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市立病院・地域医療検討特別委員会 平成30年1月22日(月)

印刷用ページを表示する 掲載日:2019年1月25日更新

(開会前)

※ 日程確認

(開 会)

委員長(清水君):ただいまより、市立病院・地域医療検討特別委員会を開会いたします。(10:01)
本日の日程は、開会前に確認いたしましたとおり、次第に記載のとおり進めてよろしいでしょうか。(了)そのように確認いたします。
市立病院入室のため、暫時休憩いたします。(10:03)

委員長(清水君):委員会を再開いたします。(10:04)
1市立病院所管事項、(1)報告事項、アの病院事業経営状況(10月~11月分)についてを議題といたします。
本件に対する報告を求めます。

事務局次長:本日、管理課長が体調不良のため欠席させていただいておりますので、私から御報告申し上げます。
資料の1ページをお開き願います。
平成29年10月から11月までの病院事業経営状況について御説明いたします。
初めに、診療収益の状況でありますが、資料上段のグラフのうち、実線に丸印のついているものが平成29年度の4月から11月までの実績を示しています。
実績の金額は、下段の表の合計欄の上から2段目に記載のとおり、4月から11月までの8カ月間の合計で36億3,706万8,000円となり、同期間の計画より13.4%、5億6,099万7,000円の減となっております。
また、前年度の同期間の実績に比べて5.1%、1億9,503万2,000円の減となっております。
次に、資料の2ページをお開き願います。
10月分の病院事業経営状況について御説明いたします。
上段の表の1患者数及び診療収益の状況のうち、表の左側の患者数につきましては、下から2段目の計の欄のとおり、入院実績は6,434人、外来実績は1万4,323人で、計画より、入院では1,876人の減、1日平均で60人の減、外来では208人の減、1日平均で10人の減となったものであります。
次に、表の右側の診療収益については、同じく下から2段目の計の欄のとおり、入院と外来の合計実績は4億5,286万3,000円で、計画より7,954万8,000円の減となっております。
次に、資料の左下の2医業費用の状況につきましては、実績額4億4,754万7,000円で、計画より2,669万1,000円の減となっております。
この結果、下段中央の表の3収支の状況では、中央の欄の実績の医業収支差し引きは1,428万9,000円の収入超過となったものであります。
次に、右下の表の4病床利用率ですが、一般病棟が68.4%、地域包括ケア病棟が51.8%、一般病棟と地域包括ケア病棟を合わせた病床利用率は65.8%となりました。また、精神病棟は41.8%、全体では61.6%となっております。
次に、資料の3ページをお開き願います。
11月分の病院事業経営状況について御説明いたします。
上段の表の1患者数及び診療収益の状況のうち、表の左側の患者数につきましては、下から2段目の計の欄のとおり、入院実績は6,362人、外来実績は1万3,804人で、計画より、入院では1,863人の減、1日平均で62人の減、外来では1,041人の減、1日平均で52人の減となったものであります。
次に、表の右側の診療収益につきましては、同じく表の下から2段目の計の欄のとおり、入院と外来の合計実績は4億4,006万円で、計画より9,355万円の減となっております。
次に、資料の左下の2医業費用の状況につきましては、中央の欄の実績では5億3,264万4,000円で、計画より3,073万7,000円の減となっております。
この結果、下段中央の表の3収支の状況では、中央の欄の実績の医業収支差し引きは8,119万8,000円の収支不足となったものであります。
次に、右下の表の4病床利用率ですが、一般病棟が69.5%、地域包括ケア病棟が67.4%、一般病棟と地域包括ケア病棟を合わせた病床利用率は69.2%となっております。また、精神病棟は33.6%、全体では62.9%となっております。
次に、資料の4ページをお開き願います。
4月から11月までの8カ月間の病院事業経営状況について御報告いたします。
まず、上段の表の1患者数及び診療収益の状況のうち、表の左側の患者数につきましては、下から2段目の計の欄のとおり、入院実績は5万3,556人、外来実績は11万1,358人で、計画より、入院では1万708人の減、1日平均で44人の減、外来では9,390人の減、1日平均で57人の減となったものであります。
次に、表の右側の診療収益につきましては、同じく下から2段目の計の欄のとおり、入院と外来の合計実績は36億3,706万8,000円で、計画より5億6,099万7,000円の減となっております。
次に、左下の表の2医業費用の状況につきましては、中央の欄の実績額は38億9,717万4,000円で、計画に比べて1億9,528万9,000円の減となっております。
この結果、下段中央の表の3収支の状況につきましては、医業収益と医業費用との差し引きにおいて、1億6,519万8,000円の収入超過となったものであります。
最後に、右下の表の4病床利用率ですが、4月から11月までの病床利用率は、一般病棟が71.2%、地域包括ケア病棟が64.0%、一般病棟と地域包括ケア病棟を合わせた病床利用率は70.1%となっております。また、精神病棟は41.9%、全体では65.1%となっております。
以上です。

委員長(清水君):ただいまの報告に対し、質疑ございませんか。

相馬君:病床利用率について、1点確認をさせていただきたいと思います。
4月から11月までの精神病棟の病床利用率が40%強ということですが、この要因はどのようにお考えなのか、お伺いします。

事務局次長:精神病棟は、入院される患者数が少なくなっているということがございます。もう一つの要因としましては、従前は精神科の医療制度や治療のあり方として、入院期間をかなり長くして治療に当たるという流れがあったのですが、今は、在宅復帰を目指して入院期間を短くするという大きな流れになっています。
市立病院におきましても、在院日数を短くするという取り組みを続けております。収益性の向上という観点から、在院日数を短くすることによって、診療報酬上、新しい施設基準で、少しランクの高い診療収益をとれるということがございます。また、そうすることによって、患者1人当たりの在院日数が短くなり、病床利用率も下がるということがあります。
そのように、意図的といいますか、医療の流れに沿って在院日数を短くしているということと、実際に入院する患者がなかなかいないという二つの要因から、かなり低い病床利用率にとどまっているということです。

相馬君:目指しているところは理解しますが、5月には5割近かった病床利用率がこの間に20ポイントくらい下がったというのは、こちら側が意図した結果で在院日数を短くして入院患者が減ったと理解していいのか、先月から10ポイント近く下がっていることを考えると、患者の利用が極端に抑えられているという現状からの半減なのか、どちらなのか確認したいと思います。

事務局次長:在院日数を短くするとか、診療報酬上でランクの高い施設基準をとろうという取り組みは、目的どおりの効果を上げていると思っております。一方、もう一つの要因と申し上げました入院の患者がなかなかいないというところは、思惑どおりにいっていない部分です。この二つの考えからいきますと、今の病床利用率は、診療収益の観点からは少し減り過ぎだと考えております。
これは、精神科の医師やスタッフといろいろな話をしているところですが、診療収益だけを念頭に入院期間を少し延ばそうというのは正しい治療とは言えないという考えがあります。患者がいないとか、病床利用率が下がり過ぎているところは、もう少し調整の余地があると考えております。

委員長(清水君):ほかに質疑ございませんか。

島田君:12月分の病院事業経営状況はまだ出ていないのですか。

事務局次長:12月の医業収益等については、まだ精査が済んでおりませんので、きょうの委員会に資料をお示しできませんでした。

島田君:平成29年度当初計画と平成28年度の実績では、二、三千万円の開きがあります。これは、このままの方向で行ってしまうのですか。

事務局次長:委員御指摘のとおり、資料の1ページの平成28年度の診療収益の実績に比べて相似形で下がっているところがございます。先ほど、12月の診療収益についてはまだ精査が済んでいないというお話をさせてもらいましたが、12月は手術等の件数が多く、計画値まではいかないのですけれども、昨年度の実績は超えることができそうです。そうすると、1月以降、また相似形で下がっていくかどうかというところもあるのですが、12月だけを見ると、前年度より回復していると思います。そこも次回の委員会でお示しできると思っております。

委員長(清水君):ほかに質疑ございませんか。

相馬君:入院患者にしても、外来患者にしても、市立病院を利用していただかないと収益が上がらないというのは百も承知でお話をさせていただくのですが、以前、退職される医師が自分の担当患者に対して、市立病院での継続の治療ではなく、他院への紹介状をお書きになっているということで、紹介状を書かれた患者から一体どうなっているのかという御相談をいただきました。
これはいろいろな理由が考えられますが、今まで、退職された医師が担当していた患者にはどういう対応をしていたのか、また、これからどう対応されるのか、この点について確認させていただきたいと思います。

事務局次長:市立病院の医師の異動は毎年度ありますが、当然、当院で次年度以降の診療体制の中で継続して治療を行える患者については、別の医師が引き継いで治療をすることになります。
今御指摘があったとおり、医療界の大きな流れとしては、病床を持っている病院と病床のない診療所がありますが、特に外来患者については、入院治療を一定程度終えるとクリニックに引き継ぐといいますか、かかりつけ医のほうで日常的な診療をしてもらうという流れがございます。これは、医師の異動と直接連動しないのですが、継続的に外来治療を行う患者については近くの診療所で治療を継続してくださいという逆紹介をさせていただいております。
基本的には、当院で継続して治療を行う患者については、別の医師が引き継いで治療をしますし、診療所にかかっていただく病状の患者については、そのような逆紹介をさせていただくという方針で患者の引き継ぎを行っているところです。

相馬君:逆紹介についてはよく理解しているつもりですし、入院以後の治療については、かかりつけ医にかかるということも当然だと思うのですが、今回、御相談をいただいた方については、多分、医師の説明が不足していたのだろうと思います。今後、市立病院にかかることができないので、紹介先の医療機関へ強制的に行っていただくというのは少し強い言い方かもしれませんが、そこに移っていただきますと言われたことが大きなショックだったということでした。
また、ずっと市立病院にかかってきたにもかかわらず、かかったことのない医療機関を紹介されて、そこで治療を受けてくださいと言われるのは、余計に説明不足が否めないと思うのですが、そういう説明を医師の判断だけに任せているのでしょうか。例えば、看護師や受付の方からフォローしていただくような連携がとられているのかどうか、その点を確認させていただきます。

事務局次長:今、委員から御指摘があったお話は、私もよく聞くことがございます。当然、医師からの説明に限らず、現場の看護師等からも、今の患者の病状から、当院ではなく、ほかの病院に移っていただいたほうがいいというお話をさせてもらっています。患者相談の専用窓口も病院内に設けております。これは、診療報酬上の収益を確保するという狙いもございますし、患者のさまざまな相談を受けるという狙いから設けております。まさに窓口において、今まではずっと市立病院で面倒を見てもらっていたのに、急によそへ行けと言われたというお話を受けることがございます。
当然、窓口対応の中で、こういう事情でほかの病院を紹介させてもらっているというお話をさせていただきながら対応するという体制をとっております。

相馬君:希望をすれば市立病院の他の医師に継続してかかることは可能なのかどうか、確認させていただきます。

事務局次長:今の質疑のようなやりとりも相談の中にございます。窓口の前線に立つ者は事務職ですから、最終的には医師の判断によります。治療方針が確かなものであれば、それを変えて当院を受診してくださいというのは非常に難しい現状がございますので、誤解のないように、何とか理解していただくのが窓口での対応になると思っております。

委員長(清水君):ほかに質疑ございませんか。

齊藤佐知子君:今の相馬委員の質疑に関連して、一つだけ確認させてください。
私も、そういう相談を受けた経過がございます。今、患者からの希望があっても対応できないということで、それは、患者の病状や医師の状況など、さまざまな理由があるのだと思いますが、市の総合病院として、ずっとかかっていた患者の状況をしっかり把握しているのでしょうか。
どうしても市立病院内の他の医師に委ねることができないという判断のもとに他のクリニックなり医療機関なりに移動するということです。先ほどの話ですと、今かかっている医師の判断で移動となるということです。そこを再度確認したいと思います。

事務局次長:基本的には、病院と診療所の役割分担では、外来についてはかかりつけ医に診ていただいて、そこから紹介を受けて市立病院に来て専門的な治療を行うというのが今の制度の大きな枠組みになっております。専門的な急性期の治療を行うというのが市立病院の位置づけですので、そういう治療を行います。そして、その治療に一定程度のめどがつけば、在宅復帰の支援やリハビリなどを行って、在宅に戻ってもらって、その後の治療はかかりつけ医のほうで診ていくというのが基本的な考え方になります。ですから、治療が一旦落ちついたのであれば、かかりつけ医のいる医療機関を受診してくださいという考え方になります。

齊藤佐知子君:それは十分承知した上で伺っているのですが、患者に対しては、当初からそういう説明をした上で、病状の経過によって、こういう治療方針になるという説明があるのでしょうか。
私が御相談を受けた方も、先ほどの相馬委員の話も、そこに従来からかかっていたにもかかわらず他の医療機関を紹介されたということです。今の市立病院の状況を考えたときに、病院総体の中で患者を確保するという意味で、市民の医療をしっかり確保するという部分が欠けているのではないかという声をいただきます。
医療の方向性はわかるのですが、そうであれば、きちんとした事前の説明と、経過としてはこうなるという説明があっていいと思います。また、医師の都合による場合は、市立病院として本当に受診することができないのかということを含めて丁寧な説明があっていいと思います。それは既にされていると思いますが、もう一度、伺いたいと思います。

事務局次長:患者相談窓口において、特に紹介・逆紹介の関係で御不満や御意見を聞くことがございますが、当院の考え方や医療制度全体について理解していただけるように、丁寧な説明を行っております。
当然、医師も、患者に接するに当たっては、こういう事情でほかの病院に移ってくださいという説明をしていると思います。最終的な定員や病状がどうかというところは医師の判断になりますが、事務方での窓口対応を含めて理解を得られるよう丁寧な説明に努めてまいりたいと思っております。

齊藤佐知子君:相談窓口を設けて、患者に理解していただけるように、丁寧な説明をした上で対応されていることは理解します。
市立病院で治療の必要がなくなっての逆紹介であって、患者はそれを理解した上で転院していただいているのか、また、治療の状況を含めて、逆紹介をしなければならない状況での判断と理解していいのでしょうか。

病院事務長:今、委員から最後に御案内があったとおりです。基本的に、逆紹介をして地域のクリニック等にかかっている患者については、治療が必要ないのではなく、クリニックにおいて継続的な投薬等で十分管理できると医学的に判断された患者を中心に紹介していると理解しております。
なお、これらの背景については、新年度からの医師体制等にかかわることですので、明確にお話しできないのですが、予算特別委員会、あるいは、もう少し時間がたったところで当委員会等で、状況が確定次第、逐次報告してまいりたいと考えております。御理解いただきたいと思います。

委員長(清水君):ほかに質疑ございませんか。

赤坂君:内科系の診療収益の落ち込みが大きいですが、これは医師の数の問題もあると思います。ただ、診療単価については入院も外来も高くなっています。また、患者数については、外来はややいいという状況ですが、入院患者数が落ち込んでいます。内科系の診療収益が落ち込んでいる原因は何なのかということです。
紹介率、医師の派遣、全国的に患者数が減っているということ、施設基準などがあります。これは一体どこに原因があるのかということは、これからの課題になると思いますが、その辺を詳しく示してほしいと思います。
ましてや、救急の医師は大変苦労されていると思いますが、救急からの医師の引き揚げも、この機会に改めて説明していただきたいと思います。

病院事務長:全体の診療収益の流れは、副委員長が御案内のとおりと認識しております。
先ほど、お話がありましたように、12月の診療収益が比較的好調であるという数字が出ていますが、この原因は、手術数が飛躍的に伸びまして、手術を応需したことによって、それなりに入院患者を確保でき、診療収益が高かったという構造になっております。
当院のような内科を中心とした300床弱の総合病院ですと、御案内するまでもありませんが、重篤な患者を確保して治療し、診療収益を上げていくことで、診療単価かつ全体の診療収益を伸ばすことに資すると認識しているところであります。
ちなみに、内科系医師について、後期研修医を中心に相当減員したことにより、まず、救急に関しては、平成28年度に比較して応需数が相当落ちていると認識しております。したがいまして、救急からそのまま入院される患者が減っているということが一つの原因になっていると認識しております。
もう一つは、内科系の医師の減少により、従来は当院である程度入院治療できたものが札幌市内の医療機関へ紹介せざるを得ない状況になっています。このようなことが内科系の診療収益の不調の大きな原因であると考えております。
平成19年度以降、当院の中心医療は総合内科医です。ゼネラリストという全身を総合的に診る医師を中心に体制を組み、その養成機関のもとに若い後期研修医が集まることによって、大学医局に頼らないマンパワーの確保を行ってきており、その成果が出て、平成25年度には、一般会計繰入金をいただきながらですが、単年度の収支黒字を達成したと認識しております。
ところが、公的医療機関の収益構造は、診療単価を上げるというより、マンパワーに物を言わせて、患者数をふやして何とか診療収益を維持するという構造だったわけですが、この構造については、マンパワーが欠落すると、一気に診療収益の低下を招きます。
先ほど、診療単価はそこそこ高いという御案内がありましたけれども、これは、患者が減っていることによって、それなりの治療を集中して行える環境になったということと、DPC制度の導入も大きく寄与しております。診療単価はそれなりに確保できていますが、施設基準で7対1の入院基本料を獲得している病院としては、精神科系を除く一般病棟の診療単価が4万円台後半というのは、やはり見劣りします。臓器別専門医のラインアップをそれなりに充実させた上で、総合内科とのコラボレーションをした中で手術等に結びつけて、総体的に診療単価を5万円程度、ひいては5万5,000円程度にするというのが当院の本来の姿だろうと思います。
施設基準をとるということは、それなりの人件費、経費がかかることですから、この経費を賄うだけの診療収益を得るためには、それなりのレベルの医療をしていかないと、経営的には均衡しないという構造になっているものと考えております。

委員長(清水君):ほかに質疑ございませんか。(なし)
以上で、本件に対する質疑を終結いたします。
次に、イの予算編成に当たっての理事者からの指示等についてを議題といたします。
本件に対する報告を求めます。

病院事務長:予算編成に当たっての理事者からの指示等について御報告いたします。
お手元に新聞記事の写しがあると思いますが、1月10日の北海道新聞市内版に、1月4日の三好市長の年頭記者会見での発言が記事になっております。
この中では、大見出しとして、診療体制の見直しを視野に入れるということと、記事の内容については、今の収入の中で経営をしたらどういう診療体制になるのか、これまでとは全く違う考え方になるという発言があったと書いてあります。そして、後段では、診療体制の変更などを手のひらを返したような形ではできない。時間をかけたものになる。年数がかかるという発言が紹介されているところであります。
この発言の前段として、病院事務局に対して理事者である市長からの指示について御説明いたしますと、先ほども申し上げましたが、理想としては5万5,000円程度の診療単価をもって診療収益を向上すべく、DPC制度の導入、電子カルテシステムの導入、地域包括ケア病棟の導入によって7対1入院基本料を守るためのさまざまな施策に取り組んできました。現実問題として、本日の1番目の病院事業経営状況について御説明したとおり、病院状況の好転については、いまだに先が見えない状況となっております。
そのような状況であれば、現状の278床プラス59床の診療体制をかたくなに維持するのはいかがなものかという視点で、聖域なき見直しを行うべきではないかという指示を市長から受けているところであります。
具体的には、診療科体制の見直し、また、病棟の休止あるいは廃止等の検討を部局としてするべきであるという指示を受けておりまして、市長が記者会見で話した、診療体制の変更、あるいは、これまでとは全く違う考え方で経営しなければ経営が成り立たないという内容につながっているものと考えているところであります。
一方で、公立病院の役目として、周産期医療、小児医療、在宅医療等の収支構造上、民間医療機関ではなかなか担えない部分については、今後とも公的医療の分野で担っていくべきであり、その両立を考え、対策あるいは事業の見直しを行うよう指示を受けて、現在、部局では予算編成を鋭意行っているという経過となっております。
以上です。

委員長(清水君):ただいまの報告に対し、質疑ございませんか。

岡村君:私も新聞記事を見ましたが、幾つか確認いたします。
市長が年頭の記者会見でこうした発言をするという話は、事前に病院事務局の皆さんにあったのですか。

病院事務長:明確にこのような発言をするという話は、事前にはございませんでした。

岡村君:昨年3月に私どもに示した江別市立病院新公立病院改革プランは5カ年の計画ですけれども、まだ1年がたっていない段階で市長の思いを話されたということは、江別市立病院新公立病院改革プランの策定時にさまざまな角度から検討され、最終的には市立病院の設立者である市長の意見等々も整理されてプラン化されたと受けとめていますが、その段階で市長からこうした趣旨のお話は出ていましたか。

病院事務長:昨年3月に策定した江別市立病院新公立病院改革プランの策定事務に係る打ち合わせの中で、こうした明示的な指示は受けておりません。

岡村君:先ほどの病院事務長の説明では、今回の当委員会の議題もそうですが、予算編成に当たって理事者から指示があったということです。これは、江別市立病院新公立病院改革プランがあり、今回の市長の記者会見があり、記者会見の発言を中心とした市長からの指示が出されたと受けとめていますが、そのことが今回の予算編成に影響するという根拠を教えてほしいと思います。
これから新年度予算案が発表されて、議会で予算特別委員会を設置することを前提に作業を進めていますので、そこで見ればわかるのかもしれませんが、少なくとも、今回の市長の記者会見にかかわることが新年度予算案の中に示されていると受けとめてよろしいですか。

病院事務長:市長の発言の中にあるように、今後の考え方を中心に述べていることから、平成30年度予算において、例えば、年度の途中に病棟をいきなり休止するとか、診療科を廃止するというのは、時間的に不可能です。もちろん、大学との関係、人員体制の問題等、さまざまな問題がありますので、当初予算案にこうした発言の内容を具体的に反映させるかというと、そうではないものと考えております。ただ、今後の展開において、平成30年度を迎えるに当たり、今から計画に落とし込んだりしながら、抜本的な改革の方向性を見出すようにという市長からの指示ですから、予算案の中に具体的な数字あるいは事業が出てくるかというと、それは少し違うと思います。
ただ、今後の見通しとして、この経営体制を漫然と続けるのではなく、病棟の体制、あるいは診療科の体制を見直していくという考え方で、年度を通じて見直していきたいと考えております。

岡村君:今、こうして議会で市立病院・地域医療検討特別委員会を設置して、江別市立病院新公立病院改革プランを当委員会の課題として検討する段階で、市長から市民に対して具体的な考え方が発せられたわけです。私は、正直に言って、議会にかかわる一人として違和感を持つのですが、病院事務局の皆さんは、このタイミングで市長がこのような発言をされたことについて、率直にどんな感想をお持ちですか。

病院事務長:具体的なことを申し上げますと、平成29年12月末に予算の方向性について理事者と打ち合わせをしたのですが、非常に具体的に診療科、診療体制の見直しを積極的にやるようにという話が出ました。逆に言うと、市長は我々に話していたことを記者会見で話したのではないかという印象を持ちました。
ただ、これはかなり個人的な意見であることをお断りしておきますが、この新聞記事が出たことにより、病院内ではそれなりの反応が今もありまして、削減対象になるのではないかとか、今後、市立病院がどうなるのだろうとか、現場にいる職員としては当然だと思いますけれども、そういう反応が全くなかったわけではありません。
市長が言っているとおり、これは根本的な方向の見直しになります。少なくとも、今までは、現状の体制を維持することが市内の医療体制を守る上では必要ではないかという前提のもとに、その医療体制を維持するための経営上の診療収益を何とか均衡させるべくやってきたことは事実で、その均衡させる規模をそもそも見直すということですから、我々病院事務局としては、考え方の抜本的な変更をしなければならないと受けとめています。
これは、看護体制、医師体制、コメディカルの体制、もっと言えば、物理的な病院の建物に関するものなどが全て絡みます。ですから、平成10年にあの病院を建て直したときのコンセプトでは経営できないという考え方に近くなりますので、そのような指示を受けた以上、気持ちを切りかえていかなければいけないという感想です。

岡村君:率直なお話だと思います。江別市立病院新公立病院改革プランをつくるときに、100件を超える御意見をいただいて、そこでの質疑にもこれに類することがたくさんございました。そして、その答えとしては、現医療体制を維持することを基本としながら地域医療をしっかり担っていきたいという決意でお答えされ、それに基づいて江別市立病院新公立病院改革プランを策定されたと受けとめています。そうした経過からすると、中身のことは別にしても、市長の発言については、タイミングというものがあったのだろうと思います。
そこで、江別市立病院新公立病院改革プランは、計画期間が5年間ということですので、スタートして残り4年間ですけれども、このまま手をつけないでやっていけるのか、そのことについて、お考えを聞かせていただきたいと思います。

病院事務長:仮定の話でまことに恐縮ですが、診療体制を抜本的に変更すべきという結論が出て、かつ、具体的に病棟の削減あるいは休止等が具現化した場合は、おのずと江別市立病院新公立病院改革プランの一部変更はやむを得ないと考えております。
今、岡村委員から御案内があったとおり、私どもは278床プラス59床の体制を基本として江別市立病院新公立病院改革プランをつくっておりますので、これについては、北海道あるいは総務省との協議になりますけれども、どのように変更すべきなのかという上部官庁の御指示も仰ぎながら、変更せざるを得ないと現時点では考えているところです。

委員長(清水君):ほかに質疑ございませんか。

吉本君:新聞記事の内容について、本来は市長に聞かなければいけないことですが、この記事を読んだ市民からお話がありました。その方は精神科の通院患者です。産科や小児科などをカバーするほかに、在宅医療を守らなければいけないという市長の発言があって、精神科が抜けています。市長は、今までずっと、不採算医療である精神科は、市立病院が担うと言っています。江別すずらん病院ができたときも、リエゾンで精神疾患の患者で身体合併症のある方は市立病院が担うと言ってきたはずなのですが、今回の記事にその内容がないのは、たまたま抜けたのか、などという中に入っているのか。
市長から具体的な話がなかったということであれば結構ですが、特に精神科は、先ほど質疑があったように、病床利用率のことなど、この間、いろいろなことが問題になってきています。
そういうことも含めて、精神科についてどのように考えているのか、お話があったのであればお伺いしておきたいと思います。

病院事務長:先ほど申し上げましたとおり、ここには産科も小児科も書いてありますが、市長が言っているのは聖域なき見直しですから、仮に産科、小児科においても市立病院ではない医療機関があれば、ほかに任せてもよいという前提で言っていますので、精神科も同様と思われます。それは、ほかの診療科も同じということです。
敷衍いたしますと、特定の診療科を廃止なり縮小と言った瞬間に、医師派遣元との関係が崩れますので、対外的には相当慎重に表明していかなければならないと考えております。精神科のみならず、他の診療科も同じですが、内科医以外は全て北海道大学あるいは札幌医科大学から派遣していただいている医師のみでございますので、いずれの診療科をとっても、これに関する公式的な表明については相当慎重にやるべきではないかと考えているところです。

吉本君:今のお話を聞いて、市長の発言は本当に慎重だったのだろうかと思います。
今、北海道地域医療構想ができて、札幌圏域地域医療構想が既に冊子になっていますが、江別市長は札幌圏域地域医療構想調整会議構成委員になっていますし、ホームページではその質疑の内容も掲載されています。
札幌医療圏の中で、全体のベッド数をどうするのかということは当然話し合われていたはずですが、江別市は今のベッド数をそのまま維持するということではなかったかと思います。回復期病床は全体として少ないけれども、急性期病床に関しては維持するということで、安心した記憶があります。
ところが、今回の市長の記者発表の内容は、そのときと違うのではないかと思います。先ほど、総務省との関係についても言っていましたけれども、もっと身近なところで、札幌圏域地域医療構想の中でも矛盾が出てくるのではないかと思います。その点について、市長はどのように思っているのか、聞いていますか。

病院事務長:私は市長ではないのでわかりませんが、これまで正式に御報告していませんけれども、北海道地域医療構想は、札幌圏だけは病院が一院も参加せず進んでいました。他の2次医療圏においては、基幹的病院がほぼ全て参加する中で去年まで議論が行われてきましたが、札幌圏においては、病院数が余りにも多いということで、医師会側の委員、あるいは病院団体の委員のみが参加して病床再編等の議論が行われたと認識しております。
さすがに、それだと北海道地域医療構想や新公立病院改革プラン等と整合性がとれなさ過ぎるということで、3月から、市立札幌病院、江別市立病院、市立千歳市民病院の3院の病院長職が北海道地域医療構想の検討会議に正式メンバーとして加入することになったという段階です。
逆に言えば、札幌圏の総枠病床数の概念的な数字は示されておりますが、札幌圏においてさらに細分化された地域の病床をどうするのかという議論は、北海道地域医療構想の場面で一切されておりませんし、かつ、不足している回復期病床にどのように転換していくのかという議論もまだ全くされておりません。
したがいまして、どの病院のどの病床をどうするのかということについて、これだけの病院数があり、それも民間病院が圧倒的に多い札幌圏で具体的に議論できるのかということが疑問視されております。その中で、当院の病床数をどうするかというところは矛盾するのではないかという御指摘かと思います。それだけをとると確かに矛盾する話ですが、全体のパイの中では結局調整されてしまうと考えております。

吉本君:個人的な考え方はわかりましたが、本来はそうではなかったはずだと思っております。
もう一つは、札幌圏という大きなくくりではなく江別市内です。先ほど、市内の診療所と市立病院との連携ということで、紹介・逆紹介という話がありました。市長は、札幌圏で受診する人も多いということを冒頭に言っていまして、確かに多いのかもしれませんが、市立病院でなければ困る人たちも実際にいらっしゃることは平成18年度のときにはっきりしているわけです。
そのような中で、江別医師会との関係で、今、当別町の民間病院を閉鎖して市立病院で何とかするという話もあると聞いています。
もっと狭い生活圏の中での病床数を考えたときにはどうなのかと思うのですが、そのあたりのやりとりを事前にされているのでしょうか。
市長は江別医師会に入っていないでしょうけれども、梶井病院長などはそういう情報発信を事前にしているのか、江別医師会がどのように思っているのかということをあらかじめ察知してこういう発言をされているのか、その辺について、もし聞いていたら教えてください。

病院事務長:江別医師会と今回の市長の発言について、事前調整をしたかということかと思いますが、わかりません。当委員会で何回か御答弁をしていると思いますが、私どもは医療機関ですので、全体の医療施策のバランスの話を単一の医療機関の立場でするには限界があると思っております。個別の医療機関の経営適正化に収れんすればするほど、今の北海道地域医療構想の基本である競い合う医療から分かち合う医療へという、いわゆる患者の取り合いではなく、役割分担をしなければ地域医療が崩壊するという基本コンセプトからどんどん離れていくわけです。自院の経営を最優先して、患者を全てかき集めて朝から晩まで治療をすれば経営的に収益は上がります。私どもは、いろいろな問題があって、そうなっていないわけです。
それから、今話題になっている北海道地域医療構想や、厚生労働省の新たな方針からすると、フラットな視点で議論をいただくというか、そういうことを立案する部門なのか、組織なのかわかりませんが、そういう視点が自治体側にないと、今後はやっていけないのではないかと思っております。
具体的な調整をしているかどうかもわからないですし、私どもは一医療機関なので施策を展開できるものではないと思っています。それを市立病院が全部考えてやりなさいという指示が来ているのか、来ていないのか、そこもわかりませんが、できる限り検討はしつつも、そこには限界があると思っております。

吉本君:本当にそうだと思いますが、こういう事態に至って、北海道地域医療構想の中で市立病院をどうするのか、地域の医療をどうするのかということについて、現実的には今おっしゃったことを市立病院にお願いされていると感じるのであれば、行政として責任を持ってやる部門をつくるべきではないかという提言を病院側としてされているのですか。
これは、江別市内の医療体制をどうするかという大きな問題なので、それをもっと力強く言うべきだと思いますが、その辺はいかがでしょうか。

病院事務長:私の努力不足だと思いますが、事あるごとに、理事者などとの打ち合わせにおいては、そのような発言を都度させていただいております。それが一向に実現しないのは、ひとえに私の力不足であると認識しております。

委員長(清水君):ほかに質疑ございませんか。

島田君:今回の市長の発言は、これからの方向性を示すきっかけになったと思います。
というのは、江別市立病院新公立病院改革プランの21ページには、経営形態の見直しを含めてどんどん考えていかなければだめだということが示されています。そういう意味では、我々の委員会も、これをきっかけに方向性を探っていくような進め方をしたほうがいいと思いますが、どうでしょうか。
特に答弁がないのであればいいのですが、考え方としては、この方向で行ったほうがよろしいと思っております。

委員長(清水君):島田委員の御発言については、2その他で今後の進め方の協議をしますので、そのときにもう一度御発言いただきたいと思います。
ほかに質疑ございませんか。

宮本君:各委員からの質疑に対して病院事務長が答弁されていまして、先ほど、事あるごとに市長部局にいろいろと話をしているが、なかなか実現していないという趣旨の話がありましたけれども、どの程度やりとりをしているのでしょうか。
前段の予算編成の段階でそういうことも話されていたのかもしれませんが、今、病院長も交代するようですし、いろいろとやりとりをして、春以降に向けて体制づくりをするという話もされています。問題意識を共有していきたいという話もあったと思います。あくまでも新聞記事を読んだ内容ですが、その辺のやりとりはどうだったのか。市長が、これではだめだということで、突然、今回のような記者発表に至ったのでしょうか。
先ほど、島田委員からも話がありましたけれども、今後、一体どうしていくのか、どういう意識でやるのか、その辺が非常に気になるので、もう少し詳しく教えていただきたいと思います。個人の意見はもういいので、市立病院と江別市でどういう話し合いをされているのか、教えていただきたいと思います。

病院事務長:先週、次の病院長にほぼ内定している病院長代理と市長と私とで打ち合わせをしました。打ち合わせ自体は頻回にやっていますが、その中身の御案内ができていません。
一番の問題は、約14億円の一般会計からの繰り入れを継続しないと運営できないということです。おおむね7億円が交付税あるいは特別交付税等ですが、国の財源があるということで、事実上の単費の持ち出しが半分以上あるということです。これが一般会計の厳しい財政状況をさらに圧迫している大きな要因であると認識しております。ここを何とか改善しないと、江別市全体における財政上の影響がさらに大きくなると認識しております。それを少しでも改善するためにさまざまな手段をとってきたわけです。
ただ、今の流れとして、唐突ではないかという御指摘かと思いますが、市長との打ち合わせの中では、いろいろな手を尽くしても、結局、診療収益は上がらないのではないかということを繰り返し言われております。診療収益が上がらないのであれば、従来の278床プラス59床の合計337床、かつ、病棟単位の7単位という基本パッケージを抜本的に変えないともう運営は無理だろうという話が昨年の暮れから出てきたという流れです。
きょうの1番目の報告事項で報告したとおり、公的医療体制の思想的な問題とは別に、経営上で出ている客観的な医業収益と医業費用の数字は、きょう現在でも厳然としてアンバランスな状態にあります。これは相当大きな問題でありまして、地域医療の充実も当然重要だけれども、ここまでの財政的、経営的な悪化については、もう看過できないレベルであります。これほど具体的な言葉では言っていませんけれども、理事者としてはそのように考えているし、市の財政当局に非常に御苦労をかけている原因を私どもがつくっています。ここに来て、いろいろやってみたけれども、結果的に数字は出ていないということです。そこは見直すタイミングであるという打ち合わせの内容であったと認識しております。

宮本君:新聞記事を最初に見たときに、びっくりしました。すごい意識の転換だと思いました。これはすばらしいことで、こういう形で取り組んでいく、意識を持っているのだと受けとめました。平成27年度には市長から新しい体制が整いつつあり、見直しを含めた経過の説明があり、もう少し頑張ってやらせたいということで、私どもは7億5,000万円の一般会計からの貸し出しを認めた経過があります。そして、今すぐにやるということではないにしても、その体制を大転換するわけです。そういうやりとりも全部含めて話をされているのでしょうか。まだ、そこまで具体的に話をしていないということですか。

病院事務長:先ほどから申し上げているとおり、具体的なことは差し控えますけれども、事務的な個別の方策、もう少しはっきり言いますと、どの病棟を閉めるのが適切かという話は、既に相当の資料を用いてやりとりしているのは事実です。

宮本君:安心しました。病院事務局と市長部局で意識は一致しているということです。
これは予算特別委員会の関係もありますが、今後、どういうスケジュールで進められるのか。考え方としては、ほぼ共通認識は持っているのでしょうけれども、どういうスケジュールでやっていくのかという話し合いはされているのですか。先ほど、すぐにはできないというお話がありましたが、大まかな流れはどのようになっていますか。

病院事務長:最大のネックは、この春の診療報酬改定です。これは、少しずつ概要が見えてきましたけれども、この委員会でも何度か御答弁しているとおり、どのように当院に影響を与えるかというのは、最速でも2月下旬、下手をすると3月中旬までわかりません。ですから、これは毎回のことですが、予算の審議と重なります。
先ほどから御説明している病棟の休止、再編を検討するに当たり、今回の診療報酬改定で入院基本料、いわゆるホテルコストと言われる病院の入院収益の大宗を占める項目に最大の焦点が当てられているものですから、この影響を分析しないことには、はっきりしたことを申し上げられません。
先ほど、委員の御質疑に対して御答弁したさまざまなシミュレーション上の収支というのは、あくまでも現状の診療報酬が継続した場合の数字しかお示しできませんので、その前提で、例えば収支がこうなる、費用がこうなるというシミュレーションとなります。ところが、今、その前提が崩れるかもしれません。その前提が崩れるということは、例えば、今後の看護師配置や病棟の施設基準をどうしていくかという問題が出てまいります。今、漏れ聞こえている情報ですと、国は、とにかく7対1入院基本料をなくしたいので、入院基本料を抜本的に全部変えるということです。7対1入院基本料、10対1入院基本料、13対1入院基本料の名称が消えることは確定しました。7対1入院基本料と10対1入院基本料は、急性期入院基本料という名称になるようです。そのくらい根本的に変わってきます。
かつ、国が持っている全ての病院の診療のバックデータを分析し、バランスがいいかどうかを2年間で吟味するそうです。さらに、平成32年の診療報酬改定で、北海道地域医療構想の中にある病棟機能との整合性を図ると言っています。ですから、平成30年度と平成31年度の2年間で、病棟にかかわる診療報酬が幾ら上がるかという根本的な考え方が大きく変わってしまう可能性があります。したがいまして、それを見ながらでなければ、スケジュールが組めないということになります。予算特別委員会の論議の中でそれが見えるかどうかは非常に微妙な時期なものですから、逆に言うと、次年度に入ってから可及的速やかに具体的な方策なり、方針を立てていかざるを得ないと考えているところです。

宮本君:そのとおりだと思います。国の動きは毎年変わっていくので、大変だと思います。地方の公営企業関係、特に病院などは改正が多いので、毎年、大なり小なりそういうことがあるのだろうと思います。今の状況では、時系列的に判断するのが難しい時期です。確認ですが、新年度予算を立てるに当たりまして、現状の診療報酬改定にのっとってやっているということですか。今の段階では、あくまでも江別市立病院経営健全化計画の中でやっているという流れでしょうか。

病院事務長:そのようにやっております。

委員長(清水君):ほかに質疑ございませんか。

岡村君:先ほど、冒頭に質疑させていただきましたが、今までずっと聞いていてすっきりしないというか、違和感があります。今聞いていると、市長に対して病院事務局の幹部の皆さんがレクチャーしていて、経営はなかなか思いどおりに進んでいないということです。それを含めた意見交換の中では、昨年末には既に市長も病院の皆さんも一致して記者会見で発表した内容の方策をとるしかないということだと思います。
そうだとすると、記者会見で市長が突然言ったというような経過ですから、市長の考えにとやかく言うつもりはありませんけれども、少なくとも市長の発言が報道を通して市民に明らかにされているわけですから、その責務は、影響を含めて大変大きいものだと思います。そういう意味で具体的に考え方が一致しているのだとすると、江別市立病院新公立病院改革プランを即座に見直すべきだと思います。そうしなければ、当委員会としても違和感を禁じ得ないと思います。江別市立病院新公立病院改革プランはそのままにしながら、既に市長から記者会見の内容について皆さんに指示され、指示を受けた皆さんも昨年末あたりから意見が一致しているということがきょう明らかにされています。
そうだとすると、技術的な問題は置いておいても、どこかの段階できちんと手続をとるべきだと思います。定例会がこれから開会されますけれども、最低でも冒頭の市政執行方針で市長が書き込むのか、話すのか、それをもって江別市立病院新公立病院改革プランの補足説明にかえていくのか、それはわかりませんけれども、どちらにしても、このままでいくというのはどうかと思います。このままでいいのかと感じるので、その辺の今後の取り扱いを含めてお聞きしておきたいと思います。

病院事務長:委員の御指摘の部分については、本来であればそのとおりだと思います。ただ、先ほどから御説明しているとおり、江別市立病院新公立病院改革プランの中身は、相当に具体的かつ、実際の診療報酬体系が明確にわからないと組めないところが大変多くなっております。個別具体的に江別市立病院新公立病院改革プランを変更するということについては、一定の期間の中では難しいものだと思っております。
ただし、体制を変えるという最終的な結論が出れば、速やかに変更しなければなりません。何が言いたいかというと、今の市長の考え方、ましてや、我々が今協議している中身というのは、仮にどこそこの病棟を休止したら、将来、こういう収支構造になるというシミュレーションでありまして、少なくとも病院事務局としては最終結論に至ったものではないという判断です。それは、診療報酬改定を見ながら、あるいは、今協議している大学等との医師の派遣の状況を見ながら、一定の時間をかけて最終的に判断すべきものだと思っておりますので、その結論が出る前に江別市立病院新公立病院改革プランを抜本的に見直すということは逆ではないかと思います。検討をした上で、そこで出た結論を引き取って江別市立病院新公立病院改革プランの最終的なグランドデザインを見直すという順番だと考えているところであります。

岡村君:記者会見にあった市長の発言の内容のとおり行うのは全く構わないと思っています。既に江別市立病院新公立病院改革プランがある中でも、スピード感を持って対応しなければならないものには対応し、経営方針にかかわるものであっても、地域医療を担う中核病院の責務と経営という両輪をしっかり見通しながらスピード感を持って対応するということが必要だと思っています。それは、日々、双方でやるべきだと思っています。
しかし、既に基本的な方針、考え方を示したものの一つとして江別市立病院新公立病院改革プランを公表しているわけです。確かに、経営形態の見直しの項目がありますが、あれは最終的なトータルの経営形態の見直しのことであって、市長が言っている具体的な書き込みというのはどこにもないと思います。具体的に書かないにしても、市長が記者会見で述べたことを検討するというふうににじませたもの、今、私の手元に江別市立病院新公立病院改革プランがありませんから正確なことは言えませんけれども、そのプランにはそのような趣旨はにじんでいないと思っていますので、それはどこかににじませていかなければいけないと思います。
この委員会において江別市立病院新公立病院改革プランを前提に、これでいいのかという調査、議論を議会の立場でしていくわけですが、市長と病院当局で一致して、市長が記者会見で話された内容をもとにこれから作業を進めていく方針が示されているわけです。そういう意味で、どこかで整合性をとっていくことが必要ではないかということです。
病院事務長が言うように、まだ具体的に書き込める段階ではないということは理解していますが、その辺はどうお考えですか。

事務局次長:江別市立病院新公立病院改革プランは、これまで議会にも報告し、協議をいただいておりますが、基本的には現在の診療体制や病床の規模を維持するということを前提に、収支計画などを含めて策定しております。今回の記者会見の市長の発言は、将来的な江別市立病院新公立病院改革プランの見直しを含めて、もっと大きな病院のあり方を検討するという指示に基づくものであると思っております。江別市立病院新公立病院改革プランについては、今の病院の体制や規模を維持するということを前提にして策定しておりますが、この計画の策定期間は、平成30年度に向けて診療報酬改定なども控えていますが、それを含めて具体的に見直していくということもこのプランの中にうたっております。当然、制度の改正や大きな方針の見直しがあったときには、このプランは収支計画を含めて改正していく必要があると認識しておりますが、診療報酬改定の方向もまだ見えておりませんし、病院の規模や診療体制をどうするかという方向性を見きわめているわけではありませんので、診療報酬改定あるいは病院の体制のあり方を一定程度見定めた上で江別市立病院新公立病院改革プランの見直し作業に入っていきたいと思います。
そういう順番でなければなかなか難しいと考えているところです。

委員長(清水君):ほかに質疑ございませんか。

宮本君:今の岡村委員の発言に関係するかもしれませんが、あくまでも新聞記事ですけれども、経営方針の転換については、手のひらを返したようにできるものではない、時間をかけたものになる、年数がかかるということが書かれています。それについては、先ほど病院事務長がお話をされた診療報酬改定などがありますから、当然、そうなると思いますが、最後のほうに、市議会に市立病院・地域医療検討特別委員会が設置されたことによって、市長は、市議会の意見も聞いた上で今後の経営方針について検討していきたいという発言があったようです。
市長としては、いつの段階で当委員会、市議会の意見を聞きたいという意向を持っているのかどうか、その辺について何かお話し合いをされていますか。
今、岡村委員がおっしゃったように、江別市立病院新公立病院改革プランについても、我々はそれを土台にしてこれから審査していかなければならないわけですから、根拠がないところで上滑りな審査はできません。我々は江別市立病院経営健全化計画並びに江別市立病院新公立病院改革プランをもとにやっていくわけで、当然、市長の記者会見での発言についても関係を持たせながら調査していかなければならないわけですから、非常に難しくなると思いますが、どのような意向なのでしょうか。

事務局次長:新聞記事の最後の部分についてですが、市立病院・地域医療検討特別委員会から意見を聞くというのは、具体的にどういうことで、どういうタイミングなのかということは聞いていませんので、部局としてはわかりません。

宮本君:部局としてはわからないということですが、当然、きょうの当委員会のやりとりを報告するのでしょうから、市長はそれを踏まえて判断していくのだと思います。あとは、当委員会の中でのやりとりで進めるしかないというふうに受けとめました。

委員長(清水君):ほかに質疑ございませんか。

吉本君:こういう報道がされることで、病院内で働く人たちは敏感に感じますので、いろいろな思いがあるのではないかと思います。今、この委員会の中でもこれだけいろいろな意見が出ていますが、働いている人たちは、自分たちに直接かかわることですので、いろいろなことが起こっていないのかと思うのですが、そのあたりの対応は特にされていないのか、その点をお聞きします。

事務局次長:職員への対応ということですが、こういう新聞記事が掲載されたことについては、病院内のさまざまな職種が集まる会議がございますので、その中で、こういう新聞報道があったという話をしております。部局で聞いている範囲では、市長の考えはこういうものではないかというように、先ほど病院事務長が説明したような中身を説明しておりますし、その会議の出席者がそれぞれの職場に持ち帰って一定程度は共有されていると思っています。

委員長(清水君):ほかに質疑ございませんか。(なし)
以上で、本件に対する質疑を終結いたします。
これをもって、市立病院所管事項を終結いたします。
市立病院退室のため、暫時休憩いたします。(11:43)

委員長(清水君):委員会を再開いたします。(11:44)
次に、2その他について、私から皆様にお諮りいたします。
当委員会の今後の進め方について協議させていただきたいと思います。
当委員会では、これまで、病院の経営状況のほか、病院事業の運営経過や病診連携に関する事項などについて調査を行ってまいりました。
当委員会として、今後も資料要求などにより引き続き現状・課題の把握を行っていくのか、または次の段階に進んでいくのかなどについて、皆様から御意見をいただき、協議してまいりたいと思います。
どのように進めたらいいか、皆様から御意見ございませんか。

宮本君:前段のやりとりにあったように、江別市立病院新公立病院改革プランをもとに進めてきているわけですから、それが基本になるだろうと思います。ただ、第1段階として資料要求をして、全部が終わったわけではありませんが、江別市立病院新公立病院改革プランに絡めて進めていって、今後、資料要求があれば、それも同時並行で進めていってはどうかと思います。

委員長(清水君):ほかに御意見ございませんか。

岡村君:第1段階としては、資料としてまとめていただいたものを拝見しました。そして、第2段階に入ろうということについては、皆さんと一致するのであればよろしいと思っています。ただ、問題は、第1段階でまだ提出されていない資料がございますので、これは第2段階に持ち込んでやることにするのか、第1段階で整理をしてから第2段階に移行するのか、その辺は皆さんと考えを一致させてから取り扱っていただきたいと思っております。

委員長(清水君):ほかに御意見ございませんか。

島田君:新聞記事にあった市長の発言の真意について、この委員会で確認する場面はつくる必要があると思います。

委員長(清水君):その関連で御意見等ございませんか。

宮本君:まだ提出されていない資料がありますし、今後、要求される資料も出てくると思います。江別市立病院新公立病院改革プランを基本に進めていくということで、まだ提出されていない資料についても、この中に全て入ると思いますので、その中で取り上げてよろしいと思います。
ただ、島田委員からありましたように、第2段階に入るときに、この扱いについて市長の意見を聞いて、認識をある程度共有した中で進めていくのが本当はよろしいかと思います。それがなければ、江別市立病院新公立病院改革プランの中で全て絡めてやりとりをしなければならないということで、見えない部分がありますので、まずは市長の意見をきちんと聞くのがよろしいと思います。

委員長(清水君):ほかに御意見ございませんか。

岡村君:今、市長の意見を聞くという話が出ましたので、そこに絞ってお話をします。
私は、市長の考え方は、新聞記事ときょうの病院事務局の説明でおおむねわかりました。ただ、問題は、当委員会の調査、審査というのは、根幹となる地域医療の中での中核病院である市立病院が今後どういう責務と役割を果たしていくのか、あわせて、それを提供するためには経営状況が影響してくるわけですから、当委員会ではその両輪を調査をしながら、一つの方向づけをしていくということです。そして、その方向づけの中に市長の考え方も出てくるのだろうと思います。そういう意味では、最初から市長の意見を前提にして調査、審査をするというのは、私としては好ましくないと思います。
私どもの最終的な議論の到達点として、一つの方向づけになるのか、三つ、四つの課題提起に絞れるのか、今後の調査結果によりますが、その方向が一定程度出た段階で、理事者を呼んで、考え方を聞くというのがいいと思います。最初から市長の考えを聞くということに絞り込むような取り扱いには賛同できないことを申し上げておきます。

委員長(清水君):ほかに御意見ございませんか。

齊藤佐知子君:私としても、市立病院・地域医療検討特別委員会として、江別市立病院新公立病院改革プランにのっとって議論を進めていく途中ですので、市長から意見を聞くという話もありましたが、当委員会としては次の段階に進んでいいのではないかと思います。

委員長(清水君):ほかに御意見ございませんか。

岡村君:先ほど言いました第1段階でまだ提出されていない資料の取り扱いについてです。先ほど宮本委員からもお話がありましたが、私も第2段階の中でやることは全然構わないと思っています。ただ、問題は、第2段階に進んでも今の状態のままなのか、第2段階では具体的に資料を提出していただける見通しがあるのか、見通しがないまま第2段階に持ち込まれることを危惧しております。お願いしてから結構な月日がたっていますが、この間、委員長を中心に病院事務局と汗をかいていただいてきたと理解していますので、仮に提出できないとしたら、どういう理由によるのか、どういうことをクリアしたら提出できるのか、その辺をお示しいただきながら、取り扱いについて事前に協議したいと思っています。

委員長(清水君):暫時休憩いたします。(11:56)

※ 休憩中に、委員会の今後の進め方について協議

委員長(清水君):委員会を再開いたします。(13:18)
それでは、当委員会の今後の進め方として、次の段階に進み、江別市立病院新公立病院改革プランについての協議を行います。
資料要求として、宮本委員から資料要求があり、積み残しとなっているものについて、7点、再度資料要求をさせていただきます。また、新たに岡村委員から提案されました自治体病院等広域化・連携構想札幌圏域江別地域行動計画について資料要求するということでよろしいでしょうか。(了)そのように確認いたします。
そのほか、各委員から何かございませんか。

宮本君:委員長からの説明で、次の段階についての説明はわかりましたが、具体的なスケジュールはどうなりますか。全部を一遍にはできないと思います。ですから、江別市立病院新公立病院改革プランを基本として進めていく中で、工程をしっかり設定した上で資料の提出をお願いします。全部を一遍にやったら部局も大変だと思います。

委員長(清水君):ただいま宮本委員から、江別市立病院新公立病院改革プランの内容確認に係る進行のスケジュールについての話がありました。これについては、江別市立病院新公立病院改革プランに沿う形で、同時並行的に要求した資料を提出していただいて進めていくこととしてよろしいでしょうか。(了)そのように確認いたします。
そのほか、各委員からございませんか。(なし)
事務局から何かございませんか。(なし)
以上で、本日の委員会を散会いたします。(13:20)

(開会前)

※ 日程確認

(開 会)

委員長(齊藤君):ただいまより、生活福祉常任委員会を開会いたします。(13:29)
本日の日程は、開会前に確認いたしましたとおり、次第に記載のとおり進めてよろしいでしょうか。(了)そのように確認いたします。
なお、傍聴希望者がおり、入室を許可いたしましたので報告いたします。              傍聴者入室のため、暫時休憩いたします。(13:29)

委員長(齊藤君):委員会を再開いたします。(13:30)
1付託案件の審査、(1)陳情第8号 江別子どもの権利条例の制定を求めることについてを議題といたします。
これより、陳情第8号の結審を行いたいと思いますが、これに御異議ありませんか。(異議なし)
御異議なしと認め、直ちに、討論、採決を行います。
これより、陳情第8号に対する討論に入ります。
討論ありませんか。

裏君:陳情第8号 江別子どもの権利条例の制定を求めることについて、不採択とすべき立場で討論いたします。
児童の権利に関する条約は、1989年に第44回国連総会において採択され、日本は1994年に批准しました。
この条約は、世界の多くの児童が、今日なお、飢え、貧困等の困難な状況に置かれている状況に鑑み、世界的な観点から児童の人権の尊重、保護の促進を目指したものです。
本条約の発効を契機として、より一層、児童生徒の基本的人権に十分配慮し、一人一人を大切にした教育が求められています。
陳情の内容は、日本においても子供たちへの暴力やいじめ、児童虐待の問題があり、緊急かつ適切な対応が迫られているとして、江別において子供の権利条例の制定を要望されているものと理解いたしました。
公明党は、子供の人権を守るため、これまで一貫して児童虐待防止対策に取り組んでまいりました。2000年には児童虐待防止法が施行され、虐待を発見した場合の通告義務が明確になり、2007年の同法の改正により、児童相談所の権限を強化し、立入調査がしやすくなりました。このほか、子供や親の相談などに当たる児童福祉司を増員するための配置基準の見直しや子供の迅速な保護を目的とした親権の一時停止を推進するなど、対策の充実に努めてきました。
また、2015年7月には児童虐待の通報や相談ができる全国共通ダイヤル189がスタートしました。さらに、児童虐待の未然防止のため、育児不安などの相談に応じるこんにちは赤ちゃん事業も全国展開されました。虐待の背景には、親の孤立や産後鬱など、さまざまな要因が考えられることから、保健師などの専門家が妊娠から育児までワンストップで切れ目なくサポートする日本版ネウボラである子育て世代包括支援センターの設置を推進しており、2016年4月時点では296市区町村、720カ所まで広がりました。
対策をさらに進めるため、2016年には改正児童福祉法と改正児童虐待防止法が成立し、児童相談所に児童福祉司や医師、弁護士など専門家の配置の義務づけのほか、児童相談所職員の研修受講の義務化、市区町村に日本版ネウボラを設置する努力義務も規定されました。
また、児童虐待が疑われる家庭に対し、児童相談所が裁判所の許可を得て強制的に立入調査をする臨検の手続を簡素化し、より素早く子供の保護を図ることができるようになりました。
陳情書には、緊急かつ適切な対応との記載がありますが、そのことを重く受けとめますと、子供の人権を守るためには、現実的で実効性のある具体的な対策が重要と考えるところです。
一方、江別市においても子供の権利については、えべつ・安心子育てプランの中で明記されており、子供だけではなく、保護者や学校教育現場、社会全体に一層浸透するよう普及啓発を進めるとともに、さまざまな機会を活用して、子供の権利に対する市民意識の向上に努めることとしています。
当委員会における担当部局への質疑の中で、当市でも子供の権利に関して多くの取り組みがなされているとの説明がありました。
また、平成28年10月に開催された江別市子ども・子育て会議における子育て中の委員の意見は、果たして今必要なのは理念的な条例なのだろうかと思う。子育て中の方が求めているのは、理念的なものより具体的な施策である。児童の権利に関する条約を否定するつもりはないが、子供の権利が守られているという前提において、育児中の保護者としては具体的な施策の充実を期待したいと思っている。
また、ほかの委員からは、日本国憲法や児童憲章、児童福祉法などで子供の権利がうたわれているので、現時点で行われている市の取り組みを充足させることが大切だと思っているという意見がありました。
そのほか、神奈川県川崎市で川崎市子どもの権利に関する条例が制定されて、子供の権利を守ることと教職員の指導が対立するという問題があったなどの意見もありました。
以上述べましたが、子供の権利条例を制定することによって、いろいろな分野に与える影響を考えますと、子供の権利条例の制定については、慎重に進めていくことが重要と考えますことから、子供の権利条例の制定には至らないものとして、陳情第8号 江別子どもの権利条例の制定を求めることについて、不採択とすべき立場での討論といたします。
以上です。

委員長(齊藤君):ほかに討論ありませんか。

諏訪部君:陳情第8号 江別子どもの権利条例の制定を求める陳情について、採択すべき立場で討論いたします。
日本では、歴史的に子供を親の所有物のようにみなしていた過去があり、子供のためという言葉とは裏腹に、子供の意思や人格を無視し、親の価値観というおりの中で子育てをする親が一定数見られました。
子育て支援が充実してきた現在においても、親が思いどおりにならないと子供を虐待してしまったり、過度な干渉、親の思いどおりの人生を歩むことを強制したり、親の喜ぶことが子供の行動の選択基準となり、アイデンティティークライシス、つまり自己同一性の喪失に苦しむ子供が少なくないと言われています。親子という関係性の中で、子供の気持ち、意思、人格などを尊重するという基本的な事柄がないがしろにされてしまいます。
したがって、子供の権利というかた苦しい言葉にとらわれるのではなく、大人たちがこの条例の趣旨を尊重する、すなわち子供の気持ち、意思、人格などを尊重するという根本に立ち返り、多くの子供たちが救われることを期待するものです。もちろん、子供の権利条例の制定には即効性があるものではありませんが、繰り返し啓発することで不幸な子供を1人でも減らすべきと考えます。
資料として提出された道内市町の子供の権利条例を見ると、前文はさまざまですが、そこに共通する思いは、子供は大人のパートナーであり、お互いの権利を尊重し、子供の最善の利益を守り、大人とともに夢と希望が持てるまちづくりに対する決意が述べられています。
江別市においても子供の最善の利益を守り、大人と子供が協働し、第6次江別市総合計画の将来都市像である、みんなでつくる未来のまちえべつを実現するためにも、この条例が必要であると考えることから、採択すべき立場での討論といたします。
以上です。

委員長(齊藤君):ほかに討論ありませんか。

堀君:陳情第8号 江別子どもの権利条例の制定を求めることについて、採択すべき立場から討論に参加します。
子供たちは社会の宝である。子供たちの最善の利益を守ることについて、誰しも異論はないと思います。子供たちの最善の利益をどのように守るのか。その手法について十分な検討が必要なのでしょう。
そして、熟考した結果、子供の権利条例の制定は手法として意味のあるものと考えるに至りました。
とりわけ有意義と思われる3点について述べたいと思います。
1点目は、救済制度です。札幌市の子供の権利救済機関、通称子どもアシストセンターを見てみますと、既存の機能や機構とは異なるものであることがわかります。
主な活動内容としては、相談業務と権利侵害からの救済の申し立て等に基づき問題解決に向けた調査や関係者間の調整を公的第三者の立場で実施することです。
スタッフは、議会の同意を得て市長から委嘱された救済委員が2名、関係機関への調査や関係者間の調整活動を担当する調査員が3名、電話や電子メールで相談を受ける相談員が7名です。
一向になくならないいじめや虐待。この状況を重く受けとめ、体制の強化を図らなければならない時期に来ていると考えます。
2点目は、旗印の共有です。市では子供の権利に関する取り組みについて、部署をまたいでさまざまな施策を展開しております。子供の権利条例の制定によって、理念や目指すところを明確にすることで、施策の位置づけを整頓していくことが可能です。
市民全体に子供の権利についての理解を浸透させ、考察を深めていく契機にしていくのです。加えて、児童の権利に関する条約の普及を教育現場任せにせず、全市的に実施していくという姿勢を明らかにし、推進していく必要性を感じております。
3点目は、自己肯定感です。民主主義は、再帰的な社会運営システムであるため、運に委ねられにくく、本来は納得を獲得しやすい制度です。しかし、投票権のない子供たちの将来は大人という運に委ねられてしまいます。
そうした意味でも、児童の権利に関する条約の四つの権利のうち、生きる権利、育つ権利、守られる権利は当然として、参加する権利がこれからの時代に要請されているのだと思います。
閉塞感とは、決して悪条件から生まれるものではありません。たとえ状況が悪くても、それを改善できると思うことができ、その働きかけに応答が得られ、自分の力が環境に作用できると感じられれば、希望は失われません。
自分たちの未来を自分たちでつくっている。こうした自治の感覚を持つためには、自己肯定感を基礎とした自己効力感、自己有用感が必要です。そのために、子供の権利条例を制定する中で、子供の参加する権利を高らかにうたうことは、大変価値のあることではないかと思います。
一方、2020年の大学入学試験から、非認知的能力を問うという教育改革が始まります。非認知的能力を高めるための基礎となるのも自己肯定感であり、この対応が教育現場でも求められています。子供を主体的な個人と考え、教職員には人生の先輩として、見識によって子供を教え導いていただきたいと願うものです。
以上、有意義と思われる3点について述べましたが、課題もあります。
子供の権利のありようについて、子供も大人も十分に把握しないままに子供の権利条例を制定すると、条例の理念と現実の振る舞いに乖離が生じてしまうということです。
その意味では、まずは、児童の権利に関する条約について、しっかりとした普及が必要なのだろうと考えます。市民議論を尽くして、子供の権利条例が制定されることを期待します。
権利とわがままは異なるものです。権利とは、望むものというよりも、そこで必要になっているものに近いもの。このことについて、全ての江別市民が考えていく未来を願い、陳情第8号 江別子どもの権利条例の制定を求めることについて、採択すべき立場での討論といたします。
以上です。

委員長(齊藤君):ほかに討論ありませんか。(なし)
これをもって討論を終結いたします。
引き続き、陳情第8号を挙手により採決いたします。
陳情第8号は、採択することに賛成の委員の挙手を求めます。(鈴木委員、諏訪部委員、堀委員、吉本委員挙手)
挙手4名であります。
念のためお諮りいたします。
陳情第8号は、不採択とすることに賛成の委員の挙手を求めます。(裏委員、清水委員、星委員、三角委員挙手)
挙手4名であります。
採択・不採択は同数であります。
採択・不採択同数のため、江別市議会委員会条例第15条の規定により、委員長において本件を決します。
陳情第8号について、委員長は、不採択とすべきものと決します。
本日結審を行いました陳情に係る付議事件審査結果報告につきましては、委員会での審査経過や結審内容を踏まえて、正副委員長で協議の上、作成いたしたいと思いますが、御一任いただけますでしょうか。(了)そのように確認いたします。
次に、2閉会中の所管事務調査(案)についてでありますが、記載の3項目について、議長に申し出いたしたいと思いますが、よろしいでしょうか。(了)そのように確認いたします。
最後に、3その他について、各委員からございませんか。(なし)
事務局からございませんか。(なし)
以上で、本日の委員会を散会いたします。(13:45)