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平成20年第1回江別市議会会議録(第4号)平成20年3月13日 4ページ

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 6 議事次第の続き

一般質問の続き

議長(星 秀雄君)

 相馬議員の一般質問に対する答弁を求めます。

市長(三好 昇君)

 相馬議員の一般質問にお答え申し上げます。
 地域包括支援センターについてでございますが、地域包括支援センターは平成18年度の介護保険法の改正により、介護予防ケアマネジメントや総合相談支援、また、高齢者の権利擁護などの業務を行う機関として新たに設置されたものであります。
 地域包括支援センターの設置数は、おおむね人口2万人から3万人に1か所が目安とされておりますが、当市においては、現在、市直営で介護保険課内に1か所、民間委託により江別、野幌、大麻地区の日常生活圏域ごとにそれぞれ1か所ずつ、計4か所を設置し事業を展開しております。
 市民への広報活動につきましては、平成18年度、平成19年度の2年間で、市の広報誌に14回掲載したのをはじめ、民生児童委員や自治会、ボランティア団体、高齢者クラブ等の方々を対象に説明した回数も68回に上っているほか、独自に作成したパンフレットなどによりPRに努めてきた結果、相談件数も平成18年度の345件から今年度は1月末現在で1,039件と増加している状況にあります。
 議員ご指摘のとおり、今後、真に必要な方に役に立たなければならない制度でありますので、地域包括支援センターをより活用していただくために、公共施設等へのポスターの掲示やパンフレットの有効活用、さらには市のホームページや各種通知書送付の際のPRなどを通じて、積極的に市民へ周知を図ってまいりたいと考えております。
 私からの答弁は以上でございますが、このほかの質問に対しましては、教育長ほかをもって答弁いたします。

教育長(高橋 侃君)

 私から特別支援教育についてご答弁申し上げます。
 本論に入る前に、冒頭で特別支援教育をどうとらえるのか、私の立場での特別支援教育に対する哲学と言ったらおかしいですが、考えを申し上げます。
 今議員が述べられた言葉の中に、発達障がいかそれとも個性かというフレーズがございました。例として適切かどうかは分かりませんが、エジソン、アインシュタイン、あるいはアメリカの某映画スターを出すまでもなく、例え発達障がいと認定されている子がいるとしても、この子はこの広い地球の中で唯一掛けがえのない個性的存在です。他の多くの子供たちと同様に、この子はこの子なりの個に応じた指導をするのが、特別支援教育の精神だろうととらえております。そのような考えに沿って、これから答弁させていただくことをお許しいただきたいと思います。
 まずコーディネーターの研修についてでありますが、コーディネーター研修は、各校のコーディネーターで構成されておりまして、そこでは情報交流を行い、その中で先進的な取り組みがあれば、それをそれぞれの学校に持ち帰り、実践段階で生かすなどの波及効果をねらい、実施しているものでございます。
 今後もこのような機会を通して、各コーディネーターの資質の向上や学校体制の充実につなげてまいりたいと考えております。
 次に、保護者や地域に向けての研修会についてでありますが、市教委では、保護者研修会のほかに、文書によりすべての保護者に対して特別支援教育に関する情報を提供し、啓発を行っているところであります。
 具体的には、各学校単位で特別支援教育の取り組み状況などを保護者の方にしっかりと知らせてきているはずですし、学校公開や参観日などの様々な機会をとらえ、保護者の方に特別支援教育に対する理解をいただいておりますが、今後一層の取り組みを行ってまいりたいと考えております。
 次に、今後の特別支援教育支援員の配置計画についてでありますが、江別市では特別支援教育支援員として、普通学級に特別支援教育補助員を、特別支援学級に生活介助員を配置し、身の回りの生活介助等を行っておりまして、平成19年度現在で、計18名を配置しているところでございます。
 今後は、特に普通学級において支援が必要な児童生徒のために、支援員を少しでも多く配置するよう努めてまいりたいと思っております。
 次に、学生支援員の派遣の実態と今後の展望につきましては、平成19年度特別支援教育体制推進事業の中の一つである学生支援員の派遣については、市としてもこれまで道に派遣の申請を行っておりますが、残念ながら決定には至っておりません。今後も努力してまいります。
 次年度以降も引き続き派遣要請をしていくことはもちろんでありますが、既に小学校4校におきまして、市内の大学生にボランティアで特別支援教育にかかわる活動をしていただいておりますので、今後も市内の大学等とも協力し、特別支援教育体制の充実に努めてまいります。
 次に、巡回相談の充実につきましては、医師や学識経験者、市立病院長にもご協力をいただいておりますが、特別支援学校等の実務経験者などで構成しております江別市特別支援教育専門家チームがございまして、平成19年度では市内10校で延べ14回の巡回相談を行っているところでございます。
 今後におきましても、この専門家チームを中心に、きめ細かく特別な支援の必要な児童生徒を対象に巡回相談を行ってまいりたいと考えております。
 次に、特別支援教育就学奨励費の周知についてでありますが、毎年、特別支援学級に在籍するすべての児童生徒の保護者に対し、奨励費に関する案内文書と申請書を配布し、該当者から申請を受け、認定を行っているところであります。
 最後に、幼稚園、保育園、小中学校や高等学校との連携の取り組みについてでありますが、平成19年度に設置した江別市特別支援教育連携協議会には、医師や学識経験者、幼稚園や高等学校、さらに特別支援学校等の関係者に参加をしていただいております。
 その中で、特別支援教育の現状や課題などを話し合い、問題をできるだけ共有化し、解決を図ってきているところです。今後もそういった形の中で連携を深めてまいりたいと考えております。
 いずれにいたしましても、特別支援教育は、議員が述べられたように、緒についたばかりでございます。今後、江別市の特別支援教育をどのように進めていくかということを考えますと、まだまだ教員の配置数が足りない、あるいは教員の共通認識の問題や保護者の理解、さらには教師の指導技術の改善等、特別支援教育を巡る課題が山積しているのが実態でございます。
 議員ご指摘の点を重く受け止めまして、江別市の子供たちのために良好な教育環境を整えるよう努めてまいりますので、ご理解をいただきたいと存じます。
 以上でございます。

教育部長(久田康由喜君)

 私から学校施設の防災対策につきまして、ご答弁申し上げます。
 まず、耐震化への取り組みについてでありますが、防災的な見地から収容避難所としての役割を担う学校施設を他の公共施設に優先し、耐震診断、実施設計を経て耐震改修工事を順次実施しているところでありまして、ご質問にありました学校を含め計画的に耐震化を進めてきており、今後も継続してまいりたいと考えております。
 次に、発災直後は窓ガラスの破損、建物に付属する書架などの落下物がありますと、二次災害も想定されますことから、各学校では書架の固定や、重量のある備品類を上に置かないなど日ごろから留意しているところであります。
 また、電話回線についてでありますが、防災の観点からNTTにおいて災害時優先電話の機能が組み込まれており、各小中学校には電話回線が確保されていることから、通話のふくそう時においても通信が可能となるものであります。
 なお、電話の有線接続が困難な場合には、移動式防災無線により対応をすることとしているところであります。
 次に、電気・水道の復旧につきましては、電気は個々の学校施設には発電機の配置はございませんが、市内では6系統の送電ルートがありまして相互に補完機能があることや、状況によっては発電車の臨時対応なども含めて早期の対処が可能となっております。
 また、飲料水や洗浄水などの水の確保につきましては、緊急貯水槽や配水池から給水車などによる給水が可能になっているものです。
 次に、学校が避難所となる場合の運営についてでありますが、まず、校長は施設管理者として緊急時には市の災害対策本部長から連絡を受け、施設を解錠することや、状況によっては、自らの判断で臨機応変に学校を避難所として開設するなどの役割を担っているものであります。
 その後の避難所の実質的な運営は、市の災害対策本部の避難対策班の職員が避難所要員として随時学校側と連絡を取りながら対応することとなっております。
 いずれにいたしましても、あの痛ましい阪神・淡路大震災や新潟県中越地震を教訓として、各学校においては、いざというときの日常の安全確保や教職員の役割分担等を含めたマニュアルの整備とそれに基づく訓練などを年間の行事の中に織り込んでおり、防火・防災訓練を年間を通じて実施しているところであります。平成19年度では、地震や火災など小中学校全体で延べ70回、1校当たり平均2.5回の訓練を行っているところであります。
 次に、地域との連携につきましては、これまで、消防・防災連携訓練などの機会を通じて、平成18年度では1校、平成19年度に3校が訓練に参加しており、今後も、そのような機会を少しでも増やしていけるよう、検討してまいりたいと考えております。
 以上でございます。

相馬芳佳君

 ご答弁ありがとうございました。
 学校施設の防災対策について二点の質問と、一点の要望、地域包括支援センターの広報活動について一点の要望をさせていただきます。
 まず、再質問の1点目は平成18年度、平成19年度の地域での消防・防災訓練の実施状況について、さらにその訓練に小中学校の参加がありましたら、その状況についてお聞かせください。
 2点目は平成20年度に江別市が主催する防災訓練に、地域住民や収容避難場所になっている学校の参加計画はあるかどうかについてお聞かせください。
 私の住む自治会の総会議案書には、自主防災組織の規約抜粋がきちんと入っておりました。来年度の事業計画の中の防災訓練について、消火器の使い方や初期消火という従来の訓練から、実際に収容避難所への避難訓練を入れてはいかがかという提案がされています。地域住民としてシミュレーション等によるマニュアルの点検がなされると、不明な点や変更が必要な箇所に気付き、災害による被害の抑制につながると思われます。
 続いて、公立学校耐震化が緊急性を要し、道教委でも現状を把握するための優先度調査は第1段階として実施するよう呼び掛けるとともに、補助制度などの周知を図っていきたいとあります。政府における耐震化推進に向けた取り組みでは、自然災害の犠牲者ゼロを目指すために早急に取り組むべき施策の学校耐震化関係で、公立小中学校施設の約1万棟について、今後5年間をめどに、地方公共団体の実施する耐震化の推進を図るとあります。
 このように耐震化診断は順次計画されていますが、その実施から実際に工事完了までは時間が掛かります。その間に、例えば二次災害の防止として、書架の壁面や天井への固定や視聴覚設備の固定、また、体育館の窓ガラスの補強シールなどは各学校に任されているように思われます。教育予算も限られていますが、各学校で独自に工夫され、業務主事との協力により設置をするなど、江別市としても積極的に取り組んでいただけるよう働き掛けをお願いし要望といたします。
 最後に、地域包括支援センターの広報活動について、2年余りの活動の中でできる限りのお知らせをされている現状を伺いました。相談された方から、応対が親切だったという声が届いていますので、もっと高齢の方の身近な相談場所と認識されるために、例えばバスや自動車などからも認識できる看板の設置や65歳の方へ市から送られる介護保険のお知らせに、お気軽にご相談くださいという大きく電話番号を入れたカードを添える、あるいは市内の病院等に同じようなものを置かせていただくなどの広報活動を更に展開してくださるように要望いたします。
 以上で2回目の質問を終わります。

教育部長(久田康由喜君)

 私から相馬議員の再質問にお答え申し上げます。
 1点目の防災訓練の実施状況及び小中学校の参加状況でございますが、江別消防署の主催により、平成18年10月に直下型地震を想定してコミュニティセンター周辺で、平成19年8月には河川防災ステーション前の千歳川において水難訓練を実施しています。関係団体の協力をいただき、それぞれ698人、1,310人の参加による大規模な連携訓練が行われております。
 これらの訓練には、平成18年度は江別小学校の全校児童216人が、平成19年度は江別太小学校、豊幌小学校、北光小学校の計503人が参加しているところであります。
 次に、2点目の平成20年度の防災訓練等への参加計画でございますが、平成20年度におきましては、北海道防災総合訓練が江別市で計画されているとのことでありますので、こうした機会をとらえて学校の訓練参加を進めてまいりたいと現在考えているところでございます。
 以上でございます。

議長(星 秀雄君)

 以上をもって、相馬議員の一般質問を終結いたします。
 一般質問を続行いたします。
 齊藤佐知子議員の市立病院の産科体制についてほか1件についての質問を許します。通告時間20分。

齊藤佐知子君

 議長の許可をいただきましたので、通告に従いまして順次質問させていただきます。
 最初に、市立病院の産科体制についてお伺いいたします。
 江別市では、現在、市立病院の産科医が不在のため分べんができない状況にあります。
 昨年の12月定例会において、宮澤議員の方からも質問されておりますが、人口約12万3,000人の江別市で分べんできるところが、民間の1医院しかないことは、これから子供を生みたいと思っている若いお母さん方にとって大変に不安であり、札幌市の医療機関に通うにしても、大変だとの声も伺っております。
 せっかく、江別市に夢と希望を持って新居を構え、将来の家族構想を立てていても、肝心の出産ができる環境が身近にないことは、子供を生むこと自体を控えてしまい少子化に歯止めが掛からないのではないでしょうか。
 私たち、公明党会派は、先月、江別市と同様に産婦人科医の退職による問題を抱えながら、助産師による分べんを開始している伊丹市の市立伊丹病院と、視点は異なりますが出産本来の姿は自然分べんであるととらえ、分べんのサポートを中心とした助産師外来・院内助産所を開く民間病院である神戸市の佐野病院を視察させていただきました。
 江別市立病院の産婦人科病棟再開に向けて助産師外来・院内助産所の新設をお考えいただきたく、参考になればと思い、ご報告と同時に質問させていただきます。
 神戸市の佐野病院では、県産婦人科学会会長であり同病院理事長である三浦徹医師と助産師らの発案で11年前の1997年、正常な出産で妊産婦が強く希望する場合に、助産師が分べん介助する助産科を開設し、全国に先駆けて院内助産所のシステムを築いたとのことです。
 三浦医師は、医師は異常分べんのエキスパートであり、助産師は正常分べんのエキスパートという役割分担がある。分べんは寄り添いが大事であり、それには助産師の方が適していると強調されていました。
 助産科では、検診時間は医師が1人10分なのに対し、1人約45分です。妊産婦からも医師だと遠慮して聞けないことも、じっくりと時間を掛けて聞いてくれるので安心であるなどと好評で、キャンセル待ちの状態とのことであります。
 昨年1月には、分べん場所を他の病棟と区別するため、ばーすセンターを設置しました。出産は病気ではないという意識を浸透させるのがねらいで、食事も病棟の患者とは別の場所で作ったものを提供しています。
 また、助産師の所属を、看護部から診療技術部に移すことで交代勤務から解放し、助産師が出産に専従できる体制にしています。
 助産科開設以来、昨年10月までの分べん件数は1,020件です。取扱い件数は年々増加していますが、異常が生じて帝王切開に移行する比率は逆に低下し、2005年度はゼロ件とのことです。このため、病院全体の帝王切開率も、かつて24.8%だったのが、助産科を立ち上げてからは14.8%まで下がったとのことです。
 三浦医師は、最近、産科医不足が社会問題として取り上げられているが、そのために始めたわけではなく、あくまで妊産婦の立場に立った、妊産婦が主役の医療が目的であり、結果的に助産師のやりがいが高まり、医師の過重労働の負担軽減という輪が広がったとお話しされておりました。 
 また、伊丹市の市立伊丹病院では、2006年6月から産科医不足が生じ、分べんを制限せざるを得なくなり、このままでは出産自体ができなくなるとの危機的状況の中、助産師を中心に何かできないか、自分たちの目指す分べんを自分たちの手でやりたいと考え、助産師外来と院内助産所を始めるための企画書を病院側に提出しました。
 看護部、医事課、産科医、小児科医も加わってプロジェクト・チームを発足し、助産師は市内の民間病院や助産院に研修に行くなどして準備を進め、昨年4月に助産師外来を、7月に院内助産所をスタートさせております。
 助産師外来では、医師の許可の下、正常に経過している妊婦を対象に、妊娠20週以降は助産師による検診と保健指導を受けることができます。こんな出産をしたいというバースプランを作成し、できるだけそれに沿った形で援助を行っていきます。
 また、院内助産は、出産時に分べん台を使わず、自由な分べんが可能です。先ほど紹介した佐野病院もそうでしたが、分べん室が畳やフローリングの個室で、そこに敷かれた布団の上で好きな体勢で出産ができ、まるで自宅にいるようなリラックスした雰囲気で家族と共に分べんができるのです。
 陣痛促進剤などの薬剤を使用せず、妊婦のペースに合わせて、本来備わっている生む力を最大限に生かして自分らしい出産ができます。そして、出産後の部屋はすべて家族同伴で自由に過ごせるようになっています。
 同病院では、12人の助産師が交代で医師による分べんと、院内助産での分べんを行っています。母子の安全を最優先に掲げ、過去に帝王切開や子宮の手術を受けていない、甲状せん疾患など合併症がない、胎児の心拍数が正常範囲であるなどの基準も設けております。
 助産師だけの出産介助でも、出産時の異常が起きた場合に総合病院ならではのバック・アップ体制を取っているとのことです。
 立上げの中心となった永松成子看護部長は、妊婦が自分で生んだと実感できる分べんにしたい。責任が大きい分達成感があり、身内が分べんしたような気持ちになります。リスクがあれば、すぐに医師に診てもらいますとお話ししておりました。
 日本助産師会によると、助産師は、女性の妊娠、出産、産じょくの各期を通じて、サポート、ケア及び助言を行い、助産師の責任において出産を円滑に進め、新生児及び乳児のケアを提供するために、女性とパートナーシップを持って活動する。助産行為ができるのは医師か助産師だけですが、助産師は応急処置以外の医療行為はできません。助産師の資格を持っていながら助産師として出産の現場に携わっていない潜在的な助産師の方々の掘り起こしや何らかの都合でこのような資格を持ちながら離職した方の復職支援も大きな課題とのことです。
 2006年度現在で助産師の免許所有者は約5万5,000人おりますが、助産師として働いているのは2万6,040人と半分以下にすぎないそうです。助産師は、資格制度上看護師資格を持っていますが、多くの病院で、助産業務に従事せずに看護師として働いている人が多いとのことです。全国的に広がる産科崩壊阻止への抜本策がなかなか見えてこない現在、助産師という人的資源の活用が一つのかぎになるとも言われています。
 三浦医師は、出産は女性本来の生む力を十分に発揮しようと努力する妊婦、それにしっかり寄り添う助産師、それを見守る医師の三者による共同作業である。また、出産の在り方が満足感の得られる良いものでないと、その後の子育てにも影響しかねない。良い出産なら赤ちゃんに自然と愛着がわいて子育てもスムーズに進む。現在の社会で起こっている現象は出産の在り方にも起因する。自然分べんは、本来の親子関係のきずなを深くすることにつながり、また、夫の立会いによって夫婦間のきずなも深まると指摘されております。 
 江別市立病院経営健全化計画の中で、分べんと婦人科疾患による入院の受入れを再開できるよう産婦人科医の確保に努め、併せて小児科医との連携による女性医療センターの立上げを目指すとあります。産科医不足の大変難しい状況にあることは理解をしていますが、出産のできる市立病院を望んでいる多くの市民にこたえるためにも、前段でお話ししました産科医との役割分担をしながら助産師が産前産後のケアや分べん介助に当たる助産師外来、院内助産所の設置が必要と考えます。
 また、先ほど述べた助産師の資格を持ちながら潜在する助産師の人材発掘と、現在、看護業務に就いている助産師の能力向上に向けた研修などが必要と考えます。
 以上の二点について、市長のご見解をお聞かせください。
 次に、メンタルフレンド制度についてお伺いいたします。
 メンタルフレンド制度は不登校をつくらない安心サポート体制として、何でも話せるお兄さん、お姉さんの派遣事業です。一緒に学ぶ良き兄、姉の存在は、子供たちに安心感を与えます。
 また、いじめに遭ったり不登校傾向にある子供の良き話し相手・相談相手となることで、子供たちの人間関係を修復する役割も期待できるとのことです。そのために、心理や教育関係の学科に通う大学生などを派遣し、子供の学習意欲や自信の回復、コミュニケーションを図ることで子供の心理的負担を軽減します。
 また、教員OBを子供や親の悩みや不安を聞く子供と親の相談員として活用し、子供と親の相談体制を整えることも重要とのことです。
 滋賀県では、平成13年度からメンタルフレンド事業を3年間の試験事業として実施してきました。
 教師を目指す大学生らを県内の小学校や適応指導教室、家庭に派遣し、不登校児童と触れ合う活動を展開しております。
 初年度は、研修を受けた大学生25人を、要請があった11の市町に延べ1,027回、事業の最終年度の2003年度には、50人の学生を延べ1,500回派遣したとのことです。その結果、担当した104人の児童のうち、欠席が減ったり適応指導教室に行くようになったなど79人の児童の状況に好転が見られ、さらに教室に行けなかった児童69人のうち、実に半数以上の37人が教室登校をできるまで改善されたとのことです。
 こうした成果に、県は2004年度から正式にスクーリング・ケアサポーター事業として立ち上げ、予算も大幅に増額しています。2004年度は、77人の大学生を延べ2,500回、2005年度と2006年度は80人以上の大学生を延べ4,000回ずつ派遣してきたとのことです。その結果、昨年度はケアサポーターがかかわった311人の児童のうち、9割以上の286人の状況に好転が見られ、教室に行けなかった152人のうち4割近い58人が教室に行けるようになったとのことです。
 ケアを受けた児童からは、先生に言えないことでも、ケアサポーターになら気軽に話ができる。ケアサポーターがそばにいると教室に入れたり遊んだりできる。相談に乗ってくれたり勉強を見てもらうと自信が出てくるなどの声があり、好意的な反響が寄せられているとのことです。
 子供たちにとって、お兄さん、お姉さんとの出会いが、本来の自分を取り戻すきっかけになり、自信を持ち楽しい生活を送ることができることにつながるのではないかと考えます。
 また、青森県においては、この制度をふれあい心の友訪問援助事業として実施し、不安、無気力、心身症状などで不登校の状態にある児童の元に大学生などが赴き、児童との触れ合いによってその自主性や社会性を伸ばしていこうと平成4年10月からスタートしています。
 メンタルフレンド事業に参加した学生は、人と接することについて考えさせられた。してやるではなく一緒にするという視点が大事だと思った。また、自分自身が相手に心を開かないと子供は心を開いてくれないし、自分に楽しむ気持ちがないと子供も楽しんでくれないと思ったなど、かかわった学生自身も人とのかかわり方や、相手ではなく自分自身の心が大切であることを認識することで学ぶ機会につながっているとのことです。
 以上述べましたが、江別市は文教都市として四つの大学があり素晴らしい環境にあります。是非4大学の人的・知的資源を活用して、江別市独自のメンタルフレンド事業を導入してはいかがでしょうか。
 支援を受ける子供たちにとっても、また、協力していただける学生にとっても実習の一環として単位に結び付けるなど、各大学との連携協議の中で考えてはいかがでしょうか。教育長のご見解をお伺いいたします。
 以上で第1回目の質問を終わります。

議長(星 秀雄君)

 齊藤議員の一般質問に対する答弁を求めます。

市長(三好 昇君)

 齊藤議員の一般質問にお答え申し上げます。
 市立病院の産科体制に関しまして、助産師外来や院内助産所の設置についてであります。最近、助産師外来、院内助産所とも妊婦の負担軽減や産婦人科医不足への対策として注目されていることは私としても承知しているところであります。
 市立病院におきましては、一昨年、分べんを扱っていたときの助産師数は16名でありましたが、産婦人科医の退職とともにその数は減少し、現在の助産師数は2名となり、そのうち1名も3月に退職が予定されているところであります。
 こうした状況におきまして、助産師外来あるいは院内助産所を開設するためには、一定数の助産師を新たに確保するとともに、分べん時の異常が起きた場合に備えて、常時産婦人科医のバック・アップ体制が必要となってきます。
 常勤産婦人科医師の不在の現状の中で一定数の助産師を確保することは極めて難しい状況であり、また、確保できたとしても、安全管理や経営上の問題など、解決すべき課題は多いものと考えているところであります。
 したがいまして、分べん受入れ再開のためにまず行うべきことは複数の産婦人科医の確保であり、そのための取り組みを平成21年度を目標に進めているところでございます。
 私からの答弁は以上でございますが、このほかの質問に対しましては、教育長ほかをもって答弁いたします。

教育長(高橋 侃君)

 齊藤議員の一般質問にご答弁申し上げます。
 ご案内のとおり、メンタルフレンド制度は、様々な社会的不適応を示し引きこもりがちな子供たちを対象に、子供たちの良き理解者となってあげられる学生を中心にメンタルフレンドとして登録した者を派遣し、その遊びや触れ合いを通して子供の社会性や自主性の伸長を援助するものでございます。
 当市におきましては、北海道の事業として、北海道中央児童相談所のメンタルフレンド制度によって子供の要求あるいは希望に沿った形で派遣されてきているところでございます。
 メンタルフレンドは、子供たちの家庭を訪問して話し相手や遊び相手、あるいは学習への援助等の対象になることから、こだわりが少なくてごく自然に人と接する許容のある人材が求められているところでございます。
 このようなことから、当市で仮に実施する際に考えられることは、登録前の事前研修が必要でありますほか、訪問活動の際の指導援助の仕方などを指導するために臨床心理士等の専門家による研修会の開催も必要となってまいります。
 また、北海道において実施されているメンタルフレンド制度と連携を図ることが求められるなど、非常に難しい課題があることも事実であります。
 しかしながら、ご提案の4大学との連携等によるメンタルフレンド事業につきましては、大学と市が相互の幅広い連携協力の在り方を見据える中で、たとえ、小さな一歩でも実現に近づけるように、各大学等のご意見も伺いながら接触してまいりたいと考えております。
 話は重なりますけれども、いずれにいたしましても、今、4大学と市の連携は、市長の積極的な姿勢もございまして、双方の思わくとあいまって動き出そうとしております。
 その中で、メンタルフレンド制度の導入や江別の学力向上をねらった学習支援事業などは、言わば、市民にも親にも目に見える形での取り組みであると思っております。
 齊藤議員のご提言を契機として、今後、できれば私自ら直接大学に出向いて、江別市としての趣旨を伝え、実現に向けて努めてまいりたいと考えておりますのでご理解をいただきたいと存じます。

 病院長(梶井直文君)

 お答え申し上げます。
 潜在する助産師の人材発掘と、看護業務に就いている人的資源の掘り起こしについてでありますが、当院に在籍する助産師につきましては、産婦人科の分べん休止に伴い、現在一般の看護業務に就いております。
 一方、助産師の資格を持ちながら、様々な理由により未就業である助産師が、本市をはじめ近隣市町村に潜在していると思われますが、その実数については不明であります。
 こうした潜在する助産師が自らの持つ知識や技術を生かすためには、まずは働く場としての環境づくりが重要であり、それに加えて、先ほど申し上げました緊急時に対応ができる常勤産婦人科医の存在が不可欠であります。
 こうしたことから、まずは、常勤産婦人科医の確保に最大限の努力を払いながら、潜在助産師の確保についても努めてまいりたいと考えております。

 齊藤佐知子君

 ご答弁ありがとうございます。
 一点の質問と要望をさせていただきます。
 助産師外来、院内助産所について再質問させていただきます。
 江別市の現状も含め、市民から早く市立病院で出産できる環境整備をしてほしいとの要望が大きいことも踏まえて、助産師外来、院内助産所のご提案をさせていただきました。
 三浦医師は、妊婦に寄り添うことが助産師魂であり、寄り添うことで妊婦の異常を察知しやすくなります。監視装置を長く使う必要がないのですとも言われ、助産科開設後、有名な養老孟司氏の出産は人間に残された最後の自然という言葉に意を強くしましたとお話しされておりました。
 ただいま、市長よりご答弁をいただいたところですが、市立病院のトップである病院長として、1回目の質問内容とも重複しますが、当市の現状を踏まえた上で、産科医確保の努力、まためども含めて見解をお伺いしたいと思います。
 次に、メンタルフレンド制度については要望といたしますが、核家族化や少子化傾向の中で子供たちは日常生活の中でのコミュニケーションをなかなか上手に取ることができなくなっている現状があります。そんなときにお兄さんやお姉さんがそばにいて声を掛けてくれたり、かかわっていくことによって、子供本来の自信につながり成長できると思います。
 また、先ほどもお話ししましたが、学生さん自身の人間形成にも大きな成果があり、子供たちにとってのメリットがあると考えますので、ご検討のほどよろしくお願いいたします。
 以上で質問を終わります。

病院長(梶井直文君)

 再度の質問にお答えします。
 今回、厚生の指標という2007年版の統計を持ってまいりましたが、その中に周産期死亡という定義があります。妊娠満22週以後の死産と生後1週未満の早期新生児の死亡を合わせたものを周産期死亡と言いまして、出生数に妊娠22週以後の死産数を加えた出産数1,000人に対しての周産期死亡率という一つの統計的な指標があります。
 2005年の統計によると、日本は1,000人に対して3.3人の死亡という素晴らしい数字を持っております。アメリカが7.0人で、イギリスが8.5人であります。これが1952年では、団塊の世代のちょっと後になりますが、このときは日本は1,000人に対して45.6人です。つまり、100人に対して約4.5人ということです。この当時、アメリカは32人、イギリスが38人です。ちなみに1975年は1,000人に対して16人、2005年では1,000人に対して3.3人と周産期死亡率が劇的に改善したという数字があります。産婦人科医と助産師、さらには新生児担当の小児科医が連携する日本の周産期医学の成果だと思っております。
 この周産期医学の成熟過程として、助産師による助産師外来で院内助産をされることは非常に素晴らしいことだと思いますが、私は子供の誕生から成長、発達をこの30年間小児科医として見てきました。また、子供の発達を見詰める小児神経科医としても勤務してまいりましたが、やはり周産期に起きる低酸素性脳症、つまり脳性まひ、重度の精神発達遅滞やてんかんを合併した重複障がいの子供も数多く見てきました。10年、20年と付き合ってきた私の立場としては、やはり周産期医療を大事にしたいという思いがあります。
 江別市で出産ができるところが1か所しかなく、市立病院に常勤の産婦人科医がいないということで困られていることは非常に分かります。平成21年度に産婦人科医を確保し女性医療センターを確立し、産婦人科医、助産師、新生児を担当する小児科医の連携の下で、自然分べんを望む妊婦に助産師外来や院内助産所という発想で開設をするということは、これから議論して目指すものだとは思いますが、今現在は、やはり産婦人科医を確保して、周産期という一つの医学の成熟したものを確立することが、市民に安心して出産を迎えてもらうということにつながると考えております。
 産婦人科医を確保するために、何とかこの4月には、せめて外来でも派遣してもらえるように北大の産婦人科教室と交渉を進めておりまして、その先に経営健全化計画にも掲げておりますとおり、女性医療センターを平成21年度に開設することを目指して鋭意努力しているところです。
 以上です。

議長(星 秀雄君)

 以上をもって、齊藤議員の一般質問を終結いたします。

散会宣告

議長(星 秀雄君)

 本日の議事日程は全部終了いたしました。
 これをもって散会いたします。
午後 0時01分 散会

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