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平成28年第3回江別市議会定例会会議録(第4号)平成28年9月16日

印刷用ページを表示する 掲載日:2016年11月28日更新

1 出席議員

27名

議長 三角 芳明 君 副議長 干場 芳子 君 
議員 吉本 和子 君 議員 齋藤 一 君
議員 高橋 典子 君 議員 高間 専逸 君
議員 星 克明 君 議員 島田 泰美 君
議員 諏訪部 容子 君 議員 堀 直人 君
議員 本間 憲一 君 議員 石田 武史 君
議員 清水 直幸 君 議員 角田 一 君
議員 山本 由美子 君 議員 宮本 忠明 君
議員 野村 尚志 君 議員 岡村 繁美 君
議員 鈴木 真由美 君 議員 赤坂 伸一 君
議員 内山 祥弘 君 議員 尾田 善靖 君
議員 齊藤 佐知子 君 議員 徳田 哲 君
議員 宮川 正子 君 議員 相馬 芳佳 君
議員 裏 君子 君    

2 欠席議員

0名

3 説明のため出席した者の職氏名

市長 三好 昇 君 副市長 佐々木 雄二 君
水道事業管理者 佐藤 哲司 君 総務部長 齊藤 俊彦 君
企画政策部長  北川 裕治 君 生活環境部長 高橋 孝也 君
経済部長兼
総合特区推進監
後藤 好人 君 健康福祉部長 真屋 淳子 君
建設部長 安藤 明彦 君 病院長 梶井 直文 君
病院事務長 吉岡 和彦 君 消防長 堀江 祐一 君
水道部長 松田 俊樹 君 会計管理者 宮腰 明生 君
総務部次長 土屋 健 君 財政課長 野口 貴行 君
教育長 月田 健二 君 教育部長 渡部 丈司 君
監査委員 中村 秀春 君 監査委員事務局長 出頭 一彦 君
農業委員会
会長職務代理者
金安 正明 君 農業委員会事務局長 川上 誠一 君
選挙管理委員会
委員長
中井 悦子 君 選挙管理委員会
事務局長
金内 隆浩 君

4 事務に従事した事務局員

事務局長 佐藤 貴史 君 次長 錦戸 康成 君
庶務係長 中村 正也 君 議事係長 阿部 昌史 君
主査 壽福 愛佳 君 主任 丹羽 芳徳 君
書記 海谷 祐二朗 君 事務補助員 高橋 杏奈 君
事務補助員 美濃 文 君

5 議事日程

日程第 1 会議録署名議員の指名
日程第 2 一般質問

発言者及び発言趣旨

島田 泰美 君 (総括質問総括答弁方式)

  1. 江別市大学連携調査研究助成事業について
    (1)調査研究結果が市の施策に反映されるまでの選定方法について
    (2)審査基準を考慮に入れて選ぶことについて
    (3)事業開始8年目を迎え、市民が選定に参画することについて
     
  2. 病院経営改善の大きな柱となるDPCと地域包括ケア病棟の導入について
    (1)DPCと地域包括ケア病棟の導入後の経営改善の見込みについて
    (2)DPC導入後に、過少医療・粗診粗療にならないための対応について
     
  3. 子供の医療費助成に関する近隣市町村の状況について
    (1)子供の医療費助成に関する近隣市町村の取り組み状況と、それに対する市の考え方について
     
  4. 障害者差別解消法について
    (1)法律施行後の法的義務を踏まえた市の対応について

徳田 哲 君 (一問一答方式)

  1. 多様な市民ニーズの把握と政策反映について
    (1)サイレントマジョリティーに対し、市民参画を図るための手法について
    (2)各種団体等からの要望に対する検討過程について
    (3)市民の思いがダイレクトに政策へと反映される仕組みづくりについて
     
  2. 災害に強いまちづくりについて
    (1)避難所運営ガイドライン等の活用について
    (2)車中泊避難者対策について
    (3)被災者支援システムの導入について

堀 直人 君 (総括質問総括答弁方式)

  1. 江別市におけるマーケティング戦略について
    (1)シティプロモートのターゲット設定に応じた展開について
    (2)シティプロモートの現況と今後について
    (3)地域ブランド構築の現況と今後について
    (4)地域ブランド構築におけるクリエーターの活用について
    (5)マーケティング担当部署の設置について
     
  2. 江別市の観光行政について
    (1)交流人口を定住人口につなげるための戦略について
    (2)観光案内所の機能拡張について
    (3)アンテナショップにおける観光と物産の役割分担による相乗効果創出について
    (4)観光の評価指標について
    (5)観光による稼げる地域づくりを推進する実施主体について
    (6)市外に向け稼ぐことを担当する部局の設置について

 6 議事次第

◎ 開議宣告

議長(三角芳明君)

これより平成28年第3回江別市議会定例会第11日目の会議を開きます。
ただいまの出席議員は27名で定足数に達しております。

◎ 議事日程

議長(三角芳明君)

本日の議事日程は、お手元に配付いたしましたとおりであります。

◎ 会議録署名議員の指名

議長(三角芳明君)

日程第1 会議録署名議員の指名を行います。
会議規則第111条の規定により、
尾田議員
吉本議員
を指名いたします。

◎ 一般質問

議長(三角芳明君)

日程第2 一般質問を順次行います。
島田泰美議員の江別市大学連携調査研究助成事業についてほか3件についての質問を許します。総括質問総括答弁方式、通告時間25分。

島田泰美君

ただいま議長より発言の許可をいただきましたので、通告に従いまして順次質問させていただきます。
このたびの一般質問も、過去に私が扱った一般質問と関連した項目が何点かありますが、その後の進捗や、また、違った観点でお聞きしたいと思いますのでよろしくお願いします。
初めに、江別市大学連携調査研究助成事業についてお伺いします。
本年の7月26日に市民会館において江別市大学連携事業報告会が催され、私も初めて参加いたしました。それに関連した今回の質問では、研究報告がなされた中で、大学連携学生地域活動支援事業と大学連携調査研究事業のうち、後者の調査研究事業についてお聞きしたいと思います。
この事業は江別市のまちづくりや地域の活性化に関する調査研究事業に対して補助を行うものであり、事業の概要としては、大学の知的資源の活用により、地域の活性化と産学官連携体制の強化を目的としています。平成21年度から開始されたこの事業は、市内大学の教員等を対象に、江別市の政策実現のため、調査研究等を募集しています。
対象事業として、産業振興に資する調査研究、地域福祉の向上に資する調査研究、教育及び文化の向上に資する調査研究、そして、まちづくりに関する調査研究となっています。
また、平成26年度からは第6次江別市総合計画のえべつ未来戦略との整合性を図る意味で、戦略2の産業活性化、戦略3の住みよいまちづくり、戦略4のシティプロモートにテーマを絞った形の調査研究となっています。
この事業の補助金に関しては調査研究の全部または一部を補助し、一つの研究につき上限を100万円と定め、全体の予算としては、約300万円を見込んでいます。募集に関しては毎年10件以上の応募があるようで、その中から所管部長による庁内選考会で採点項目に沿って採点評価を行った後、協議・決定がなされています。
冒頭でも述べましたが、今回の大学連携事業報告会に参加して、この事業の意図していることが明確に理解でき、大変参考になったところです。特に、大学准教授報告の野幌原始林地下水の応急給水源としての利用に関する調査研究については、平成26年9月の断水災害の教訓からさまざまな視点で調査研究され、今後に向けて活用することも視野に検討されてよい内容だったと思います。
平成21年に創設されたこの事業も、本年で8年目を迎えることとなったわけですが、当然、この事業は報告のみに終わることなく、これまで調査研究された報告から実際に市の施策に反映し、活用された事例もあったと思います。どういった事例があったのかは別として、まず、一つ目に伺いますが、調査研究結果が市の施策に活用されるまでの選定方法について、二つ目として、事業を市の施策に活用するに当たり、審査基準があり、それを考慮に入れて選定するのかどうか、三つ目として、同じく選定する段階で、第三者として市民もそこに参画することについて、お考えがあればお聞きします。
以上、この3点につきまして御答弁をいただきたいと思います。
次に、病院経営改善の大きな柱となるDPCの導入や地域包括ケア病棟の導入についてお伺いします。
私は平成28年第1回定例会の一般質問で、平成26年度市立病院経営健全化計画の評価とその方向性について質問させていただきました。平成18年に内科医師が大量に退職してから、市は病院経営再建に向け、病院経営健全化計画、また、公立病院改革プラン等を策定して病院経営健全化に努めてきたことは周知のとおりです。
しかし、どうしても計画の目標値と実績の数値が近づいていかないこともあり、平成27年度末には不良債務解消のため、7億5,000万円を一般会計から繰り出す結果となりました。
こういった状況から、この経営健全化計画の評価と病院事業のあり方を含めた今後の方向性について質問したところでした。
病院側の答弁を総括すると、まず、医療の標準化、効率化を図る包括請求方式であるDPCの導入、さらに、今後の高齢化社会を見据えた在宅医療との連携機能を強化した地域包括ケア病棟の導入を平成28年度から進めていく中で収益の増加につなげ、経営改善を図っていくとの答弁だったと思います。そのほかにも、経費削減に取り組む中でジェネリック医薬品を大幅に採用することや、患者サービスの向上のため地域医療連携室や医療安全室などの配置変更、また、コンビニエンスストアの導入について検討する中で経営改善に努力していくとのことでした。さらに、通告書の件名のとおり、経営改善の大きな柱となるのはDPCの導入と地域包括ケア病棟の導入であり、抜本的なこの経営改善がなされたならば、その後に病院事業形態を見直し、地方公営企業法の全部適用や指定管理者制度の導入、あるいは地方独立行政法人化等を視野に検討していくとの前向きな御答弁をいただきました。
ただ、これからDPCの導入や地域包括ケア病棟の導入の改善効果があらわれるのは平成28年以降であるとのことであり、以前から病院事業経営の健全化について注視してきた市民としては、今日に至るまでもっとスピード感を持って市が取り組むべきであったと感じているのではないでしょうか。
しかし、病院側としても、平成27年度の収益状況が非常に厳しいとの判断のもと、平成27年8月からコンサルタントと委託契約を結ぶ中で、経営改善に向け抜本的な改革を進めてきたことについては理解するところです。また、国においても、以前から急性期の入院医療にDPCという包括評価方式の導入を進めてきており、医療の質の向上と国民医療費増加の抑制を各自治体に促してきたところでもあります。
特に、今年度は2年に1度の診療報酬改定の年でもあり、同時にDPC制度の参加時期となっていますし、人口減少に伴い、国の方針としても病床数を削減する中で病棟再編を進める狙いがうかがえます。このたびのDPC導入や地域包括ケア病棟導入などもさまざまなデータの分析・調査により、このタイミングで決定された経営改善策と言えますが、一方で、DPCに関しては医療内容の標準化、効率化、透明化が進むとコスト重視が先行して、過少医療・粗診粗療に陥ることが懸念されるという見方もあります。また、シミュレーションは別として、導入により必ずしも収益増につながるとは限らず、しっかりとした根拠を示すことが求められますし、今後において検証していかなければなりません。
いずれにしても、DPC方式へはことしの4月より移行されていて、また、地域包括ケア病棟は5月より開設されており、現在まで4カ月から5カ月の期間の運用となっています。検証するにはまだ短く、道半ばであることは承知していますし、所管からも今年度の月別の経営状況も毎回示されています。ただ、これまでの病院経営改善のさまざまな方策を振り返って考えたとき、短い期間での検証の積み重ねが功を奏する場合もありますので、直近の状況を検証する中で、予想としていつごろに正常な病院経営が現実となるのか。確かに、現在、不良債務残高はありませんが、計画的に一般会計に返済していかなければなりません。
また、前段でDPC導入後、懸念される事項を何点か挙げましたが、改めて二つの質問をいたします。
一つ目は、DPCと地域包括ケア病棟導入後の経営改善の見込み時期について、二つ目として、DPC導入後に懸念される過少医療・粗診粗療にならないための対応について、この2点についてお伺いします。
次に、子供の医療費助成に関する近隣市町村の状況についてお聞きします。
昨年の第2回定例会の一般質問でも子供の医療費助成に関する質問をいたしましたが、今回もさらに確認の意味で質問いたします。
最近5年間において、道内179市町村の中で、特に石狩、空知、後志、胆振、日高管内の70市町村のうち47市町村で子供の医療費の助成を広げていることが新聞やインターネットで確認することができました。各自治体はこの拡充により子育て支援の充実や人口減少に歯どめをかける狙いもあると思われます。
国の制度では、周知のとおり医療費のうちの自己負担分について、就学前では2割、小学生以上が3割負担となっていて、北海道の補助を受け、道内の市町村では一律、入院に関しては小学校まで、通院は就学前までで一部自己負担分が軽減されています。さらに、道央圏内の市町村の大半は、これに独自の上乗せを行っているところです。
直近で見ると、お隣の岩見沢市は現在、小学生までの入院費の全額助成を、ことしの10月から中学生まで拡大する予定で、対象となる1,800人分の予算は380万円となっています。
また、小樽市は8月から小学生の通院費の自己負担分を現在の3割から1割に軽減し、市民税非課税世帯の負担分は初診時の580円で済むことになります。対象となる小学生は3,600人で、平成28年度予算で計上されているのは3,920万円となり、市長は小学校6年生までの医療費無料化を公約に掲げたようです。
さらに、当別町においては、小学生まで1割負担とする入院費の助成を、ことしの8月に一気に無料化したところであり、就学前の通院費も課税・非課税にかかわらず一律初診料のみの負担となっています。
また、医療費の助成がまちの過疎化に歯どめをかけたり、地域の活性化に貢献した事例もあり、空知管内の新十津川町では、平成23年8月に医療費全額助成を小学生までから中学生までへと拡大したことにより、平成27年度には転出者から転入者を差し引いた転出超過が7人にとどまり、5年前と比べて40人ほど下回ったとの結果も出ています。
さらに、同じく奈井江町では、平成26年度に医療費全額助成を中学生までから高校生までへと広げたことにより、転出超過は5年前を44人下回る9人に抑えることができたようです。この二つの町がともに転出超過を抑えることができたのは、子育てに優しいまちのイメージが浸透してきたと受けとめてよいと思います。
ただ、都市部に関しては助成を少しでも広げると当然対象者もふえ、予算も大幅に増加することが予想されます。例を挙げると、苫小牧市では医療費の助成を入院は小学6年生まで、通院は就学前までとしたままで仮に助成を行った場合、1学年当たりに換算すると3,000万円ほどの予算がかかると言われています。
また、室蘭市においては、通院では就学前まで、入院は小学生までの助成となっていますが、市議会において中学生までの無料化の請願を審査しているとのことであり、年間1億4,000万円近い負担となるだけに実現は難しいようであります。
同じく、札幌市においては、就学前までの通院費助成を平成30年度には小学校1年生まで広げる方針で、対象は人口が多い分だけ約1万2,000人となり、予算的には年間約4億円ふえる見込みであり、財政負担を考慮し、中学生までの入院費の一部助成等を当分の間、据え置くことも検討しているとのことです。
また、一方の考え方として、子育て支援の充実に向けた医療費助成の拡大は評価しつつも、自治体間で行き過ぎた競争を生じ、安易に病院にかかることでコンビニ受診になりかねない懸念もあります。支援が現金給付に偏ることは避け、困窮者や重病の患者に助成が行き届く仕組みも考えるべきで、さらに、保育所の整備や母親が悩みを共有できる場づくりに財源を振り向けるなど、子育て支援全体のニーズに応えることが重要であるとの考え方もあり、どちらかというと当市の場合はこちらに当てはまるのではないかと思うところです。
いずれにしても、子供の医療費助成に関しては、近隣自治体においてさまざまな課題を抱えつつも前向きに取り組んでいるのが現況ではないかと思います。
医療費に関しては、御承知のように、医療保険制度によりかかった医療費の9割から7割を健康保険組合や国保などが給付し、残りの1割から3割を患者自身が医療機関の窓口でそれぞれの年齢によって設定された負担額を支払っています。そして、子供の医療費に関しては、先ほど述べたとおり、市町村が独自の判断でさまざまな助成を行っているところです。
一般に、助成することで医療費の自己負担が減った場合、医療機関にかかる人がふえることで自己負担の減額分より医療費自体が増加すると言われ、国としては、この医療費増加分は各市町村が負担すべきだという考えに立ち、子供の医療費の助成を進めている市町村に対し、減額調整制度を適用して市町村国保に対する国庫負担を減額しています。例えば、医療費を無料にした場合には国庫負担は86.11%に、1割に減額した場合は93.49%に減額される仕組みとなっています。この制度に対し、少子化対策を打ち出している国の方針に逆行しているとの声もあるようで、このように、医療費助成については重要な少子化対策であるという意見がある一方で、コンビニ受診とならないよう国として線引きをすべきではないかといった意見もあるようです。
このように、さまざまな考え方もありますが、私は前回の一般質問でも述べたとおり、医療費助成については市町村自体がそれぞれ柔軟に対応すべきであって、まちとしてどの政策に力を入れて取り組むのかを明確にして市民に示すことが必要であると思います。現在、近隣市町村の前向きな取り組み状況を見る限り、江別市としても子供の医療費の助成はやはり拡充すべきであると考えますので、改めて市長の見解を伺いたいと思います。
次に、障害者差別解消法についてお伺いします。
この件にかかわる一般質問は、初日とそれ以前にもほかの議員から出ていたようですが、この法律がことしの4月から施行されたことで、その後の状況も含めてお聞きしたいと思います。
今回、一般質問の参考として某情報誌を読んでいましたら、障害者差別解消法という見出しが目にとまりました。私自身この法律に関して余り認識がありませんでしたので、中を読んでいきますと、障がい者の身近な相談窓口として準備を始めたのが千葉県松戸市、埼玉県さいたま市、東京都世田谷区など少数にとどまっていると書かれていました。
要するに、国が全国の市町村などに設置を進めている障害者差別解消支援地域協議会の準備がほとんど進んでいない状況ということが書かれていました。しかし、松戸市が含まれていることで私自身ほっとしたところでした。私ごとで恐縮ですが、障がいの子供を抱えている親しい友人がここ松戸市に住んでいたからであり、この情報誌で偶然知ることができました。
この法律の制定までの経緯として、平成18年12月の国連総会本会議において障害者の権利に関する条約が採択され、日本が同条約に署名した後、平成21年12月には内閣に障がい者制度改革推進本部が設置されました。その後、閣議決定の後、平成25年6月に障害を理由とする差別の解消の推進に関する法律、通称障害者差別解消法が公布され、平成28年4月より施行がなされています。この法律は、障がいのある人もない人もともに住みやすい社会をつくるため、障がいに基づく差別を禁止して平等な機会、チャンス、待遇を保障する法律であります。4月に施行されてから、政府が全国約1,800自治体にこの協議会の設置を進めていますが、準備に入った自治体は全国の1%にとどまっているとのことです。4月に施行されたばかりで、今、どの程度全国的に整備されているのかはわかりませんが、北海道においてはこの法律のPR誌配布に努めているようです。
今現在、江別市においてはどういった対応をしているのか、前回の御答弁では、市の対応として北海道の職員対応要領に準拠する中で、障害者差別解消支援地域協議会のことも含め、法の施行後の相談状況を見きわめながら対応していくとのことだったと思います。
したがって、法の施行後、合理的配慮を踏まえた場合、民間事業者は努力義務ですが、行政機関は法的義務がありますので、市の対応について、進捗状況も含めてお聞きしたいと思います。
以上で、1回目の質問を終わります。

議長(三角芳明君)

島田議員の一般質問に対する答弁を求めます。

市長(三好 昇君)

島田議員の一般質問にお答え申し上げます。
まず、江別市大学連携調査研究助成事業に関しまして、調査研究成果が市の施策に活用されるまでの選定方法についてでありますが、市では、平成21年2月に市と市内4大学、江別商工会議所による包括連携協定を締結し、協働によるまちづくりやさまざまな地域課題の解決に向けて、相互に連携・協力しておりまして、その一環として平成21年度から大学連携調査研究助成事業を実施しております。
この事業は、市内大学の教員などを対象に、江別市の地域課題の解決に関する調査研究を募集し、採択となった事業につきまして、調査研究費用を補助するもので、これまでに延べ33件の事業を採択しております。
本年度は、北翔大学の市民の危険予測・回避能力向上を目指す地域防災活動・管理に関する研究など五つの調査研究事業を採択したところです。
こうした取り組みの結果、平成26年には酪農学園大学から応募のあった江別の農畜産物を活用した商品開発についての研究が、この後に北海道食品機能性表示制度ヘルシーDoに認定され、江別産ブロッコリーのリラックススムージーの開発につながるなどの事例も出てきているところです。
お尋ねの研究成果が市の施策に活用されるまでの選定方法についてですが、応募のあった事業を審査する段階におきまして、総合計画など市の政策課題に活用できる可能性などをもとに選定しているところでありますが、その後、各部局におきまして、地域課題解決へつながるかどうかや、費用対効果などについて検討した上で、政策に反映しているところです。
次に、子供の医療費助成に関する近隣市町村の状況についてですが、江別市における子供の医療費助成は、子育て家庭の医療費の負担軽減を図り、あわせて乳幼児等の健康増進と健全なる育成を図ることを目的に、北海道との共同事業として乳幼児等医療費助成制度を実施しているものです。
子供の医療費助成の拡大につきましては、経済的負担が重くなる入院につきまして、平成24年10月より3歳から小学校修了までの課税世帯も初診時一部負担金で受診できるようにしているところです。
他市におきましては、さらに対象を拡大している事例も聞いているところでありますが、子供の医療費助成につきましては、地域差のない制度であることが望ましいものと考えておりまして、全国一律の制度の構築につきまして、ことし3月には全国知事会など地方3団体より要望を行い、また、6月には全国市長会より特別提言を行っております。
国におきましても、昨年、子どもの医療費制度の在り方等に関する検討会が開催されまして、その議論を受けて、国保の公費負担の減額調整措置のあり方について年末までに結論を得ることとなっています。
市といたしましても、子育て世帯への負担軽減は重要なものと認識しておりますことから、今後も国の動向を注視しながら、市としてどのような対応が可能なのか、検討してまいりたいと考えております。
次に、障害者差別解消法に関連しまして、法律施行後の法的義務を踏まえた市の対応についてでありますが、ことし2月に、職員に対しまして、法の趣旨や各職場における障がいのある方への合理的配慮の事例などについて研修会を開催したほか、3月には、健康福祉部から全部署に対しまして、障がいのある方への一層の合理的配慮の提供や窓口対応時などにおける手話通訳及び要約筆記の活用の推進について通知したところです。
市民に向けた周知・啓発としては、広報えべつ4月号に障害者差別解消法の概要や相談先等につきまして掲載したほか、ポスターの掲示やパンフレットを庁舎に配置するなどの取り組みを行っているところです。
自治体の努力義務とされている、障がいのある方に対して適切に対応するための職員対応要領につきましては、現在、当事者団体の意見を伺っているところでありまして、北海道や先行自治体の例も参考にしながら年度内での策定作業を進めているところです。
障害者差別解消支援地域協議会につきましては、同様の目的で北海道が設置しております、障がい者が暮らしやすい地域づくり委員会との役割分担や、当市の実情に合わせた設置のあり方などを課題と考えておりますことから、他市町村の事例を参考にしながら検討してまいりたいと考えております。
今後におきましても、法の趣旨に基づき、市民や職員に対する意識啓発に努め、障がいのある方への差別の解消に向けた取り組みを積極的に進めてまいりたいと考えております。
私からの答弁は以上でございますが、このほかの質問につきましては、企画政策部長ほかをもってお答え申し上げます。

企画政策部長(北川裕治君)

私からは、江別市大学連携調査研究助成事業についてのうち、審査基準を考慮に入れて選ぶことについてほか1件について御答弁申し上げます。
初めに、審査基準があり、それを考慮の上、選定しているかとの御質問についてでありますが、先ほど、市長から御答弁申し上げましたとおり、一定の審査基準を満たすものを事業化しているのではなく、応募のあった事業を審査する段階において、総合計画など市の政策課題に活用できる可能性などをもとに選定しているところでありますが、その後、各部局において地域課題解決へつながるかどうかや、費用対効果などについて検討した上で、選定しているところであります。
次に、事業開始8年目を迎え、市民が選定に参画することについてでありますが、市では、広く市民等を対象とした大学連携事業報告会を開催し、研究者から調査研究成果を報告していただくことにより情報の共有を図るとともに、報告会の際に行うアンケートの中で発表のあった調査研究ごとに意見を記載する欄を設け、事業化に向けての参考としているところであります。
今後につきましては、研究成果を新たにホームページに掲載するなどして、市民の方から広く意見を聞いてまいりたいと考えております。
以上でございます。

病院事務長(吉岡和彦君)

私からは、病院経営改善の大きな柱となるDPCと地域包括ケア病棟の導入についてお答え申し上げます。
まず、1点目のDPCと地域包括ケア病棟の導入後の経営改善の見込みについてでありますが、市立病院では抜本的な経営改善に向けた柱として、一般病棟6病棟の見直しなどを行った結果、急性期入院医療を対象とする診断群分類に基づく包括支払い制度、いわゆるDPCを平成28年4月から導入し、また、5月からはDPC病棟5病棟と地域包括ケア病棟1病棟に再編したところであります。
これは、主に急性期治療を行うDPC病棟と一定程度の治療を終え、在宅復帰に向けた治療を行う地域包括ケア病棟、双方の機能を有機的に連携させることにより病棟機能と収益構造を改善することを目的に導入したものであります。
本年4月から6月の状況と昨年同月との比較では、各月当たりDPC病棟の実患者数は平均でおよそ90名増加、その平均在院日数は2日減少し、また、診療単価は約1,000円増加しております。
このことから、これらの新たな経営改善に向けた取り組みは、導入から短期間であるにもかかわらず、一定の効果が見えてきたところであり、現時点では、経営が改善する具体的な時期を判断することは難しいものの、今後、さらなる向上が見込めるものと考えております。
引き続き、DPC制度と地域包括ケア病棟の効率的な運用を行い、適正な医療を提供するとともに、さらなる病院の経営改善に努めてまいります。
次に、DPC導入後、過少医療・粗診粗療にならないための対応についてでありますが、DPCは医師を初めとする医療従事者や薬剤などの医療資源を有効に活用し、患者に最適な医療を行うための制度であり、平成15年4月から国により急性期病院を対象に導入され、平成28年4月には、全国の1,667病院、約49万床、全一般病床の約55%を占め、全国的に普及が進んでいるところであります。
市立病院では、DPC制度運用に当たり、医師、看護師を初めとした院内各部署の職員で構成される会議を設置し、日々制度の適切な運用について継続的に検討を行っております。
また、入院期間の見通しやどのような治療を行うかなどを記載した入院診療計画書を患者ごとに作成し、個別に説明を行い、患者から同意をいただいた上で、治療を行っております。
このような取り組みを行うことで、患者にとって必要な最善の医療を提供できるよう、引き続き努力をしてまいります。
私からは以上でございます。

島田泰美君

御答弁ありがとうございました。
それでは、要望2件と2回目の質問を1件させていただきます。
江別市大学連携調査研究助成事業について、特に、三つ目の質問に対する答弁につきまして、再度質問いたします。
この事業は、施行から8年目を迎える江別市自治基本条例より先にできた助成事業でありますが、条例の理念に基づき市政への市民参加を促すために、市民や自治会、市民活動団体、企業、大学等、各種団体と連携して魅力ある協働のまちづくりを推進するための事業という点では同じ方向性を示しています。
江別市自治基本条例の理念である協働のまちづくりの大前提となるのは市民参加、あるいは市民参画であり、この条例とともに8年目を迎えるこの事業もやはり4年ごとに検証していかなければなりません。そういった意味で、これから新たに研究成果をホームページに掲載するそうですが、市長の市政執行方針にも盛り込まれている協働を具現化するための方策として、御答弁からは事業化する段階での参加が難しいことは理解できましたので、事業採択時に市民参加によって選定された研究成果となるよう、もっと積極的に市民を市政に巻き込む仕組みを考えるべきであると思いますが、お考えをお聞きいたします。
次に、子供の医療費助成にかかわる御答弁についてですが、今回も市としてのスタンスは変わらず、国保の公費負担、減額調整制度等も含めて国や道の動向を見きわめて対応していくとのことで、一定程度の理解ができました。
今回の質問は、近隣市町村に限って状況を述べましたが、参考までに、2015年3月の調査によりますと、全国1,742市区町村のうち、子供医療費助成制度で無料化しているのは、自治体によって対象となる年齢は違いますが約57%、一部負担の自治体は約43%であることが確認できました。このことから、全国的にはこの制度自体、相当進んでいることがうかがえます。
本来であれば、先ほど御答弁がありましたように、全国一律の制度の構築が望ましいところですが、無料化した場合には国の負担も多くなり、また、それぞれの自治体の事情もあることから、そうはならないのが現状であります。先ほど、1回目の質問でも述べましたが、江別市としてはまちの顔となるような政策をしっかり市民に示すことが今後とも求められていくと思います。
繰り返しますが、子供の医療費助成の拡充に関してもそうあるべきだと考えますので、要望としてお聞きいただきたいと思います。
次に、障害者差別解消法の答弁についてですが、この法律はことしの4月から施行されていて、その前の2月に職員に対して合理的配慮の事例等についての研修会を開催し、3月には健康福祉部から全部署に対し、合理的配慮の提供や窓口対応について啓発の通知を行ったり、また、障害者差別解消法に関するポスターの掲示やパンフレットを庁舎に配置するなどの取り組み状況を先ほどの答弁から確認することができました。
職員対応要領の策定につきましては、自治体の努力義務とされていますが、ぜひ、江別市の実情に合わせ、障がい者に対して適切に対応することができる職員対応要領を早急に策定することを要望して、2回目の質問と要望を終わりたいと思います。

企画政策部長(北川裕治君)

大学連携調査研究助成事業の再質問に御答弁申し上げます。
大学連携調査研究事業に関して、採択事業の選定に市民が参加できないかとの御質問でありますが、現状では、応募のあった調査研究について一定の審査基準に基づき採点を行い、庁内の検討会議を経て採択事業を決定しているところでございます。
今後につきましては、選定過程において、大学の研究者による専門的な研究の採択に際し、どのような形での市民参加が可能なのか、研究してまいりたいと考えております。
以上でございます。

島田泰美君

大変短い答弁で、わかりやすく説明いただきましてありがとうございました。
以上をもちまして、私の一般質問を終わります。ありがとうございました。

議長(三角芳明君)

以上をもって、島田議員の一般質問を終結いたします。
一般質問を続行いたします。
徳田哲議員の多様な市民ニーズの把握と政策反映についてほか1件についての質問を許します。一問一答方式、通告時間45分。

徳田 哲君

ただいま議長に発言の許可をいただきましたので、通告に従いまして順次質問させていただきたいと思います。
初めに、多様な市民ニーズの把握と政策反映についてお伺いいたします。
社会の成熟化や価値観の多様化、少子高齢社会の進展など、社会経済構造が大きく変革している現在、行政への市民ニーズは多様化・高度化し、よりきめ細かな対応が求められています。一方で、財政面からの問題や受け手の側である市職員の数も限られていることもあり、一人一人の声に応えることはなかなか難しいことも一定程度理解するところであります。
とはいえ、やはり行政は、住民主役の地域づくりを支えていく側として、住民ニーズを的確につかむ不断の努力が必要です。本来であれば、一人一人の市民とのより深いつながりを大切にし、複雑化する社会や多様化する住民の価値観に応えていくことがまちづくりに欠かせない視点となります。そのためには、市民の皆さん一人一人の御意見や御要望、声なき声を酌み取るための努力が必要不可欠であると考えます。
初めに、1点目として、現在、江別市では、政策立案過程、あるいはまちづくりの実践過程において、アンケートやパブリックコメントの実施、市内各層の代表者や有識者の方々に参加していただくさまざまな審議会等の開催を通じ、市民参画が図られているものと承知しております。
こうした取り組みによって、市民の皆さんの意見が政策に反映され、成果を上げた事例も存在しますが、一方で、現在とられている手法によって寄せられた意見が本当に市民全体の意見を代表しているものなのかと考えたとき、私はそこにもう一重深い検討を加えなければならないと感じざるを得ないところであります。
一般的に、多くの市民の皆さんは、自治体に対して積極的に意見を表明しない傾向があります。こうした多くの方々をサイレントマジョリティーと言います。
株式会社三菱総合研究所の研究員である尾花氏の研究によりますと、政策を知らない、政策を知っているが関心がない、政策を知っていて関心もあるが誤解している、政策を知っていて関心もあり理解しているが、意見を表明したくない、政策を知っていて関心もあり理解していて意見を表明したいが、実際には意見を表明しない。そういった人々の総和をサイレントマジョリティーとし、各段階にサイレントマジョリティーが存在することを指摘しております。
このように、多くの市民の皆さんが意見や要望を表明しない理由はさまざまでありますが、行政としては、こうした層に対するアプローチを進め、市民のうちに秘めた思いを掘り起こし、政策に反映させていく努力が必要であると考えます。
こうした、いわゆるサイレントマジョリティーに対し、より広い市民参画を図る手法について、市としてどのようにお考えになりますでしょうか、お伺いいたします。
冒頭にも同様の趣旨で述べさせていただきましたが、行政だけで多様化・高度化する全てのニーズに応えることには限界があると言わざるを得ません。そうした問題を乗り越えていくためは、市民と行政が連携・協働しながら、ともに知恵を出し合い、住民主体の地域づくりを目指す必要があります。そのためには市民一人一人の思いに耳を傾けるとともに、自治会や各種団体など、多様な主体からの御意見や御要望も大変重要であると考えます。
2点目として、市内において、地域や多様な主体が抱える課題の克服に向けて、自治会や各種団体等から行政に対して日々、さまざまな要望が挙げられていると思います。内容については、ハード面、ソフト面と多岐にわたる要望があると考えますが、こうした多様な要望について、どのような手続で対応されておりますでしょうか、お伺いいたします。
3点目として、先月、会派の視察で大阪府池田市を訪問させていただきました。
池田市では、自分たちのまちは自分たちでつくろうをキーワードに、2007年より地域分権制度がスタートし、ことしで10年目を迎えました。
この地域分権制度は、共働き家庭の増加や核家族化の進行により、生活スタイルが昔と大きく変わってきたこと、また、住民ニーズが複雑化・多様化するとともに、地域において生じたさまざまな課題の解決に向けて、これまで行政の判断によって実施してきたサービス等を各地域の実情に応じて各地域で意見や知恵を出し合い、地域の提案によって実施していくほうが、より住民ニーズに的確に応えることができるという考えのもと、小学校区ごとに地域コミュニティ推進協議会を設立し、税金の一定額、現在のところ、個人住民税の1%を地域の問題解決など地域のために活用できるよう、同協議会に市に対する予算提案権を渡す制度です。
地域コミュニティ推進協議会は、地元をよくしたいと思っている住民や、その地域に在勤・在学している人であれば誰でも参加可能で、自治会やPTA、ボランティア団体や商工団体、民生委員や老人クラブの方など、さまざまな人が参加しております。
地域コミュニティ推進協議会には地域課題の解決法の一つとして、市から予算提案権が付与されています。提案額は地域ごとに人口や面積を考慮して上限が設定されていますが、その範囲の中で地域課題解消を図るための事業を提案することによって、翌年度に事業化することができます。市では協議会から提出された予算提案書について、法令・条例との整合性や公平性の確保、現行制度との整合性等の観点から審査し、必要に応じて協議会と調整を行いますが、内容に問題がなければ基本的に全ての提案事業を市の予算案に盛り込みます。さらに、単年度ではなく目的をもって中長期的な事業も実施できるよう、提案されなかった額を基金として積み立てることも可能となっています。
これまで、この制度を利用して行われた事業ですが、防犯カメラの設置や高齢者等への配食事業、絵本の図書館の開設や大学生と小学生の交流事業の実施など、地域によって多種多彩であります。
地域分権制度は、究極の自治とも言われています。ここまで思い切った施策を実施することは難しいとしても、地域の皆さんの知恵をおかりし、実際に地域のニーズに合った事業を実施していただく地域分権制度のような、ダイレクトに市民の皆さんの思いや願いが反映される仕組みについて検討することが地域課題の克服につながるとともに、えべつ未来づくりビジョンにも掲げられている協働のまちづくりを大きく進めていく力にもなると考えますがいかがでしょうか、お伺いいたします。
次に、災害に強いまちづくりについてお伺いいたします。
本年4月に熊本県と大分県で相次いで発生した、いわゆる熊本地震。短期間で震度7を観測する地震が2度発生するなど、今までに経験したことのないたび重なる余震が数多く発生し、甚大な被害がもたらされました。
東日本大震災の経験を踏まえ、江別市においても大規模災害における対策は進みつつあります。しかしながら、新たに熊本地震の状況を見たときに、私自身いま一度災害対策のあり方について再考する必要性を感じましたので、今回、何点か質問をさせていただきたいと思います。
災害によって家を失うなどの被害をこうむった被災者を収容・保護するための施設である避難所は、本来、避難生活を支えるための施設でありますが、実際のところ、衛生、栄養、プライバシー、育児、介護など、生活にかかわるさまざまな課題になかなか手が届かないことで発生する複合的な環境悪化が被災者を追い詰め、心身機能の低下や疾病の悪化などを招く場合があります。
国はこうした問題を踏まえ、平成25年6月に災害対策基本法を改正、避難所における生活環境の整備などについての配慮を規定しました。そして、市町村による避難所の環境対策が推進されるよう、同年、避難所における良好な生活環境の確保に向けた取組指針も策定されたところであります。さらに、市町村が指針の内容を具体的な業務として落とし込むことができるよう、平成28年4月、新たに避難所運営ガイドライン、福祉避難所の確保・運営ガイドライン、避難所におけるトイレの確保・管理ガイドラインが作成されました。
1点目として、地域の特性や実情を踏まえつつ、発災時に、避難所における良好な生活環境が確保されるよう、平時より取り組み指針及び各ガイドラインの活用が求められておりますが、これらを受けて江別市ではどのような対応をされておりますでしょうか、お伺いいたします。
2点目として、熊本地震では大きな余震が続き、屋内が怖い等といった理由で、車で寝泊まりする被災者が相次ぎました。いわゆる車中泊避難者であります。
長時間の車内避難生活はエコノミークラス症候群の原因となり、死に至るケースもあります。車中泊が原因と見られる震災関連死は平成16年の新潟県中越地震などで注目され、熊本地震でも犠牲者が出て大きな問題となりました。
北海道の場合、特に冬期間については、車による避難を選択する方がふえることが予想されます。また、先ほど申し上げましたように、大きな余震が続き、屋内にいることに恐怖を感じる場合、さらにはプライバシーの確保や子育て、ペット同伴などの理由で車中泊を選ぶ人は少なくないと考えます。
基本的に、指定避難所の整備を最優先とすることはもちろんでありますが、今後、車中泊避難者が増加する可能性がある以上、何らかの対策を講ずる必要があります。例えば、エコノミークラス症候群を防ぐ効果のある弾性ストッキングを備蓄すること、指定避難所の駐車可能台数をリスト化しておくこと、避難所以外で車中泊する被災者を把握するため、市内大型駐車場の場所を事前に把握しておくことなどが挙げられると思います。
中越地震を経験した新潟県長岡市や、東日本大震災を経験した福島県いわき市では、防災計画に車中泊対策が盛り込まれています。今後、江別市においても車中泊避難者への対応を検討し、地域防災計画等に反映させる必要があると考えますがいかがでしょうか、御見解をお伺いいたします。
3点目として、被災者支援システムの導入についてお伺いいたします。
被災者支援システムは、阪神・淡路大震災で壊滅的な打撃を受けた兵庫県西宮市が開発したもので、被災者の生活再建に向けて必要となる膨大な行政事務を効率的に行うため、市職員が試行錯誤を繰り返して震災から10日ほどで構築し、約1カ月後から稼働。実践の中で活用され、被災者支援や復旧・復興業務に大きな効果を発揮しました。
このシステムは平成18年から無料公開され、平成21年に総務省がCD-ROMとして全国の自治体へ配布。現在は、地方公共団体情報システム機構の被災者支援システム全国サポートセンターが普及業務を担っております。
このシステムの最大の特徴は、家屋被害ではなく被災者を中心に据えている点です。住民基本台帳のデータをベースに被災者台帳を作成し、これをもとに罹災証明書の発行、支援金や義援金の交付、救援物資の管理、仮設住宅の入退去など、被災者支援に必要な情報を一元的に管理します。これによって被災者支援業務の効率化はもとより、被災者支援業務の正確性及び公平性を図ることができます。
この被災者支援システムの導入について、平成23年第2回定例会において宮川議員から、そして同年第3回定例会においては角田議員から別の角度において、それぞれ提案がありました。そして、そのときには、有事に備えて導入に向けた検討を進める、積極的に導入を進めるとの答弁がありました。今日まで5年の時が流れたわけでありますが、この間、庁内においてシステムの導入に向けてどのような検討がなされてきたのでしょうか、お伺いいたします。
以上で、1回目の質問を終わらせていただきます。

議長(三角芳明君)

徳田議員の一般質問に対する答弁を求めます。

市長(三好 昇君)

徳田議員の一般質問にお答え申し上げます。
まず、多様な市民ニーズの把握と政策反映に関連しまして、サイレントマジョリティーに対し、市民参画を図るための手法についてでございますが、市の政策を知らない、政策は知っているが関心がない、あるいは、政策は理解し、関心があっても意見を表明しないといった方々につきましては、一般的にサイレントマジョリティーと総称されております。
市では、これまで第6次江別市総合計画えべつ未来づくりビジョンを策定する際に、幅広く市民の皆様から御意見をいただくため、まちづくり市民アンケートで無作為抽出された市民5,000人に対しまして、えべつ未来市民会議の設置について御紹介し、会議における市民委員を希望される方を募ったところ、抽せんにより38名が委員に就任され、まちづくりについてさまざまな論議をいただいたところであります。
また、審議会等においても、市民公募委員を決める際には、抽せんによるなど、より多くの市民の皆様に参加いただけるよう進めているところであります。
今後も、市政に関心を持っていただけるよう、無作為抽出によるアンケートを実施するなど、多くの市民の皆様から、直接まちづくりについての御意見をお聞きしてまいりたいと考えております。
また、市政を知らない方には知ってもらう、関心がない方には関心を持ってもらうよう、広報やホームページなどの媒体を通じまして、積極的に市政情報を公開し、公開する情報につきましては、よりわかりやすい内容とするなど、これまでの取り組みの充実を図りまして、より多くの市民の皆様に市政に関心を持っていただけるよう、引き続き努力してまいりたいと考えております。
次に、災害に強いまちづくりに関連しまして、避難所運営ガイドライン等の活用についてでありますが、国は東日本大震災を踏まえ、平成25年に避難所における良好な生活環境の確保に向けた取組指針を策定しております。
この指針に基づき、本年4月には、自治体向けに災害時において実施すべき業務をチェックリスト形式で取りまとめた避難所運営ガイドラインなど、三つのガイドラインを作成し、北海道におきましては、この国の動きを受けまして、本年7月に北海道版避難所マニュアルを作成しております。
市といたしましては、災害時における避難所の運営は重要なものと認識しておりまして、平成16年に発生しました新潟県中越地震を契機に避難所運営訓練の取り組みを始めまして、とりわけ、平成23年に発生した東日本大震災以降は、市内全地域でそれぞれの地域の特性に応じた自主防災組織や自治会による宿泊を含めた避難所運営訓練の取り組みを進めてきたところであります。
これら避難所運営訓練を踏まえまして、先ほど申し上げました国のガイドラインや北海道のマニュアルと連動しながら、今年度をめどに、避難所での要配慮者への対応やトイレ・ごみの収集など衛生管理に関すること、さらには支援物資の取り扱いなどを含む、市の実情に合わせた避難所運営マニュアルを作成してまいりたいと考えております。
私からの答弁は以上でございますが、このほかの質問につきましては、総務部長ほかをもってお答え申し上げます。

総務部長(齊藤俊彦君)

私から、災害に強いまちづくりについての御質問のうち、2点について御答弁申し上げます。
まず、車中泊避難者対策についてでありますが、車中泊避難は、平成16年の新潟県中越地震の際に、自動車内で寝泊まりをした避難者が、いわゆるエコノミークラス症候群を発症したことで注目を浴びたところであります。
本年4月に発生した熊本地震においても、地震への恐怖のために屋内へ入れない、あるいは、プライバシーを保つことができるといった理由から、自動車内で避難生活を送っていた避難者が多数おり、今後の災害時において増加する可能性がありますことから、そうした車中泊避難者の実態把握をしていく必要があるものと認識しております。
市では、指定避難所への避難が基本と考えておりますが、車を利用した避難者が公園の駐車場など、指定避難所から遠く離れた場所で車中泊している場合には、情報の伝達や避難者の把握、支援物資の配布などさまざまな課題があるものと考えております。
本年7月に国の熊本地震に係る初動対応検証チームが公表したレポートでは、今後、車中泊等、避難形態に応じて必要となる対策を速やかに避難所運営ガイドラインに明示するとしております。
市といたしましては、このガイドライン等を参考に、車中泊避難者への対応について、各種マニュアル等へ反映させてまいりたいと考えております。
次に、被災者支援システムの導入についてでありますが、被災者支援システムは、平成7年に発生した阪神・淡路大震災の際に、罹災証明書の発行や被災者台帳の管理など、被災者の支援に係る業務を一体的に行うことを目的として、兵庫県西宮市が構築したシステムであります。
西宮市におけるこれまでの活用状況といたしましては、平成16年度に発生した台風、さらには平成25年度の豪雨災害の際などに活用したとのことであります。
本市におきましては、平成25年度に基幹系システムを再構築した際に、基幹系システムを有効活用した住民サービスの向上を図るため、被災者の支援に係るシステムのうち、優先的に取り組むべきものとして、平成26年度に、平常時から自治会や民生委員の協力を必要とする避難行動要支援者避難支援制度に係るシステムを導入いたしました。
また、平成27年度には、防災情報を配信するシステムとして電子メールやファクス、電話などさまざまな媒体により避難所や気象・地震などの情報を提供するサービスを開始いたしました。
いずれにいたしましても、熊本地震の例を踏まえますと、迅速な罹災証明書の発行などに努めることは重要であると考えておりますことから、これらに対応できるよう準備を進めてまいりたいと考えております。
以上でございます。

企画政策部長(北川裕治君)

私からは、多様な市民ニーズの把握と政策反映についてのうち、各種団体等からの要望に対する検討過程について御答弁申し上げます。
各種団体等からの要望に対する手続についてでありますが、市では企画政策部広報広聴課を窓口として一本化し、対応しているところでございます。
平成27年度の陳情、要望、市民の声は418件あり、その内容は、公共施設の利用や市民生活に関することなど多岐にわたっております。
このうち自治会等からの陳情・要望につきましては、理事者に報告した上で、広報広聴課が各部に通知するとともに、各担当では、年次計画や整備基準などに基づき判断し、理事者との協議により文書にて回答しているところであります。
以上でございます。

生活環境部長(高橋孝也君)

私からは、多様な市民ニーズの把握と政策反映についてのうち、市民の思いがダイレクトに政策へと反映される仕組みづくりについて御答弁申し上げます。
市ではこれまで、まちづくり市民アンケートや市長との対話集会、庁舎に設置されている投書箱、各種団体からの陳情、広報への電子メールなどを通じて、まちづくりに関する市民の思いや要望を直接お聞きしているところでございます。
例えば、学校の建てかえや公園整備を行う際には、地域の皆様の要望などをお聞きした上で事業を実施しており、また、市のさまざまな施策を担当職員が直接出向き、紹介する出前講座事業や自治会の担い手を育成する事業は、多くの市民の皆様からの要望をいただいたことを受けて開始したところであります。
また、昨年10月に施行された江別市市民参加条例により、附属機関等、パブリックコメント、市民説明会、ワークショップといった手法を用いて、市の基本的な計画の策定や変更、基本的な方針を定める条例の制定や改廃などを行おうとする際に、市民の皆様の意見や要望をお聞きするルールを定めたところでございます。
市民ニーズを政策に反映させる手法につきましては、それぞれの自治体における特性や課題も異なることから、十分な検討、検証が必要でありますが、いずれにいたしましても、より多くの市民の皆様の意見、要望をお聞きし、政策に反映させることは重要なことと考えておりますことから、引き続き、調査・研究してまいりたいと考えております。
以上でございます。

徳田 哲君

御答弁ありがとうございました。一問一答方式でありますので、順次進めさせていただきたいと思います。
初めに、多様な市民ニーズの把握と政策反映についての1項目め、サイレントマジョリティーに対し、市民参画を図るための手法についてでありますが、再質問させていただきたいと思います。
先ほども述べさせていただきましたが、サイレントマジョリティーと言われる多くの皆さんが意見や要望を表明しない理由は人それぞれであります。しかし、そうした皆さんの心に秘めたニーズに応えることができれば、従来の自治体に対して積極的に意見を発信できる方々だけではない幅広いニーズを取り入れることができ、市民のために行政がすべきことについてもより的確に把握することができると考えます。
市民が意見や要望を表明しない理由について、三菱総合研究所が消費者の意向や行動を捉えるマーケティングの考え方をもとに考察し、AICDAモデルとして階層化をしております。このAICDAというのは、それぞれ認知、関心、理解、欲求、行動を指します。市民がある政策について意見を表明するまでの過程を、一つの政策を知ること、認知、それに関心を持つこと、関心、その内容を理解すること、これは理解に当たり、自分の意思を表明したいと思うこと、これは欲求、さらに実際に政策について意見を表明すること、これは具体的なので行動になりますが、こうした五つのものに階層化したものであります。
AICDAモデルというところから見ていきますと、サイレントマジョリティーである市民が、それぞれどの階層に位置するのかということを把握することができれば、市民参加の障壁になっている要因が何かを捉えることができます。例えば、政策について認知や関心が足りないというのであれば、情報提供に力を入れる、欲求や行動が足りないのであれば、先ほど、御答弁にもありましたが、えべつ未来市民会議のような抽せんによって選ばれた市民委員による会議を設置するといったように、サイレントマジョリティーに対する現状分析をしっかりと行った上でアプローチをしていけば、市民参加はさらに進んでいくと考えますが、その点についていかがお考えでしょうか、お伺いいたします。

市長(三好 昇君)

再質問にお答え申し上げます。
サイレントマジョリティーに対しまして、市民参画を図るための手法についてということでございますが、先ほどもお答え申し上げましたが、市は、これまでも総合計画策定時における市民委員の募集やアンケートを実施する際の対象を無作為抽出するなどにより、より多くの市民の皆様から幅広くまちづくりについて御意見をいただくように配慮し、取り組んできたところでございます。
また、今年度の自治基本条例の検討作業におきまして、アンケートを実施しておりますが、無作為抽出した市民5,000人を対象に、多くの方に市民参加してもらうには何が必要かといった設問を設けて御意見を伺っているところであります。
今後におきましても、これまでの取り組みの充実を図りますとともに、まちづくりに関するさまざまなアンケートを実施する際には、それぞれの手法について工夫しまして、より多くの市民の皆様から御意見をいただけるよう検討し、実施してまいりたいと考えております。
以上でございます。

徳田 哲君

ありがとうございます。
まさに、今の御答弁にありました、多くの市民の方に市民参加してもらうには何が必要かという意識を市として常に持ち続けていくこと。そしてまた、そのためにどんな手法が効果的なのかということを常に考えていくことがそれぞれ大切なのだろうと私も思います。
このサイレントマジョリティー問題を少しでも解消していくために、全国の自治体ではさまざまな試みがなされているところであります。幅広い市民意識の把握ということで、ドイツのプラーヌンクスツェレという市民参加の手法を参考にしまして、完全な無作為抽出による市民参加型の会議を実施している自治体もあります。しかし、これはこれでまだまだ課題がある取り組みでもあります。
全く視点を変えまして、シティズンシップ教育というところで、子供のときから地域づくりに参加していくような意識を醸成することも、一つの方法になるのかもしれないといふうに私も考えています。
いずれにしましても、さまざまな角度、またアプローチを重ねることで声なき声を拾い上げていく、そして幅広い市民参画を図っていくような努力を今後とも続けていただきたいと思います。
こちらについては以上で終わりたいと思います。
続いて、2項目め、各種団体等からの要望に対する検討過程についてでありますが、こちらは要望とさせていただきたいと思います。
昨年度の陳情、要望、市民の声が418件と、非常に数多くの、また多岐にわたる内容について、企画政策部広報広聴課が対応されているということで、非常に御苦労も多いと思います。窓口が一本化されているということは、市民の側からすれば広報広聴課がある意味で市の顔になると思いますので、その責任は非常に重いと考えます。要望をお受けするときはもちろんなのですけれども、その結果について回答するときについても、受け手の側に立った丁寧な対応をぜひお願いしたいと思います。
また、自治会等からの陳情・要望については、先ほど、御答弁にありました、理事者に報告した上で、各担当において判断がなされ、最終的に理事者との協議によって回答されているということでありました。自治会、また各種団体等から寄せられる要望というのは、裏を返せば今の江別市に足りないところでもあると考えることもできると思いますので、地域課題の克服に向けて、多様な主体の声にしっかりと向き合うとともに、一つでも多くの思いを形にする工夫と努力を、今後とも引き続きお願いしたいと思います。
続いて、3項目め、市民の思いがダイレクトに政策へと反映される仕組みづくりについて、こちらも要望をさせていただきたいと思います。
江別市では、先ほど、御答弁にもありましたけれども、公園整備について地域の皆様と一緒になってつくっていく取り組みが進んでいますけれども、これは本当にすばらしいことだと私も思っています。
市民のニーズを政策に反映させる手法についてはさまざまなものが考えられますので、引き続き、調査・研究を重ねていただいて、市民の皆さんの願いや思いがしっかりと反映されるような江別らしい仕組みづくりについて、どうか御検討いただきたいと思います。こちらは要望であります。
続きまして、災害に強いまちづくりについての1項目めです。
避難所運営ガイドライン等の活用について、こちらは再質問とさせていただきます。
熊本地震はもとより道内各地に大きな被害をもたらしましたさきの台風による被害の発生によりまして、現在、避難所の質の向上がより具体的に問われています。避難所を避難生活を支えるための施設と捉えたとき、避難者がどれだけ人間らしい生活や自分らしい生活を送ることができるのかとの視点に立ち、運営体制や環境、支援のあり方について考える必要があります。
避難者は多種多様であります。介護が必要な高齢者、一人一人状態の違う障がい者、妊産婦や乳幼児、外国人もいると思います。また、男女の違いによって直面する困難と必要な配慮・支援は異なりますし、これからは性的マイノリティーへの配慮も考えていかなければなりません。
また、避難所の運営体制について東日本大震災では、行政職員、施設の責任者、地域のリーダーなど、避難所運営を取り仕切る人たちの大半が男性であったために女性の意見が反映されにくく、結果として高齢者や乳幼児、そして女性たちに必要な環境改善や物資などの支援が不十分となってしまったことが改めて問題となりました。
このような課題に対応するためにも、御答弁にもありました、今年度中に行われる江別市避難所運営マニュアルの作成過程においては、これまで重ねてきた避難所運営訓練や国のガイドライン、北海道版避難所マニュアルを踏まえながら、さきに述べた配慮が必要な当事者に対する視点を積極的に盛り込んでいく必要があると考えます。この点について、市としての御見解をお聞かせ下さい。

市長(三好 昇君)

再質問にお答え申し上げます。
避難所運営マニュアルの策定過程におきまして、配慮が必要な当事者に対する視点を積極的に盛り込んでいく必要があるのではないかということでございますが、避難所につきましては、福祉スペースや更衣室の確保、ダンボール等を使った間仕切り、これはそれぞれの個人を尊重する上での配慮ということになりますが、さらには要配慮者への適切な対応が必要であると認識しております。
市といたしましては、そうした要配慮者への視点を含めまして、先ほど申し上げました国のガイドラインや北海道のマニュアルと連動して、市の実情に合った避難所運営マニュアルをぜひ作成してまいりたいと考えております。
以上でございます。

徳田 哲君

今、御答弁にもありましたけれども、福祉避難スペースですとか更衣室の確保、また、ダンボールを利用した間仕切りの設置などは、今や特別な配慮ではなく、あってしかるべきとなりつつあるのが現状だと私も思っています。
例えばですけれども、平時から避難所の運営や支援にNPOやボランティアの参加を奨励して、女性の参画とリーダーシップの発揮を促していくことですとか、また、避難所に障がい者や、近年、江別市にも増加しております外国人向けの案内表示を設置する、高齢者・障がい者用トイレの動線について安全性を確保する、または性別の配慮について意見が反映できるような環境をつくることなど、これらは、さきに挙げました国による避難所運営ガイドラインにも盛り込まれておりますけれども、考えていけばさまざまなものが出てくると思います。
何より重要な視点というのは、本当に困っている災害弱者ほど孤立しがちで、声を上げにくいということであります。今後、庁内のみならず、地域住民や専門職、ボランティア団体の方、さらには配慮が必要とされる当事者など、幅広い意見を聞きながら、より実践的な避難所運営マニュアルの作成に努めていただきたいと思います。こちらは要望で終わらせていただきます。
続いて、2項目めでありますが、車中泊避難者対策について、こちらも再質問をさせていただきます。
御答弁の中にもありますとおり、車を利用した避難者が公園の駐車場などの指定避難所から遠く離れた場所で車中泊している場合、情報の伝達や避難者の把握、支援物資の配布などにさまざまな課題があります。熊本地震においても、指定避難所に行かず車を利用して避難された方が、物資、食糧、情報などさまざまな支援が不十分、もしくは、ほとんど届かない、車中泊避難者が実質蚊帳の外に置かれてしまうというケースが多く見られたとのことであります。
物資や食糧、安全や衛生、情報の不足などが改善されないことで心身の体調を崩し、関連死に至るケースもあります。江別市において、今後の災害時に車中泊避難者が増加する可能性を認識されているのであれば、一日も早く、その対策を講じていかなければなりません。
マニュアルの作成や車中泊避難者を想定した物資の備蓄については、国から示されるガイドラインを待つとしましても、指定避難所における駐車可能台数のリスト化ですとか、また、市内において車による避難が想定される大型駐車場の把握など、対応できることについては速やかに手をつけていく必要があると考えますがいかがでしょうか、その点についてお伺いいたします。

総務部長(齊藤俊彦君)

徳田議員の再質問に御答弁申し上げます。
車中泊避難者対策について、指定避難所における駐車可能台数のリスト化など、対応できることについて速やかに手をつけていく必要があるのではないかとのお尋ねでございますが、先ほども御答弁申し上げましたとおり、熊本地震においても地震への恐怖のために屋内へ入れない、あるいは、プライバシーを保つことができるといった理由から自動車内で避難生活を送られていた避難者が多数おり、今後の災害時において増加する可能性があります。
市といたしましては、国のガイドライン等を参考に、車中泊避難者への対応について各種マニュアルへ反映させていくとともに、議員から御指摘のありました車中泊避難を意識した指定避難所の駐車可能台数の把握にも努めてまいりたいと考えております。
以上でございます。

徳田 哲君

まずは、指定避難所の駐車可能台数の把握から始めていただけるということで、ぜひよろしくお願いしたいと思います。
災害時においては、指定避難所の中に避難するというのが前提でありますので、決して車による避難を推奨するわけではございません。しかしながら、熊本地震における実例があったこともあり、さまざまな事情によってこうした選択をされる方が増加する可能性がある以上、やはり行政としてはそういったことを想定した対策を講じていかなければならないと思います。
災害はいつ起きるかわからないわけでありますので、できる範囲で、また、できることから少しずつでも対策を進めていただきたいと思います。こちらは要望で終わらせていただきます。
最後に、3項目めでありますけれども、被災者支援システムの導入について、こちらも再質問をさせていただきます。
被災者支援システムは生活再建に必要な手続を迅速・効率的に行うものであり、被災者のさまざまな情報を一元管理することで、各端末で名前を入力すれば被災者関連情報を瞬時に探し出すことができるため、その都度、各種台帳を照合する必要がなくなります。このため、確認や照合の時間が短縮され、罹災証明書の発行や義援金の支給などを迅速に行うことができます。
例えば、避難者が義援金などを受け取るために必要となる罹災証明書の発行には、住民基本台帳、家屋台帳、被災状況という三つのデータベースを確認・照合する必要がありますが、現在の仕組みでは、これらは別々に存在するため発行に大変な時間を要すると考えます。被災者支援システムでは、これらのデータを一括して管理するため、その都度、確認・照合する手間が省けてスムーズな発行が可能となります。
大災害が発生したときは全職員が災害対策本部の構成員となり、それぞれ定められた職務を担当します。自治体の職員は、たとえ自分自身が被災したり家族が犠牲になったとしても、通常の行政事務のほかに救助活動、また、罹災証明書の発行や避難所の運営など、非常に過酷な勤務が求められることになりますが、そうしたことによる身体的、精神的な負担は相当なものであり、被災者支援システムの導入によって少しでも職員の事務負担を軽減することができれば職員の過労死など二次災害を防ぐことができるとともに、人の手でしかできない被災者支援、これに一人でも多くの職員を割り当てることが可能となります。
また、行政事務のほとんどがシステム化されている現状において、情報システムなしに業務を行うことは現実的には非常に困難であり、災害時の業務についてのみであっても可能な限り情報をシステム化しておく必要があると考えます。
さらに、近年、大規模災害の経験がない江別市においては、災害発生時に何が必要で、どのような情報を誰から誰に伝えなければならないかというようなことを具体的にイメージすることはなかなか難しいわけでありますが、この点において被災者支援システムは、阪神・淡路大震災を初め東日本大震災など多くの激甚災害でそれぞれの自治体から出された要望を受けて改良が続けられているため、システムの内容を検証するだけでさまざまな経験から得られる貴重な知識に触れることができるものであります。
以上のように、被災者支援システムは、市民はもとより職員にとっても非常に有効なシステムであると考えることができます。
昨年の数字ではありますが、被災者支援システムを導入した自治体は全市町村の半分強に当たる940団体を超えたとのことです。また、南海トラフ巨大地震の被害想定が心配される地域は関心が高く、徳島県と岐阜県における導入率は100%となっています。
もともと、兵庫県西宮市の職員が阪神・淡路大震災の最中に開発したものであるため、必ずしもシステムエンジニアやIT能力の高い職員がいなければ運用できないものではありません。そして、導入に当たっては、被災者支援システム全国サポートセンターから講師を派遣していただくことも可能です。このシステムは公開用のシステム設計をされた当時から、なるべく経費がかからないことに配慮して設計されておりまして、ソフトウエアは無償のものが使用でき、仮に民間企業に導入支援を委託したとしても、20万円から50万円の経費で済むということであります。
先ほど、市として迅速な罹災証明書の発行などに努めることは重要であり、これらに対応できるよう準備を進めるというお考えをお聞きしました。そうであるならば、災害に強いまちづくり、災害が発生したときに一日も早い復旧・復興へ市民の皆さんがスムーズにその一歩を踏み出すことができる体制づくりのために、非常に有効であると考えられるこの被災者支援システムの導入に向けて具体的な検討に入るべきではないかと考えますがいかがでしょうか、お伺いいたします。

総務部長(齊藤俊彦君)

被災者支援システム導入に向けて具体的な検討に入るべきではないかとのお尋ねでございますが、先ほども御答弁申し上げましたとおり、迅速な罹災証明書の発行などに努めることは重要であると考えておりますことから、情報システム化の必要性も十分認識しておりますので、ぜひ被災者の支援につながる有効なシステムの導入に向けて準備を進めてまいりたいと考えております。
以上でございます。

徳田 哲君

ありがとうございます。
5年前の、有事に備えて導入に向けた検討を進めるというところから、準備を進めるというところまで来ましたので、いただいた御答弁を前向きなものと捉えていきたいというふうに私も思います。
いずれにしましても、今後、BCPの策定を進めていく中でも、こうしたシステムの必要性というのが議論になると考えますので、ぜひとも導入に向けて前向きな取り組みをお願い申し上げまして、私の一般質問を終わらせていただきます。

議長(三角芳明君)

以上をもって、徳田議員の一般質問を終結いたします。
一般質問を続行いたします。
堀直人議員の江別市におけるマーケティング戦略についてほか1件についての質問を許します。総括質問総括答弁方式、通告時間30分。

堀 直人君

ただいま議長より発言の許可をいただきましたので、通告に従い質問させていただきます。
今回の質問では、江別市におけるマーケティング戦略について、江別市の観光行政について、この2件についてお聞きしたいと思います。
それでは1件目、江別市におけるマーケティング戦略についての質問に入らせていただきたいと思います。
値決めがマーケティングである、私はそのように考えております。よって、市場から判断して価格設定をするというよりは、規則やバランスを根拠に価格設定をする傾向にある、あるいは競争と採算性が本分ではない行政にはマーケティングはなじまないという整理も一定は理解しているものであります。しかし、一方で、人口の減少、生産の縮小、こうした時代の局面にあって、ただ物をつくれば売れる時代の終えんが訪れたように、行政においても適切な事務を行うだけで選んでもらえる時代は終わりました。
なぜ、値決めこそマーケティングであるかといえば、価格設定の過程において、我々は市場においてどれだけの価値があるのかという調査、我々は市場に向けてどういう価値を顕現させることで選ばれるのかという分析、我々が市場を凌駕するための、そのビジネスモデルを支援する価値と価格の差はどのくらいなのかという戦略など、いやが応にも考えざるを得なくなるからです。値決めは、その発露にすぎません。
人口減少時代は、地域間競争時代です。とりわけ、市外に向けてアプローチする部門においては、誰に、つまりターゲット、何を、つまり売りや資源、どうやって、つまり手段、これは今回質問いたしますシティプロモートや観光が果たすところが大きいです。そして幾らという価値づけやインセンティブ設計をパッケージで立案しなければなりません。
2014年から開始しているシティプロモートに関しても、その前提となる包括的かつ体系的なマーケティング戦略が不在では、効果的かつ長期的な展望に基づいたシティプロモート、それによって構築されるイメージづくりを推進することが困難であるのは論をまちません。シティプロモート事業も一定程度検証可能な取り組みを経ているため、そこから得られる研究に基づいて、マーケティング戦略の策定に向けた事業に取り組みを発展させる機も熟しつつあるように感じられます。そうしたことから、この件につきましては、5項目について質問させていただきたいと思います。
項目1、シティプロモートのターゲット設定に応じた展開についてです。
平成27年第2回定例会の一般質問では、市政運営における最大の課題を少子高齢・人口減少への対応とし、中でも、子育て世代の転入超過という人口動態の特徴から、子育て支援、教育環境の充実を図り、選ばれるまちづくりを進めてきていることから、シティプロモートの推進においても子育て世代をターゲットとしているという趣旨の御答弁をいただきました。このような方針を表明された後、今までどのような事業を実施されたのか、また、今後どのような事業を実施していくのか、ターゲット設定に応じた江別市のシティプロモートの展開についてお答えいただきたいと思います。
項目2、シティプロモートの現況と今後についてです。
2014年6月6日に、江別シティプロモート推進協議会が発足した後、市と協議会が中心となり、シティプロモートを推進してきたことであろうと思います。3年目という節目を迎え、今までの取り組みの評価、また、現在の状況、そして今後の展開についてお答えいただきたいと思います。
項目3、地域ブランド構築の現況と今後についてです。
江別市の地域ブランド構築についての取り組みとして、平成27年第2回定例会の答弁では、江別シティプロモート推進協議会を立ち上げ、市民や企業と行政が一体となったプロモーション活動について、農畜産物などの個別ブランドの確立について、民間放送局への職員の研修派遣についてを挙げられていますが、こうした取り組みの結果、現状ではどのようなブランド構築がなされ、今後どのように江別市の地域ブランド構築を進めていくおつもりなのか、そのお考えをお聞かせいただきたいと思います。
項目4、地域ブランド構築におけるクリエーターの活用についてです。
近年、地域ブランドの重要性が広く語られておりますが、別冊ディスカバージャパン地域ブランドクリエイターズファイルでは、よそ者、若者、ばか者に加えて本物の必要性を説き、クリエーター、すなわちデザイナー、ライター、カメラマン、イラストレーターなどの活用を重要視しています。平成27年第2回定例会のテーマカラーやキャッチコピー等を活用した江別市の良質なイメージ喚起のための施策についてという項目の質問に対しては、江別シティプロモート推進協議会における議論などを踏まえ、江別市にふさわしい手法を検討してまいりたいとの御答弁でしたが、その後、どのような手法がふさわしいとされたのか。そして、今後、先述のとおり中途半端なものではなく、本物をつくり出せるクリエーターの活用が必要と考えるものですが、どのようにお考えかお答えいただきたいと思います。
項目5、マーケティング担当部署の設置についてです。
シティプロモーション地域の魅力を創るしごとの著者である東海大学文学部広報メディア学科教授の河井孝仁氏は、シティプロモーションの現状と今後への期待と題した2009年の日本広報学会研究発表の中で、シティプロモーションの成功要素として、1、地域経営の視点、2、戦略の必要性、3、誘発力を基礎とした編集、4、マーケティングの発想、5、推進体制の確立の五つを挙げています。シティプロモートはただやみくもに情報発信すればいいわけではなく、経営の視点と戦略、そしてマーケティングなくしてシティプロモートも地域ブランド構築も確立し得ないのです。さらに、時代の環境変化から、シティプロモートに限らず行政のあらゆるところにマーケティング発想、つまり、必要な人に、必要なものを、必要なだけ届ける仕組みの構築が迫られています。
また、マーケティング分野でよく言われるところの、何をつくるか、あるいはつくってしまったものをどう売るのかというプロダクトアウトと呼ばれるものに対して、何が必要とされているのかという相手目線の商品開発をマーケットインと言います。相手目線、つまり行政目線ではなく市民目線という意味でマーケティング思考により政策立案をすれば、政策立案者が仮に利用者だとしたときにも必要と感じられることを実施すれば、市民福祉の向上という行政の恒常的な全体への奉仕の遂行にも役立つものです。
このように、地域経営の視点から包括的かつ体系的なマーケティング戦略が行政運営に対しても要請されており、江別市においてもマーケティング担当部署が不可欠ではないでしょうか。もちろん民間企業などで行われているマーケティングの考え方がそのまま行政に当てはまるものではないですが、江別市のように大都市近郊という条件を持つ千葉県流山市ではマーケティング課を設置し、長寿社会を支えるデュークスと呼ばれる共働きの子育て夫婦にターゲットを絞ったマーケティングに基づくプロモーションを実施することで、平成17年と平成23年では人口が1万2,000人増加、最大のボリュームゾーンも60歳から64歳が、35歳から39歳にシフトするなど着実に成果を挙げております。前述のように、地域間競争時代という環境変化に伴い、自治体の生存戦略を明確にすることが急務とされておりますが、その戦略策定を支援するマーケティング担当部署の必要性についてお答えいただきたいと思います。
以上が、件名1、江別市におけるマーケティング戦略についての質問でした。
続きまして、件名2、江別市の観光行政についての質問に入らせていただきたいと思います。
観光が市民福祉を向上させるのか。観光地ではない江別市においては、なおのこと、そうした根幹から考察していく必要があります。そもそも江別市に観光が必要なのか。他のまちがやっているから、国が推進しているからではなく、江別市が観光に取り組む必然性がなければ施策に強度が足りないと言えます。観光で歳入をふやし、市民に還元していく、その視点が観光行政には欠かせません。その点は、今後の観光振興計画の策定に伴い、明確かつ具体的に江別市の観光行政が方向づけられるものと理解しております。江別市の観光行政は観光地のような旅行産業の振興とはならないでしょうし、物産は大事ではありますが、小さなまちのように名産・特産品のセールスだけでは江別市の根本的な地域経営の安定が図られるものではなく、その先の波及効果が重要となるでしょう。今までにない観光振興を江別市はやらなければなりません。観光で人口減少対策を行う、観光で転入超過を目指す、これが江別市の優位性など地域特性を踏まえた観光戦略ではないでしょうか。
一般的な観光政策の歴史は、観光産業の振興、観光と物産の融合、観光の集客機能を生かした産業振興や地域経済活性化とたどっておりますが、その先にある、観光産業集積地として発展してきたまちではない地域でも使える、江別モデルとも言うべき観光施策を、全く新しい発想で創造していくことが江別市の持続可能なまちづくりにつながると私は考えております。そうした観点から、この件につきましては、6項目について質問させていただきたいと思います。
項目1、交流人口を定住人口につなげるための戦略についてです。
観光にいらした方々は居住見込み顧客の方々です。単に旅行顧客と捉えるのではなく、次のステップになる顧客であるという認識が重要です。転入促進施策を打つ上でも、既に接点があり、江別市の何かに何らかの関心を持っているわけですから、アプローチの時間的・資金的コストも抑えられるターゲットであり、とりわけ住宅地が広がる江別市においては観光の集客力を生かした転入促進、つまり交流人口を定住人口につなげるための戦略が必要であると言えます。そのため、江別市における観光マーケティングは、新規旅行者の方々に物産を購入してもらい、その物産を低額消費から高額消費に移行するよう付加価値を高め、リピーターになっていただくことから市内への回遊を誘導し、ファンになっていただくことにより地域の人、物、事との関係構築を促進し、最終的には不動産を購入してもらい、定住していただくというゴールが江別市の経営を考える上で観光施策のロードマップになると考えるものですが、観光振興を進める上で転入促進に結びつけることをどのように考えるかお答えいただきたいと思います。
項目2、観光案内所の機能拡張についてです。
平成27年第4回定例会の一般質問で、観光案内所を最大限まちづくりに生かすには、1、業務機能の拡張、2、案内範囲の拡張をすることが必要とお話しさせていただき、観光に関する情報が主なものとなるが、市民や観光客等の要望などに合わせて段階的に業務の拡大について検討してまいりたいという趣旨の御答弁をいただきました。市民や観光客等の要望とお答えいただきましたが、そうではなく、観光案内所の業務拡大は地域経営を考えた上で潜在ニーズを掘り起こし、政策的に仕掛けていくものではないでしょうか。最初は民間のプラットフォームを活用することになると思いますが、いずれは独自に市内のグリーンツーリズムなどを手配する窓口として機能すること、転入には住居と仕事がポイントになり、特に大都市至近の江別市においては住居が重要であることから不動産や住環境情報を提供すること、これらを仕掛けていくことが観光案内所を最大限に生かすものと考えますが、観光案内所の業務拡大についてお答えいただきたいと思います。
項目3、アンテナショプにおける観光と物産の役割分担による相乗効果の創出についてです。
江別アンテナショップGET’Sの利用状況が平成28年4月の1カ月において、観光案内が34件に対し、物産販売が8,467件であるということが5月12日の経済建設常任委員会で明らかになりました。観光と物産には全く異なるノウハウが必要であり、現在のところ、観光と物産が一緒くたに運営されていることが改善すべき点と考えられます。
観光案内機能を付加したことにより、江別アンテナショップGET’S管理運営事業という委託が始まったにもかかわらず、観光案内対物産販売が34対8,467というのは機能不全の状態です。こうなった以上、江別アンテナショップGET’Sは、観光は観光のプロフェッショナルに、物産は物産のプロフェッショナルに分割して運営する枠組みを再編し、幅広い担い手の参画の門戸を開き活力を募るなど、運営手法を見直す必要性が高まっていると思われますが、お考えをお答えいただきたいと思います。
項目4、観光の評価指標についてです。
施策を展開するに当たり、その評価をどのように行っていくのか。戦略を確固たるものにするためには、そうした評価指標も重要な要素です。観光における稼げる地域づくりという観点では観光入り込み客数、つまり集客数は目的ではなく、目的に至るまでの補助的指標です。よって、観光入り込み客数にとどまらない、入り込みのその先にある、観光によりもたらされた集客を、観光の地域価値向上機能を生かして産業振興や転入促進につなげた成果、さらにはその成果から顕現する観光による税収の高まりを評価指標とすべきです。そうしたとき、市内総生産額がいいのか、それとも市民所得がいいのか、はたまた特産品事業化件数がいいのか、はたまた地価上昇率がいいのか、既に蓄積されたさまざまなデータから評価可能です。
さらには、観光の評価手法として、例えばトラベルコスト法というものがあります。アンケート調査によるものとすれば、観光入り込み客数のような根拠の曖昧な指数にはなりませんし、出発地、訪問回数、訪問人数、旅行費用をもとに評価するため、数だけではなく質をはかることも可能であり、旅行者の江別への愛着というものも観察できることから、産業振興や転入促進につなげるに当たっても生きた指標として活用できる蓋然性が高いです。
このように、観光入り込み客数以外に観光を評価する手立てはあるものと考えられますし、観光入り込み客数以外に観光を評価することが必須と考えるものですが、いかに観光施策の成果をはかっていくのか、そのお考えをお答えいただきたいと思います。
項目5、観光による稼げる地域づくりを推進する実施主体についてです。
観光が市民生活の向上に役立つという市民理解を深めるという意味で、観光振興計画策定のプロセスが観光に対する市民の参画感醸成につながるのであれば、計画策定に対して3年を費やすことは丁寧であると感じているところです。また、経済建設常任委員会での質疑から、運営体制についても平成30年度をもって検討を開始するのではなく、計画と同時進行で検討されていくものと把握しています。計画という何をやるかの検討だけでなく、実施主体という誰がやるのかという検討を同時に進めなければ、事業というどうやってやるのかの取り組みが明確にならず、実現の可能性が乏しくなってしまう恐れがあります。計画が絵に描いた餅にならないよう、どうやって計画に基づく事業を運営するのか、実施主体は重立って観光のどの部分やどの事業を担当するのかという役どころを明確にし、生きた計画づくりをしていただきたいと思います。その上で、江別においてはどのような運営主体の機能が最適かについて、お聞きしたいと思います。
この、観光による稼げる地域づくりを推進する実施主体。これから始まる観光振興計画策定事業も地方創生の交付金が活用されていますが、地方創生の流れの中では、デスティネーション・マネジメント・オーガニゼーションあるいはデスティネーション・マーケティング・オーガニゼーション、その頭文字をとってDMOと呼ばれています。デスティネーションというのは観光目的地という意味になりますが、江別は観光地ではありませんので、タウン・マネジメント・オーガニゼーション、いわゆるTMO的な、あるいはまちづくり会社的な要素を色濃く反映せざるを得ない地域特性にあると分析します。つまり、江別に適した観光による稼げる地域づくりを推進する実施主体は、観光誘客や商社機能と不動産情報発信や商店街活性化機能を組み合わせた、観光振興団体とまちづくり会社を兼ね備えたような、観光まちづくり会社というような実施主体が望ましいと考えるものです。観光庁のウエブサイトによりますと、DMO推進の皮切りとなる日本版DMO候補法人の登録を行っている地域DMOは平成28年8月31日現在で52件あり、江別市の観光振興の特殊性に合った観光分野だけではない、例えば、まちづくり会社などによる登録もあります。こうした先行事例に鑑みて、江別市の観光振興を推進する運営体制についてのお考えをお聞かせください。
項目6、市外に向けて稼ぐことを担当する部局の設置についてです。
平成27年第4回定例会の一般質問で、観光マーケティングに関しては、EBRIを訪れた方々からのデータ収集や分析、さらにはビッグデータの活用など、江別市におけるマーケティングに基づく観光振興の取り組みを推進すると、観光とシティプロモートの関連では、シティプロモートと観光は共通する部分が多く、幅広く連携していくことが重要であるという趣旨の御答弁をいただきました。
観光とシティプロモート、ひいてはそれらの基礎となるマーケティングは全く同じ目的ではないものの、補完し高め合う関係にあります。そして、これらの部門の共通点は、江別市の外に向けて取り組むことが主たる業務であるということです。主に市民に向けて取り組む行政の中では、ある種、特殊とも言えるこれら業務は連帯して取り組んでこそ効果的であり、これら類似の業務の中で、こちらは交流人口を目指します、あちらは定住人口を目指します、こちらは物産です、こちらは住環境ですということでは、その間にある見込み顧客や潜在ニーズを取りこぼしてしまいますし、重複した取り組みによる非効率な事業実施になるおそれがあります。そうならないためにも、市外に向けて稼ぐことを主に担当する部局の設置が最適と考えるものですが、お考えをお聞かせください。
江別市の観光行政については以上です。
これをもって、私からの1回目の質問とさせていただきます。

議長(三角芳明君)

堀議員の一般質問に対する答弁を求めます。

市長(三好 昇君)

堀議員の一般質問にお答え申し上げます。
江別市におけるマーケティング戦略に関連しまして、まず、シティプロモートのターゲット設定に応じた展開についてでありますが、第6次江別市総合計画では、四つの未来戦略の一つとしまして、えべつの魅力発信シティプロモートを掲げ、江別市のすばらしさや魅力を多くの人に知ってもらうことで定住人口や交流人口の増加につなげていくことを目指すこととしております。
また、市政運営における最大の課題を少子高齢・人口減少への対応としまして、子育て支援、教育環境の充実を図り、選ばれるまちづくりを進めていることから、シティプロモートの推進に当たりましては、子育て世代をターゲットとしているところであります。
このターゲットに対応した事業としましては、これまで、良好な住環境をPRする冊子えべつのじかんを札幌市内の保育園等に配布したほか、札幌市内で配布されているフリーペーパーに江別の住環境や教育環境をPRする記事を年2回掲載しております。
また、スマートフォン等の利用者が多い若年層や子育て世代に対応し、インターネットを活用した情報発信の仕組みづくりを積極的に進めるとともに、北海道情報大学との協働でテーマごとのPR動画、江別15秒CMを作成し、多くの方に閲覧いただいているところであります。
今後におきましても、ターゲットに応じたさまざまな手法で情報発信に取り組むなど、推進組織であります江別シティプロモート推進協議会の論議などを踏まえながら、子育て世代を意識したシティプロモート活動を進めてまいりたいと考えております。
次に、シティプロモートの現状と今後についてでございますが、えべつ未来戦略の一つであります、えべつの魅力発信シティプロモートでは、江別市のよさが道内外に広く認知されるため、まちの魅力を市内外へ効果的・積極的にPRしていくこととしております。
このため、平成26年6月に、推進組織であります江別シティプロモート推進協議会を立ち上げ、市民や企業と行政が一体となってプロモーション活動に取り組んでいるところであります。
その協議会におきましては、これまで市民や団体を初めとする情報発信の担い手の裾野を広げ、市民との共感を広げる活動を中心に行ってきたことにより、インターネットを活用して市民みずから情報発信する市民ブロガーの活動やSNSといったソーシャルネットワーキングサービスでの情報交流が盛んになるなど、多様な担い手づくりが進展してきているものと認識しております。
また、協議会の論議などを踏まえまして、インターネットや雑誌、イベントなどさまざまな機会を活用したPR活動が実施されてきたところであります。
現在、協議会における論議では、江別市の持つ多様な魅力やイメージをさまざまなターゲットにどのように届けるかが課題と捉えておりまして、今後、市外のターゲットへ江別の魅力を効果的に伝えていくための手法や江別市のイメージづくりに取り組んでいく方針としておりますことから、市といたしましても連携してその取り組みを進めてまいりたいと考えております。
次に、マーケティング担当部署の設置ということでございますが、シティプロモーション活動においては、提供する価値を最も必要とするターゲットに絞り込んで、最大の効果を上げるプロセスとしましてマーケティングの考え方を取り入れることについては、その必要性を認識しているところであります。
現在、シティプロモートの推進に当たりましては、市民や企業、大学などで構成する江別シティプロモート推進協議会と一体となって活動しているところでございまして、今後とも、民間の企業活動で行われているマーケティングの考え方も取り入れながら活動を進めてまいりたいと考えております。
そこで、御質問のマーケティング担当部署の必要性につきましては、市全体の政策展開の中で、組織のあり方を含め、必要な体制について研究してまいりたいと考えております。
次に、江別市の観光行政に関連しまして、観光による稼げる地域づくりを推進する実施主体についてでありますが、現在、市では新たな観光振興計画の策定を目指し、今年度は地域資源の調査・分析、基礎資料の作成を計画しております。
平成29年度はその基礎資料をもとに、江別に合った、江別ならではの観光戦略、マーケティング及びブランディング戦略のほか、地元特産品等の販売PR手法の構築を含む観光振興計画の策定を予定しております。
そこで、計画実施主体及び運営主体につきましては、その内容や方向性をもとに検討することとしております。
いずれにいたしましても、計画の実施主体及び運営主体につきましては、これから策定される計画理念に基づきまして、最も効果的に運営できる団体について、選出方法も含め検討してまいりたいと考えております。
次に、市外に向け稼ぐことを担当する部局の設置についてでありますが、平成26年度に企画政策部にシティプロモート担当を、平成28年度には経済部に観光振興担当を設置し、全庁的な取りまとめをしながらシティプロモート推進や観光振興に取り組んでいるところであります。
今年度は、全市的なイベントであるやきもの市やまるごと江別でも経済部と企画政策部が役割分担しまして事業の推進に努めたところであります。
そこで、御質問の市外に向け稼ぐことを主に担当する部局の必要性につきましては、市全体の政策の展開の中で、組織のあり方も含め、必要な体制整備について研究してまいりたいと考えております。
私からの答弁は以上でございますが、このほかの質問につきましては、企画政策部長ほかをもってお答え申し上げます。

企画政策部長(北川裕治君)

私からは、江別市におけるマーケティング戦略についてのうち、地域ブランド構築の現況と今後についてほか1件について御答弁申し上げます。
初めに、地域ブランド構築の現況と今後についてでありますが、地域ブランドは、その地域に存在する自然、歴史・文化、食、観光地、特産品、産業などの付加価値を高め、他の地域との差別化を図ることにより、市場での信頼を得るものと認識しております。
さらに、地域ブランドには、単に商品が売れるだけでなく、江別市のイメージを高め、さまざまな波及効果を生むことを期待するものであります。
市では、これまで小麦を初めとする農畜産物においてブランド化を進めてまいりましたが、今後、定住人口の増加につなげていくためには、地域ブランドの存在により、江別市そのものに興味を持ってもらえるような効果的なPRの手法を工夫しながら、ブランド構築を進めていく必要があるものと考えております。
現在、江別市においては、高品質な江別産小麦を使ったパンやスイーツの店舗がふえてきているほか、健康志向の消費者に向けた食品がヘルシーDoの認定を受けるなど、食を中心としたブランド構築が進みつつあります。
こうした動きを、さらに江別市のイメージアップにつなげられるよう、江別シティプロモート推進協議会とも連携しながら効果的なPRなどに取り組んでまいります。
次に、地域ブランド構築におけるクリエーターの活用についてでありますが、シティプロモーション活動を行うに当たって良好なイメージを受け取ってもらうには、言葉やデザイン、発信媒体の選び方など、さまざまな専門分野の力が必要になってくると考えられますことから、デザインなどの創作活動に携わるクリエーターの視点を取り入れることは有効な取り組みであると考えております。
これまでも、市の主催するイベントにおいて、市内出身の漫画家やデザイナー、北翔大学芸術学科の学生の活用を図ってきたほか、江別シティプロモート推進協議会の活動では、デザイナーをゲストに招いて議論に参加していただくなど、市内のクリエーターとの連携を図ってきたところであります。
今後におきましても、江別市の魅力を正しく、効果的にPRするふさわしい手法を見出していくため、専門の能力を持つクリエーターの活用を図ってまいりたいと考えております。
以上でございます。

経済部長(後藤好人君)

私からは、江別市の観光行政についての御質問のうち、交流人口を定住人口につなげるための戦略についてほか3件について御答弁申し上げます。
初めに、交流人口を定住人口につなげるための戦略についてでありますが、まずは江別に興味を持ってもらい、江別に来てもらい、知ってもらうことから始め、交流人口をふやすことが第一であると考えております。
平成20年以降10月1日現在の住民基本台帳の人口比較では、市の人口が減少しているにもかかわらず、14歳以下の年少人口と30歳代の人口が社会増加していることから、子育て世代が転入してきていると考えられます。
こうした状況から、第6次江別市総合計画えべつ未来づくりビジョンでは江別が持つ優位性を生かし、子育て世代の転入促進を目指しているところであり、これまでも子育て世代の転入促進へ向けて、えべつコレクションやえべつのじかんなどの冊子を札幌市内の幼稚園や保育園に送り、江別の魅力発信に努めているところであります。
そこで、子育て世代を定住人口へ結びつけるため、子育て支援や教育の充実、就労支援の取り組みなど、子育て世代をターゲットにした当市の優位性をPRしているほか、今年度は、即効性のある施策として住宅取得支援に取り組み、市外からも多数の申し込みがあり、定住人口の増加につながっていくものと考えております。
いずれにいたしましても、どのような交流人口増加施策が定住人口増加に有効かを見きわめながら取り組みを進めてまいります。
次に、観光案内所の機能拡張についてでありますが、観光案内所には訪問先の地理に不案内な観光客が安心して散策できる情報や見る、食べる、体験するなど地域で楽しめる情報の提供が求められていると考えております。
例えば、公共交通の情報、宿泊、飲食などの情報、特産品、イベント、スポーツや自然散策の観光情報が求められる情報であると認識しております。
市では、JR駅を中心としたウオーキングマップの配布、アンテナショップでは観光パンフレットの配置や市内のイベント情報などの提供、観光客からの各種の問い合わせ対応を行っております。
さらに、7月からは市内周遊イベントの参加受け付け場所としたほか、来年4月にオープン予定の江別市都市と農村の交流センターと連携し、市内グリーンツーリズムの情報なども発信する予定であります。
いずれにいたしましても、観光客のニーズ把握に努め、住環境情報など、発信する情報の種類、量の拡充を図ってまいりたいと考えております。
次に、アンテナショップにおける観光と物産の役割分担による相乗効果創出についてでありますが、現在、江別アンテナショップGET’Sの管理運営につきましては特定非営利活動法人に委託し、常時1名以上の案内者を配置して観光情報の発信や姉妹都市及び友好都市の特産品などの情報提供のほか、各市の特産品を販売しており、本年4月から観光案内と物販の一体的な運営を開始したところであります。
江別アンテナショップGET’Sにおける物販につきましては、江別市、姉妹都市及び友好都市の特産品に限り販売を受託者の自主事業として認めており、特産品の購入をきっかけに各市に興味をもってもらい、知ってもらう観光情報提供の一環として位置づけております。
今後におきましては、観光案内と各市特産品の販売のあり方につきまして、事業評価をしながら適切な運営方法を検討してまいりたいと考えております。
次に、観光の評価指標についてでありますが、現在、国が実施している観光統計には、旅行・観光消費動向調査、宿泊旅行統計調査、訪日外国人消費動向調査、観光地域経済調査のほか、国が基準をつくり、各都道府県が実施し、国が取りまとめている共通基準に基づく観光入り込み客統計があります。
観光入り込み客統計は、都道府県ごとの観光入り込み客数、観光消費額単価、観光消費額を把握するために平成22年から実施されており、共通基準に基づく調査のため、地域間で観光に関する現状や動向、経年変化を比較することが可能なことから、観光振興を評価する上で適切な指標であると考えております。
なお、市内経済との関連につきましては、必要に応じて、江別市産業連関表などを市内経済の特徴把握や観光への波及効果の分析に活用してまいりたいと考えております。
いずれにいたしましても、観光の評価指標につきましては、観光振興に関する戦略や施策を立案する際の基礎として活用することが可能な観光入り込み客統計を利用してまいりたいと考えております。
以上であります。

堀 直人君

御答弁ありがとうございました。
それでは、2回目の質問に入らせていただきたいと思います。
まず1件目、江別市におけるマーケティング戦略についてです。
項目1、シティプロモートのターゲット設定に応じた展開について再質問させていただきます。
平成27年第2回定例会の一般質問で、具体的なターゲットを、世代、居住、趣向、ライフスタイルなどの観点からお答えいただきたい。その際、えべつ未来戦略で目的とされている定住人口の増加と交流人口の増加では手法も変わってくるため、それも含めて目的別にターゲット設定をお答えいただきたいという趣旨のお話をさせていただきました。このときの御答弁では、子育て世代をターゲットとしているということでしたが、こうした広範囲でぼんやりと的を狙うとなかなかターゲットに的中できないものです。やはり、大まかな方針だけではなく、目的別に具体的かつ明確なターゲットを設定しなければ効果的な事業実施が困難であると考えることから、子育て世代という大きな方針のもと、枝分かれする個別具体的なターゲット設定について、お答えいただきたいと思います。
項目2、シティプロモートの現況と今後について再質問させていただきます。
平成27年第2回定例会の一般質問では、ターゲットとニーズを意識した取り組みを進めていくという趣旨の御答弁をいただきました。市民との協働により進めていくという方針も持続可能なまちづくりを進める上で重要であると強く同意します。しかし一方で、協議会に委ねて推進していく現在の手法と、ターゲットとニーズを意識して取り組むという戦略的な手法はミスマッチを起こしかねません。つまるところ、市民の主体的な取り組みを生かす先にあるものと、ターゲットとニーズを意識した取り組みの先にあるものでは、必ずしも解が合致するとは限らないのです。
よって、市民活動の活性化を仕組み化し、市民が自発的にやりたいことをやる実践的なシティプロモートと、成果主義でターゲットとニーズを意識し、やるべきことをやる計画的なシティプロモートを切り分けて構想し、担い手と手法が不一致にならないために、協働という丸投げにならないために、市としてのしっかりとした体系的な戦略を持つべきと考えるものですが、そのことについてお答えいただきたいと思います。
項目3、地域ブランド構築の現況と今後について再質問させていただきます。
平成27年第2回定例会の地域課題解決と地域ブランド形成及びシティプロモートとの相関関係についての項目で、地域ブランド構築によるシティプロモートや地域課題解決の好循環を生み出すには、20年後、30年後を見据えたビジョンが必要であり、ゴールとなる未来から逆算し必要な施策を考えずして、本当に正しい施策が実施できるのかという趣旨の質問をさせていただきました。これに対しての御答弁では、えべつ未来戦略の取り組み期間である5年間に重点的・集中的に取り組むとし、長期的なビジョンについては触れていただけませんでした。
平成27年第2回定例会の一般質問で挙げた東川町、徳島県上勝町といった先行事例から判断しても、栃木県宇都宮市の100年先も誇れるまちを、みんなでというスローガンのもと実施されている宇都宮プライドという地域ブランド構築のためのプロジェクトを観察しても、やはり地域ブランド構築、また、それによるシティプロモートや地域課題解決の好循環を創出するためには長期的ビジョンが必要であると痛切に感じます。改めて、地域ブランドの構築における長期的なビジョンの必要性について、御見解をお聞かせいただきたいと思います。
項目4、項目5につきましては、要望とさせていただきます。
地域ブランド構築におけるクリエーターの活用については、江別市の魅力を正しく、効果的にPRするふさわしい手法を見出していくため、専門の能力を持つクリエーターの活用を図ってまいりたいという御答弁から、共通認識が形成されていると感じているものです。今後に関しましては、より効果的なクリエーターの活用手法をもって推進していただきたいと思います。
次に、マーケティング担当部署の設置についてですが、市全体の政策展開の中で、組織のあり方を含め、必要な体制整備について研究してまいりたいとのことで理解しました。最も必要とするターゲットを絞り込んで、最大の成果を上げるプロセスとして、マーケティングの考え方を取り入れることについては必要性を認識しているとの御答弁ですので、引き続き、今後の推移を見させていただきたいと思います。繰り返しになりますが、持続可能なまちづくりの仕組みにするためにも、マーケティング戦略の重要性は高まります。引き続き、江別市に適したマーケティング戦略を調査・研究していただきたいと思います。
以上、1件目、江別市におけるマーケティング戦略についてでした。
続きまして、2件目、江別市の観光行政についてです。
項目1、交流人口を定住人口につなげるための戦略について再質問いたします。
交流人口を定住人口につなげるといっても、そう一足飛びにいくほど簡単なことではありません。よって、交流人口と定住人口の間を埋める手立てが必要であり、関係人口をふやすことが具体的な施策として有効と考えます。関係人口をふやすには、移住体験や住むことに近い宿泊施設であるゲストハウス事業、逆に、旅行するように住むことや2拠点居住を可能にするシェアハウス事業、江別の暮らしや住環境を知ってもらう移住体験ツアー、ふるさと納税の拡大、他市町村に住みながら江別のまちづくりや市民活動への参画を促進することなどによってきっかけを創出し、関係人口拡大の実現につなげていくことになろうかと考えますが、交流人口を定住人口につなげるための関係人口の拡大についてどうお考えかお答えいただきたいと思います。
項目2、項目3、項目4、項目6については、要望とさせていただきます。
観光案内所の機能拡張については、住環境情報など、発信する情報の種類、量の充実を図ってまいりたいと、住環境情報の提供について言及していただき、観光案内所の機能拡張について前回の一般質問での御答弁より進展がありました。今後は、市内不動産情報の一括した提供や、空き家バンクなどが整備されることがあった場合、それらとの連携など、観光案内所を通した交流人口を定住人口につなげる取り組みをより進展させていただきたいと思います。
次に、アンテナショップにおける観光と物産の役割分担による相乗効果の創出についてですが、事業評価をしながら適切な運営方法を検討してまいりたいとの御答弁から、検討のめどについて把握しましたので、今後の経緯を見させていただきたいと思います。観光分野と物産分野、それぞれに集中して取り組んでこそ相乗効果を生み、真に観光と物産の融合を果たすことになりますので、政策的な運用が可能な江別アンテナショップGET’Sを通して、効果的な観光を手段とした産業振興の手法を開発していただきたいと思います。
次に、観光の評価指標についてですが、観光入り込み客統計ということについて観光庁が出しております観光入り込み客統計に関する共通基準を見ますと、調査手法は観光地点及び行祭事・イベント名簿を整理し、観光地点等入り込み数調査を実施するとあり、この名簿の整理には、非日常利用が多い地点であること、観光入り込み客数が適切に把握できる地点であること、前年の観光入り込み客数が年間1万人以上、もしくは前年の特定月の観光入り込み客数が5,000人以上であることを要件としています。つまり、市内の主要な施設やイベントなどに対して調査しているものであり、江別市全体の観光動態を把握できるものではありません。さらに、例えば、温泉地であれば目的地が明確であり、このような調査により観光実態把握の精度も高まるものでしょう。しかし、江別市の特性に鑑みると、こうした画一的な統計以外に独自の指標を持つことが必須であると言えます。
観光というものは非常に移ろいやすい分野です。観光ビッグデータの活用、GPSを利用した観光行動の調査分析など新しい手法を取り入れつつ、江別市に適応した評価指標を開発しつつ、使える観光施策の評価とそれを通じた検証、改善を行っていただきたいと思います。
次に、項目5、観光による稼げる地域づくりを推進する実施主体についてですが、観光振興計画に基づき検討されていくということは、そのとおりであると同様に考えますので、策定経過を観察しながら改めてお聞きすることにします。
質問の中で、TMOということに触れさせていただきました。このTMOというのも、プロフェッショナルの不在、役員の非常勤による責任体制の不在、人材や組織運営の不備などを理由に全国で失敗した例が多いものでした。こうした前例を調査・研究しながら、実施主体及び運営体制について検討していただきたいと思います。
最後に、市外に向けて稼ぐことを担当する部局の設置についてですが、マーケティング担当部署の設置と同じく、市全体の政策の展開の中で、組織のあり方も含め、必要な体制整備について研究してまいりたいとのことで理解しました。稼ぐという営みは生き物です。常に先駆けていく必要があり、そのための万全な庁内体制が必要です。先日、行政調査にお伺いした富山県南砺市では、ブランド戦略部の中に交流観光まちづくり課があり、その中にブランドプロモーション係と交流観光係があるなど、まさに先駆けて戦略的な取り組みを行っていました。全国を見渡せばこうした事例もさらにあると思いますので、積極的な調査・研究を進めていただきたいと思います。
以上、要望と2回目の質問でした。

市長(三好 昇君)

堀議員の再質問にお答え申し上げます。
私からは、マーケティング戦略に関連して、2件お答えしたいと思います。
まず、目的別にターゲットを設定すべきということでございますが、シティプロモートの推進に当たりましては、広く子育て世代をターゲットとしておりますが、個別の事業実施におきましては、これからの住まいを考えている方向けに子育て・教育環境や住宅地などの情報を、観光や食事に訪れるファミリー層向けにレジャーや飲食店などの情報を発信しておりまして、対象者やニーズに応じ、江別市のさまざまな特徴について、そのときどきで必要と思われる情報発信に努めてきております。
今後におきましても、さらに工夫をしながら、そのときどきで必要な最善の情報提供に努めてまいりたいと考えております。
次に、市として体系的な戦略に基づくシティプロモートが必要ではないかということでございますが、未来戦略の一つでありますシティプロモートでは、ニーズに合わせた効果的な情報戦略を確立しまして、市民や企業などと一体的に江別市の魅力を発信していくこととしており、さらに、具体的には子育て世代を主なターゲットとして推進しているところであります。
このような方向のもと、行政から計画を示すというよりも、江別シティプロモート推進協議会が市民の共感を醸成しながら江別市の持つ魅力が市内外に広がっていく中で都市イメージが構築されていくことを目指すとしておりますことから、今後におきましても、江別シティプロモート推進協議会の主体的な活動と連動しながら取り組んでまいりたいと考えております。
私からは以上でございます。

企画政策部長(北川裕治君)

私から、江別市におけるマーケティング戦略についてのうち、地域ブランド構築の現況と今後についての再質問にお答え申し上げます。
地域ブランドの構築における長期ビジョンの必要性についてでありますが、第6次江別市総合計画えべつ未来づくりビジョンは、少子高齢化・人口減少社会の中、10年後の未来を見据えて策定し、進めてきているものであります。
その中の未来戦略として、えべつの魅力発信シティプロモートを推進することにより、江別市の都市イメージと認知度の向上を図り、それが地域ブランドの形成につながるものと考えております。
そのような中で形づくられた地域ブランドは、20年後、30年後にも続いていくよう育てていかなければならないものと考えております。
以上でございます。

経済部長(後藤好人君)

私から、交流人口を定住人口につなげるための戦略についての再質問にお答えいたします。
交流人口を定住人口につなげるための関係人口の拡大についてでありますが、交流人口の増加が直接、定住人口の増加につながっていることを具体的なデータで把握するのは難しいものと考えております。
しかしながら、市では、子育て世代をターゲットに、子育て支援、教育の充実、就労支援、住宅取得支援など当市の優位性をPRし、定住人口の増加に努めているところであります。
なお、議員御提案の移住体験、シェアハウス事業などさまざまな手法につきましては、人口規模、地理的条件、産業構造、交通事情など当市に類似している自治体の事例を調査し、まずは、その事業効果を検証してまいりたいと考えております。
以上であります。

堀 直人君

御答弁ありがとうございました。
最後に、要望で終わらせていただきます。
まず、江別市におけるマーケティング戦略についてですが、個別具体的なターゲットに関しては事業実施においてなされているとのことでした。さらに、ノウハウを蓄積していく中で、具体的なターゲット設定が場当たり的になったり、事業が決まってからターゲットを決めるということにならないよう、ターゲット設定の手法確立や精度を高めつつ、工夫しながらさらなる効果的なシティプロモートに取り組んでいただきたいと思います。
今後のシティプロモートの進め方についても、市民の共感重視か行政の戦略重視かの二者択一ではなく、特性や目的に合わせてシティプロモートの実施手法を分解し、整理したほうが最適化できるため、取り組みが深まり有効性が確認されたものに関しては、スピード感、規模感を持って展開していただきたいと思います。
地域ブランド構築に関しては、長期的視野の必要性について共通認識が形成されつつあるように感じますので、今後の取り組みに期待させていただきたいと思います。こうした地域ブランド構築の取り組みから市民の誇り、つまりは住民のシビックプライド、職員のスタッフプライドを育んでいただき、ぜひ自信を持って子供たちに誇れる江別のアイデンティティーを形成していただきたいと思います。
次に、江別市の観光行政についてですが、市の交流人口と定住人口の拡大に向けた取り組みを把握させていただきました。それらが、効果的かつ相乗効果をもたらすように仕掛けるには、交流人口という接着剤が必要であると、日々、地域の中に身を置きながら実感しております。関係人口を拡大させる施策として挙げたゲストハウス事業やシェアハウス事業においても、市が直接的に実施するのではなく、支援策や促進策を講じ、民間活力によって展開していくこともできます。移住体験ツアーについても、ふるさと納税の返礼品にしたり、クラウドファンディングを活用したりなど、さまざまな工夫をする余地が大きい領域です。観光は分野横断です。観光の集客力によって農業・商業・工業の振興と定住人口の拡大を推進し、観光の波及効果で地域の経済と文化の活性化を果たし、生産、分配、再生産という好循環をつくる回路に役立つ観光、しっかり税収につながる観光、つまりは、市民の生活の質を向上させるための観光行政を構築していただきたいと思います。
以上をもって、私からの一般質問を終えさせていただきます。ありがとうございました。

議長(三角芳明君)

以上をもって、堀議員の一般質問を終結いたします。

◎ 散 会 宣 告

議長(三角芳明君)

本日の議事日程は全部終了いたしました。
これをもって散会いたします。
午後 0時26分 散会