平成20年第4回江別市議会会議録(第2号)平成20年12月10日 4ページ
6 議事次第の続き
一般質問の続き
副議長(鈴木真由美君)
休憩前に引き続き会議を開きます。
一般質問を続行いたします。
坂下博幸議員の自治会と行政のパートナーシップについてほか1件についての質問を許します。通告時間30分。
坂下博幸君
議長から発言の許可をいただきましたので、通告に従い順次質問してまいります。
生活環境部と企画政策部にまたがります、自治会と行政のパートナーシップについてお伺いいたします。
第5次江別市総合計画後期基本計画における議論の過程で改めて感じたことですが、多くの場面で市民の協力は不可欠で、政策目的達成に向け、特に自治会の協力は欠かせません。自助・互助・公助の考え方は、第5次江別市総合計画の様々な施策の底流に流れているもので、江別市の施策の根幹を成すものと考えるところです。一部事業に特化したNPOやボランティア団体に担っていただくことも重要ですが、地域で総合的な取り組みを推進する自治会への期待は、大きくなるばかりと考えます。
地域で子供を育て見守ろうとする努力や防犯対策、高齢者の見守り、災害対応、ごみ対策など、自治会が地域を守る活動は大きく広がってまいりました。しかしながら、地域性にもよりますが、自治会への無関心、自治会加入意識の低下、自治会役員の高齢化、若い世代の自治会離れなどの課題も見えてきていると考えるところです。
古典的な文献の一つであるマッキーバーのコミュニティによれば、コミュニティは社会の母胎であり、アソシエーションはその母胎を基盤に分化していく器官のようなものである。多様なアソシエーションの花が開くことがコミュニティの成熟の証であるとのことです。自治会の成り立ちの議論や違いはさて置き、当市における自治会はコミュニティの基礎であり、多様なアソシエーションとして、NPOやボランティア団体等があるのではないかと考えております。
様々な意見はありますが、社会の母胎が自治会だとすれば、先ほども申し上げましたように、自治会への無関心、自治会加入率の低下、自治会役員の高齢化などは、自治会の弱体化につながるおそれもあります。自治会の崩壊は絶対に避けなければなりません。関連するすべての団体は、共に協力して、地域課題を解決するパートナーとして自治会を継続できる体制を考えていくべきです。
地域担当職員制度や地域自治活動支援事業は、より自治会基盤の強化を図ろうという思いで実施した施策であったように記憶しておりますが、今後、事業の見直しや強化を含め、問題解決に向けたさらなる努力が必要と考えるところです。
以上の観点から、自治会の基盤を強くする努力について、中田実氏の地域分権時代の町内会・自治会という著物を参考にさせていただき、何点かの質問をさせていただきます。
1点目として、地域のコミュニティとしての自治会で、更に基盤強化をしていただくための行政サポートの在り方についてお伺いいたします。
さきに申し上げましたとおり、地域性にもよりますが、自治会への無関心、自治会加入率の低下、自治会役員の高齢化などの課題も見えてきていると考えます。しかしながら、内閣府の2006年の社会意識に関する世論調査によりますと、社会貢献したいと思っている人の割合は61%となっており、その中の35%は町内会などの地域活動で貢献したいと答えております。
2006年の朝日新聞の定住意識についての全国調査で、定住意識は都市・農村を問わず極めて高く、都市部でも73%から76%となっています。また、同調査では、近所との付き合いについて、親しく付き合っている人は38%、あいさつする程度は58%で、合わせると、東京都23区・政令指定都市で87%、それ以外の都市でも90%と高い割合を示しておりますが、人と人をつなぐコーディネートが更に必要であると考えております。
住民自治につながる潜在的な参加意識は高いものと理解できますので、地域自治の基盤づくりをサポートする仕組みを行政が考えていくべきと思うものであります。今後は、団塊世代の大量退職を迎え、多くの方が地域を生活の基盤とすることになると考えます。現役時の様々な経験と活力を内在したこの世代を地域に取り込むことが、自治体の強化をしていく絶好の機会ではないでしょうか。そのために、行政は黒子に徹しながら、自治会活動を強くサポートし、活動に参加するきっかけをつくる必要があると考えております。団塊世代の方々を地域に取り込めるように、企業や地域に呼び掛け、行政が率先して接点をつくることが必要ではないでしょうか。市長のお考えをお聞かせください。
2点目として、自治会の活動状況等について知る努力が必要と考え、お伺いいたします。
高い加入率を誇る自治会は活動が活発であると一般には思われているようですが、日本の少子高齢化の流れは速く、自治会役員等も例外ではなくなってきており、多くの課題も見えてきていると考えます。中には、自治会をなくす動きもあるとのことで、自治会が抱える問題は深刻です。
地域自治活動支援事業において、平成17年度、平成18年度と比較すると、少しずつ14事業以下の自治会が増えていくのではないかと考えますので、行政のパートナーである自治会でどのような問題を抱えているのか、可能な限り情報を集めるべきではないでしょうか。それは決して、自治会に対する介入ではなく、地域自治を尊重し、サポートの在り方を考えるためのものと理解すべきです。
情報を分析することで、今、自治会で何が起きているのかを掌握して、素早い問題解決に向けた対応とサポートが可能になると思うものです。自治会と行政は互いに理解し合う努力と協働が必要で、そのためには、パートナーのことを知ることは大きな意味があると考えます。市長のご見解をお伺いいたします。
3点目として、地域担当職員制度について、今後も活発に行うべきと考え、活動の現状等についてお伺いいたします。
地域担当職員制度は導入から5年を経過し、ある程度、定着されてきているものと考えておりましたが、最近では問題・課題もあるようにお聞きしておりますので、一度総括し、次の段階につなげていかなければなりません。
主体的に地域としてまちづくりを進めていくためには、地域が抱える共通のテーマを設定し、そのことを軸として地域住民が積極的にまちづくりにかかわっていくための方向付けが必要ですが、そのための活動ツールをどうするかなど、環境を整えていくための一定のサポートが必要と考えます。地域担当職員制度の今後の方向性等、市長のお考えをお聞かせください。
4点目として、自治会とNPO・ボランティア団体等との協力関係を築くためのマッチングに向けた努力についてお伺いいたします。
多様なアソシエーションであるNPO・ボランティア団体等が花開くことがコミュニティの成熟の証であるとご紹介申し上げましたが、自治会の手の届かないところを担っていただくNPO・ボランティア団体等とのマッチングを進めていくべき時代になったものと考えております。
今後の自治会活動は、すべての事業をやり切ることができるのであればそれに越したことはありませんが、先ほど提起をさせていただきました高齢化等の問題もあり、活動内容の選択と集中が求められているところもあります。
自治会としても、高齢者の見守り、子供たちの安全対策、災害対策等の地域要望も多く、その要望に特化することが求められているものと推測するものであります。手に余る事業があれば、NPO・ボランティア団体等の協力を求める必要があります。
自治会とNPO・ボランティア団体等との協力関係を無理なくマッチングできるよう、行政が黒子に徹しながら、調整を行う仕組みが必要と思うものです。市長のお考えをお聞かせください。
5点目として、地域自治会活動支援事業の考え方についてお伺いいたします。
危機対策・防災担当所管が自主防災組織を地域自治会の中に定着させるご努力をされておりますが、自治会の中には、高齢者が高齢者の見守りを行っていたり、災害時には高齢で助けられる側の人が役員として逆に助ける側になっている矛盾するケースも見受けられ、自主防災の組織づくりもなかなか進まない現状にあるようで、これ以上役割を持ち込まないでほしいとの声も聞こえてまいります。
そのような状況にありますが、消防職員を中心に進めている災害図上訓練、DIGの有効性は高く、地域自治会、大学、小学校などで、DIGを通し自主防災の組織づくりや啓発に努めているとのお話でありました。
災害図上訓練(DIG)について簡単にご説明いたしますと、DIGとは、英語の災害、想像力、ゲームの頭文字を取り、だれもが参加できる防災訓練プログラムを言います。また、英語のDIGという言葉には、掘り返す、探求する、理解するという意味があり、防災意識を掘り返す、地域を探求する、災害を理解するという意味も含まれているとのことであります。担当者のお話では、地図上で、ワークショップ形式により自分たちの地域を想定して進めることができ、地域の危険箇所や高齢者の住んでいる住宅などを意識し、自分たちの避難場所を把握するのが早いとのことでありました。DIGにより、地域の協力関係や災害対応の理解が深まり、地域に対する気付きが芽生えるようです。
自治会の問題は複雑で、地域担当職員制度にしろ、地域自治活動支援事業のインセンティブにしろ、自治会活動の主体者である住民が自治会活動に喜んで参加していただけるようなツールが必要だと考えておりました。活動に参加された方々が達成感を持ったり、やりがいを感じていただくことができなければ、参加を控えてしまうことになりかねません。担当者の話では、地域担当職員として自治会に入るきっかけとしてDIGは有効とのことでありました。
DIGを行うには講習を受ける必要があるとのことで、地域担当に当たる職員にとっては、このような取り組みを通して、住民に対する様々な役割や気付きのサポートにつながると考えるものです。大麻地区では、DIGの中で単身高齢者が把握され、高齢者の見守りが自然に行われるなど災害対策が福祉の分野等に広がりを見せております。
危機対策・防災担当所管以外の所管でも地域を対象としている事業に対して、地域自治活動支援事業の重点項目として多くのインセンティブを設けてはいかがでしょうか。また、併せて、NPO・ボランティア団体との協力関係が成立した場合、地域自治活動支援事業のインセンティブの対象としてお考えになってもよろしいかと思います。自治会の負担軽減にもつながると思いますので、市長のご見解をお伺いいたします。
最後に、経済部所管の緊急保証制度の運用状況等について、お伺いいたします。
江別市を取り巻く経済情勢は、従前から続く原油・原材料価格の高騰に加え、米国発の金融不安の影響や、かつてない円高、株安という非常事態の中で、さらなる金融機関の貸し渋りや信用収縮をきぐする声が多く、今後、より厳しい経営状況に陥る懸念があり、ひいては雇用にも影響が出かねません。
公明党としても取り組みを進めてきた緊急経済対策の一つとして、中小企業のための緊急保証制度が10月31日から実施されたことを受け、年末の中小規模事業者の資金繰りを強力に支援する必要性があると考えます。
国の中小企業に対する支援策として、全業種の約3分の2を超える618業種の中小企業を対象に、原材料価格高騰対応等緊急保証制度が拡大されたところでありますが、今後更に業種が拡大される予定と伺っております。年末、年度末を控えた江別市の企業に、この緊急保証制度が有効に活用されるよう、市長にも申入れをさせていただいたところであり、同制度についての周知徹底を図りながら運用していただいているものと考えますが、それを知らない企業の実態は厳しいものがあると理解しております。
現時点での市内企業に対する周知の努力はどのようになされているのか。また、運用状況についても併せてお伺いいたします。
以上で1回目の質問といたします。
副議長(鈴木真由美君)
坂下議員の一般質問に対する答弁を求めます。
市長(三好 昇君)
坂下議員の一般質問にお答え申し上げます。
初めに、自治会と行政のパートナーシップについてでございますが、近年、自治会活動においては、高齢化や地域住民としての意識の希薄化などから、役員の選考や行事・事業の企画、参加者の確保などで、自治会会員の理解と協力が難しくなり、自治会運営に支障を来しているということが言われております。
このようなことから、議員ご指摘のように団塊世代の方々が自治会活動に参加していくことが必要と考えております。
自治会としても、高齢化の中で役員の若返りなどに対応しておりますが、さらに、団塊世代の人材の発掘や、活動時においてNPOなどの地域の多様な団体との連携に努めることも必要かと考えております。
このようなことから、市としても、団塊世代の地域デビューのためのセミナーや研修会などを実施しておりますが、今後とも市民の方々が地域活動に参加できるような環境づくりに努めてまいりたいと考えております。
次に、地域担当職員制度の総括と今後についてでありますが、地域担当職員制度は、職員が地域の現状や課題に直接向き合うことで、住民の安心と行政への信頼を確保することを目的として、平成16年度から市内全域で実施しているもので、その任務は、地域自治会や幅広い組織、人材で構成される地域まちづくり会議を通じ、行政情報の提供や地域の課題解決へのサポートなど、地域のアドバイザー機能を担うこととしております。
しかし、定期的な会議が開催されるなど活発な活動が行われている地域がある一方で、多くの地域で、具体的な活動の難しさや受け止め方の相違など課題が見られるようになり、市全体を見ますと、総じて活動が低迷しているという実態にございます。
こうしたことから、地域自らがまちづくりを進めるためのテーマの設定や住民意識の醸成等を図る上で、議員も指摘されたように、これまでの取り組みを評価し、制度の趣旨を含めて全体を検討していく必要があるものと考えております。
次に、自治会とNPO・ボランティア団体等との協力関係についてであります。これまでも自治会やNPO・ボランティアなど様々な団体がまちづくりを担ってきたところでありますが、高齢者への支援や防災、安全確保、環境問題、子育て支援など、地域における様々な課題に対応していくためには、個々の団体が独自に取り組むのではなく、地域の実情を把握する自治会と目的を持った活動をしているNPOやボランティア団体などが、それぞれの強みを生かし、相互連携を図りながら活動していくことが効果的であると考えております。
こうしたことから、市といたしましては、第5次江別市総合計画後期基本計画の中で、自治会、NPO、ボランティア等、市民協働における各団体の相互連携を位置付けたところでございますが、今後の個別の事業展開において、自治会に対し、活動団体に関する情報提供を行うなど、より団体相互の認識と理解を深めていただけるよう、自治会とNPOやボランティア団体等との連携を支援してまいりたいと考えているところでございます。
私からの答弁は以上でありますが、このほかの質問に対しましては、生活環境部長ほかをもって答弁いたします。
生活環境部長(伊藤 武君)
私から自治会活動の実態把握ほか1件につきましてご答弁申し上げます。
日常の窓口対応、各自治会からの個別相談、あるいは毎年自治会から提出される活動状況報告書や江別市自治会連絡協議会及び3地区連絡協議会との意見交換により、自治会活動の実態把握に努めておりますが、今後とも各自治会と緊密に連携を図りながら取り組んでまいります。
次に、地域自治活動支援事業についてでありますが、市民協働のまちづくりを推進するため、清潔な地域づくり事業、福祉育成事業、安全な地域づくり事業、地域交流事業、地域自治活動事業に取り組む自治会に対し、費用の一部を補助するものであります。
なお、安全な地域づくり事業の中に、災害図上訓練(DIG)につきましても補助メニューとして含まれております。
この地域自治活動支援事業は、平成18年度に、自治会の世帯規模と事業実施状況に応じて加算する仕組みを導入するなど、自治会への各支援事業において定着しているところでありますことから、今後、各自治会活動の実態を把握しながら、事業実施の推移を見守ってまいりたいと考えております。
いずれにしましても、市といたしましては、自治会は市民協働のまちづくりを進めていくための重要なパートナーでありますことから、引き続き連携を深めてまいりたいと考えております。
私からは以上であります。
経済部長(岩井康夫君)
私から緊急保証制度についてのご質問にご答弁申し上げます。
本制度では北海道信用保証協会が1社当たり最大2億8,000万円までを保証するほか、金融機関との責任共有制度の適用対象外として北海道信用保証協会が100%保証することから、金融機関にとっても融資を行いやすい制度となっております。
この緊急保証制度を利用するには市町村が行う特定中小企業者の認定が必要であり、受付開始後1か月となる11月末現在の江別市の認定状況は、29件の申請があり、すべてを認定しております。
なお、北海道信用保証協会での保証承諾の状況については、江別市関係分は審査中も含め19件、合計3億7,500万円とのことで、12月中には引き続き多くの保証承諾の手続が見込まれているとのことであります。
次に、本制度の周知についてでありますが、国や道並びに独立行政法人中小企業基盤整備機構においてはパンフレットの配布や、ホームページでの情報提供を行っており、各金融機関窓口や各商工会議所においても既に中小企業者への制度案内・周知が行われているところであります。
なお、江別市におきましては、11月中旬に北海道経済産業局から制度の周知について協力要請がありましたことから、直ちにホームページへ掲載するとともに、広報えべつ1月号を活用し、より一層の制度の周知を図ってまいりたいと考えております。
以上でございます。
坂下博幸君
ありがとうございました。
一点質問をさせていただきます。地域自治活動支援事業についてです。
先ほどもご答弁いただきましたが、平成18年度に自治会の世帯規模や実施事業等に応じて加算する仕組みに見直しをされて、大変なご努力をいただいたということはただいまのご答弁で承知をいたしました。
しかしながら、先ほどDIGのお話をさせていただきましたが、地域防災組織をどうつくっていくのか。当然、災害はいつ起こるか分かりません。なかなか組織づくりが進んでいかないという現状もあります。
これは江別市全体の政策として進めなければならない問題だと認識しております。危機対策・防災担当でDIGを通して防災組織づくりを進めていますが、地域自治活動支援事業のメニューにあるということですので、江別市全体の政策課題として取り組んでいくことが必要だと考えております。
政策課題をよりスピーディーに地域の方に認識していただいて、様々な自治会の問題等はございますが、重点的にインセンティブを設けることで、江別市全体としての事業達成のスピードが上がるのではないかと考えます。もう一度市長のお考えをお聞きいたします。
もう一点は要望ですが、最後に触れました緊急保証制度の周知に関して、市長及び各部長は年末年始に様々な会合に参加する機会があると思いますので、周知、アピールをしていただければと考えます。
以上で2回目の質問を終わります。
生活環境部長(伊藤 武君)
私から再質問にご答弁申し上げます。
地域自治活動支援事業は36事業を補助対象としておりまして、その中には、地域清掃活動、子ども育成事業、地域防犯パトロール、防災訓練などがありますが、自治会ごとに地域事情があり、優先度を付けることは難しいと言われております。
市といたしましては、DIGを含め、それぞれの事業に対するインセンティブにつきまして、自治会の皆さんとご相談をしてまいりたいと考えております。
以上でございます。
副議長(鈴木真由美君)
以上をもって、坂下議員の一般質問を終結いたします。
散会宣告
副議長(鈴木真由美君)
本日の議事日程は全部終了いたしました。
これをもって散会いたします。
午後 1時32分 散会