今までと何も変わらないのではないかという意見は違うと私は思っています。
今までは、放火しようとする犯罪者を例にすれば、放火しようと思って火をつけた。ところが、木が湿っていて火がつかなくて未遂に終わったという状態とか、現に火がついてしまった、ここからが犯罪者として取り締まりの対象になるわけです。ですから、その手前のところ、準備行為の段階で犯罪対象者であるとする法律になったということを私は大変重く受けとめなければいけません。これは、私たちにも影響することがあります。
先ほどの花見の例で言えば、林の下でジンギスカンを食べながら、野鳥のいるところだから鳥を見ようと思って双眼鏡を持ってきたら、それだけで犯罪対象者になる。要するに、そういう行為をしている方々の内心がわからない状態でも対象者になってしまうわけです。これは、今までの犯罪にかかわる法律の枠組みから大きく変わって、拡大されたのだろうと見るべきだと思っています。
監視社会の関係で御意見がありましたが、現状で言えば、法律の議論が始まって法律が制定されても、私たちの周りでは変わっていないのではないかというお話がありました。確かに、すぐに変わる状況になると私たちも思っていないので、私は陳述者に質問したのですが、私の質問が悪くて的確なお答えはいただけませんでした。
少なくとも、私の見る限りでは、テレビ報道でもそうですけれども、例えば、私は札幌市の大通公園などでいろいろな活動に参加しています。そして、この法案が審議されるころから変わってきたのが、団体名が入った旗は持ってこないでくださいという連絡が伝わってきました。
今まで、自分たちの団体名が入った旗を掲げながら、私たちの思いを訴える行動に参加するということを日常でやっていましたけれども、それは実行しているその人たちの勝手だと言えばそうなのですが、現にそういう状態になってきていることも事実としてあります。それは、沖縄県での報道にあったようなことも含めて、形には出ていないけれども、内心でブレーキがかかっている、これが一番大きいのです。中には、今回の法律はそれが目的ではないかという声も聞こえます。テロは危険だからそれに対応しようということについては、私も含めて誰も反対しません。
ただ、問題は、先ほどの話にもあったように、政府は、そんなことは考えてもいないし、するはずがないということから始まったら、全てがその物差しで判断していくしかないです。それは、それぞれで違うのですから置いておいても、現在できた法律の中身が私たちの日常生活に影響がないのか、憲法で示されているさまざまな活動に影響がないのか。
もう一つ、これからのことは誰もわかりませんから、私も不安はいっぱいあります。おまえが立証できるのかと言われても、将来のことは立証できません。そういう意味では、私は、過去を検証することは大きな物差しの一つなのだろうと思っています。
そうした意味では、1925年に制定された治安維持法と今回の共謀罪の政府答弁の両方を比べてみますと、ほとんど同じです。対象についても、治安維持法のときでさえ、今と同じように、抽象的文字を使わず具体的な文字を使うので、そういう心配はありません、解釈を誤ることはありません、今回の法律の政府答弁でもしっかり明文化して、その解釈で恣意的にやることはしません、そんな答弁がありました。思想の取り締まりとか一般人の扱いもそうです。
あの治安維持法で何十万人が逮捕されましたが、その多くは一般の方々です。これも、いわゆる拡大解釈です。法律はそうなっているけれども、時代の変遷とともに拡大解釈され、対象がどんどん広がっているという過去の事象です。私は、ここが大きく物差しとして考える必要があると思うのです。それは心配し過ぎだと言えばそうかもしれません。ただ、私は将来のことまで言えません。そう考えると、憲法の拡大解釈、憲法改正の動きがどんどん進んでいることからしても、憲法に指し示している私たちの権利と自由を守るためにどうなのかということはしっかり考えていかなければならないし、発言をしていかなければならないという立場で意見を言わせていただきました。

委員長(島田君):ほかの委員からございませんか。

角田君:治安維持法の件が出ましたので、改めて申し上げますが、大日本帝国憲法下においては三権分立がきちんと果たされていなかった部分があると思います。成立しているかどうかは別にしたとしても、そのときの人権思想に基づいた治安維持法と今回の日本国憲法に基づいて、その下につくられたテロ等防止の法律である改正組織犯罪処罰法は、基本的な部分で異なっていると。つまり、根本の法典が異なっているということが前提であるということです。
また、治安維持法についても、普通選挙導入時の改正で最高刑を死刑までにしています。それ以降の変質が大きいと言われております。治安警察法から治安維持法へ、そして改正の中でどんどん過激になってきたのは事実だと思います。それは歴史の反省点でもあります。しかし、我々はその反省を学んでいることもあるがゆえに、その同じ失敗を繰り返すのかどうか。そして、自公政権がこれから永続的に続くというわけではない。少なくとも、政権交代は実際に起きている。そういう中において、政府の陰謀だという部分は、少なくとも現在の違憲立法審査権を含めた制度、あるいは、市民活動の現状、そういう方々の裁判の現状、そして、政治の現状を考えたときに、そういうことを悪い環境にしていくのは、そのときの国民なのだろうと。そうしないようにするのが政治の役割であるし、各政党の役割ではないかと考えます。
ですから、治安維持法と同等とすること自体が本来の議論と違うし、答弁の仕方がどうだということに対して、我々は、戦前の反省をもとに教育を受け、そして、これからも教育をされていかなければならないという要素を考えたときに、その部分では、入り口の部分はどんなに正しい議論だったとしても出口がどのようになっていくか、これは我々がきちんと考えていくことであって、必要とされる条約に基づいてつくった法律で、それをきちんと運用していくということが我々がきちんとやらなければならない義務であるということです。

委員長(島田君):ほかの委員からございませんか。(なし)
なければ、次に、立法手続について、岡村委員からお願いいたします。

岡村君:このことについては、余り多くをお話しする必要もないと思っています。
結論から申し上げますと、この法律に限ったことではないですけれども、憲法のもとで国民の理解をいただきながら政治をきちんと動かしていくということがあり、とりわけ政府の責任は大きいだろうと思っています。そのことは、憲法でも指し示していますから御承知のとおりだと思っています。
そういった意味では、いろいろな世論調査等、法案審議中、さらには法案が成立した直近でも、いまだにこの法律の中身が十分理解されていないまま、国民にかかわることがどんどん進められています。国会審議の手続にそういう意を用いた国会議員、とりわけ政府の責任が果たされないまま、強行という形で最終的に法案を成立させたことは、やはり政府は大いに反省すべきだし、改めるべきだと私は思います。
ましてや、私は余り聞いたことがないし、見たこともないですが、当市議会と同じように国会と委員会の審議をしている中で、付託された所管委員会では、委員長に配慮したのではないだろうかなど報道ではいろいろ言われていますけれども、そのことは別にしても、結果として、付託したところで、質疑、採決が行われないまま国会に送られ、さらに強行的に採決をしたということです。
このことは、前段申し上げたことの全体を象徴するものとして強く抗議をするし、そういった政治手法でこれからやられることについては、断固として声を上げていかなければならないし、それは私たち国民一人一人の責任だろうと思っています。

委員長(島田君):ほかの委員からございませんか。

角田君:今回の審議が手続的に強行だったという考え方は、ある程度認めざるを得ない部分があります。マスコミ報道の見出しでいけば、そのときの採決状況は強行採決というところと、多数により成立というように、紙面も二つに分かれております。実際に審議時間が30時間をめどという話もありましたが、審議の内容等々を聞いていますと、金田前法務大臣の答弁もひどかったけれども、同時に野党側の質問も余りにもひどいのではないかという部分がございます。
その審議過程で、日本維新の会と自民党及び公明党の合意による修正について、問題点を提起した上で法案の改正として提出しているということは、少なくとも真摯に対応してきた部分はあるのではないかと考えております。
また、私は自民党員ではございますが、日本維新の会の質問時間の最中に金田前法務大臣への問責決議案をいきなり出しています。これは、国会ルールとして、本来は自分の時間でやればいいのです。ほかの会派の質問を遮り、当然、問責決議案の採決が優先になりますので、そういうことをやってきたという意味では、国会手続においては、双方に問題があるとしか私には考えられません。江別市議会ではそんなことはあり得ないし、まさかそんなことをするとは考えられないです。
戦略的な部分で言うと、あくまでも議論する場、審議をする場である委員会での廃案が絶対条件のため、余りにも審議拒否の回数が多かったです。さらに、審議をしたいと委員長が言っても、私たちはそれをしたくないですと、委員会を開いたら審議拒否をし、本来やらなければいけなかった国会できちんと議論をしなかったということもあるし、性急な対応をとった政府にもやはり問題がある。両方に問題がある。これは議会人として国会の審議、衆議院及び参議院、この現体制について、これは個人の意見ですが、今回の件については、法案以上に、その審議のあり方についてきちんと反省していただきたいと思いますし、採決までの全ての過程において反省することは多いのではないかと思います。

委員長(島田君):ほかの委員からございませんか。

本間君:手続のことで、今、皆さんからお話がありました。ほぼ同意見ですけれども、審議や手続の中で、少し乱暴な形の中で進められていったというところはありますし、そういうことが一つの要因として内閣の支持率の低下にも影響したのではないかと考えられます。
しかしながら、この法案は成立しましたので、今後、このような審議や手続を経て何かが決まっていくということは今後ないだろうということを期待しながら、この法案に対する国民皆さんの不安を払拭していただける努力をしていただけるだろうということを期待しております。

委員長(島田君):ほかの委員からございませんか。

齋藤一君:先ほど角田委員から個人の意見としてということでしたけれども、双方ともに審議のあり方をしっかり考えて、議会ルールに沿って運営すべきだろうという意見が出ました。それについては、私も個人としては、本当にそのとおりだと思います。ただ、その上で、あえて意見を言わせていただきます。
賛成派、反対派の双方が議会ルールをしっかり守るべきだという点においては、付託された所管委員会の中での審議、採決を省略して、いきなり本会議採決に至っており、民主主義の中で定められたルールを守っていないということは事実で、そういうやり方はよろしくないと思います。
前段の委員会に至るまでの双方のやりとりも、時間をかけてやったものもあったとは思うのですが、国民の関心がすごく高い法案を審議するという場所において、所管委員会で審議、採決が省略されたということ自体、繰り返しになってしまうかもしれないのですけれども、やはり民主主義のルールを否定するという部分は、どうしても納得できない採決の方法だと思うところです。

委員長(島田君):ほかの委員からございませんか。

相馬君:先ほど、民主的なルールだったのかというお話がありましたので、一言だけ申し上げます。
2004年にもこの中間報告の手続がとられておりますし、国会のルールにのっとっていることであり、過去にも18回はこのような採決をしておりますので、ルールにのっとっていないということではないというふうに私は理解をいたしました。
前段で角田委員がおっしゃったとおり、双方のやりとりをもっとスムーズに行い、審議を経て議決できればもっとよかったと思いますけれども、ルール違反で強行採決をしたわけではないというお話だけさせていただきます。

委員長(島田君):ほかの委員からございませんか。

干場君:今、ルールについての意見が出ていましたけれども、私自身の属する団体は国政に議員が出ているわけではありませんから、ある意味、今回の国会の動きというのは、一方で、一国民としてという目線で見たときに本当に国会はどこを見ているのか、国民を見ているのかという印象を深く受けました。
法案が成立してから随分時間がたちますけれども、こうした手法も含めて多くの疑問、不安を持つ国民が少なからず毎月1回集会等をしながら、さらに勉強も重ねながら今に至っております。
政府からは丁寧な説明を心がけると何度も言われておりましたが、それが国民にとって十分に足りる時間であったのかどうかについては、いまだに疑問が残っているところです。
今、相馬委員からルールにのっとった手法という御発言もありましたが、この法律の重大さに鑑みれば、もし手法としてあったとしても、その手法が適切だったかどうかについては、広く多くの国民の同意を得られるものではないと私は認識しております。

委員長(島田君):ほかの委員からございませんか。

岡村君:ありがとうございます。皆さんからいろいろな意見を聞くことができて、大変ありがたく思っています。
とりわけ、この問題は、国会のことだからというふうに見るべきではないと思っています。私たちも地方議会の一員ですから、同じような立場でこのことをきちんと考えていかなければならないと思います。ましてや、その基軸になるものとして、私たちみずからでつくった江別市議会基本条例がありますから、それに即して、今、私たちのやっていることがその期待に応えているのかどうか、そこも大変重要なことだと思いながら、今回の国会の状況についてお話をさせていただいております。
角田委員からは、それは与野党両方の責任だという話も出ました。それについて、私は論評をいたしませんけれども、そこでお聞きします。どんな理由があろうと、私から見ると、先ほど言ったように、法案の中身が大きく国民にかかわるのではないか。それも、犯罪という余りうれしくない法律ですから、私たち国民にとって、この法律を100%理解することができないということは承知のことですけれども、そのために公的機関も世論調査をやっていただいたり、物差しを示していただいています。
先ほど来、ルールにのっとっているのだからいいのではないかという趣旨の発言が幾つか出ています。私は、審議の時間だったり、やりとりのルールだったり、国会には国会のルールがあるのだろうと思っています。ただ、それは法令に定まったルールを言っているのではないと思っています。私たちと同じように、議会運営のために与野党の代表者が集まって決めたものを指しているのだろうと思っています。
ですから、そのことを中心にするのは当然ですが、前段に申し上げましたように、私たちは主体となる国民のためにこの法律をどうつくっていくかということからすると、最低でも主体となる国民の皆さんがこの中身を大体理解されて、これは必要な法律だというものがつくれるように、国会議員、国会は努力する、これが役割なのだと思っています。それは、市議会も全く同様に考えています。
そういう意味で、国会内のルールに基づいて、委員会での採決を省略したこともルールなのかどうかわかりませんが、江別市議会に置きかえたときに、そういう発言をされた皆さんは、同じようにやってもいいと考えているのでしょうか。
名前を言うのはよくないですが、角田委員からそれに近い発言がありましたので、お聞きいたします。

角田君:中間報告については、あくまでも国会法に規定された手続の話であって、それを使うことは決して問題はないと考えております。
例えば、2004年の中間報告については、臓器移植法の話だと思いますが、党議拘束をとらずに二つの法案が出てきてその中でやってきたとか、そういうことがあって、そのときに各会派が委員会で党議拘束をかけてしまうといろいろあるということで、これは与野党一致の上で中間報告がなされ、国会での直接審議、採決になったのです。
逆に私たちの市議会としての問題とするならば、実は、中間報告という制度があるかないかというのは把握していないのですが、付託するか、しないかという段階での話になると思います。
その部分は定かではないですが、法あるいは条例の中でそれが規定されているのであれば、場合によっては運営可能だと思います。しかしながら、江別市議会は全会一致制で議会運営を進めている以上、全会一致で決定されれば可能となると考えます。あくまでも議会ルールをきちんと考えるならば、できるのかどうかと言われたときに、現在のルールであれば、全会一致であればできるというお答えなのかと考えます。

岡村君:私は、一般論でできるかできないかを聞いているのではありません。今の角田委員の発言の中にもありましたように、私も、できないことになっているのに委員会審議を省略したとは一言も言っていません。例えば、私たちの市議会で、国会と同じように、長い時間審査したからもういいのではないかということでしたら、そういう立場で省略しようというふうに角田委員だったら言いますか、行動しますか、それを聞いているだけです。

角田君:ただいまの論議というのは、本来の自由討議の内容とは全く異なっていると考えますし、個人的な政治姿勢の部分、あるいはルールがはっきりしない中での質問に関しては答えかねますので、この質問についてはお答えできませんし、この質問の趣旨が変わらないようであれば、この内容の自由討議は打ち切っていただきたいと思います。

岡村君:自由討議の打ち切りまで言われましたので、私は、自由討議ですから、それぞれのお考えを交換し合っている、前段に言いましたように、学びたいということを前提にしながら、みんなで学びながら、市民、国民の負託に応えていくという立場で先ほど来私なりに考えを述べています。
これは、国会の問題というだけで、国会を非難して問題が解決するものとは思っていませんから、そういう意味でわかりやすくするために聞いた話です。現段階ではそれについて聞かれても答えられませんというのは、当然、自由討議ですから構わないです。それを、自由討議のルールに反するというところまで踏み込まれるのか。答えられないということは私もわかりましたから、これ以上聞くつもりも毛頭ありませんが、どちらにしても、最後の論点については、国会が果たすべき役割のための議会手続等がきちんと熟議されていない状況の中で法律ができたということは、大きく反省していただきたいということを重ねて申し上げて、終わります。

委員長(島田君):ほかの委員からございませんか。(なし)
以上で、本件を終結いたします。
次に、(2)陳情第3号 日本政府に「核兵器禁止条約に参加することを求める」意見書の提出を求めることについてを議題といたします。
昨日の委員会で確認しましたとおり、陳情第3号に関して、条約に参加すべきかどうかについて、自由討議を実施してまいりたいと思います。
それでは、初めに、発議者の岡村委員からお願いいたします。

岡村君:自由討議を求めたのは私ですけれども、委員会は全体のものですから、できましたら、求めた者から話せというところは少し考えていただきたいと一言申し上げて、発言をさせていただきます。
陳情第3号については、私から言うまでもなく、世界で唯一の被爆国としての日本、まさに悲惨で、これが地獄絵なのかという状況でした。私も原爆に関する資料館等へ何回か行って当時の模様を拝見してきましたけれども、世界のどこでも、こういうことはもう二度とあってはならない。そして、その悲惨な体験をした私たちが世界の多くの国の人々にその実情を訴えて、それを通して平和な社会を築いていこうというのが日本国民の総意だと私は思いますし、とりわけ、被爆された皆さんにとっては、まさに悲願であって、毎年、広島市、長崎市で祈念式典をやってきて、総理大臣を初め、世界の方々も出席をいただいております。
そうしたことを考えますと、今回、国連における多くの議論のもとで、国連の代表団から悲願とする本丸にやっとたどり着いたという発言もあったようですが、核兵器禁止、地球上から核兵器をなくすことが究極の目的を達成することであり、やっとそこにたどり着いたと発言される中身となった条約ができました。
しかし、驚くなかれ、その中に先ほど言った状況である日本が残念ながら参加をしないということです。端的に言いますと、核保有国と一緒になって参加しないことを国連で演説し、今、そうした状況にあります。
一方、先ほど紹介した被爆者の代表団の皆さんは、やっとここまで来たことに大変感謝しますということで、関係の代表団の皆さんに頭を下げ、感謝を申し上げながら、国連で演説をされています。それは、委員会資料にもありますから、くどくは言いませんけれども、まさに被爆者の思いを国連のあの舞台で話されて、多くの加盟国の皆さんからの拍手のもとで演説を終えられたと報道がされています。
そして、最終的に締結されたこの条約は、略称、広島長崎条約とまで称する代表団の皆さん、そして、各国でもそういう報道がされているようです。それは、被爆者の思いが、条約の活字になっているということを象徴的に報道でも取り上げていただいているようです。
そういう条約に日本を代表する政府が参加をしなかった。もちろん、委員会資料にも政府の考え方が示されています。多分、この後で皆さんの発言にも出てくるでしょうけれども、この条約ができる前までに既に制定されていた、国連で採択された条約として核軍縮を取り決めた条約がございます。これには日本も参画しています。これは資料が見当たらないので自信がありませんけれども、中身は、軍縮と不拡散、これ以上核を拡大させないということで、核保有国には軍縮を求め、非核保有国にはこれ以上核をつくったり研究したりすることを戒める、課題はそれぞれ違いますけれども、そういった全ての国々に共通する内容でこの条約ができています。これがあるからいいのではないかという日本政府の意図が感じられます。そしてもう一つは、核保有国が入らなければ意味がないというのも一つの論点としてこの後に出てくると思っています。
私は、先ほど来言っているように、究極は、核兵器を地球上からなくしていこうというのがまさに世界中の本丸ですが、ただ、現実は、1万5,000発を超える核弾頭がこの地球にあると言われております。現に核保有5カ国には、核保有を政治的に認めて、先ほど言ったように国連でも減らしなさいということは条約の中で定めていますが、その後に北朝鮮が大きく私たちの前に危険要素として出てきています。どちらにしても、当時のアメリカとソ連が二大大国として、軍備においても巨大な二大勢力として、相手が持てばこちらも持つ、向こうがふやせばこちらもふやさなければという、いわゆる抑止論でどんどん核が拡散していったと私は見ています。
そういうことからすると、今回の条約は、地球上から核を排除しようという世界共通の思いを書き込み、書き込んだことをみんなの共通の目標として努力しようという中身です。前段の核兵器不拡散条約は予防措置としての効果と期待があります。ただ、残念ながら、今、その核兵器不拡散条約は、加盟している国々からも足並みがほとんどそろっていない、軍縮が書かれているのに、保有国は全然軍縮に努力していないではないか。一方、持っていないほうにまで努力目標を掲げているのに、持っているほうが全然努力しないような条約で本当にいいのかと。そんな経過も本丸のところで、世界中の意思としてきちんと条約をつくろうというのが今回の動きであると、いろいろな論評を見て私は感じていますので、日本政府はこの条約に一日も早く参加することを期待して私の意見といたします。

委員長(島田君):ほかの委員からございませんか。

本間君:核兵器なき世界への大きな第一歩となる条約だろうと思っております。その中で、日本は、1994年以降、23年連続で核兵器廃絶に関する国連決議を提案し、採択されてきた実績があります。さらには、昨年、当時のオバマアメリカ大統領の広島市の訪問も実現をさせております。そんなことから、アメリカの核の傘に守られている日本などには、アメリカからの同調を求める圧力が働いたのかもしれませんが、先ほど岡村委員からも話がありましたように、唯一の被爆国として当然に参加するべきだと考えております。

委員長(島田君):ほかの委員からございませんか。

角田君:私自身は、政府のステートメントのとおりだと考えております。
少なくとも、米ソ冷戦時代からの核保有による安全保障という考え方は、今の北朝鮮情勢を見ても明らかなとおり、その意識は変わっていません。そういう中で、片や一方的な禁止というものは、あるいは、絶対悪であると考えますが、それを必要悪と考える人もいる世界において、核保有国、核兵器国と言われる国、あるいは核の傘にいる国、安全保障という考え方をしている国は、当然、その考え方を根本的に直さなければいけません。将来的にこの核兵器禁止条約に加入することを働きかけることは必要だけれども、現状としては、少なくともアメリカにしろ、北朝鮮もこれに参加する意思を見せないし、絶対参加しないという言葉まで出てきているという中においては、核の傘に日本があるからではなく、そういう位置づけだからこそ、非核兵器国、そして核兵器国の両方に橋渡しをする役割も必要だと考えています。
日本は、少なくとも過去の体制の中で、核不拡散条約でも、核軍縮にかかわるさまざまな取り組みについても、あるいは決議についても、可能な限り核保有国を巻き込む形で行っております。広島市にオバマ前大統領、G7外相会議を呼ぶなど、今まで決議を行ってきた広島市、長崎市の状態を見てくれ、話を聞いてくれという行動で意識を変えていくという視点から、核による平和という間違った認識を変えていくために努力をしています。
今回の条約については、確かに理想的なものであるし、達成しなければならない目標であると考えますが、現状の加盟国の状況を考えると、結果的に核兵器を持った国がこの条約に加盟せず、NPT体制がおかしくなることも想定される中においては、核保有国は、この条約に加盟しなければ、現状の核を好きにしていいというように縛りがなくなるおそれもあります。そういう懸念もありますので、少なくとも現時点では、核保有国を巻き込んだ形ではない限り、日本はこの条約に参加すべきではないと考えます。

委員長(島田君):ほかの委員からございませんか。

齋藤一君:条約に参加か不参加かということですけれども、皆さんから御意見がいろいろ出ている中で、私は、核兵器禁止条約に参加すべきだと考えております。それはなぜかというと、戦争被爆国、日本は戦争で核兵器を使用された唯一の国であるということがまず一番に来る部分です。戦後、国連の場においても、核兵器の禁止とか不拡散について、国連に対し日本の政府としてさまざまなことをしてきたという事実も認識しておりますけれども、今回の核兵器禁止条約の何が大きいところなのかというと、NPTにおいても、核兵器禁止条約においても、核兵器がだんだんとなくなっていって最終的にはゼロになるというところを目指すということにおいては、基本的な理念という部分では一緒かとは思うのです。ただ、核兵器をなくそう、ゼロにしようというところを明確にしているというのが一番重要なところだと思いますし、その中で禁止事項をしっかり設けて、譲渡をしないとか、皆さん御存じのところかと思うのですけれども、つくらない、売ったりしないなどのさまざまな禁止事項をしっかり設けて、それに対して122という多くの国々が賛同してこの条約に批准する予定となっているというのが大きな部分だと考えております。
その中で、日本は、先ほど申し上げたように、唯一の戦争被爆国として、今回の条約を批准する予定の122の国と一緒になって、条約に参加して、核保有国と核兵器を持っていない国の橋渡しを積極的に日本が行って、核兵器のない社会を実現する、その役割を日本は持っていると思いますし、その役割を果たすためにもこの条約には参加するべきではないかと考えております。
資料として核兵器禁止条約の交渉第1回会議での高見澤軍縮代表部大使によるステートメントということで出していただいているのですが、その中で、先ほど角田委員からも出たように、北朝鮮などが含まれた現実の安全保障の問題には今回の核兵器禁止条約が結びつくとは思えないという考えから、日本は国連総会の決議に対して反対票を投じたというふうに資料には書いています。その部分においても、先ほど言わせていただいたとおり、むしろ日本が核兵器禁止条約に参加して、言い方は難しいのですが、核兵器を持っていること自体がよくないということを国際社会としてしっかり認識するというか、それが当たり前というか、多数派というか、全体の認識として持たせるという意味でも、被爆国の日本がこの条約にしっかり参加して、それを訴えることによって、懸念されているような核兵器国と核兵器を持っていない国の溝が深まるという部分も解消できると思いますし、北朝鮮を含む一定の外国の脅威に対しても、核兵器を使うな、持つな、つくるなということを強く言える立場になるのではないかと考えます。

委員長(島田君):ほかの委員からございませんか。

干場君:今回参加をしないということについては、おおむね3点について国が表明していますけれども、極めて現実路線という印象を受けております。
今回の条約については、北朝鮮情勢に鑑みれば、ある意味、逆風の中で生まれた大変意義のある条約だったと私は思っています。
私自身、この地球、世界において、核が抑止力になるとは思っておりません。無差別的な大きな破壊力を持った非人道的な核がどんなものかということは、先ほども何人かの委員が発言していましたけれども、表現のしようのないくらい極悪なものだと私は思っております。それは、人だけではなくて、この地球上にとって絶対的な悪だと私は思っております。
陳情者の言っております趣旨については、大変納得しておりますし、もっともだと思っております。日本の果たすべき役割は、そういった現実路線の中にありながらも、唯一の被爆国として、二度と繰り返してはならないという思いを世界に発信していく役割こそが重要だと思っております。

委員長(島田君):ほかの委員からございませんか。

岡村君:いろいろな意見を聞かせていただいて、大変学ばせていただいております。
一つ、他の委員から北朝鮮の話が出ました。私は、報道で知る限りの情報しかわかりませんから、それをそのまま受けとめた形で話をしますけれども、いわゆる危険な状態にあるから、日本国民を守らなければならないから、先ほど言った核抑止論につながるのだと思います。ただ、報道されている北朝鮮の発言からすると、そして、最近ではプーチンロシア大統領が発言しているのが印象に残っていたのですが、北朝鮮が危険に感じている間は、雑草を食べていてもミサイルと核開発はやめない、だから制裁をするというのが必ずしも効果のあることではないという趣旨で発言しています。また、北朝鮮の委員長も、米韓軍事演習を初めとする北朝鮮に対する周辺の危機が取り除かれない限り、私たちの方針は変わるものではないということを言っています。
私は、それ以上のことは余り承知をしていませんが、世界の国のみんなでどうやってそういう状況をなくしていくのかということを大きな目標にしなければ解決につながらないのではないかと思っています。この核兵器禁止条約の効果の部分は未知数で、核保有国は参加していませんから、大変残念ではありますが、前段の皆さんの話にもありましたように、被爆国日本としての安倍総理のリーダーシップは、核保有国が入っている、入っていないにかかわらず、橋渡しのリーダーシップを果たすべきだと私は思っています。
また、私が大変重く受けとめているのは、被爆者の皆さんの生々しい思いです。これは、広島市でも長崎市でも祈念式典が終わった後に被爆者と懇談する場をつくっているという報道がされています。
とりわけ、報道によりますと、長崎市長は、安倍総理に対して、条約不参加について強く非難をしていらっしゃいます。あわせて、その懇談でも被爆者の方々が何人かで安倍総理と意見交換をされたことも報道されていますが、その中で、ある被爆者から、安倍総理、あなたは私たちのこの苦しみを体に感じていますか、いませんか。あなたはどこの総理大臣ですかという発言があったと報道されています。やはり、私たちは、そのことを心に形にしていくという努力を日本を代表する政府に私は期待していますので、ぜひ一日も早く、批准国の皆さんと力を合わせて、核保有国の皆さんにも参加いただけるようなリーダーシップを発揮していただきたいという思いを述べて意見を終わります。

委員長(島田君):ほかの委員からございませんか。

角田君:先ほど北朝鮮の話がありましたが、核兵器による抑止力における安全保障という考え方そのものは、プーチンロシア大統領が言ったことで、北朝鮮に援助をしたり、立て直したり、交渉したりという部分ではなくて、核兵器を持っていれば安全を維持できるという考え方そのものをまず修正しなければならないということが北朝鮮問題及びこの条約に係る根本かと思います。
それゆえに、広島市、長崎市の方々が望むものは、本当に現実的に核廃絶が実現することであると考えます。そのための具体的な手法、そして、それにつながるような方法として、核保有国が参加しない条約に参加することが本当の意味でかなうことなのか、それとも核廃絶にきちんとしたプロセスを持って取り組む現在の日本政府のやり方のどっちが正しいのかということについては、私自身、現在の政府の考え方、現実的に核保有国を巻き込んだ形での核軍縮を進めていくことだと思います。NPT体制はさまざまな問題点がありますが、それでも、その中できちんとやっていくということで、核物質のほうは、核分裂及び原材料のほうまで協定を結ぼうとしている中で、日本政府はきちんとイニシアチブをとってやってきていることを考えれば、この条約が逆にマイナス要因ではないかということもあります。ですから、政府が言っているステートメントのとおり、あるいは、外交交渉終了後の岸田前外務大臣のコメントのとおり、核保有国と非核保有国の間が分断するようなことだけにはなってはならないと考えますので、政府のさらなる動きに期待させていただきます。

委員長(島田君):ほかの委員からございませんか。

岡村君:今、角田委員から岸田前外務大臣の話も出ました。岸田前外務大臣は、この交渉の予備段階で何回かの会議を開いて、それぞれ政府代表もこの条約のことについて話し合いをしていまして、その後、記者のインタビューにも答えています。
最初のころは、私たちは世界で唯一の被爆国ですから、この条約に期待しています。ぜひ各国の皆さんにも御理解いただいて私たちも努力したいという発言をされています。ところが、どこでどうなったのか私には心中はわかりませんけれども、最後の場面では、今おっしゃったような発言になっているし、その結果もそういう状況になっていることが象徴していますので、そんな意味で、ぜひ多くの被爆者と国民の願いと、そして、これは効果があるかないかは私もわかりません。ただ、先ほど言ったように、マイナスという話が出ましたけれども、何がマイナスになるのかという思いがあります。それはこれから角田委員にゆっくり教えてもらうことにして、これで私の発言は終わりたいと思います。

委員長(島田君):ほかの委員からございませんか。(なし)
以上で、本件を終結いたします。
最後に、2その他について、各委員からございませんか。(なし)
事務局からございませんか。(なし)
それでは、次回の委員会は、9月11日月曜日の午前10時から開催し、結審を行いたいと思いますが、よろしいでしょうか。(了)そのように確認いたします。
以上で、本日の委員会を散会いたします。(12:56)