令和6年第4回江別市議会定例会会議録(第3号)令和6年12月6日
1 出席議員
25名
議長 | 島田 泰美 君 | 副議長 | 内山 祥弘 君 |
議員 | 岩田 優太 君 | 議員 | 高橋 典子 君 |
議員 | 吉本 和子 君 | 議員 | 佐々木 聖子 君 |
議員 | 稲守 耕司 君 | 議員 | 吉田 美幸 君 |
議員 | 干場 芳子 君 | 議員 | 長田 旭輝 君 |
議員 | 三吉 芳枝 君 | 議員 | 奥野 妙子 君 |
議員 | 石川 麻美 君 | 議員 | 徳田 哲 君 |
議員 | 芳賀 理己 君 | 議員 | 野村 和宏 君 |
議員 | 藤城 正興 君 | 議員 | 本間 憲一 君 |
議員 | 鈴木 誠 君 | 議員 | 髙柳 理紗 君 |
議員 | 猪股 美香 君 | 議員 | 岡 英彦 君 |
議員 | 高間 専逸 君 | 議員 | 野村 尚志 君 |
議員 | 石田 武史 君 |
2 欠席議員
0名
3 説明のため出席した者の職氏名
市長 | 後藤 好人 君 | 副市長 | 川上 誠一 君 |
水道事業管理者 | 渡部 丈司 君 | 総務部長 | 白崎 敬浩 君 |
総務部調整監 | 野口 貴行 君 | 企画政策部長 | 三上 真一郎 君 |
生活環境部長 | 近藤 澄人 君 | 健康福祉部長 | 岩渕 淑仁 君 |
建設部長 | 佐藤 民雄 君 | 水道部長 | 廣木 誠 君 |
会計管理者 | 宮沼 直之 君 | 総務部次長 | 東 嘉一 君 |
財務室長 | 柴田 佳典 君 | 教育委員会教育長 | 黒川 淳司 君 |
選挙管理委員会 委員長 |
洞野 博文 君 |
4 事務に従事した事務局員
事務局長 | 福島 和幸 君 | 次長兼 総務課長事務取扱 |
錦戸 康成 君 |
庶務係長 | 深見 亜優 君 | 議事係長 | 小川 和幸 君 |
主査 | 木村 明生 君 | 主任 | 櫛田 智幸 君 |
主任 | 赤田 竜哉 君 | 書記 | 阿部 八輝 君 |
事務補助員 | 佐藤 孝子 君 |
5 議事日程
日程第 1 | 会議録署名議員の指名 |
日程第 2 | 一般質問 |
発言者及び発言趣旨
徳 田 哲 君 (一問一答方式)
1 防災・減災対策について
(1)江別市業務継続計画について
(2)災害時における死者・安否不明者の公表について
(3)上下水道施設の耐震化状況に関する緊急点検結果を受けた対応について
(4)被災地支援に向けた体制の整備について
(5)防災にフェーズフリーの考え方を取り入れることについて
2 あけぼの団地について
(1)建て替えのスケジュールについて
(2)建て替えに向けた方向性について
(3)事業手法について
長 田 旭 輝 君 (総括質問総括答弁方式)
1 投票率の向上について
(1)投票率低下に対する認識と今後の対策について
(2)期日前投票の実施会場を増やすことについて
(3)市内大学での期日前投票について
(4)投票時に支援が必要な方への投票しやすい環境づくりについて
岩 田 優 太 君 (一問一答方式)
1 行政のDX化について
(1)窓口業務の簡略化について
(2)市職員の業務の効率化について
石 川 麻 美 君 (総括質問総括答弁方式)
1 女性の視点を生かした災害対応について
(1)危機対策・防災担当への女性職員の配置について
(2)備蓄品について
(3)江別市防災会議における女性委員の登用の促進について
2 終活支援について
(1)終活支援の必要性について
(2)終活相談の対応について
(3)終活支援の専用窓口を設けることについて
(4)終活協力事業者と契約を締結することについて
(5)終活情報登録事業を実施することについて
野 村 和 宏 君 (一問一答方式)
1 ふるさと納税について
(1)制度変更後の寄附額の見直しについて
(2)寄附額減少見込みへの対策について
(3)今後の取組について
2 自衛官募集事務について
(1)改正後の個人情報の保護に関する法律に基づき対象者情報を提供することに対する認
識について
(2)対象者情報の提供方法の見直しについて
6 議事次第
◎ 開議宣告
議長(島田泰美君)
これより令和6年第4回江別市議会定例会第11日目の会議を開きます。
ただいまの出席議員は25名で定足数に達しております。
◎ 議事日程
議長(島田泰美君)
本日の議事日程は、配付いたしましたとおりであります。
◎ 会議録署名議員の指名
議長(島田泰美君)
日程第1 会議録署名議員の指名を行います。
会議規則第111条の規定により、
佐々木議員
本間議員
を指名いたします。
◎ 一般質問
議長(島田泰美君)
日程第2 一般質問を順次行います。
徳田哲議員の防災・減災対策についてほか1件についての質問を許します。一問一答方式、通告時間45分。
徳田 哲君
それでは、議長に発言の許可を頂きましたので、通告に従いまして、順次、質問させていただきます。
初めに、江別市業務継続計画についてです。以下、BCPと略しますけれども、業務継続計画についてお伺いいたします。
本年1月1日に発生した令和6年能登半島地震ですが、地震における被害にとどまらず、9月には、集中豪雨によって甚大な被害が発生しております。被災された皆様のことを考えると、胸が締めつけられる思いであります。心からお見舞いを申し上げますとともに、一日も早い復旧復興を願わずにはいられません。
今回の災害に関する詳細な検証は、現在も続いておりますし、また、これからということになりますが、1月の地震においては、集落の孤立などで職員が役所に参集できないなど、自治体BCPの実効性への課題が改めて浮き彫りとなりました。
江別市では、平成29年と、比較的早い段階で江別市BCPが策定されておりまして、中でも、特に重要とされている6つの要素があり、具体的には、1つ目に、市長不在時の明確な代行順位や職員の参集体制、2つ目に、本庁舎が使えなくなった場合の代替庁舎の特定、3つ目に、電気、水・食料などの確保、4つ目に、災害時にもつながりやすい多様な通信手段の確保、5つ目に、重要な行政データのバックアップ、そして、最後、6つ目に、非常時優先業務の整理、以上の6つとなりますけれども、これらもしっかりと網羅された江別市の計画ということになっております。
実は、自治体におけるBCPの策定は、全国の市区町村において97.9%とかなり進んではいるものの、前述した6要素のうち3要素以下しか盛り込まれていない自治体が15%ということになっておりまして、そうした意味では、江別市はしっかりと取り組んでくださっていると大いに評価をするところでございます。その上で、今後は、さらに、このBCPの実効性を高めていく不断の取組が必要であるものと考えます。
熊本県人吉市では、平成28年に発生した平成28年熊本地震後にこのBCPを策定しましたが、地震を想定した計画だったため、令和2年の豪雨災害では、災害対策本部を設置した仮本庁舎周辺が浸水するという想定外の事態が発生いたしました。災害における被害は、その種類や時間帯、気象状況などによって大きく変わりますので、想定される事態に対しては、より具体的な対応を検討する必要があるのではないでしょうか。
江別市BCPは、基本的に地震を想定したものになっております。また、さきに述べた6つの要素についても、それぞれに検討が必要な事項が示されているところでもあります。
こうした課題に加えまして、この間の訓練における蓄積、また、ほかの地域で発生した災害の状況なども踏まえて、質の高い計画を練り上げていく必要があるものと考えますが、今後における見直しや更新など、江別市BCPについてどのようなお考えをお持ちか、お伺いさせていただきます。
2点目としまして、災害時における死者・安否不明者の公表についてお伺いいたします。
災害発生時における捜索救助活動の迅速化、これは人命に直結する大きな要素として重要な課題となります。近年では、捜索活動を効果的・効率的に進める目的で、自治体が安否不明者の氏名や住所の一部などを積極的に公表する動きが広がりを見せております。安否不明者の情報が広く知られることによって、消息を知る家族や知人などから情報が寄せられ、既に発見されている人や死亡が確認された人を安否不明者リストから除外することができます。
こうしたことで捜索対象を絞り込み、救助活動を効果的に進めるのがこの公表の狙いでありまして、令和6年能登半島地震においても、石川県が発災から3日目となる1月3日の夜から安否不明者のリストを公表し、捜索現場の絞り込みに役立てられたところであります。
北海道では、平成30年に発生した平成30年北海道胆振東部地震の災害検証において、災害時における氏名等の公表に関する取扱いについての方針の策定を提言されたことを踏まえまして、令和3年8月に、災害時における死者や行方不明者などの氏名等の公表についての取扱方針、正式名称は災害時の氏名等の公表取扱方針、これを定めておりまして、行方不明者の氏名等の公表が救出・救助活動の効率化、円滑化に役立つ場合について、住民基本台帳の閲覧等制限を確認の上、家族の同意がなくても公表することとしております。
一方、死者の氏名等の公表については、どの都道府県も慎重となる傾向にありまして、原則として家族の同意がなければ公表しないというところがほとんどであり、北海道も同様の方針となっております。
ここまで述べてきた災害時における死者・安否不明者の公表でありますが、実は、国の防災基本計画には特段の定めがありません。自治体の判断に委ねられているところであります。他方、人的被害の人数については、都道府県が一元的に集約することとなっておりますことから、氏名等の公表についてもこれに準拠して都道府県が主体となって行っているというのが現状でございます。
さきに触れた北海道による災害時の氏名等の公表取扱方針の中では、公表に係る役割分担として、1つ目に、北海道は、氏名等の公表及び公表内容に係る報道対応を行う。2つ目に、市町村は、死者・行方不明者等に係る住民基本台帳の閲覧制限の有無並びに家族等、家族または遺族のことを言いますが、この同意の状況の確認及び確認結果を北海道へ報告するということ。そして、3つ目に、警察本部は、北海道及び市町村との情報共有を行う、この3つを挙げておりまして、さらに、この取扱方針は、市町村や警察等が独自に公表することを妨げない、こうした一文が明記されているところでございます。
市として、必要に応じて独自に災害時における死者・安否不明者の公表を行う可能性はあるのかないのか、また、あるとすれば、公表基準の策定及び市民への周知、さらには、こうしたことに対する理解を得る取組などが必要であると思うところですが、どのようなお考えをお持ちか、お伺いさせていただきます。
続きまして、3点目として、上下水道施設の耐震化状況に関する緊急点検結果を受けた対応についてお伺いさせていただきます。
令和6年能登半島地震で、水道施設や管路の損傷が相次ぎまして、最大約14万戸で断水をするなど、甚大な被害が発生した教訓を踏まえて、国土交通省が実施した上下水道施設の耐震化状況に関する緊急点検結果が11月に公表されたところでございます。
避難所や病院などの災害時に拠点となる重要施設のうち、施設につながる管路が上下水道ともに耐震化されている施設の割合、これは報道によりますと、国土交通省の発表でもそうですが、全国で約15%であり、北海道内では5%にとどまるという結果が発表されたところでございます。
江別市の結果はどうであったかと言いますと、この資料を拝見すると、取水施設及び浄水施設、さらには下水処理場の耐震化率がゼロ%、配水池の耐震化率が10%、この報告結果では、江別市の重要施設は11施設と報告されていますが、重要施設に接続する水道管路の耐震化率が27%、同じく重要施設に接続する下水道管路の耐震化率が94%、そして、接続する水道、下水道の管路等の両方が耐震化されている重要施設の割合がゼロ%と、そのような結果が公表されているところでございます。
この間、江別市では、計画的に基幹管路の耐震化が行われてきたところでございますが、より災害に強い上下水道を目指していくとするならば、今回の点検結果を踏まえて、耐震化の優先順位を再検討する必要も生じるのではないでしょうか。
また、国土交通省は、来年1月までに全ての水道事業者や下水道管理者等に対して、今般の緊急点検の結果を踏まえた上下水道耐震化計画の策定を要請しているとのことでありますが、こうした計画の策定なども含めまして、今回の緊急点検の結果を受けた市としての今後の対応についてお伺いさせていただきます。
次に、4点目としまして、被災地支援に向けた体制の整備についてお伺いいたします。
本年3月、根室市におきまして、根室市大規模災害被災地支援及び被災者受入れ支援に関する条例が施行されました。この根室市大規模災害被災地支援及び被災者受入れ支援に関する条例は、大規模災害の被害を受けた根室市以外の自治体を支援する際に、市としての基本方針を示すものでありまして、平時より災害支援の基本的な考え方を明確にし、災害時に迅速な支援を行うことを目的としたものでございます。
この根室市大規模災害被災地支援及び被災者受入れ支援に関する条例では、被災地への物資の供与または義援金の募集と送金、被災者への住宅等の提供、生活支援金等の支給のほか、支援活動に従事する職員の派遣等の支援措置を講じること、そして、市民等が被災地で災害ボランティアを行う場合のボランティア保険の加入の支援についても規定されております。
全国的に災害が多発している中、いち早く支援に向けた対応を可能とする体制の整備は大変重要であるものと考えます。また、こうした支援する力というのは、受援力、すなわち援助を受ける力の強化に資するものでもありまして、被災地を支援することは、逆の立場になったときに必ず生きてくるものでもあります。
石垣根室市長は、北海道新聞の取材に対して、基本条例があれば、被災地支援を行うべきか迷う必要がなく、迅速に対応できるようになるとお話をされております。
今定例会においては、被災地支援における江別市職員の特殊勤務手当に関する条例の一部改正が提案されているところですが、災害が発生した都度、支援について考えるのではなく、常に備えておくということ、条例の制定なども含めた被災地支援に向けての体制整備を行うことについて、御見解をお伺いさせていただきたいと思います。
ここまでは、しっかりと災害に備えていくという視点からの質問でございましたけれども、1件目の最後、5点目は、平時と非常時における局面、いわゆるフェーズの垣根を取り払った備えない防災という考え方、フェーズフリーについてお伺いをさせていただきたいと思います。
このフェーズフリーは、日常生活を豊かにしつつ、安全・安心な社会を目指すという概念でありまして、平成26年に社会起業家の佐藤唯行氏が提唱したものでございます。
佐藤氏によりますと、災害に備えようと社会全体で呼びかけは行われているが、なかなか行動できていない人が多いのが現実、これは一人一人の防災意識が低いからではなく、いつ起こるか分からない防災のためにコストを費やして準備することが大きな負担で難しいからだと。こうした備えられないという社会的な弱さを前提に、日常生活を向上させる延長で、災害時には命を守ることにつながる商品やサービスを開発できないかと提案したのがフェーズフリーだと述べられております。
本年、会派の行政調査として、2017年にフェーズフリーの研究と市民への啓発、これを地域防災計画に盛り込みました徳島県鳴門市を訪問させていただきまして、その取組や施設整備についてお話をお伺いしてまいりました。
令和4年に開業した徳島県鳴門市の道の駅くるくるなると、渦潮が有名ですから、そうした名前の道の駅が建設されたところですが、この道の駅くるくるなるとには、建物の屋上の展望デッキにオブジェや子供が遊べる遊具が配置されておりまして、子供がそり遊びを楽しめる、屋上から人工芝のスロープが地上へとつながっております。
このスロープは、南海トラフ地震が発生した場合、想定される津波から施設利用者や地域住民が屋上へ避難する経路となるように設計されております。担当者は、日頃から住民が親しみ印象に残る憩いの場が避難場所になることで、災害時には円滑な避難が期待できると話しておりました。
また、道の駅の物販スペース、これは地域の特産品をはじめとして豊富な品ぞろえで営業されておりますが、災害時には、売られている商品を避難者に向けて3日間1,000人分の食料として配布することを前提に、この物販も考えられているというものでありました。この仕組みであれば、別途、防災備蓄品として飲料水や食料を確保・管理する手間が省けるというわけでございます。
さらに、本年5月から稼働している市役所の新庁舎、これは敷地全体を1.3メートルかさ上げしまして、防潮堤でこの周りを囲った上で、庁舎前に広場を設置しております。平時は、イベントの開催などで利用することが想定されていますが、災害時には、津波から救急車などの緊急車両を守るための駐車スペースとして活用することを想定しています。
ちなみに、この庁舎の隣に消防本部がありますので、こうした造りになっているということです。
こうしたハード面の整備にとどまらず、例えば小学校の教育においては、算数の授業で速さを教える際に、一般的なライオンが走る速さみたいなもので例えるのではなくて、津波の速さ、到達時間、これを例題にして算数の授業を行うとか、また、一般的なハザードマップ、江別市にもありますけれども、これにウオーキングで活用できる登山道などを記載しまして、まち歩きマップという形にして、避難所や危険箇所の確認だけではなく、それが健康増進にも活用できるといったことにするなど、ソフト面の取組も進められているところでございます。
以上、徳島県鳴門市における主な取組を紹介させていただきましたが、現在、こうした日常と緊急時の垣根をなくした考え方の下で、施設整備や備品調達を行っている他の自治体の事例も増えてきております。
災害が発生すると、平時の社会問題がより強く表に現れてくるものであります。いつもともしもをつないで、みんなで日常の社会問題の解決や生活の質を高めていきながら人の命を守っていく、また、福祉や教育などの政策に注力しながら災害への対応も進めていく、この限られた予算を有効に、そして、最大限に活用していくという意味においても、こうした考え方は大変重要ではないかと考えるところですが、防災・減災を進める有効な手段として、様々な施策や事業にフェーズフリーの考え方を取り入れることについて、御見解をお伺いさせていただきます。
続きまして、件名2、あけぼの団地についてお伺いさせていただきます。
昨年度、建て替え工事が無事終了いたしました新栄団地でございますけれども、先日、北海道地域住宅協議会主催の2024北の地域住宅賞で奨励賞を受賞されたということでございまして、こうした事業に高い評価を頂いたことを、私も大変うれしく思っています。
そして、建て替えということで言えば、次はいよいよあけぼの団地の再整備ということになろうかと思います。この件については、令和3年3月に策定されております江別市営住宅長寿命化計画に記載されているところですが、あけぼの団地は、令和9年度より、Aブロックにおける建て替え事業に着手予定となっています。
政策空き家の住棟が1棟のみ立地しているDブロック及び飛び地であり周囲を一般住宅に囲まれているFブロック、Gブロックについては、計画期間である令和12年度までに用途廃止を検討するということになっております。
また、これは次の計画期間ということになりますが、令和13年度以降の構想期間においては、都度、その需要を見定めながら、引き続き建て替えや用途廃止を進めるものとされているところであります。
次に、あけぼの団地の再生に向けたコンセプトとしては、福祉施設や子育て関連施設が立地する優位性も生かしながら、誰もが安心して生活できる空間づくりを行っていくとされておりまして、次の7点がコンセプトとして挙げられています。
1つ目は、高齢者が安心して生活できる団地、2つ目は、子育て世帯に便利な団地、3つ目に、多様な世代が触れ合い活発なコミュニティーが生まれる団地、4つ目に、次世代に継承できる良質な住宅・住環境づくり、5つ目に、周辺の自然環境と融合した団地、6つ目に、低層で構成される周辺住宅地と調和した団地、7つ目に、パークゴルフ場などと連携した健康増進の団地、こうしたコンセプトが江別市営住宅長寿命化計画で示されているところでございます。
現状におけるあけぼの団地周辺が持つ魅力や強みを生かし、抱えている課題、また、入居者からの声に応えていくということから考えれば、こうしたコンセプトになることは十分理解をするところであります。私も、あけぼの団地自体を再生するというコンセプトであれば、全く異論がありません。
しかし、ここはもう一歩考えを広げて、建て替えによってあけぼの地域を再生し活性化する、その核になる施設整備としてのあけぼの団地建て替え事業とすることはできないものでしょうか。
本年、これも会派として大阪府大東市のもりねき住宅という公営住宅を視察させていただきました。かつて、もりねき住宅の一帯は、築40年以上の5階建てや平屋などが立ち並ぶ飯盛園第2住宅という団地でありました。地域は高齢化率が36%で、市全体よりも9ポイント高くなっていたということです。ほかにも周辺には古い団地や施設が多かったため、民間による開発が進まないという課題を抱えておりました。
当時の市長は、施設個々ではなく、エリアごとに発展させる発想が必要だということを打ち上げまして、平成28年度に公民連携による建て替えを決定いたしました。隣接する公園を合わせた約1ヘクタールの土地を活用してのプロジェクトは、飯盛山のもりと、河内弁では近いをねきと言うそうですが、これを合わせた造語としてもりねきが愛称になったそうであります。
この市営住宅建て替えは、民間の資金やノウハウを活用した国内初のパブリック・プライベート・パートナーシップ、このPPPと呼ばれる公民連携の手法を活用した事業でありまして、この再整備によって、木造低層の共同住宅を中心に、北欧のライフスタイルをテーマとした物販施設、これにはアパレル系企業の本社機能の誘致にも成功しておりまして、そこに新たな雇用も生まれております。また、飲食店、そして開放感がありイベントなどを行える公園を備えたエリアへと見事に生まれ変わりました。
高齢化が進む地域の価値を向上させるとともに、将来は、この住宅を民間賃貸への切替えも視野に入れているということで、持続可能な地域再生モデルとして大変注目されている事業でございます。
我々が訪問したのは平日の午後でしたが、このカフェには多くの人が集い、物販施設ではワークショップも行われるなど、また来たくなる、そして、ここに住みたいというふうに思わせるようなエリアでありました。
また、実際に地域の価値の向上という部分では、もともとこの周辺は、外からの交流人口がほぼゼロであったものが、この地を目的地として訪れる人が増えまして、また、近隣にある中学校、高校、大学の学生たちも、アルバイトやイベントに足を運ぶようになり、新たな人の流れができているということでございました。
さらに、近隣の既存施設が改装されたり、新たな店舗が開店したりと、まち全体が活性化しつつありまして、周辺の地価はかつての1.25倍になったということでございました。
この地を訪れまして、あけぼの団地周辺もこんなふうになったらすてきだなというふうに思いを膨らませながら、現地を後にしてきたわけでございます。
以上を述べさせていただきまして、次の3点についてお伺いさせていただきます。
1点目として、あけぼの団地建て替えに向けた計画の策定や設計などがどのように進められていくのか、そのスケジュールについてお示しいただきたいと思います。
2点目として、前段で江別市営住宅長寿命化計画における建て替えのコンセプトについて述べさせていただきましたが、そのエリアの価値も向上させていくといった考え方も含めまして、建て替えに向けた方向性について、現段階で示すことができるものがあればその内容を、そして、今後の検討ということであれば、いつまでにどのような過程で検討されていくのか、前段のスケジュール感と重なる部分もありますけれども、その点をお示しいただきたいと思います。
3点目に、事業手法について、特に、民間のノウハウを生かしていくという検討がなされるか否か、また、そうした検討はどのような場で行われ決定をされていくのかについてお伺いさせていただきます。
以上で、1回目の質問とさせていただきます。
議長(島田泰美君)
徳田議員の一般質問に対する答弁を求めます。
市長(後藤好人君)
徳田議員の一般質問にお答え申し上げます。
私からは、防災・減災対策に関しまして、まず、江別市業務継続計画について御答弁を申し上げます。
業務継続計画は、行政自らが被災し、人、物、情報など、利用できる資源に制約がある状況下において、優先的に実施すべき業務を特定するとともに、業務の執行体制や対応手順、業務の継続に必要な資源の確保等をあらかじめ定め、地震等による大規模災害時であっても適切に業務を行えるようにすることを目的としたものでありまして、当市では、平成29年に江別市業務継続計画を策定しております。
本計画では、特に重要な6要素として、市長不在時の代行順位、本庁舎が使用できない場合の代替庁舎の特定、電気、水・食料の確保、災害時にもつながりやすい多様な通信手段の確保、重要な行政データのバックアップ、非常時優先業務の整理について、あらかじめその対応を定めており、そのうち非常時優先業務の整理に関しましては、市の組織改編等に合わせ、優先業務の洗い出しや必要な見直しを行ってきております。
また、6要素それぞれに今後の検討事項を整理しており、代替庁舎の特定では、本庁舎とそれ以外の市有施設の取扱いについて、電気等の確保では、業務継続に必要な電力量の検証、非常用発電機の機能強化、計画的な備蓄など、現在検討を進めている本庁舎の建て替えに関連したものが多くなっております。
このため、本計画の見直しにつきましては、他地域での災害対応状況なども踏まえながら、新庁舎の建て替えに合わせて行ってまいりたいと考えております。
次に、被災地支援に向けた体制の整備についてでありますが、市では、これまでも、東日本大震災や平成28年熊本地震など大規模災害時において、被災地からの要請に基づき、職員の派遣による人的支援、応急物資の提供や義援金の送金などの物的支援、この両面による被災地支援を行ってきております。
本年1月に発生した令和6年能登半島地震の被災地に対する支援では、要請に基づく人的支援として、石川県に水道部技術職員8名を派遣し、石川県七尾市や石川県珠洲市で応急給水支援活動に当たったほか、石川県輪島市に総務部危機対策・防災担当職員1名を派遣し、物資拠点での物資管理及び受け払い業務に当たったところであり、また、石川県に義援金100万円をお送りしているところでございます。
このほかにも、地震により被災した建築物等の継続使用の可否を判定する応急危険度判定士の派遣や広域避難として市営住宅への入居を希望する被災者の受入れ準備などを進めていたところでありますが、要請等がなく実施に至ってはおりません。
被災地支援に向けた体制の整備に関しまして、現行の全国都道府県における災害時等の広域応援に関する協定の枠組みでは、全国を7ブロックに分けておりまして、この7ブロックのうち、北海道は北海道・東北ブロックに属しており、ブロック内の応援体制や隣接ブロックへの応援体制などが定められております。
また、北海道とは、職員派遣、車両や物資のあっせん、被災者の受入れなど、災害時等における北海道及び市町村相互の応援協定を締結しているほか、市独自の取組として、友好都市の高知県土佐市とは、食料や生活必需品の提供、職員派遣、被災児童の一時受入れなどの災害時相互支援協定を締結しております。
こうしたことを踏まえまして、議員が御質問の被災地支援に関しましては、現行の枠組みの中で対応しながら、条例制定市の状況などを参考に、体制整備の在り方について検討してまいりたいと考えております。
私からの答弁は以上でありますが、このほかの御質問につきましては、総務部調整監ほかをもってお答え申し上げます。
総務部調整監(野口貴行君)
私から、防災・減災対策についての御質問のうち、災害時における死者・安否不明者の公表について御答弁申し上げます。
令和3年に北海道が策定した災害時の氏名等の公表取扱方針では、北海道と市町村の役割分担を定めており、北海道は、氏名等の公表及び公表内容に係る報道対応を担うこと、市町村は、死者や行方不明者等に係る住民基本台帳の閲覧制限の有無並びに家族等の同意の状況を確認し、その結果を北海道へ報告することとされております。
国は、発災当初の72時間が人命救助において極めて重要な時間帯であることから、救助に際し積極的に個人情報を活用する必要があるとして、個人の権利・利益を保護する必要がある者には、十分な配慮が必要であることなども踏まえ、令和5年3月に、防災分野における個人情報の取扱いに関する指針を作成しました。
北海道は、この指針を踏まえ、令和6年1月に災害時の氏名等の公表取扱方針を改正し、救出・救助活動に資する場合で、住民基本台帳の閲覧等制限がない場合には、行方不明者等の氏名等を、家族等の同意を得ることなく速やかに公表することとしたものであります。
議員が御質問の必要に応じて市独自に災害時における死者・安否不明者の公表を行うことに関し、現在、想定し得る地震や水害などの災害においては、北海道の災害時の氏名等の公表取扱方針に基づき対応してまいりたいと考えております。
以上であります。
水道部長(廣木 誠君)
私から、防災・減災対策についての御質問のうち、上下水道施設の耐震化状況に関する緊急点検結果を受けた対応について御答弁を申し上げます。
このたび国が公表した上下水道施設の耐震化状況に関する緊急点検結果につきましては、避難所や病院などの重要施設に接続する水道・下水道管路の両方が耐震化されている施設の割合や、急所施設と呼ばれる浄水施設、下水処理場などの耐震化されている割合が、全国的にどちらも低い水準となっております。
この上下水道施設の耐震化状況に関する緊急点検結果につきましては、各重要施設に接続する全ての管路や各急所施設を構成する全ての施設が耐震性能を満たしている場合に、耐震性能ありとされますが、江別市におきましては、管路や施設の一部が耐震性能を満たしていないことから、ゼロ%という結果になったものであります。
市では、これまでも上下水道施設の耐震化を計画的に進めており、上水道では、優先度の高い主要な管路である導水管や送水管の耐震化を完了し、現在は、重要施設に接続する管路である浄水場や配水池近くの大口径管路の更新や配水池の増設に着手するなど、着実に耐震化を進めているところであります。また、下水道では、管路の耐震診断を行い、地震が発生しても下水を流す機能が維持できることを確認しております。
こうした取組により、現時点におきましても、上下水道ともに、主要な施設や管路については、一定の耐震性能が確保できているものと考えております。
なお、このたびの上下水道施設の耐震化状況に関する緊急点検結果を踏まえて、国から、上下水道耐震化計画の策定を求められているため、市と致しましても、早急に計画を策定し、適切に耐震化を進めてまいりたいと考えております。
以上であります。
総務部調整監(野口貴行君)
引き続き、私から、防災にフェーズフリーの考え方を取り入れることについて御答弁申し上げます。
フェーズフリーとは、一般社団法人フェーズフリー協会代表の佐藤唯行氏が提唱した考え方で、一般社団法人フェーズフリー協会によりますと、身の回りにあるものやサービスを、日常時はもちろん、非常時にも役立つようにデザインしようという考え方とされております。
市では、これまでも出前講座等の機会に、自助として、ローリングストックで水や食料を備蓄することやキャンプ用品が災害時に活用できることなど、無理なく災害に備えることを周知しているほか、公助として、市の備蓄品であるジェットヒーターやポータブル電源を避難所となる施設に配置し、平時から活用するなどの取組を行っており、これらも同様の考え方に基づくものと認識しております。
また、現在進めている新庁舎の建設に当たっては、平時の利用と災害時の利用の双方を考慮したレイアウトなどについて検討を進めることとしております。
市と致しましては、これまでの取組を引き続き推進するとともに、フェーズフリーに関連した他市の事例などについて情報収集に努めてまいりたいと考えております。
以上であります。
建設部長(佐藤民雄君)
私から、あけぼの団地について御答弁を申し上げます。
まず、建て替えのスケジュールについてでありますが、市営住宅は、公営住宅法に基づき住宅困窮者に対する賃貸または転貸するため設置するものであり、令和3年3月に策定した江別市営住宅長寿命化計画において、令和12年におけるあけぼの団地の管理戸数を、人口推計や市内の公的賃貸住宅の戸数等から推計し、475戸の再整備が必要としております。
議員が御質問の団地建て替えに向けた計画策定や設計についての具体的なスケジュールとしましては、令和6年度は、市営住宅の入居希望者やあけぼの団地の入居者を対象にアンケート調査を実施しているほか、令和7年度に再整備計画の策定、令和8年度に基本設計、令和9年度に実施設計を行った後、再整備工事を予定しているところであります。
次に、建て替えに向けた方向性についてでありますが、令和3年3月に策定した江別市営住宅長寿命化計画では、あけぼの団地の再生に向けたコンセプトとして、高齢者が安心し、子育て世帯に便利で、多様な世代による活発なコミュニティーが生まれる団地づくりに取り組むこととしております。
あけぼの団地周辺においては、多くの公園が整備され、広大な農地や河川に近接した自然豊かな環境があり、教育・福祉施設なども立地するほか、ゆとりのある低層の住宅地が広がっているなどの特色があります。
市と致しましては、このような地域の特色を生かし、専用庭、供用庭のある市営住宅を整備し、子育て世帯が住みやすい住環境や多様な世代のコミュニティーの形成などを進めていく必要があるものと認識しております。
議員が御質問の建て替えに向けた方向性につきましては、現在実施しているアンケート調査や来年度に実施する外部委員で構成する検討委員会の御議論等も踏まえ、再整備計画に盛り込んでまいりたいと考えております。
次に、事業手法についてでありますが、公営住宅の事業手法には、公共団体による直接建設のほか、PPPの枠組みであるPFI事業などがあり、整備する団地の規模や立地環境、事業費、事業期間など様々な観点から選定されております。
公共団体による直接建設では、低廉な家賃等の公共・公益性の高い施設が整備されるなどのメリットがありますが、予算や人員の確保の面で、事業期間が長期化するなどがデメリットとなっております。
一方、PFI事業では、民間事業者のノウハウを活用し、地域ニーズに応じた附帯施設の整備が行われるなどのメリットがありますが、収益性の問題や運営会社設立などの事業スキームの構築に時間を要するなどがデメリットとなっております。
このように、事業手法にはそれぞれメリットとデメリットがあることから、市と致しましては、民間事業者とのヒアリングや検討委員会における御意見を踏まえ、来年度に、公民連携の可能性も含めて判断してまいりたいと考えております。
以上であります。
徳田 哲君
それでは、再質問のほか、要望等も含めて順次述べさせていただきたいと思います。
まず、件名1の1項目め、江別市業務継続計画についてでございますけれども、こちらは再質問とは致しません。
頂いた御答弁のとおりで、新庁舎は、防災機能も備えたものになる想定でございますので、江別市業務継続計画に関わる部分が大きいというのは十分に理解しています。
今のところの見通しでは、新庁舎は令和10年度の供用開始ということでございまして、しかも順調にいってということであります。そうなると、現計画が平成29年の策定ですから、およそ10年見直しがないことになります。軽微な見直しはされていますから、その点はいいのですけれども、10年そのままというのもなかなか心配だなというふうに思っています。再質問はしませんが、少々心配しているということをお伝えしたいと思います。よろしくお願いしたいと思います。
次に、2項目めでございます。
災害時における死者・安否不明者の公表について、こちらは再質問をさせていただきたいと思います。
頂いた答弁では、現在想定し得る地震や水害などの災害においては、北海道の災害時の氏名等の公表取扱方針に基づいて対応されるという御答弁でございました。
もう一回話を整理しますけれども、1回目の質問で述べさせていただいたのは、北海道の災害時の氏名等の公表取扱方針の中に、市町村が独自に公表することを妨げるものではないという表記があるわけでありまして、そうしたことから、市として、災害時において、必要に応じて独自に死者や安否不明者の公表を行う可能性はあるのかないのかということをお伺いさせていただいております。
可能性がないということであればそれで構わないのですが、もし市として独自に公表する可能性があるということであれば、前段に申し上げましたけれども、公表基準を策定したり、市民への周知や理解を得る取組が必要だというふうに思います。
これが私の質問の趣旨でありますので、そうしたことを踏まえて、再度、市として独自に公表する可能性についてお伺いさせていただきます。
総務部調整監(野口貴行君)
再質問に御答弁を申し上げます。
市として独自に公表する可能性についてのお尋ねでありますが、北海道の災害時の氏名等の公表取扱方針では、北海道の災害対策本部が設置された災害において、救出・救助活動に資する場合で、住民基本台帳の閲覧等制限がない場合には、行方不明者等の氏名等を、家族等の同意を得ることなく、北海道が速やかに公表することとしております。
また、局所的な災害等で、北海道に災害対策本部が設置されない場合を想定して、市町村が独自に公表することを妨げるものではないことも規定されております。
市と致しましては、現在想定する地震や水害などの災害においては、局所的であっても、北海道に災害対策本部が設置されるものと考えております。このため、市独自に公表する可能性は極めて低いものと考えておりますが、市独自に公表する必要が生じた場合に備え、北海道に準じた基準を設けることについて検討してまいりたいと考えております。
以上であります。
徳田 哲君
市独自で公表する可能性が極めて低いというのは、私も同感であります。ただ、万が一、北海道に災害対策本部が設置されなかった場合、それが災害なのか事故なのかは微妙ですけれども、そういうことが生じた場合、迅速に公表することができないというのは避けなければならないと思います。
これは人命に関わることですから、万が一ということであっても、備えられるものはしっかりと備えなければならないというふうに思っていますので、その点は御検討いただけるということで安心しました。ありがとうございます。
また、先ほど述べましたが、基準の検討も大事なのですけれども、こうした公表を行う場合があるという周知や理解を得る取組も並行して取り組んでいく必要があると思いますので、この辺についても御配慮いただければというふうに思います。こちらは要望で終わります。
次に、3項目め、上下水道施設の耐震化状況に関する緊急点検を受けた対応についてです。
今回、この質問をさせていただいたのは、公表された点検結果の数字が極めて低かったため、全国も全道も低いのですが、当市のゼロ%という数字をどう読み取ればいいのかという疑問がありまして、確認をさせていただいたところであります。
この間、当会派としても、特に決算審査において、管路の耐震化等の状況を確認させていただいておりまして、江別市はしっかりと取り組んでくださっているという思いでいた中で、今回のこの結果だったものですから、そういったところで若干不安を感じておりましたけれども、御答弁では、上下水道ともに主要な施設の管路については一定の耐震性能が確保できていると。関わるところが1か所でも駄目だったらゼロ%というのは、なかなか厳しい基準です。
そういった部分で、一定の耐震性能を確保できているということですから、引き続き適切な管理運営に努めていただきたいと思いますので、どうぞよろしくお願いいたします。
続いて、4項目め、被災地支援に向けた体制の整備についてですが、市における現状の対応については、私は全く問題ないというふうに思っています。その上で、この在り方として、こういった条例の制定などもあるということです。
1回目の質問でも述べましたけれども、そういったことができる力、つまり受援力にもつながっていくということもあると思いますから、ぜひともそういった動きも参考にしていただきながら、引き続き御検討いただきたいというふうに思います。
続いて、5項目め、防災にフェーズフリーの考え方を取り入れることについてですけれども、これは再質問とはしませんが、いろいろとお話をさせていただきたいと思います。フェーズフリーもそうですし、危機管理部門の責任者であった後藤市長に防災の話を長々述べるのは非常に気が引けるのですけれども、お話をさせていただきます。
皆さんは、災害といえば地震や津波などを想像すると思いますが、地震や津波などの危機が発生しただけでは災害にはならないのです。例えば、誰もいない砂漠のど真ん中で地震が起きても、特に影響はないわけです。そういう危機と社会の脆弱さが出会うことによって災害が発生する、被害が発生するのです。その危機をコントロールするのは非常に難しいので、社会的な脆弱性をいかに小さくして、危機と出会わないようにするのが防災というふうに考えられると思うのです。
だから、災害に備えましょうというふうに言うのですけれども、これはかなり難しい話だと思っています。例えば、今この場で災害が起きたらどのようなことが起こるのか、ここは天井などが落ちてきそうですけれども、皆さんが、あなたはどうしますかと質問されたら、地震であれば、せいぜい机の下に潜るぐらいしか答えられないと思うのです。
だから、経験がない状況をイメージするというのは非常に限界があるし、さらに、それに向けて準備をしていくというのは、簡単なことではないと思うのです。これは防災部門におられたからすごく分かると思います。何が起きるか分からないから、これさえ備えておけば大丈夫と言い切ることもできないし、いろいろな可能性を考えて、ありとあらゆるものを備えるというのも、そこにかける時間もお金も限界があるので、なかなかこれも簡単ではないです。すなわち、備えることは難しいということです。我々は備えられないのだというのが、フェーズフリーの根底にある考え方です。備えられないという社会課題を抱えていることを前提として考える。
備えるのが難しいのはどうしてなのかと言うと、備えが日常に価値を発揮できないからだというふうに言われています。皆さん日常の生活で手いっぱいですし、行政の皆さんだって、防災・減災も大事ですけれども、目の前で困っている人がいたら手を差し伸べないといけないですから、そういった意味で、日常の生活の質に影響しないものに積極的に時間やお金をかけるというのはかなり難しいし、できないことは無理もないです。そういった意味において、防災というものは、その性質から考えて日常においては価値を感じにくい。どうしてもコストになってしまうというところに課題があります。
そこで、フェーズフリーなのだという話になるのですが、このフェーズフリーというのは、日常時と非常時という2つの社会状況、いわゆるフェーズからフリーになる。日常を豊かにしながら、もしもの場合も想定して、暮らしと命を支えるデザインにしていきませんかというのがこの考え方になります。
ですから、どうしても防災というのは非常時を起点にして考えますけれども、このフェーズフリーはあくまでも日常が起点です。日常を起点にして、ふだんの生活で便利なものを、非常時でも価値が発揮されるデザインにしていこうということでして、これが普及していけば、備えることが難しくても、いつの間にか備わっている社会になるではないですかということです。このフェーズフリーは、備えられないところから始める新しい防災の考え方ということになろうかと思います。
例えば、一部のプラグインハイブリッド車などはそうですけれども、基本はガソリンエンジンで走りますが、外部から供給された電源でも走ることができます。そういったタイプの自動車というのは、日常的には燃費がよくて環境に優しい車ということになるのですけれども、非常時には、モーターと搭載している蓄電池を活用して、家庭用の電源にもなります。日常の快適な生活、環境に優しい生活というニーズに応えながら、結果として災害に備えた状況をも生み出すという、消費者にとって、それはコストではなくてバリュー、価値や値打ちになるのだということです。コストであるがゆえに備えることができないという防災の課題をクリアできているということになります。
こういう物であったり、事であったり、いろいろなことを積み重ねて日常に溶け込ませていくことで、自然と命が守られる状態になるというのが理想的な話でありまして、それはフェーズフリーであり、理想的だと考えるのですけれども、理想ですので、なかなか大変です。それを徳島県鳴門市は目指しているということです。
徳島県鳴門市は、フェーズフリーのまちというコンセプトで様々な公共政策にフェーズフリーを取り入れています。もちろん、基本的には災害対策なのですが、自治体として、今後の税収減や扶助費の増加、多様化・複雑化する市民ニーズ、どこの自治体も同じ課題を抱えていますけれども、それに応えながら行政サービスを維持・発展させ、非常時においては市民の生活を守っていく手段として、フェーズフリーという考え方を取り入れているということでした。防災関係予算だけではなくて、都市計画や地域振興、教育など、ほかの分野で行われる取組もフェーズフリー化するという言い方をしていましたけれども、そうすることによって、全体の予算を大幅に増加することなく、非常時における取組も同時に増やしていけるということです。
また、フェーズフリーというものはビジネスの分野でも非常に注目されていまして、徳島県鳴門市では、産業振興や地域課題の解決といった領域の取組として、なるとフェーズフリーアイデアコンテストというものを行って、持続可能な地域づくりという大きな視点も含めて、様々な取組が行われておりました。
この後、あけぼの団地の整備の中でもお話をするのですが、今、限られた予算という厳しい状況の中で、老朽化したものを単純に更新し持続していくのは、大変難しいというふうに思います。そのようなことは私が言うまでもなく、もちろん承知の上だと思いますけれども、そうであるからこそ、フェーズフリーの考え方だけではないのですが、いろいろな可能性を結びつけて、知恵を絞っていくことが求められているのだと思います。
先日、北広島市防災食育センターを視察させてもらったのですけれども、あれは防衛予算を使って、非常時には炊き出しができるということなのですが、そもそも計画するときに、北広島市は防災力が弱いので、それも一緒に機能としてつけられないかという議論から始まったというふうに説明していただきました。だから、そういう考え方です。なかなか結びつかないようなものを結びつけることができないかと知恵を絞っていくこと、これは非常に大事な視点だと思いましたので、私も頑張りますけれども、皆さんも頑張ってほしいといったところでございます。
お互い頑張りましょうという長い話になりましたが、よろしくお願いします。
あけぼの団地について、1項目めの再質問をさせていただきます。
答弁では、今年度はアンケート調査を実施しているということで、令和7年度は再整備計画の策定を行い、翌令和8年度に基本設計を行って、令和9年度に実施設計を行った後で再整備工事に取りかかるという御説明を頂きました。
1点確認なのですが、来年度策定する再整備計画というのは、現在の江別市営住宅長寿命化計画で挙げられている期間のものなのか、それとも、あけぼの団地は一遍にやらないで徐々にやっていくという計画ですから、次期計画期間にも入っていると思うので、あけぼの団地の将来像を含めた全体の再整備計画を立てるのか、策定される再整備計画の内容について、詳細の確認をさせていただきたいと思います。
建設部長(佐藤民雄君)
再質問に御答弁を申し上げます。
再整備計画につきましては、あけぼの団地全体の計画として令和7年度の策定を予定しております。
現行の江別市営住宅長寿命化計画では、計画期間が終了する令和12年度以降もあけぼの団地の建て替えや用途廃止を進めることとしていることから、再整備計画の内容を次期江別市営住宅長寿命化計画に反映することとしております。
再整備計画の詳細につきましては、人口推計や市内の公的賃貸住宅の戸数、入居者の意向、建替用地等の団地全体の土地利用計画などを勘案し考えてまいります。
以上であります。
徳田 哲君
来年度策定予定の再整備計画は、今後の全体像ということで理解させていただきました。
その上で、2項目め、こちらは再質問をしませんが、建て替えに向けた方向性についてです。
現在実施しているアンケート調査、また、来年度は検討委員会で御議論いただくというような御答弁でございました。もちろん、御議論いただいて決めていただくということなのですけれども、行政としての主体性、こういうものにしたいというのをある程度示すことも大事なのではないかと思っていますので、その方向性として、既成概念や従来型の市営住宅整備の考え方をもう一歩進めることができないかというのが、今回の質問の趣旨であります。
もちろん、しっかりとした市営住宅を建て替えていくことは必要なことですが、それをやるのであれば、そのエリアの価値をも向上させていくぐらいの気概といろいろなアイデアを集結させながら、まち自体がよりよいものになっていくような広い視野に立った計画の策定にもチャレンジしていただきたいと思いますので、その点も要望させていただきたいというふうに思っています。
最後の項目、事業手法ということになりますが、公民連携といっても、御答弁のとおり様々な形があると思います。
今回、PPPという形を紹介しましたが、かなり理想系で、御答弁にもあったとおり、かなり準備期間が必要です。簡単ではないので、大阪府大東市では、第三セクターでまちづくり会社をつくるようなこともやっていましたが、責任者になる方をいろいろなところに派遣して、人材育成してからみたいなことで、結構時間をかけてやっていましたので、それをそのまま江別市でやるというのは、なかなか難しいと思います。
ただ、そういった形だけではなくて、PFIということで考えるといろいろな手法があります。住宅本体の整備における手法もそうですし、借り上げするとか建ててもらうといった形もあれば、建て替え時の移転や引っ越しも含めて全部やってもらうとか、あとは、長期的な団地の管理も含めて委託して、全体的にしっかりと収益を上げられるような形を取りながら建設してもらい、市としては持ち出しを少なくするというような形もあります。
まちづくり云々もそうですけれども、いかにコストをかけずに建てるのかも重要な視点になると思いますので、そういった意味で、公民連携についても、いろいろと調べていただきたいというふうに思います。
ただ、民間事業者のヒアリングも行うということでしたけれども、本当に来年1年間で十分な議論ができるのかというのは私も不安でして、どうか拙速な議論にならないように御留意いただきたいというふうに思っています。
この件については、今後、適宜、議会にも報告されると思いますので、私もその推移を見守りながら、ポイントポイントでいろいろな御意見を申し上げたいと思いますので、よろしくお願いいたします。
以上で、私の一般質問を終わります。
議長(島田泰美君)
以上をもって、徳田議員の一般質問を終結いたします。
一般質問を続行いたします。
長田旭輝議員の投票率の向上についての質問を許します。総括質問総括答弁方式、通告時間30分。
長田旭輝君
議長に発言の許可を頂きましたので、通告に従い順次質問させていただきます。
件名1、投票率の向上についてお伺いいたします。
国会議員を選出する国政選挙、各自治体の首長や議会議員を選出する地方選挙、いずれにも言えることですが、投票率の低下は全国的にも大きな課題であり、過去にも議会において一般質問や常任委員会でも取り上げられ、その対策、取組などの必要性が訴えられてきました。
さきに行われました第50回衆議院議員総選挙の投票率は、全国で、小選挙区が53.85%、比例代表が53.84%となっており、前回、令和3年に行われた第49回衆議院議員総選挙の投票率と比べると、いずれもマイナス2.08ポイント、北海道では、前回よりもマイナス2.64ポイントとマイナス2.63ポイントでした。
江別市では、前回61.57%、今回は59.34%であり、全国、北海道の投票率を上回っておりますが、投票率の推移はマイナス2.23ポイントという結果でした。また、江別市民に直接関わる江別市の選挙を見ても、江別市長・市議会議員選挙は共に前回50.49%であり、前々回よりもマイナス1.66ポイントという結果でした。
過去の統計から見ても、一時期投票率が上がる時期はありましたが、確実に低下してきており、今後、このままでは50%を切る可能性もあり、実に半数以上の市民が、投票することなく貴重な政治参加の機会を生かすことにつながらない事態になると考えます。
国民が直接政治に参加する権利である参政権、その中でも、投票権は満18歳以上の日本国民が有するものであり、その代表を選出することをもって、よりよい社会づくりに参加することができる大切な権利であります。民主主義の根幹である選挙に、より多くの方が参加できるようにしていく取組は重要であります。
江別市としても、選挙時の投票推進のために様々な広報活動を行っており、江別市明るい選挙推進委員会などとも協働して、選挙が行われる時期に合わせて、街頭で不正防止や投票の呼びかけを行っているほか、明るい選挙啓発ポスター展の開催、新成人への投票呼びかけの啓発はがきの送付などが行われております。
また、大学の多い江別市の取組として、さきの衆議院議員総選挙では、札幌学院大学、酪農学園大学で期日前投票を大学協力の下で行うなど、市内大学と連携して、若い方々の投票機会の確保に努めていると承知しております。そして、政治について知り、関心を持ってもらえるように、行政だけではなく、政治家である我々にも日々の努力が必要なことは言うまでもありません。
しかし、投票率の低下が進んでいることは事実であり、今までの取組だけでは、それに歯止めをかけることができるか、不安なところであります。全国では、自治体単位で様々な投票率向上の取組も広がってきており、今後、江別市においても、さらなる取組を進める必要があると考えるところです。
そこで、1点目として、江別市においても近い将来50%を切る可能性がある投票率の低下について、どのような認識を持たれているのか、また、今後どのような対策が必要と考えるのか、お伺いいたします。
2点目として、期日前投票の実施会場を増やすことについて伺います。
さきに申し上げたとおり、江別市としても、今日まで投票率向上の取組を進めてきたと承知しております。今後においては、より投票しやすい環境づくりにも積極的に取り組むべきであると感じております。
現在、投票日当日に開設される投票所については、市内全域をできるだけカバーするべく取り組まれていると思いますが、昨今では、家庭環境や雇用状況などの社会変化もあり、日曜日である投票日当日に投票所に行けない方も増えてきている点は、多くの方が肌で感じているところであると思います。事実、全国でも、期日前投票で投票を済ませる方も増加してきているのは多くの方が御存じだと思います。
ただ、期日前投票を行えるのは、江別市内では市民会館、また、先ほども申し述べましたけれども、1日限定で市内大学でも行われておりますが、期日前投票の全期間を通して行えるのは市民会館のみであります。条件が整えば郵便投票などの手法もありますが、ライフスタイルの多様化など社会の変化を考えると、期日前投票をできる場所を増やすことで、より投票しやすい環境をつくっていくことも必要と考えます。
他の自治体でも、青森県平川市で、全国的にも早い段階から、大型ショッピングセンターなどで期日前投票を実施しており、投票率の向上を実現しております。全国でも、このショッピングセンターでの期日前投票は広がりを見せており、ふだん投票に行かない方や、時間的な制約や個人の諸事情で指定された投票所に行けない方の投票機会ともなっております。
また、公共性の高い施設、例えば駅などでも期日前投票を実施する自治体もあるなど、人が集まる場所に出向くような形で、投票率の向上を図っている自治体もございます。
江別市にも、人が多く集まる大型ショッピングセンターや公共性の高い施設もございます。防犯や立会人の確保、選挙人名簿の取扱いなど配慮すべき事柄もあるとは思いますが、利便性の向上に加えて、投票率低下を防ぐためにも、期日前投票をより身近に活用していただけるように、実施場所を増設することも検討するべきと考えますが、いかがでしょうか。
3点目として、市内大学での期日前投票についてお伺いいたします。
さきにも触れましたが、江別市内の大学では、先日の第50回衆議院議員総選挙で、札幌学院大学、酪農学園大学で、1日限定で期日前投票が行われており、札幌学院大学では130名、酪農学園大学では150名の学生を含めた市民の方が利用されております。前回の参議院議員通常選挙の際は、北海道情報大学を含めた3大学で実施もされておりました。
実施に当たっては、大学側の受入れ態勢や準備期間を十分取れるか、また、投票立会人の確保など、市側の人員の確保も考慮しなければならず、時期によっては実施できない大学も出てくることは承知しております。この取組は、実際に学生の方も、大学に行くついでに投票できるということで評価されているとも伺っております。
特に江別市のように大学が多いまちでは、若い方に政治に触れていただく機会となりますことから、市民の方からも、市民相談の際に、他の大学に実施場所を拡大してはどうかという声も実際に伺っております。
今後、他の大学での期日前投票の実施についても大学側に打診し検討していくことや、現在、期日前投票を実施している大学の実施日数の増加なども検討してはと思いますが、お考えを伺います。
4点目として、投票時に支援が必要な方への投票しやすい環境づくりについてお伺いいたします。
若年世代の方に対しての取組も重要である一方で、高齢者や障がいをお持ちの方、何らかの支援が必要な方の投票する権利の確保も、今よりもさらに一歩取組を進める必要があると感じております。
実際に、私も、投票についての御相談を様々伺っております。
ある方は、要介護認定があり、重度の御病気で外出するのが難しい御家族から投票に行きたいと言われたが、郵便投票の対象にはならず、残念ながら投票を断念することになった。その結果にやるせなさを感じ、自分も嫌気が差して投票に行かなくなってしまったという方。
ほぼ寝たきり状態でも、要介護4のため郵便投票の対象とはならず、仮に投票所に行ったとしても、人の手を借りたり説明するのが不安なので、投票を諦めた方。グループホームに入所しているが、小規模施設であり施設内での期日前投票が行われないため、投票の希望をかなえるために、外出扱いで家族が遠方から投票所まで送迎して迷惑をかけてしまった方。ほかにも様々な声を頂いております。
有効な方法として郵便投票がありますが、対象となるのは、重度の身体障がいのある方や要介護5以上の方であり、これは公職選挙法など根本となる法律が改正されなければ難しい問題であります。
昨今では、外出に何らかの弊害がある方や日常生活に人の手を借りなければならない事態が増える要介護3以上まで、郵便投票の対象拡大を求める声も上がっており、国会でも度々議論、検討されているところではありますが、現時点で、市としても対応は難しい状況と理解を致します。
ただ、それでも自治体として取り組めることはあると考えます。実際に何とか投票所に行っても、その後、誰かの手を借りることができるのか、落ち着いて支援が必要なことを伝えられるのか、ふだん味わうことのない緊張感のある雰囲気では、自分の状況を伝えられないという方もおられます。
江別市としても、投票所で支援の必要な方に対して、申出をすればお手伝いをする体制は取られておりますが、当事者側がそれをうまく伝えることができない、伝えること自体に自信がない、精神的な疾患や何らかの理由で慣れない環境で冷静な判断ができないなど、不安を感じてしまい、結局投票を諦めてしまうという方もおられます。せっかくの投票する機会を行使することができない事態になりかねません。また、支援する側も、どのような支援が必要かを的確に把握することで、円滑な投票時の支援に結びつくと考えます。
他の自治体でも様々な取組がなされており、幾つか例を挙げますと、まず、投票支援カードというものを導入している自治体がございます。
投票時、どのような支援が必要なのかを事前に記入、もしくは、当てはまる事項、例えば記入ができない、メモでのやり取りができる、候補者名を読み上げてほしい、移動に付添いが必要などに丸をつけることができるようにして、投票所の支援する職員に渡すだけで、どのような支援が必要かを伝えることができるものです。この取組は、近隣の札幌市や東京都足立区、福島県福島市や静岡県長泉町など、全国でも実施する自治体が増えております。
また、茨城県土浦市や香川県坂出市などでは、投票用紙記入補助具を導入しております。これは、視覚に障がいをお持ちの方が御自分で投票用紙に候補者名などを記入できるように、記入する部分がくり抜かれているシートを投票用紙に挟み、表面を触ると記入部分を確認することができるようになっております。そのため、視覚に障がいのある方も、自分で文字を書くことができる方は、直接投票用紙に記入して投票することができます。
このように、投票支援カードを活用すれば、支援が必要な方と支援する側が円滑に必要な支援内容の意思疎通が可能なため、病気やけが、障がい、加齢に伴う身体機能の低下などで支援が必要な方が、投票しやすくなり、また、投票用紙記入補助具は、視覚障がいのある方が投票しやすい環境づくりにつながると考えます。このような取組を進めることで、投票に行くのを諦めたり、不安でちゅうちょしてしまう方を減らすことができるのではないでしょうか。
投票しやすい環境づくりはもちろんのこと、投票率の向上にもつながる取組として、江別市でも導入を検討すべきと考えますが、いかがでしょうか。
以上で、1回目の質問を終わります。
議長(島田泰美君)
長田議員の一般質問に対する答弁を求めます。
選挙管理委員会委員長(洞野博文君)
私から、長田議員の一般質問に御答弁を申し上げます。
投票率の向上に関しまして、まず、投票率低下に対する認識と今後の対策についてでありますが、本年10月27日に実施された衆議院議員総選挙の小選挙区における江別市の投票率は59.34%であり、令和3年に実施された前回選挙の投票率61.57%から2.23ポイントの減少となりました。
今回実施されました衆議院議員総選挙における江別市の投票率は、全国の53.85%、全道の56.15%と比較しますとやや高い結果ではありましたが、令和5年に実施した市長・市議会議員選挙をはじめ、近年の江別市の各選挙における投票率は低下傾向が続いております。投票率の低下は、江別市に限らず全国的な傾向であり、憂慮すべき事態であると認識しております。
選挙管理委員会では、これまでも、市内小・中・高等学校への選挙啓発ポスターの作品募集及び展示会の開催や出前講座の実施をはじめ、18歳になった新有権者への選挙啓発メッセージの送付、はたちのつどい会場にて選挙啓発パンフレットの配付などを行ってきたところであります。さらに、選挙時においては、独自に作成した広報臨時号を市内全戸に配布し、投票の啓発を行っております。
投票率の向上に向けた対策として、若年層に向けた選挙啓発が重要であると考えており、令和5年度から、出前講座の対象を市内公立全中学校に拡大して実施しているところであります。
選挙管理委員会と致しましては、引き続き若年層への選挙啓発強化に努めるなど、投票率向上に向け取組を進めてまいりたいと考えております。
次に、期日前投票の実施会場を増やすことについてでありますが、江別市では、本年10月の衆議院議員総選挙において、期日前投票所を市民会館小ホールに常設したほか、札幌学院大学と酪農学園大学の2か所に臨時期日前投票所を設置いたしました。
今回の選挙における期日前投票所全体では、投票者数1万8,636人、投票率18.50%と、前回の衆議院議員総選挙と比べ投票者数は441人、投票率は0.7ポイント増となりました。
平成28年の参議院議員通常選挙以降、常設の市民会館に加え、大学に期日前投票所の設置を始めておりますが、それ以降も各選挙における投票率は低下しております。期日前投票所の増設は、投票率の向上にはつながっておりませんが、投票機会の確保や若年層への選挙啓発に一定の効果があるものと認識しております。
こうしたことから、選挙管理委員会と致しましては、投票率の向上につながる期日前投票所の在り方について、他市の状況を参考にしながら研究してまいりたいと考えております。
次に、市内大学での期日前投票についてでありますが、先ほども御答弁申し上げたとおり、本市では、今年10月の衆議院議員総選挙では、札幌学院大学と酪農学園大学の2か所に増設したところであります。また、令和4年に行われた参議院議員通常選挙では、北海道情報大学を含め、3か所で期日前投票所を設置いたしました。
期日前投票所の設置は、公示日または告示日の翌日から投票日前日まで行われますが、施設が利用できるのは学生がいる平日に限られること、登校している生徒が少ない長期休業の大学内の期日前投票所設置は、投票啓発の効果が薄いと考えられることなど、設置できる期間に制約が生じるため、新たな設置及び既に設置している大学における日数の増加は難しいものと考えております。
選挙管理委員会と致しましては、投票しやすい環境づくりについて、引き続き他市の状況を参考にしながら研究していきたいと考えております。
次に、投票時に支援が必要な方への投票しやすい環境づくりについてでありますが、江別市では、高齢者や視覚に障がいのある方など支援が必要な方への対応として、各投票所において、自書できるか、介助が必要なのかの確認を行った上で、自書できない方には代理投票、介助が必要な方には従事者が付き添うなど、個別に対応しているところであります。
また、障がい者施設に入所されている方が期日前投票所を利用される際には、事前に来所される日時や必要な支援の内容について施設側と確認をするなど、投票が円滑に実施できるように対応しております。
議員の御質問の投票支援カードについては、支援の必要な方が投票従事者に口頭で自身の意思を伝えることが難しい場合など、必要とする支援や配慮してほしい事柄を事前に記入し、投票従事者に提示することで、投票手続をサポートできることから、導入する自治体が増えてきていると承知しております。
また、投票用紙記入補助具については、視覚障がい者など投票用紙の記入枠が見えにくい方への補助具でありますが、当市では、高齢者や視覚に障がいのある方などの支援として、各投票所に老眼鏡や拡大鏡、点字器などを配置してきたところであります。
選挙管理委員会と致しましては、引き続き他市の状況を参考にしながら、投票しやすい環境づくりに努めてまいります。
長田旭輝君
ここから、順次、再質問と要望をさせていただきます。
項目1、投票率低下に対する認識と今後の対策について要望させていただきます。
市として、投票率の低下は憂慮すべき状況であること、また、若年世代に対しての取組の必要性を御認識され、取組が行われていることを理解いたしました。
昨今では、自治体ごとに投票率低下を防ぐ取組が進んでおります。また、若いうちから政治や選挙に触れ、自分ごとであることを知るために、子供議会や若年層の意見を聴き、政治に反映させようとする動きも増えております。
先日は、一般社団法人江別青年会議所主催の市内中学・高校生による施策発表のイベントが、この議場を会場として、後藤市長参加の下で開催されたところであります。投票率向上に向けた取組として、こうした若い世代の政治への参画、主権者教育の必要性は、今後、さらに重要性を増していくものと考えます。江別市におかれましても、今後、より一層の取組の推進を要望いたします。
項目2、期日前投票の実施会場を増やすことについて再質問させていただきます。
市としての御認識は承知を致しました。
大学での期日前投票を実施しても全体の投票率は低下しているとの御答弁でしたが、大学の立地と開設の日数を考えたとき、通学する学生を省けば、どうしても周辺住民の方の限定的な利用になる側面はあると考えます。大学の期日前投票は、若年層の投票の啓発にもつながる大切な取組でありますので、今後も続けるべきであると考えます。
一方で、期日前投票をする方は増えており、その利便性の向上を図る必要もあると考えます。今回、私が提案した期日前投票の場所は、市内から多くの方が集まり、様々な方が往来する環境が比較的整っているショッピングセンターなどであり、これを実施することで、買物などの私用のついでに投票できるため、利便性向上につながると考えます。
さらに言えば、現在、期日前投票が行われている市民会館の小ホールについても、市民の皆さんからは、入り口から小ホールに向かうスロープの傾斜がきつく、高齢者や車椅子を利用されている方にとっては、スロープを往来するのに負担が大きい。特に、車椅子でスロープを上る際には負担が大きいとの声も聞こえております。
市民会館は築年数がたっている建物であり、十分にバリアフリー化されているとは言い難い箇所もあります。こうした課題を解消していくという意味においても、今よりも投票しやすくなるような環境づくりにつながる期日前投票所の増設を検討すべきと考えますが、いかがでしょうか。また、仮に増設が難しいとするならば、どのような課題があるかについても併せてお伺いを致します。
項目3、市内大学での期日前投票について要望させていただきます。
市としての御見解は承知を致しました。大学での期日前投票は、大学側の全面的な協力なくしては行うことはできないと承知をしており、大学側の意向や状況も考慮すべき点は理解を致します。
大学での期日前投票は、学生など若い世代が広く政治に触れることができる貴重な機会であります。意義のある取組であり、大学の多い江別市だからこそ行える取組であると考えます。この取組に関わる大学側の方々、行政の皆様の御尽力があればこそ行えることであります。様々な御苦労もあるとは存じますが、ぜひとも今後も継続した取組を行っていただき、また、今後、実施体制が整った暁には、大学での期日前投票の場所や日数を増やす検討も進めていただくことを要望させていただきます。
項目4、投票時に支援が必要な方への投票しやすい環境づくりについて要望させていただきます。
市として、投票に支援が必要な方への支援体制が取られていることは承知いたしました。
支援を必要としている方も様々な事情を抱えていると考えます。高齢者や障がいのある方はもちろんですが、精神的な疾患を抱えておられる方や、投票時にけがなどで、いつものような投票が自力で行えないという方もおられます。
投票所のような日常生活ではあまりなじみがない環境と雰囲気は、健常者にとっても緊張する場面であります。投票支援カードは、そういった方が安心して投票を行える助けになると考えており、全国的にも広がりを見せております。
また、投票用紙記入補助具は、視覚障がいのある方がより投票用紙に記入しやすくするものであり、より投票しやすい環境を一歩進めるものであると考えます。
誰もが安心して生活できるまちにするために、政治に参画できる機会である投票を行えるように、提案した取組について他市の状況などを確認していただき、実施に向けて前向きに検討していただくことを強く要望を致します。
選挙管理委員会委員長(洞野博文君)
投票率の向上についてのうち、期日前投票所の増設についての再質問に御答弁を申し上げます。
江別市では、現在、市民会館に常設の期日前投票所を設置しております。これは、施設が市の中心に位置して、アクセスがよく、広い駐車場があるなど、市民が利用しやすい環境が整っていること、さらに、選挙時には、条例に基づき、最優先で必要な期間、投票所として利用できることが理由であります。
なお、市民会館小ホールに向かうスロープの傾斜については、付添者や投票事務従事者による支援を行っており、これまで大きなトラブルなどがなかったものと考えております。
議員が御質問のショッピングセンターなどに投票所を増設することについてでありますが、急な選挙時において、民間施設を最優先で必要な期間使用できることが必要と考えており、現時点では難しいものと考えております。
以上です。
長田旭輝君
あとは要望とさせていただきます。
今回の御答弁を通じて、市の御見解は理解を致しました。また、期日前投票の会場増設についての課題も承知を致しました。
ですが、必要に応じて市民が投票する場所を選択できるようにすることは、投票に関して広く市民ニーズに応えることになり、投票しやすい環境づくりになると考えております。先ほど御紹介した市民会館の投票会場を利用された市民の方のような、切実な声が寄せられていることも事実であります。
今後においては、私自身も、ほかに方法はないのか、さらに調査研究を行い、改めて提案をさせていただきたいと思います。
選挙管理委員会におかれましても、他自治体の事例等を研究していただき、投票しやすい環境づくりの取組を検討していただくことを願い、要望とさせていただきます。
以上で、私の一般質問を終わります。
議長(島田泰美君)
以上をもって、長田議員の一般質問を終結いたします。
一般質問を続行いたします。
岩田優太議員の行政のDX化についての質問を許します。一問一答方式、通告時間45分。
岩田優太君
ただいま議長より発言の許可を頂きましたので、通告に従い順次質問をさせていただきます。
件名1、行政のDX化についてお伺いいたします。
項目1、窓口業務の簡略化についてです。
市役所の窓口において、市民の方の初めの問合せの際や公的証書の交付時に、煩雑な業務を今よりさらに減らし簡略化できないものか、市の考えをお聞かせください。
初めに、えべつ未来づくりビジョン(第7次江別市総合計画)のえべつ未来戦略の戦略5において、デジタル技術で住みよい明日を切りひらくを掲げており、その方向性については大いに期待しているところであります。
そして、本市も、デジタル田園都市国家構想推進交付金TYPE2の採択を受けていることから、国の示す計画との整合性を図り、市独自の取組も併せて推進していくものと思います。
デジタル庁においても、マイナポータルや地方自治体独自の電子申請システムの利用による行政手続のオンライン化の促進により、窓口での手続における住民の負担を減らすことと職員の業務負荷の軽減を目指し、自治体窓口DX、書かないワンストップ窓口の取組を推進しています。
デジタル技術の進展により、サービスのデジタル化が飛躍的に高まる中、国民がデジタル社会の恩恵を受けられるように、住民サービスのデジタル化に本格的に取り組むことが求められています。また、2040年には生産年齢人口が6,000万人未満まで減少すると推定されており、人口減少による労働力不足が深刻化し、地方自治体の業務を、従来どおりのやり方で高い品質を維持することにも限界があります。そのため、職員数が減少する中で、高品質の窓口サービスを継続させていくためには、DXの推進とさらなる業務効率化が必要となっています。
そのような背景もある中で、現状でも毎日多数の来庁者がおり、その方々を的確に希望の窓口に誘導することが求められておりますが、今後は、人的資源の投入や活用だけで解決していくことはなかなか難しくなると考えられますので、その際に、総合窓口にタブレット端末やタッチ式のデジタルサイネージなどの案内表示の設置が必要になることが予見できます。
これらは単純な案内表示システムとしてだけではなく、デジタルサイネージであれば、地方自治体が管理する複数箇所に的確かつタイムリーに伝達もできます。特に動画を活用した情報提供は、文字だけの情報提供よりも理解しやすくなります。
そのほかにも、本市ではまだ弱い観光業においても、自治体の観光地を訪れた方々に対して地域の観光情報を配信し、地域の魅力を効果的に伝えられます。設置したデジタルサイネージに季節の観光情報を配信しつつ、次の季節のイベントを告知することで、観光客の満足度を向上させるとともに、観光地への再訪を促すことが期待できますし、待ち時間の有効活用にも大きく役立ちます。
ほかにも、デジタルサイネージに災害・防災情報や健康、病気の予防に関する情報を日常的に配信することで、健康で安全なまちづくりにも貢献しますし、地震や洪水などの災害が発生した際には、避難情報や安全確認情報をリアルタイムに配信し、地域住民を危険から守る役割も担えます。常設するデジタルサイネージやタブレット端末に音声案内機能を加えたり、使用言語を選べる機能があれば、視覚、聴覚に障がいのある方や外国人の方にも、今よりもさらに優しい窓口になると思います。
そして、現在も、窓口にて民間企業の広告を掲載しておりますが、さらに掲載企業などを増やすことで、広告掲載料を地方自治体の財源とすることもでき、限定的ではありますけれども、財源の健全化にもつながる可能性があります。
そのような取組をしている自治体の先進事例としましては、神奈川県横浜市と兵庫県伊丹市が挙げられます。
神奈川県横浜市では、大型の65インチのタッチ式デジタルサイネージが採用されています。このデジタルサイネージでは、市民向けのサービス情報や地元の観光情報、市のイベント情報などを提供しています。タッチ機能を用いて市民自身が操作し、必要な情報をダイレクトに探せることから、窓口の問合せ件数を減らし、効率的な業務運営に貢献しています。
兵庫県伊丹市では、伊丹市の目指すスマート市役所、行かなくていい、待たなくていい、書かなくていいの3つをコンセプトとしています。各種申請はオンラインで完結でき、手持ちの端末なので、いつでもどこでも対応できるようにしながらも、来庁が必要な手続は、スマートフォンやパソコンの操作が苦手な住民に向けても、対面でしっかりと丁寧に対応する仕組みにしています。
そのほか、パソコンやスマートフォンなどであらかじめ必要事項を入力して作成した二次元バーコードを持ち歩く方法もあり、窓口で申請書に即時反映させることができます。従来どおり紙の書類を使った手続と比較すると、利用部署全体においては、3か月間で約500時間の窓口対応に割く時間の削減につながる効果があり、住民の申請の労力の減少と職員の作業効率化に大きくつながる結果となっているようで、部署によっては、1か月当たり約1,000枚の紙の削減といったペーパーレス化にも寄与しているようです。
そして、ほかにも窓口の業務負担や業務の効率性に鑑みると、今後、キャッシュレス決済の活用も必要になるかと考えられます。現在、日本のキャッシュレス決済の推進は、ほかの主要国に比べて普及が遅れている事実はございますが、積極的に取り入れられることで多岐にわたりメリットがあります。
現代は、様々な場所でキャッシュレス決済が推進されており、現金をあまり持ち歩かない人も多くなっております。消費者庁が実施した消費者意識基本調査では、キャッシュレス決済を使っているかという消費者への質問に対し、使っていると回答した人は58.6%にもなっています。
さらに、近年は、新型コロナウイルスの感染拡大により、感染予防対策としてキャッシュレス決済を選択している人もおり、スマートフォンやICカードのみで簡単に支払いを済ませられるキャッシュレス決済の導入は、現金を持ち歩かない住民にとっては大変便利であり、地域住民の大幅な利便性向上にもつながると言えます。
その点も踏まえて、直接なメリットとして4つほど挙げますと、1つ目は、会計業務を効率化できることです。
キャッシュレス決済を導入すると、会計フローをより早く、効率的にすることができます。現金決済、それも自動釣銭機ではなく金銭を数えて受け渡す方法では、利用者が小銭を探したり、職員がお釣りを数えて準備する時間がかかってしまいます。キャッシュレス決済の場合は、利用者がバーコードやカードを提示し、職員はそれを処理するだけなので、現金を数えて受け渡す時間や金銭を管理する手間がなくなるため、業務効率化につながります。
2つ目は、混雑を緩和し、職員の残業時間短縮にもつながることです。
多くの役所では、手続や会計待ちの利用者による窓口の行列、混雑が課題となっています。特に大型連休明けや年度初めなどは、引っ越しなどが影響し、いつも以上に混み合うことが予見できます。キャッシュレス決済を導入すると、さきにも述べたように、現金を数えて受け渡す時間を短縮できるため、窓口の会計スピードを改善し、混雑を緩和できます。結果的に、定時を過ぎて対応していた職員の残業時間を短縮でき、職員の負担を軽減できるので、働き方改革にもつながります。
3つ目は、会計トラブルを解消できることです。
会計トラブルの解消も、キャッシュレス決済化によるメリットの一つです。現金でやり取りをしていると、お釣りを渡し間違えるといった会計トラブルが発生するケースも考えられますが、そのようなリスクも大幅に抑えられます。作業の負担の軽減と簡略化で待ち時間や対人接触が減り、ヒューマンエラーも減ることから、昨日の稲守議員の一般質問にもあったようなカスタマーハラスメントを未然に防止でき、クレームの減少にもつながります。
4つ目は、住民サービスを向上できることです。
民間へのキャッシュレス決済の浸透に伴って、自治体に対する住民のニーズも高まっています。一般社団法人キャッシュレス推進協議会のキャッシュレス利用意向調査によると、どんな金額・場所等でもキャッシュレス決済で支払いたいが18%、どちらかというとキャッシュレス決済で支払いたいが31%で、合計が49%となっています。キャッシュレス決済を希望する人が、ほぼ半数に達しております。利用者のニーズに応え満足度を向上できるため、さきにも述べたように、キャッシュレス決済の導入は、各種公的書類の支払い方法の選択肢の増加にもつながり、住民サービスの向上に貢献すると思います。
ただ、一言でキャッシュレス決済といっても、利用者によって使いたいサービスは様々で、住民のニーズに応え利用率を上げるためには、複数の決済サービスを導入するのもよいかと思います。
現在の主な決済サービスは、クレジットカード、電子マネー、二次元バーコード決済があり、それらを職員がPOSレジの操作を行い、決済のみ利用者が行うセミセルフレジで決済とすることで、会計がさらにスピードアップするのと併せて、利用者の決済操作中に、職員は渡す書類の準備などの作業ができるため、結果として、支払い方法の多様化と事務負担の軽減となり、それにより混雑の緩和に貢献できるのではないでしょうか。
これらを活用した先進事例としましては、群馬県富岡市と福岡県福岡市が挙げられます。
群馬県富岡市では、住民サービスの充実と利便性向上のためにキャッシュレス決済サービスを導入し、現金のやり取りを省いた迅速な決済を実現できる仕組みを導入しています。
群馬県富岡市における導入決済サービスは、1各種証明書交付手数料の支払時、2市県民税、固定資産税・都市計画税、軽自動車税、国民健康保険税、介護保険料及び後期高齢者医療保険料の納付書による支払い時、3富岡製糸場や市立美術博物館などの見学料の支払い時、4上下水道料金の支払い時、それぞれのシーンで利用できる決済手段は異なるようですが、大きく電子マネー、クレジットカード、交通系電子マネーに対応しており、中でも市役所窓口での手数料支払い時には、PayPay、LINEPayなど7種類もキャッシュレス決済に対応しており、スムーズな支払いや迅速な窓口対応に直結しております。
そして、福岡県福岡市では、行政手続のオンライン化を積極的に推進しており、福岡県福岡市では、従来も公共施設の支払いにLINEPayを導入していましたが、さらなる利便性向上と感染症対策として、令和3年に、利用できるキャッシュレス決済を大幅に拡大しています。
対応しているキャッシュレス決済の種類は、従来11種類であったのに対し、同年には30種類に増加しています。具体的には、クレジットカードのVisaやマスターカードなどが利用可能となったほか、電子マネーでは、交通系ICカード9種類のほか、WAON、nanacoなどが利用可能となり、さらに二次元バーコード決済では、PayPayやLINEPayなどにも対応しています。また、福岡市植物園や市内駐輪場などでは、1つの二次元バーコードを設置するだけで、複数のバーコードサービスに対応できるクラウドペイを導入し、これによりd払いやauPAYなど5種類の2次元コード決済も利用可能となっております。
しかしながら、利便性の向上の反面で、デメリットもございます。
1つ目が、停電時や端末故障時に使えないというデメリットがあります。端末が故障した場合や電気トラブル、災害発生時には使用が不可となり、キャッシュレス決済が利用できなくなってしまうことが挙げられます。その際は、現金でのやり取りとなる可能性が高くなるため、キャッシュレス決済だけにすることには、ある程度のリスクが存在すると言えます。
2つ目が、地域住民からのニーズがない場合も、利用者が限定され、デメリットの一つになります。人口の少ない地域や高齢者が多いエリアでは、キャッシュレス決済をふだんから利用している人は少なく、限られる傾向にあるので、そもそも住民の満足度や利便性向上にはつながりづらいと考えられ、導入コストや運営コストに合わない可能性もあります。
そのような多面的な側面もある中で、効率的に運用するためには、判断基準や障壁が幾つかあると思いますけれども、1つ目の質問としましては、江別市として、窓口業務の簡略化について、市民が来庁された際に、適切な窓口へ案内する機能を持つタブレット端末やデジタルサイネージの設置、窓口のキャッシュレス決済導入が必要と考えますが、現在の市としてのお考えはいかがでしょうか。
項目2、市職員の業務の効率化についてです。
近年、DXやICT、ITといった言葉を耳にする機会が増えたかと思いますが、世の中ではDXがうたわれ、活用の範囲を広げていく働きが盛んに行われています。その流れの要因は、人口減少における効率化や、新型コロナウイルスの影響でテレワークの推進やリモート業務などの働き方の多様化が広がり、急務となったことにより、DX化に向かう流れになっています。
そもそもDXとは、デジタルトランスフォーメーションの略語であり、ITやICTと似たような意味合いになりますが、目的が少し異なります。デジタル化によってトランスフォーメーション、変革させるのは、製品、サービス、ビジネスモデルという売り物だけではなく、業務、組織、プロセス、文化、風土という、民間で申し上げるところの企業組織、企業活動にも及びます。
DX化を進めることで、一般企業においては、AI、IoTなどのデジタル技術を用いて、業務フローの改善や新たなビジネスモデルの創出だけではなく、業務の効率化に伴い、人口減少への対応策にもなっていますし、そのほかにも、旧態依然のシステムからの脱却や企業風土の変革にもつながっています。加えて、SDGsの達成に向けてもDX化は重要な取組で、DX化による業務の効率化や省人化は、SDGsの達成にも必須であると考えられているため、近年は、一般企業に限らず、DX化を活発に進める自治体が増えています。
一方、ITは、インフォメーションテクノロジーの略語で、情報技術です。IT化によって業務が大幅に効率化し、生産性が向上するということで大きなメリットがあります。IT化は、既存のアナログ作業にデジタル技術を駆使して業務効率化するなど、業務プロセスを改善することが目的です。
ICTは、インフォメーション・アンド・コミュニケーションテクノロジーの略語で、情報通信技術です。先ほどのITに通信のコミュニケーションが加わり、メールやSNS、チャットなど、情報をやり取りするためのサービスを指すほか、近年のAIやIoT化の進展により、世界的にその技術領域は拡大しつつあります。
DXのXは、先ほど述べたようにトランスフォーメーションという変革なので、本質として業務などの変革が含まれていなければなりません。DXは、ITやICTの活用を含めた様々なアプローチで実現されるものというのがポイントで、それらをツールとして使うと考えると、AIやIoTは武器であり、ITやICTは戦術であり、DXは戦略であると言えます。
そして、その最大の目的は、それらを利用して日常生活の利便性の向上を図ることや社会の質を高めることとなりますので、使うことが目的ではなく、あくまでも手段として生かす必要があります。
このような技術革新により、既に先進的に取り入れられている事例も多くあり、江別市においても、所管の課を置き重点的な取組が進んでいる部分もあるかと思いますが、今後の少子高齢化により人手不足が進む中で、より技術革新が進んでいくことに鑑みると、このような技術手段を用いて、従来よりも少ない人手で業務を遂行できれば省人化でき、人手不足の課題の解決にもつながり、これまで手作業で行っていた業務をデジタル化することもでき、効率化につながります。
例えば、紙の書類をデータ化してクラウドストレージにアップロードすれば、時間や場所を問わずに、誰でも簡単に情報の閲覧が可能ですし、ビジネスチャットを利用すれば、会議を開かなくても、部内で一斉に情報が共有できます。情報共有に係る細かい手間を削減すると、主眼であるコミュニケーションがより活発化し、業務の遂行がスムーズになります。
また、請求書の作成や経費計算などの業務を手作業で行うと、膨大な時間がかかったり、ミスをしたりする可能性がありますが、ツールやシステムを導入すれば、業務を自動化でき、ヒューマンエラーの防止や時間短縮が可能で、手間がかかる業務を削減できるため、労働時間の減少と生産性の向上につながり、別の重要な業務にリソースを割り当てられますし、新たな挑戦に注力もできるかと思います。
そのためにも、まずはIT化により業務効率や生産向上につなげて、職員一人一人の成長にも寄与し、IT化を推進することで、デジタル技術に対する意識が浸透し、DX化に向けた戦略を立てやすくなるのではないでしょうか。IT化やICT化がさらに進むことにより、DX化が推進されれば、少数精鋭でも戦える組織にもなります。ですので、広義の意味では、IT化を進め業務全体が改善されていけば、おのずとDX化にもつながると言えると思います。
ただ、その過程において問題も山積しています。1つは、DX人材の不足です。
現在、企業・自治体を問わず、日本全体においてDX化に携わる人材が不足しており、DX化を推し進める上での障壁となっています。既にスキルを持っている人材を獲得するか、あるいは人材の育成に取り組むか、または人材を確保している企業と組んで外注するか、いずれにせよ確実に解決すべき問題です。
日本の行政機関としてデジタル庁が新設されたことは記憶に新しく、DX化を進める上での方針の策定や施策の推進のためには、自治体においても、行政改革としてさらなる専門部署の設立は必要だと考えられます。ただ、地域ごとの財源規模、財源の違いによって、DX化に向けた投資に踏み切れない自治体は多いかと思いますが、DX化を進めることで、長期的に見ると、財政の立て直しやサービス向上など付加価値が得られ、自治体としての価値を高められます。
ここについては、まだ各自治体での実例も少なく、手を出しにくいのが実情のようではありますが、市民に寄り添いながら、本当に市民が求めていることは何かを市民目線で考え、何から取り組むべきかを精査していく必要があると思います。
繰り返しにはなりますが、DX化は、市政の基盤の強化や組織の変革を行う際に、今後絶対に必要となる十分条件であります。
その上で、実際の業務管理下において行政管理システムの簡略化や見える化、現行の組織形態において縦割りの組織からマトリックス型の横断的な組織構成への変換にもつながる重要なファクターになると想像できますので、まずは組織の課題や脆弱性を解消するために、DXを戦術として活用し、その後の組織運営の簡略化や財源のスマート化につながる大きな変革に寄与し、担保していくという流れになるかと思います。
とはいえ、抱えている課題に対しての具体的なイメージがしづらいかと思いますので、本市の現在の課題において、DXを生かしての改善や解決、そして、DX促進のために対応できる項目として5つほど挙げさせていただきます。
1つ目は、現在、冬期の積雪による学校休校については、各学校の校長の判断となっておりますが、DX化に伴い、各学校の校区の積雪量や除排雪状況などを共有して把握し、一律で一定の休校判断のルールや基準を設けて、データに基づき休校の判断をオートメーションで行うことも考えられます。
2つ目は、現行の市役所の職員のタイムカードのクラウド化だけではなく、業務日報などのデータもクラウドシステムで把握できるようにした上で、そこから勤務時間や勤務内容の集約や集計を行い、市職員の労務過多や健康状態をいち早く把握し、定量的な数値から判断、管理、対応ができるようにして働き方の健全化につなげ、必要に応じて市立病院と連携を行い、職員1,141名の健康管理を徹底し、職員のワーク・ライフ・バランスの安定と併せて、市立病院の稼働率のアップにも波及させる。
3つ目、少子高齢化において、職員の高齢化や人材不足が進む中で、一定のオートメーション化が必要になることを見越して、所管の行政デジタル化担当の人員数を一定数増やすか、専用職員の配置などをしてDX化を進める。
4つ目、市職員のキャリアアップ制度の充実を図るためにも、ジョブローテーションの際の情報の共有、本人の特性や適性を把握できるDXシステムを導入して、専門性に特化したスペシャリストの人材育成と幅広い業務をこなせるゼネラリストの人材育成を、本人の意思にも沿わせて適材適所にすみ分け、キャリアプランの構築をしていく。
5つ目、市役所の窓口業務職員以外のフリーアドレス制を採用し、縦割り組織からマトリックス型の横断的な組織構成への変革をして、いつもと同じ風景で終わらせる作業ではなく、新たなコミュニケーションから生み出す業務ができる環境の構築、醸成を行うなど、多岐にわたり活用方法はあるのではないかと思います。
これはほんの一例ではありますが、それ以外にも、農業・酪農分野や教育現場、医療現場など、様々な場面でDXを手段として生かせる方法がいろいろあるかと思います。
最後に、江別市DX推進方針の一文にも、4つの視点として、1市民目線で考えるデジタル化、2行政サービスの見直しによる市民の利便性向上に資するデジタル化、3市職員の業務効率の向上、働き方改革に資するデジタル化、4地域全体で進めるデジタル化の記載がありますので、その趣旨に沿って、上記に限らず、いろいろな問題に対してDXを手段としてかなえていくのであろうと思います。
既に議会でのタブレット端末の導入で、ペーパーレス化や、直近では生成AIを活用した文書の作成やアイデア出しも行われておりますので、今後、さらに取組は進んでいくものと思います。
そこで、2つ目の質問としましては、職員の業務の効率化について、江別市DX推進方針の記述にもありましたが、これまでのDXに係る取組と、今後、新庁舎建て替えに当たって、DXを推進していく上での考え方や確定事項についてお尋ねいたします。
以上、1回目の質問とさせていただきます。
議長(島田泰美君)
岩田議員の一般質問に対する答弁を求めます。
市長(後藤好人君)
岩田議員の一般質問にお答え申し上げます。
行政のDX化、デジタルトランスフォーメーション化について、まず、窓口業務の簡略化についてでありますが、市では、現在、生活環境部戸籍住民課の窓口で番号発券機や窓口番号表示装置等のシステムを導入し、利便性の高い窓口サービスの取組を実施しているほか、市民が目的の窓口に迷わず行けるよう総合案内窓口を設置し、庁舎案内などのサービスを提供しております。
議員が御質問のデジタルサイネージなどの設置については、他の先進自治体において、庁舎エントランス付近にタッチ式のデジタルサイネージ等を設置し、来庁した市民が自ら操作し、目的の窓口等を探すことを可能とする取組などが行われており、この取組によりまして、来庁者が迷わず目的の窓口に行き必要なサービスをスムーズに受けることができると同時に、案内窓口担当職員の業務軽減にもつながるものと認識しております。
また、キャッシュレス決済は、クレジットカードや電子マネー、二次元バーコードで公金収納の決済を行うもので、導入により市民等の支払い手段が増え、支払い時間も短縮されるものと認識しております。また、職員にとりましても、対応時間の短縮、現金受渡しミスの防止、心理的負担軽減などの効果があり、市民サービスの向上と業務効率化が図られるものと考えております。
一方で、議員が御質問の取組を推進するに当たっては、窓口レイアウトや導入経費が課題となることから、タッチ式のデジタルサイネージなどの設置は、新庁舎建設に向けて、また、キャッシュレス決済の導入は、費用対効果を考慮しながら、現在、検討を進めているところであります。
市と致しましては、市民ニーズを的確に捉えるとともに、先進事例を参考にして、デジタル技術を活用した窓口業務の改善について検討を進めてまいりたいと考えております。
次に、市職員の業務の効率化についてでありますが、庁内におけるDX化の取組については、国が策定した自治体DX推進計画や江別市DX推進方針に基づき、令和4年度に、AI、人工知能を活用した会議録作成支援システムを導入し、時間を要する会議録の作成について業務の効率化を図ったほか、令和5年度からは、外部人材を活用した職場内研修や個別相談会などを行い、DXの推進や職員の業務の効率化に係る意識の醸成に努めているところであります。
今年度におきましては、生成AIの利用を開始しており、文書作成やアイデア出しなどに活用しているほか、来年度には、住民基本台帳や市税などの基幹業務に国の標準準拠システムを導入し、業務の効率化につなげてまいりたいと考えております。
また、庁舎の建て替えは、DXを推進するに当たって、職員の業務の効率化や市民サービスの向上などを進める上で大きなチャンスであると捉えておりまして、江別市本庁舎建設基本計画では、書かない窓口や庁舎内ネットワークの無線化など、窓口の混雑緩和とともに、職員の業務の効率化についても、関係部局連携の下、検討することとしております。
こうしたことから、市と致しましては、引き続き他自治体の先進事例なども参考にしながら、DXを推進することにより、職員の業務効率化と市民サービスの向上に取り組んでまいりたいと考えております。
私からの答弁は以上であります。
岩田優太君
順次、再質問と要望をさせていただきます。
項目1についての再質問になりますが、窓口のキャッシュレス化について検討を進めているとのことですが、導入コストの算出など、現在、どの程度の検討を進めておりますでしょうか。
会計管理者(宮沼直之君)
再質問に御答弁を申し上げます。
キャッシュレス決済導入コストの算出についてでありますが、窓口の特性に合わせた導入費用や維持補修費用の算出を行っているところであります。
キャッシュレス決済の導入につきましては、窓口レイアウトや費用対効果を考慮しながら検討を進めてまいりたいと考えております。
以上であります。
岩田優太君
項目1については、最後は要望とさせていただきます。
キャッシュレス決済を前向きに検討している中で、導入時期や導入コストの明言はなかなか難しいかと思いますが、導入自体が市民満足度の向上や市役所機能の効率化につながりますし、現在の時代背景なども考慮しますと、早急に導入をしていただければと思います。
とはいえ、いきなりの支払い方法の変更は、困惑や混乱、トラブルの要因にもなりますので、導入の際は、市民への周知徹底と丁寧な説明、システムを活用する職員においては、研修や導入目的の共通意識の醸成も並行して行っていただければと思います。
項目2も要望とさせていただきます。
市として、今後できるであろうDXの活用方法の具体例は先ほど述べさせていただきましたが、今後は、各市町村においても、民間企業に近い変革が求められるものと思います。前回の第3回定例会で、野村和宏議員からも、市役所においても民間の経営感覚を取り入れるべきという一般質問がありましたが、確かに昨今は、地方自治体においてもそのような考え方が求められている時代であると思います。
ただ、いきなり民間企業のような短絡的なコストカットや規模の経済性などによる変革、簡略化、利益化は難しいかと思います。まずは、それらの目標設定を意識化、可視化するというのは、一般企業や地方自治体においても一律で必要になりますので、そこにおいてDXが戦術として活用できればと思います。
とはいえ、何よりもまずは市民目線で、必要な時期に必要なものから適宜アップデートしていっていただければと思います。そして、市役所内部のDX化につきましても、市役所の職員の皆様の能力が高いことは私自身存じ上げておりますので、目標達成に必要な強いチームの構築のためにも、ぜひともDX化を取り入れられるところから進めていき、負担になる業務は減らして、市職員の能力の最大化と効率化に努めてもらえればと思います。
重ねてになりますが、先ほど述べたように、あくまでもDXは、使うことが目的ではなく手段として生かすものであり、その上で最大の目的が、それらを利用して日常生活の利便性の向上を図ることや社会全体の質を高めることであります。
ですので、そこを念頭に置いて、より住みやすいまちにしていただければと思います。そして、江別市DX推進方針に記載がありましたが、期間については定めずと書いていたので、ぜひ期間も含めて検討していただければと思っております。
以上、私からの要望とさせていただきます。
議長(島田泰美君)
以上をもって、岩田議員の一般質問を終結いたします。
一般質問の途中でありますが、昼食のため暫時休憩いたします。
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午後 0時17分 休憩
午後 1時20分 再開
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副議長(内山祥弘君)
休憩前に引き続き会議を開きます。
一般質問を続行いたします。
石川麻美議員の女性の視点を生かした災害対応についてほか1件についての質問を許します。総括質問総括答弁方式、通告時間30分。
石川麻美君
ただいま、議長に発言の許可を頂きましたので、通告に従い順次質問させていただきます。
初めに、件名1、女性の視点を生かした災害対応についてお伺いいたします。
今年元日に発生した令和6年能登半島地震や、9月には豪雨災害にも見舞われ、今でも多くの方が被災されておりますが、地震の際には、避難所の環境が問題となりました。避難所生活の中で、女性や高齢者から困ったことなどの様々な御意見があり、特に女性ならではの視点から、避難所生活の改善点など多くの要望が寄せられたため、女性の視点を生かした避難所運営などが改めて求められました。
国は、2011年12月に防災基本計画を修正し、避難所での女性への配慮を盛り込みました。さらに、2013年には、男女共同参画の視点からの防災・復興の取組指針を策定し、2020年には、その改訂版となる男女共同参画の視点からの防災・復興ガイドラインを作成しました。
このガイドラインでは、避難所運営委員会等を設置し、女性がリーダーシップを発揮しやすい体制を確立することや、避難所の運営において、女性の能力や意見を生かせる場を確保することが示されています。
第3次江別市男女共同参画基本計画の基本方針7、男女共同参画の視点に立った防災・災害復興体制の整備では、男性はこうあるべき、女性はこうあるべきという固定的性別役割分担意識から、男女どちらかが過度な負担を抱えることがないよう、日頃から男女共同参画の考えを共有することが重要ですとしています。
そして、災害対策決定の場や防災活動の場に高齢者、女性、子供、障がい者、性的マイノリティーなど多様な視点から意見を取り入れられる仕組みづくりが重要であり、性別や年齢などにかかわらず、多様な意見が反映されるためには、防災分野における政策や方針決定過程、防災活動の場に誰もが参画できる仕組みと、自らの意思で積極的に参加するような姿勢や意識の改革を進める必要があるとしております。
以上を述べさせていただき、以下の3点についてお伺いさせていただきます。
2023年12月31日時点での国の調査では、全国1,738市町村の防災・危機管理部局における女性職員の比率は11.5%にとどまっており、5割を超す996市町村では、女性職員はゼロという結果でした。
避難所生活では、女性と男性の安全・安心を確保することが求められています。男女共同参画の視点からの防災・復興ガイドラインによると、まず、避難所運営に女性が参画してリーダーシップを発揮できるようにする必要があります。具体的には、責任者や副責任者などの役員の少なくとも3割以上を女性とすることや、避難所での生活ルールづくりを行う際には、女性の意見を反映させるよう促すことなどが挙げられています。
しかしながら、防災関連の業務は、緊急対応が必要になる業務も多いことから、女性よりも男性の配属が優先される領域と考えられていること、女性職員がほとんどいない職場のため、定着が困難であるとも言われておりますが、当市は、総務部危機対策・防災担当へ女性職員の配置はされているのでしょうか。また、実際災害があったとき、庁内の女性職員が担う災害に対する役割は分担されているのか、お伺いいたします。
2点目に、備蓄品についてお伺いいたします。
女性の視点は、災害への備蓄品にも影響いたします。2022年の国の調査では、防災担当の女性職員が1割以上の市町村は、女性職員がゼロの市町村に比べ、女性や乳幼児向け用品、介護用品の備蓄割合に高い傾向が見られました。
避難所においては、女性が避難運営に関わることによって、今回の令和6年能登半島地震の避難所になっている石川県珠洲市内の小学校では、女性看護師の提案で、下着や紙おむつといった支援物資を保健室に置き、女性民生委員を交代で常駐する対応を取った結果、女性避難者から、人目を気にせず用品を取りに来られたとの声があったそうです。
このように、避難者の環境整備は重要であり、ほかにもプライバシーを十分に確保できる間仕切りの工夫をしたり、異性の視線が気にならないよう、更衣室や物干場、入浴設備は男女別に設けたりするなどが必要となります。そして、女性用品の備蓄や配付場所の設営とともに、女性用トイレの数は、男性用に比べ多くするなどの配慮も必要になります。女性や乳幼児が早期に必要と思われる物資の代表的なものとして、プライバシーを十分に確保できる間仕切り、生理用品、女性用下着、授乳用品、離乳食用品、紙おむつ、体温計、消毒液などです。
しかしながら、備蓄品によっては難しいものもあるので、住民の自助の備えを促すことを江別市地域防災計画でも明記されておりますが、自治体としても、ある程度の備蓄品は必要であると考えます。
さきに述べた男女共同参画の視点からの防災・復興ガイドラインにある備蓄チェックシートで、女性や乳幼児の備蓄品を確認できますが、女性の視点に立って、必要かつ十分な備蓄を行うことが極めて重要であり、公的な備蓄だけでは対応できない事態が生じることも想定し、倉庫業者、運送業者、コンビニエンスストア、スーパーマーケット等の企業や環境団体と協定を結んだり、ほかの地方公共団体と災害援助協定を締結することも有用としております。
江別市としても、関係機関や民間企業などと協定を締結し積極的に取り組んでおりますし、今後とも拡大、充実を図っていただきたいと思いますが、女性や乳幼児、高齢者に配慮した備蓄品が現在どの程度そろっているのか、さらに、避難所において備蓄品を手渡す場面における女性への配慮についてのお考えをお伺いいたします。
3点目に、江別市防災会議における女性委員の登用の促進についてお伺いいたします。
地域防災計画に女性の視点を反映させるに当たり、検討を行う会議の女性の割合を高めなければ、女性の声を政策決定過程に反映できません。
2023年12月31日時点の国の調査では、防災会議に占める女性委員の割合は平均で22.2%、2012年の4.6%からは大きく改善されましたが、国が目標とする30%にはまだ届いていない状況です。避難所運営や備蓄品の選定などに女性の視点を反映させる鍵となるのが、地方防災会議に占める女性委員の割合であり、とても重要な役割になります。
三重県鈴鹿市では、2013年度までは、防災会議に女性は1名しかいませんでしたが、女性市長の強いリーダーシップの下、女性の参画拡大に向けた取組を実施し、庁内の管理職に加え、市内の大学の学識経験者、医療分野、ライフライン関係事業所、女性消防分団、災害ボランティア団体等に委員への就任を要請したことで、女性の割合が高まりました。2022年度の防災会議女性委員は40%の登用率となっています。
2024年7月1日現在の江別市防災会議委員は34名で構成され、そのうち2名が女性と確認しており、全体の割合から見ると女性の割合は5.9%と、国が示す割合には届いておりません。今後、国が示す女性委員の割合30%を目指すために、その登用の方法やお考えがあればお聞かせください。
続きまして、件名2、終活支援についてお伺いいたします。
終活という言葉は、私たちの生活にも浸透し、多くの方に認知されるようになりましたが、人生の最期を迎えるに当たって、いろいろな準備を行うことを意味します。また、葬儀やお墓ばかりが注目されがちですが、葬儀や相続などのエンディングだけではなく、医療、介護、年金、資産管理、住まい、これからの暮らし方など、人生の最期のときを意識しながら、これからの人生を自分らしく生きる準備をし、亡くなった後に備えることとも言われております。
近年、人生100年時代と言われていますが、家族や周囲にできる限り迷惑をかけたくないということもある一方で、独り暮らしや身寄りがない方、身内と疎遠になっている方、経済的にゆとりのない高齢者の中には、自身の葬儀や亡くなった後の後始末に対する不安を抱いている方もいることと思います。
先月、厚生労働省の国立社会保障・人口問題研究所から日本の世帯数の将来推計が発表されており、北海道の推計を確認したところ、2050年に、約202万世帯の45.5%に当たる92万世帯が独り暮らしになるという結果でした。団塊の世代が健在の中、1971年から1974年に生まれた団塊ジュニア世代が65歳を超えることが背景にあるとされております。また、65歳以上の独り暮らしは、2020年の約38万世帯から、2050年には約46万世帯に増加すると推計されています。
以上の結果から、今後、独り暮らし高齢者の増加とともに、身寄りのない方も増えるものと考えられ、独り暮らし高齢者の終活は避けられない課題となってくるのではないでしょうか。
以上を述べさせていただき、次の5点についてお伺いさせていただきます。
今回の終活支援の項目に関しては、令和4年第4回定例会で当会派の裏議員が一般質問を行っておりますが、改めて後藤市長にお考えをお伺いさせていただきたいと思います。
誰にでも訪れる死をどのように迎えるのか。特に、身寄りのない独り暮らしの高齢者にとっては深刻な問題です。このような問題の背景として、自分が亡くなった後の不安を解消し、安心した生活を送っていただくための終活支援を行っている自治体が増えてきました。
神奈川県横須賀市は、全国に先駆けて、2015年から終活支援の事業を行っております。この事業を始めたきっかけは、引き取り手がない無縁遺骨が増えたことでした。市の担当者は、身寄りのない人には、生きているうちに備えてもらうことが必要と強調されており、2023年度末までに146人が登録し、このうち72人が生前の希望どおりに埋葬されております。
また、神奈川県大和市では、おひとりさまなどの終活支援事業などに取り組んでおり、ほかにも、各自治体が実情に即した終活支援のサポート事業に数多く取り組んでおり、当市としても、終活支援のサポートが必要だと考えます。
1点目に、終活支援の必要性について、市の認識をお伺いいたします。
2点目に、終活相談の対応についてお伺いいたします。
裏議員の終活支援専門の窓口設置についての質問に対して、現在、市民からの終活に関する相談を市民相談所のほか各担当窓口で対応しており、相談内容等の情報共有を図ることにより、市民ニーズの把握に努めてまいりますとの答弁でした。
市としては、終活支援の専門の窓口を設けずに、各担当窓口で対応していると承知はしておりますが、この間2年が経過し、新型コロナウイルス感染症の影響は終活にも大きな変化が表れたと思います。高齢者は外出の機会が極端に少なくなり、対面の終活セミナーも、その多くが取りやめになりました。
その一方で、家で過ごす時間が長くなったことで、自身の人生を深く考える機会も増え、その一つとして、少しずつ終活に対する意識が高まっていると専門事業者は語っております。
コロナ禍を経て、高齢者の終活に対する意識はどのように変化したのか、2020年11月25日から3日間、NPO法人ら・し・さが行った終活意識全国調査の結果を、2021年3月に公表しました。
調査人数3,096名のうち半数近くがコロナ禍で人生に対する向き合い方が変わったと回答しております。コロナ禍で、いつ何があるか分からない、死が身近になったと感じる人が増えたことの表れであり、ふだんテレビで見ていた芸能人が新型コロナウイルス感染症で亡くなったことが終活への関心を高めるきっかけとなったという方もいるとしております。
私も、終活のことで相談を受けることがありますが、市として、終活相談に対する対応状況と課題についてお伺いいたします。
3点目に、終活支援の専用窓口を設けることについてお伺いいたします。
東京都豊島区では、都内23区の自治体では初となる専用窓口が、豊島区終活あんしんセンターとして2021年2月に開設しました。区の委託で社会福祉法人豊島区民社会福祉協議会が運営し、相続や遺言、葬儀など、終活全般について相談できます。相談件数は累計で約2,000件に及んでおり、社会福祉法人豊島区民社会福祉協議会の担当課長は、豊島区終活あんしんセンターが社会福祉法人豊島区民社会福祉協議会内にあることから、見守り訪問や成年後見制度の利用など、社会福祉法人豊島区民社会福祉協議会の既存サービスに円滑につながるケースもあるとしています。
また、愛媛県今治市では、将来に対する不安を少しでも取り除き安心して生活するために、終活サポートに取り組むとして、終活サポート事業の一つに、終活サポートセンターを今年度より設置いたしました。
地域包括支援センターの経験者も職員として配属され、生前の準備に関することや将来に対する不安に対し、必要な情報提供や終活を共に考えつなげるための窓口として取り組んでおります。また、庁内のみならず、成年後見支援センターや地域包括支援センターとも連携を取り、情報共有する中、相談の内容に沿った部局や事業所へつないでいます。
冒頭にも触れましたが、身寄りがない、頼れる親戚がいない等の独り暮らし高齢者の増加が見込まれます。その中で、終活に対する相談をしたくても、どこにしてよいのか分からない市民もいるのではないでしょうか。
市民の皆様が安心して人生の最期を迎えられるように、市民相談の窓口ではなく、終活と分かる専用の窓口を設けることについて、改めてその御見解をお伺いいたします。
先ほど触れました愛媛県今治市では、終活サポート事業の中で終活応援事業所の取組も実施しております。これは、愛媛県今治市が実施する終活支援に賛同し、事業所の特色を生かし、市民の終活を応援している事業所のことで、生命保険会社や信用金庫などの銀行、郵便局、葬儀社、行政書士など14の事業所と締結しており、相談を受けたときに、内容に応じてこれらの事業所を一覧にしてお渡ししています。
裏議員も、協力葬祭事業者社や法律専門家との契約を締結するための支援について質問しておりましたが、独り身の高齢者などが安心して生活していくために、葬祭事業者や法律専門家との生前契約などにつきましては、今後、ニーズが高まっていくものと認識しており、終活支援を実施している自治体や事業所の取組を調査研究していくとの答弁でした。
相談者は、現実的にどこの事業者や専門家に行けばいいのか分からないのが現状です。
4点目に、当市としても、愛媛県今治市のような取組を進めていくべきと考えますが、調査研究の状況も踏まえて、お考えをお伺いいたします。
愛媛県今治市では、ほかにも、自分がもしものときに、親族や病院、警察などに必要な情報を伝えることができる終活情報登録事業を実施しております。登録できる内容は決まっていますが、あらかじめ御本人が伝えたい内容を愛媛県今治市に登録しておくことで、急病や事故などで意思表示ができなくなったとき、登録した内容を指定した御親族や病院、警察などに伝えることができる仕組みになっています。
登録の仕組みは、本人が市役所へ登録すると、今治市終活登録カードが交付されます。御本人が病気、事故等で意思表示できなくなったときに、そのカードを持っていると、関係機関は市役所に問合せをすることができ、市役所は、問合せの内容に回答することができるようになっています。
この事業に関しては、先ほど紹介した東京都豊島区も2022年4月から開始しております。この登録をすることで、御本人の情報がすぐに確認できること、また、関係機関が調べる時間や手間がなくなるメリットがあると思います。
5点目に、愛媛県今治市や東京都豊島区のように、終活情報登録事業を実施することについていかがお考えか、お伺いいたします。
以上で、1回目の質問を終わります。
副議長(内山祥弘君)
石川議員の一般質問に対する答弁を求めます。
市長(後藤好人君)
石川議員の一般質問にお答え申し上げます。
私からは、女性の視点を生かした災害対策に関しまして、初めに、危機対策・防災担当への女性職員の配置について御答弁を申し上げます。
地域防災力の向上を図るためには、男女共同参画の考え方に基づき、避難所運営や備蓄品について、女性の視点を取り入れた防災対策の確立が重要と考えております。
議員が御質問の防災担当部門への女性職員の配置状況でありますが、現在、専任職員1名、兼務職員1名のほか、会計年度任用職員1名を配置しております。
また、女性職員が担う災害に対する役割分担についてでありますが、市民対策班や福祉管理班など全庁で29班が編成され、男女を問わず、それぞれの班の所掌事務に沿って災害対応に当たることとしております。
次に、江別市防災会議における女性委員の登用の促進についてでありますが、江別市防災会議は、地域防災計画の作成及びその実施の推進、防災に関する重要事項の審議等を目的に、市長を会長とし、市に関係する行政機関や公共団体における防災関係部門の長やそれに準じる者等を委員として構成しております。
江別市防災会議委員は、災害対策基本法に基づきまして、北海道防災会議の組織に準じて、江別市防災会議条例で定めることとされており、指定職の委員32名、公募委員2名、計34名の委員で構成され、現在は2名の方が女性であります。
また、女性の意見を取り入れることは重要であることから、江別市女性団体協議会に指定職の委員をお願いしているほか、公募委員の選考に当たっては、委員の年齢構成や男女比などを総合的に勘案して評価することとしており、2名のうち1名は女性としております。
いずれに致しましても、江別市防災会議委員は、北海道防災会議の組織に準じる必要があることから、結果として女性比率が低くなっておりますが、防災施策の充実を図るため、多様な視点を取り入れることは重要でありますので、他市の事例などについて研究してまいりたいと考えております。
私からの答弁は以上でありますが、このほかの御質問につきましては、総務部調整監ほかをもってお答え申し上げます。
総務部調整監(野口貴行君)
私から、女性の視点を生かした災害対応についての御質問のうち、備蓄品について御答弁を申し上げます。
自らの命は自らが守るという自助が災害対応の基本であることから、自助に対する意識の醸成とその取組を実践していただくことが重要であります。
このため、市では、災害時の備えとして、水や食料などの備蓄品を少なくとも3日分、できれば1週間分を備えてもらうことや、薬など個人の事情に応じた非常持ち出し品を備えていただくように周知しております。
なお、自助で備え切れない部分につきましては、公助として、市の備蓄品や災害時協力協定企業からの応急物資で対応することを基本的な考え方としております。
議員が御質問の女性や乳幼児、高齢者に配慮した備蓄品につきましては、居住空間で活用する間仕切りのほか、更衣室や授乳室などに活用できる多目的テント、生理用品、使い切り哺乳ボトルや液体ミルク、紙おむつ、体温測定器、消毒液などを計画的に備蓄しているところであります。
また、避難所運営につきましては、地域の自治会や自主防災組織が中心となり、江別市避難所運営マニュアルに沿った訓練を実施しており、初動期における受付要領や間仕切りの組立て訓練など実践力の向上を図っているほか、避難所運営への女性の参画、女性や乳幼児、高齢者等を含めた多様なニーズに配慮することについて理解を深めていただくための取組を、引き続き進めてまいりたいと考えております。
以上であります。
健康福祉部長(岩渕淑仁君)
私から、終活支援について御答弁を申し上げます。
まず、終活支援の必要性についてでありますが、江別市高齢者総合計画における推計では、当市の65歳以上の高齢者人口は2040年まで増加する見通しであり、これに伴い、単身世帯の高齢者も増加すると見込まれます。こうしたことから、自身の葬儀や遺品整理、相続などの各種手続に不安を抱える方が今後増えていくと思われます。
終活支援の現状と致しましては、一部の自治体では、就活を行う住民を支援するための取組を行っておりますが、全国的な広がりにまでは至っていないと認識しております。
一方で、郵便局や葬儀社、弁護士、司法書士などの民間事業者が終活に関する様々なサービスを展開しております。総務省が昨年8月に公表した調査報告によると、終活支援を行っている民間事業者のうち83.8%が、身元保証の代替支援、介護保険サービスの手続代行などの日常生活支援、葬儀、納骨などの死後の支援をパッケージで提供しているとのことです。
現在、市では、終活に関する相談を受けた際は、相談内容に応じ、弁護士など法律の専門家による法律相談センターや市が委託している成年後見支援センターなど関係機関を紹介するほか、民間事業者の紹介も行っているところです。
次に、終活相談の対応についてでありますが、市では、現在、市民から終活に関する相談につきましては、市民相談所を中心に応じているほか、各担当窓口でも対応しており、相談内容に応じて、弁護士など法律の専門家による法律相談センターや市が委託している成年後見支援センターなどの関係機関のほか、郵便局などの民間事業者を紹介しております。
議員が御質問の終活相談の対応状況と課題につきましては、市民相談所には、相続や死後の手続及び終活全般に関する相談が多い月では10件程度あるほか、生活環境部市民生活課には、お墓についての相談が月に1件程度、健康福祉部介護保険課には、終活全般に関する相談が3か月に1件程度寄せられております。
市と致しましては、終活に関する様々な民間事業者が増えてきており、おおむね相談内容に応じた対応ができていることから、今後も現在の対応を継続してまいりたいと考えております。
次に、終活支援の専用窓口を設けることについてでありますが、愛媛県今治市では、市民からの相談に応じ、部局や民間事業者につなげるための専用窓口を設けていると承知しております。
現在、当市における終活に関する相談対応と致しましては、市民相談所が中心となって、民間事業者の紹介など、相談内容に応じた、つなげるための窓口として機能しているところであります。
議員が御質問の終活支援の専用窓口を設けることにつきましては、先ほど御答弁を申し上げましたとおり、おおむね相談内容に対応ができていることから、今後も、市民相談所を中心とした対応を継続してまいりたいと考えております。
次に、終活協力事業者と契約を締結することについてでありますが、終活支援を実施している自治体を調査したところ、愛媛県今治市のように協力事業者を一覧にしている自治体もありますけれども、相談内容に応じて民間事業者などを紹介する自治体が一般的となっております。
市と致しましては、相談者と民間事業者との契約は私人契約であるため、特定の事業者を一覧にして紹介することは避けるべきと判断しておりますことから、相談者に対し、どのような業態の民間事業者がサービスを実施しているかを紹介するとともに、複数の事業者から話を聞いて見積りを取ることを助言するなど、相談者を事業者につなげるための支援を継続してまいりたいと考えております。
次に、終活情報登録事業を実施することについてでありますが、終活情報登録事業は、居住している自治体に緊急連絡先や終活情報を登録しておき、急病や事故などで意思表示ができなくなったときに、自治体が緊急連絡先への連絡などを行う事業と承知しております。
現在、市では、救急車を呼んだ際に必要となる緊急連絡先や持病、かかりつけ医などの情報を記入し、玄関など目立つ場所に貼っておくことにより、救急隊員が必要な情報を確認することができる、救急袋と書いてきゅうきゅうたいと呼んでいる封筒を作成し、地域包括支援センターが中心となって配付しております。
救急袋は、もしものときに伝えたいことのほか、終活情報や利用しているサービスの担当者の名刺など、必要な情報を封筒の中に入れておくことにより、終活情報登録事業と同等の役割を果たすことが可能となります。また、救急袋は、市役所が開庁していない時間帯であっても、緊急連絡先が確認できることがメリットであります。
市と致しましては、もしものときの不安を抱える方の備えとして、救急袋の活用を周知してまいりたいと考えております。
以上であります。
石川麻美君
要望と再質問をさせていただきます。
まず初めに、1件目、2項目めの備蓄品について再質問させていただきます。
1回目の質問では、男女共同参画の視点からの防災・復興ガイドラインに記載されている女性や乳幼児が早期に必要と思われる物資の代表的なものとして、プライバシーを十分に確保できる間仕切り、生理用品、女性用下着、授乳用品、離乳食用品、紙おむつ、体温計、消毒液などを挙げました。
答弁では、計画的に備蓄しているとのことでしたが、先ほど挙げさせていただいたそれぞれの備蓄品について、その備蓄の状況と今後どのような計画で備蓄していくのかについてお伺いさせていただきます。
次に、3項目めの江別市防災会議における女性委員の登用についてですが、男女共同参画の視点からの防災・復興ガイドラインには、東京大学社会科学研究所の調査では、地方公共団体の防災会議の女性委員比率と、各種生活用品を常時備蓄とする比率について、女性委員が高いほど常時備蓄とする比率が高いとの報告があり、地方防災会議や意思決定層の女性比率が高まることで、防災計画の中に女性の視点に立った対策が取り入れられ、男性が見落としがちなニーズや必要な対策に対応できるようになりますと書かれております。
大阪府堺市では、男女共同参画の視点からの防災・復興ガイドラインが公表された直後に、市議会でも取り上げられ、防災における男女共同参画の視点や女性の参画を当たり前にしようとする動きがあったことから、防災会議の委員構成を変更することで、女性委員の割合が10%台から46%まで向上した取組をしております。ほかにも数多くの事例があり、あらゆる視点から女性の参画に取り組んでいる自治体もあります。
御答弁では、女性の比率が低くなっているが、多様な意見を取り入れることは重要であるとのことでした。防災会議における女性の割合は、ただ単に数だけの問題ではなく、市の防災に対する意識として、女性の声や視点が大事であると訴え、女性選出の協力依頼をしていくことも必要なのではないでしょうか。
男性には見えていない課題に対して、女性の視点からの気づきで話合いが進むことも考えられますので、女性委員の割合30%を目指して取り組んでいただくことを要望とさせていただきます。
続きまして、2件目、2項目めの終活相談の対応について再質問させていただきます。
頂いた御答弁から、終活に関する相談については一定の相談数があるということ、また、件数から考えると、特別に窓口をつくらなくても相談対応ができているという御認識であることはお聞きいたしました。
当市の場合、市民相談所において就活の相談を受けることができると特にうたっていない中で、一定の件数の相談が寄せられているということだと理解いたします。実際に、私のところにも、終活に関して、どこに相談したらよいのか分からないというお声も届いていますので、そうしたことも踏まえて、一定のニーズはあるのではないかと考えます。
今後、高齢化が進んでいく中で、自分の終活に関して不安に思う人が多くなっていくことを考えると、しっかりと相談対応できるようにしていくことも重要なことと思います。例えば、市民相談所において、終活に関する相談や事業所などにつなげることもできるといったようなことを周知していただけると、市民の皆様の安心感にもつながるのではないでしょうか。
今できる範囲で、もう一歩進んだ取組として、終活に関する周知や相談しやすい体制をつくっていくことについて、お考えをお伺いいたします。
次に、5項目めの終活情報登録事業を実施することについてですが、私が紹介した愛媛県今治市の就活情報登録事業は、1回目の質問でも述べたように、あらかじめ本人が伝えたい内容を市に登録しておくことができ、登録した情報を親族、病院、警察などに伝えることができる仕組みとなっております。そして、登録できる内容として、緊急連絡先やかかりつけ医はもちろんのこと、エンディングノート、遺言書の保管場所、生前契約した内容や金融機関と契約している遺言信託なども登録できるようになっています。
一方、江別市で取り組んでいる救急袋は、終活情報登録事業と同等の役割を果たすとの答弁でしたが、封筒を玄関の目につく場所に貼ってくださいとしており、家で倒れたときに、救急隊員が確認できる前提になっています。自宅だけではなく、外で倒れた際でも、様々な情報を市に登録することで、親族や病院、警察などが情報を得られるという趣旨とは少し違うのではないでしょうか。
救急袋を普及することについてはとてもよいことだと思いますが、仮に先ほど述べた内容のものが封筒に入っていたとしたら、救急隊員は、封筒に入っている全ての情報を親族や病院、警察などの機関に情報提供していただけるということになるのでしょうか。もしそうであれば、率直に申し上げて、救急隊員にそこまでの業務をしていただくことは、少し無理があるのではないかと考えるところです。
そうしたことから、救急袋に終活情報登録事業と同等の役割を持たせるというのならば、そもそもの使い方の周知や情報をどのような形で必要な人に伝達するのかなどについて、検討しなければならないものと考えますが、いかがでしょうか。
2回目の質問を終わります。
総務部調整監(野口貴行君)
女性の視点を生かした災害対応についての御質問のうち、備蓄品についての再質問に御答弁を申し上げます。
市では、現在、災害用備蓄品の整備として、令和10年度までの10か年計画を定め、水や食料、簡易トイレのほか、冬期の災害対策として、寝袋やアルミマットなどの備蓄を進めているところであります。また、本計画は、災害対応の検証結果や社会情勢などを反映し、女性や乳幼児、高齢者に配慮した品目の追加など、必要に応じて内容の見直しを行ってきたところであります。
そのうち女性や乳幼児、高齢者に配慮した備蓄品については、間仕切りが計画数2,500区画に対し2,300区画、以下、生理用品が計画数600袋に対し600袋、使い切り哺乳ボトルが計画数288個に対し144個、液体ミルクが計画数48本に対し48本、大人用及び乳幼児用の紙おむつが、それぞれ計画数9パックに対し9パックとなっており、そのほか多目的テントが65張り、体温測定器が10個、消毒液が690リットルをそれぞれ備蓄しております。
災害用備蓄品の整備に関しましては、10か年計画に基づき適切に対応してまいりたいと考えております。
以上であります。
健康福祉部長(岩渕淑仁君)
私から、終活支援についての再質問に御答弁を申し上げます。
まず、終活相談の対応について、終活に関する周知や相談しやすい体制をつくっていくことに関してでありますが、先ほど御答弁を申し上げましたとおり、市民相談所や生活環境部市民生活課、健康福祉部介護保険課などの窓口で相談をお受けしており、おおむね相談内容に応じた対応ができていることから、市と致しましては、今後も現在の対応を継続してまいりたいと考えております。
次に、終活情報登録事業を実施することに関しまして、救急袋に終活情報登録事業と同様の役割を持たせるための検討についてでありますが、救急要請を受けて駆けつけた隊員が救急袋を見つけた際は、救急袋の封筒も搬送先の病院に持って行き、病院に引き継ぐ運用となっております。
救急袋に記載された情報を引き継いだ病院では、親族など緊急連絡先に連絡を取るために活用し、その後、親族がいない場合は、就活事業者などに引き継がれると承知しております。
救急袋には、使用方法として、ケアマネジャー等の名刺や伝えたいことを封筒の中に入れておくことを記載していることから、市と致しましては、現在の運用で終活情報登録事業と同等の役割を果たせると考えております。
以上であります。
石川麻美君
御答弁をありがとうございました。
3回目は、要望のみ述べさせていただきます。
初めに、2件目の2項目めの終活相談の対応についてですが、2回目の質問でも述べましたが、終活相談に対して特段の周知をしていなくても相談に来る市民がいらっしゃるということは、一定のニーズはあると考えると、終活支援の専用窓口を設ける必要性があるのではないかと思います。
今後、高齢化社会が進むにつれて相談も増えていくと思いますし、また、市民の安心のためにも、終活支援に関する取組の検討をしていただくことを要望させていただきます。
次に、5項目めの終活情報登録事業を実施することについてですが、当市における救急袋の取組については理解いたしました。
しかし、救急袋を持っている市民は、活用方法を十分に理解しているのでしょうか。プライバシーの保護が厳重である病院であったとしても、それが第三者の手に渡り、本人の情報を取得するということに対して、周知されているのか少し不安に思うところです。
また、救急袋は、玄関の分かるところに貼りつけるなど、自宅で倒れたことを想定しています。就活情報登録事業は、カードを持っていることにより、本人が外出中に倒れた際に、市が必要な情報を伝えることができるという取組になります。救急袋が終活情報登録事業と同等の役割を果たすということであれば、外出する際にも持ち歩き、倒れたら第三者が確認するということになると思うのですが、果たして、それは安心・安全な取組と言えるのでしょうか。救急袋をそのような活用方法で取り扱うことに少々無理を感じます。
最近は、終活情報登録事業の取組を進める自治体が増えてきております。市民の皆様が安心・安全に過ごしていただけるように、終活情報登録事業の実施に向けて検討していただくことを要望とさせていただきます。
以上で、私の一般質問を終わります。
副議長(内山祥弘君)
以上をもって、石川議員の一般質問を終結いたします。
一般質問を続行いたします。
野村和宏議員のふるさと納税についてほか1件についての質問を許します。一問一答方式、通告時間45分。
野村和宏君
ただいま、議長より発言の許可を頂きましたので、通告に従い順次質問させていただきます。
また、本日は、傍聴席にたくさんの市民の方にお越しいただきまして、道の悪い中、本当にありがとうございます。
それでは、質問に入らせていただきます。
昨年も質問させていただきましたが、ふるさと納税について再び質問させていただきます。
昨年は、ふるさと納税の取組について、もっと積極的に目標数値を掲げた上で取り組んではいかがかと問わせていただきましたところ、あくまでも寄附であり、相手がある事柄であることから、目標数値の設定はそぐわないと判断している旨の御答弁を頂きました。
昨年10月には、国による制度変更により、返礼品とそれに附帯する事務費用や送料も含む費用の総額が寄附額の50%を超えないこととされました。その制度変更に当たって、昨年9月には、全国的に寄附件数や金額が駆け込みで増加したことは周知のところでございます。
全国的に、その後の10月以降は、件数、納税額ともに反動で減少したこともありますが、全国の各自治体においては、有形無形の新たな魅力ある返礼品の開発や、より可視率の高いポータルサイトへの対応、さらには、費用のかかるポータルサイトに頼らずに新たな取組を試行している自治体も多数あります。それらの取組により、寄附件数、寄附額ともに前年より伸長させている自治体も少なくありません。
各自治体では、ふるさと納税の取組により歳入を増やし、それにより高齢者の交通支援や子育て支援、教育支援などの住民サービスを充実させていることは広く知られており、その観点からも、ふるさと納税制度をフィールドとした自主財源確保に向けた自治体間競争も激しくなってきていると承知しております。
先ほども申し上げましたが、全国を見渡しますと、制度変更のマイナス要因はあるものの、自主財源確保のための様々な仕掛けにより、寄附額を増加させている自治体も多数あります。
先般、江別市の市制70周年記念式典にお越しいただいた函館市の大泉潤市長におかれては、昨年の就任後に、ふるさと納税を4年後に100億円にするという目標を発表されました。令和4年度の寄附額は11億9,700万円とされています。普通に考えて、誰もが途方もない数値目標であると考えるところであり、100億円は現実的ではない目標と思うところではありますが、大切なのは、そこに向かうことで大きく伸長することであり、それを実績で示されているものと思います。
初年度目標の20億円には届かないものの、今年1月末時点で、前年の12億円を上回る14億3,480万円、年間で約16億円の歳入を見込むとの新聞報道がありました。結果として、右肩上がりに寄附額を増やしていることは事実であり、そこはとても重要ではないかと考えるところであります。函館市を例に挙げましたが、多くの自治体が積極的にふるさと納税に取り組んでいることは御存じのことと思います。
このように、目標を設定し、それを達成するために官民挙げて知恵を絞り、住民サービスの充実につなげることは、今後の少子高齢化による様々な歳出の増加、そして、労働人口の減少による市税収入の減少も想定されることについて、少しでもあらがうことになるものと考えます。そして、ふるさと納税の強化で、地物の産品やサービスが多く返礼品として利用されることで、市内の事業者にとっても貴重な収益源になり、関連して法人税収の増にもつながるものと思います。
そのような環境の中、我が江別市のふるさと納税の取組はいかがでしょう。
制度変更前の令和4年10月から令和5年9月までと令和5年10月から令和6年9月までの納税額実績は、制度変更前で3億8,014万917円に対し、制度変更後は3億1,875万7,000円、マイナス6,138万3,917円となっております。前年対比で83.8%となっております。そして、令和5年4月から9月までと令和6年4月から9月での比較ですと、金額でマイナス4,903万8,917円、前年比62.4%となっています。今年度の一般会計歳入予算では、ふるさと納税でマイナス4,000万円の予算設計になっておりましたが、既に半期でマイナス予算を大幅に超過しており、厳しい言い方になりますけれども、問題として大きく捉えていただきたいことから、これを仮に民間企業の事業として捉えたら、壊滅的状況に陥ったり、存続も危ぶまれるほどの状況にもなり得ると考えます。
このように、ふるさと納税寄附額が前年比で6,138万3,917円の減収になるとの数値を頂いているところですが、もう少し数値の中身を見ますと、令和5年4月、令和5年5月の実績と令和6年4月、令和6年5月の実績を比較しますと、件数で前年比31.5%、1件当たりの金額では前年比145.6%となっております。これは単に、返礼品とかかる経費を金額の50%以内にするという制度変更により、いわゆる値上げせざるを得なかったと考えます。データは多くありませんでしたが、他の自治体では、1件当たりの金額の10%から20%程度の上げ幅ではないかと見ております。
さらには、江別市内の返礼品出品業者に聞き取り調査をしたところ、やはり値上げ幅が大きい影響で出荷件数は大きく減っており、事業者によっては数百万円の減収になっているとのことでした。
そこで、1つ目の質問として、昨年の制度変更前までのふるさと納税の納税額に対する返礼品と附帯経費の比率と制度変更後の比率についてお聞きします。
さらに、1件当たり145%、約1.5倍まで寄附額を増やす必要があったのか、また、どのような考えで約1.5倍まで引き上げたのかについてお聞かせください。
2つ目に、制度変更による減収はマイナス4,000万円の予算立てとしたわけですが、それを大幅に下回る実績となるわけです。このマイナスの現状は期間の途中で予想が可能だったと思いますが、マイナスを少しでも減らすためにどのような施策を施したのか、伺います。
3つ目に、先ほども申し上げましたが、返礼品の供給は江別市内の民間企業です。ふるさと納税への出品による収益に関しては、自らの営業力というよりも、市のふるさと納税の取組に依存するところによると思います。
民間企業は、前年の実績や経済環境を勘案して、さらには人件費など経費の増加を勘案した上で毎年の売上利益の予算を立てています。しかし、自らの営業力によらないところでの収益に関して、前年を下回る状況になることは、企業によっては、経営の痛手になることもあり得るのではないでしょうか。このことからも、市のふるさと納税の取組によって企業業績に影響が出ることは、今後の返礼品の開発など、事業者の皆さんの返礼品に対する取組も弱まることが危惧されます。
以上のことからも、江別市として、今後、ふるさと納税についてどのような取組を行っていくのかについて伺います。
続きまして、自衛官の募集事務に関してお伺いを致します。
11月14日の北海道新聞の記事で、函館市において、自衛官募集への協力の一環として、来年度に入隊適齢者の氏名、住所等が記載された名簿の提供を行うとの発表がされました。
江別市においては、平成27年第1回定例会において、高橋議員がこの件について一般質問されておりますが、その中での市側からの御答弁には、平成21年までは住民基本台帳の閲覧にて対応、平成22年からは、自衛隊札幌地方協力本部長からの業務効率化のためとの理由から、自衛隊法施行令の規定により、氏名、生年月日、性別、住所の4つの情報について資料提供の依頼があったことから、法令の趣旨に基づき、名簿の提供による方式に変更したとあります。
その後、平成26年9月に、名簿の提出は義務ではなく、各自治体の判断によるものという防衛省の見解が示されたことや他の自治体でも閲覧方式に戻している事例を踏まえ、名簿提供を改め、住民基本台帳の閲覧により対応するとの御答弁があり、それ以降、住民基本台帳閲覧方式にて対応されているものと思います。そのこと自体は、法令の規定や解釈に従い適切に対応されたものと思います。
そこで、近年の防衛省自衛隊の人員の充足状況は、防衛白書によりますと、2023年3月末の自衛隊の定員は、陸・海・空・統合幕僚監部など合計24万7,154人で、この定員は10年間ほどほとんど変わっていないとされており、現員は22万7,843人で、充足率は92.2%とされています。さらに、報道によりますと、2023年度の自衛官採用数は9,959人で、計画数に対して51%と過去最低になっているとしています。
国家の安全を担保することは、国にとって最大の責務であり、安全を担保することが国民への最大の福祉政策であると考えるところであります。
日本国民の中に、戦争や紛争、さらに他国を侵略することをよしとする人などは皆無と信じておりますが、世界を見渡すと、ウクライナとロシアの3年にならんとする戦争や、イスラエルとパレスチナなどによる中東の紛争が再び現実に起きています。そして、残念ながら日本の近隣にも、領土的野心のある国が存在していることも事実です。こちらから戦争を仕掛けることはありませんが、ウクライナのように、仕掛けられる可能性を否定することはできません。
その際に重要となるのが、相手が仕掛けるのをちゅうちょする防衛力です。装備の充実に加え、人員の充足と訓練による練度の高い精強な実力組織を持つこと。さらに、価値観を共有する同盟国や友好国とともに抑止力を高めることが大切だと考えます。抑止力の整備によって、戦争を起こさせないことこそが必要ではないでしょうか。分かりやすく言えば、屈強なプロレスラーにけんかを売る者はいないというわけで、そういう状況をつくらなければならないと思うところです。
さらには、今年1月の令和6年能登半島地震が記憶に新しいところですが、近年、毎年のように日本各地で大きな災害が発生し、消防、警察に加え、時に自衛隊に災害派遣要請が出され、献身的に人命救助や災害復旧に力を尽くしてくださっています。
災害派遣に人員を割いている間も、国防の体制は維持しなければなりません。実際に大きな災害が発生すると、近隣諸国においては、救助などの援助の手を差し伸べてくださることも多いわけですが、同時に、日本の防衛体制がどのようになるかを監視し、そのデータを収集していることも国際社会の常識です。
そのような現実を考えたとき、人員が足りないからと手を抜くわけにはいかないと思います。そのような現下の状況を考えると、多くの自治体が、令和4年度までの対応としては、提供年度に募集の対象となる方の情報について、住民基本台帳法第11条に基づき、自衛隊職員が住民基本台帳を閲覧し、対象者の情報を書き写すという対応をしてきましたが、令和5年4月1日に個人情報保護に関する法律が改正されたことに伴い、同法が地方自治体の個人情報の取扱いについても適用されることとなり、自衛隊法施行令第120条に基づく募集対象者の個人情報の提供は、同法第69条第1項の規定により提供が可能となる法令に基づく場合に該当するとの見解が、個人情報保護委員会から示されました。
また、当該提供に関しては、令和3年2月に、防衛省及び総務省からも、自衛官等の募集に関し、必要な資料として住民基本台帳の一部の写しを用いることについて、住民基本台帳法上、特段の問題を生じるものではないと通知されています。
7月21日の北海道新聞の記事によると、これらの法的根拠を基に、北海道内35市のうち21市が、既に紙の名簿または電子データでの提供とし、その後、北広島市と函館市が紙媒体での提供に変更すると表明されました。
私が独自に調査したところによりますと、自治体名は伏せますが、記事には閲覧とされている自治体においても、18歳と22歳の入隊適齢者、新卒分に限定して、紙媒体での提供を行っているという自治体もありました。また、今後の対応について、議会での一般質問がなされている自治体もありました。公平に申し上げますと、現時点では閲覧を継続予定という自治体も、何らかの動きがある市と江別市を除き、9市ありましたことは付け加えさせていただきます。
以上のことからも、多くの自治体が、法律の変更、解釈の変更、そして、自衛官の募集事務が市町村の法定事務であることにより、自衛官募集の名簿の提供については何ら問題がないものと考え、対応を変更してきているものと思います。
先ほども述べましたが、昨今の災害は、気候変動に起因すると思われるものも多く、今後、さらに多くの災害に見舞われる可能性も否定できません。また、南海トラフ地震は、確実に起きるとの専門家の見解も示されております。
災害時、緊急時に人員が不足したがために、市民や自衛官の大切な命が失われたり、助かる命が助けられなかったりということにならないためにも、名簿の提供は、自衛官の人員充足に少しでも貢献するという姿勢を持って対応することが大切だと考えます。
そこで、1つ目の質問ですが、令和5年4月1日に施行された改正後の個人情報の保護に関する法律に基づき、対象者情報を提供することに対する認識についてお伺いします。
2つ目の質問として、平成27年には、法令の解釈に伴い対応を変更した前例からすると、今回の個人情報の保護に関する法律の改正や法令解釈の変更に伴い、住民基本台帳の閲覧から紙媒体、データでの提供に多くの自治体が変更したことを受け、江別市も、他市同様に前回の対応を踏襲し、名簿提供方式に変更することが適切であると考えますが、いかがお考えでしょうか。
以上で、1回目の質問を終わらせていただきます。
副議長(内山祥弘君)
野村和宏議員の一般質問に対する答弁を求めます。
市長(後藤好人君)
野村和宏議員の一般質問にお答え申し上げます。
私からは、ふるさと納税に関しまして、寄附額減少見込みへの対策について御答弁を申し上げます。
市では、一人でも多くの方に応援していただけるよう、これまでも、利用者の多いポータルサイトの活用や返礼品を多くそろえていくことなど、寄附者の目に触れる機会の確保に努めてまいりました。
令和5年10月の制度変更後の主な取組を申し上げますと、ポータルサイトのさらなる追加に加え、返礼品の充実に向けて事業者との協議を進めたところであり、その結果、制度変更前と比べ、返礼品の数が約1.5倍に増加したところであります。
また、市独自の取組として、教育環境の充実に向けて、母校を応援することを主な目的として導入した高校・大学応援制度を推進するため、令和5年11月に、市内高等学校の保護者を対象に出前講座を実施いたしました。
このほか、今年度の新たな取組として、さっぽろ連携中枢都市圏の取組に参加し、市外ショッピングモールでふるさと納税のPR活動を実施するとともに、近隣市町村との情報交換等を行ったところであります。
次に、今後の取組についてでありますが、ふるさと納税制度は、生まれ育ったふるさとに貢献できる制度、自分の意思で応援したい自治体を選ぶことができる制度として、国により創設されたところでございます。
市と致しましても、ふるさと納税制度は市の認知度アップにつながるほか、貴重な財源確保の制度であると同時に、議員が御指摘のとおり、事業者の販路拡大にもつながる制度であると認識しております。
今後の取組についてでありますが、事業者の意見を伺いながら、現在の返礼品の主力である食品分野に限らず、幅広い分野において魅力ある返礼品の充実に取り組むとともに、市内の高校、大学で学んだ学生やその家族に、江別市を応援していただけるようアプローチの方法を検討するほか、全国的なニーズや成功事例の情報収集を通じ、一人でも多くの方に選ばれるまちになるよう取組を進めてまいりたいと考えております。
私からの答弁は以上でありますが、このほかの御質問につきましては、総務部長ほかをもってお答え申し上げます。
総務部長(白崎敬浩君)
私から、ふるさと納税についての質問のうち、制度変更後の寄附額の見直しについて御答弁を申し上げます。
令和5年10月に、総務省が定める募集費用総額5割以下基準が改正され、ふるさと納税の募集や寄附金の受領に係る費用の全てが募集費用に含まれることになりました。
寄附額に対する募集費用の割合についてでありますが、市では、制度変更前は、返礼品の上限を3割、その他の経費を2割以下として募集費用総額5割以下基準に対応してまいりましたけれども、制度変更により、新たに対象とされた経費を含めて再計算したところ、その他の経費が3割を超え、返礼品を含む募集費用の総額が寄附額の6割を超える見込みとなったところであります。
こうした状況を踏まえ、市として制度変更後の基準への対応を検討したところ、送料をはじめとするその他の経費の圧縮では対応が困難であり、寄附額に対する返礼品の割合を3割相当から2割相当に変更する必要が生じましたことから、事業者に新たな負担が生じないよう、返礼品の内容や価格を維持し、寄附額を約1.5倍に引き上げたところでございます。
以上であります。
生活環境部長(近藤澄人君)
私から、自衛官募集事務について御答弁を申し上げます。
まず、改正後の個人情報の保護に関する法律に基づき、対象者情報を提供することに対する認識についてでありますが、自衛隊法施行令では、自衛官及び自衛官候補生の募集に関する一部の事務は、都道府県や市町村の法定受託事務と定められており、防衛大臣は、必要な報告または資料の提出を求めることができるものとされております。
市では、自衛官等の募集については、住民基本台帳法の規定に基づき対応してきており、令和5年4月には個人情報の保護に関する法律が施行されましたが、施行前のこうした対応は、江別市個人情報保護条例に照らして、認められるものと判断してきたところであります。
施行後は、これまで、国の行政機関、民間事業者、都道府県や市町村などがそれぞれ別の法令に基づき取り扱ってきた個人情報の規定が、法律に統合されたところであります。このことにより、市と致しましては、全国の市町村は、個人情報の保護に関する法律という共通の規定により、個人情報を提供できるようになったものと認識しております。
次に、対象者情報の提供方法の見直しについてでありますが、市では、自衛官及び自衛官候補生の募集に関する情報提供につきましては、対象者の把握に必要となる氏名、生年月日、住所など、住民基本台帳に記載された情報を用いることから、住民基本台帳法に定められた台帳の一部の写しを閲覧する方式により行っております。
全国では、自衛官等の募集に関する情報提供を閲覧方式から名簿提供へ変更する市町村があることも承知しておりますが、名簿の提供を行うことには、プライバシーの侵害、また、法律に明記されていないなどの理由で、中止を求める要請や訴訟となることもあると伺っております。
市と致しましては、自衛官等の募集に関する情報提供は、法令に定められた必要な事務であることから、引き続き住民基本台帳法の規定に基づき、閲覧方式により対応してまいりたいと考えております。
以上であります。
野村和宏君
それでは、ふるさと納税についての1項目めについて再質問させていただきます。
1つ目の質問に対する御答弁について、返礼品等附帯経費の比率が寄附額の50%を超えないためのやむを得ない御判断だったということについては理解を致します。
しかし、その返礼品の割合を3割から2割相当に変更する必要が生じたことから、事業者に新たな負担が生じないよう、返礼品の内容や価格を維持し、寄附額を約1.5倍に引き上げたとありますが、事業者とは、商品の内容や規格の変更などについて意見交換や相談を行ったのでしょうか、その辺をお聞きします。
総務部長(白崎敬浩君)
再質問に御答弁を申し上げます。
先ほども御答弁を申し上げましたとおり、制度変更後の基準に対応するために返礼品の内容を変更することは、事業者にとって、パッケージの変更による手間や費用などの新たな負担を生じさせる要因となります。
このため、市と致しましては、返礼品の内容等の変更は行わないこととしたものであります。
なお、制度変更について、事業者との意見交換等は実施しておりませんが、変更の内容について周知を行っております。
以上であります。
野村和宏君
この件について再質問は致しませんが、今後、再び制度変更などが起こり得ることは考えられると思います。その際は、ぜひ事業者との意見交換などを実施していただきたいと思います。
手間や費用負担に配慮していただいたことについては理解いたしますが、コストをかけずにできることもあると考えておりますので、官民力を合わせて、ふるさと納税を実りあるものにしていただきたいというふうに思います。
引き続き、2つ目に対する御答弁では、従来の約1.5倍の品ぞろえの拡大に加え、教育環境の充実に向けて、母校を応援することを主な目的として導入した高校・大学応援制度の推進のため、出前講座の実施やふるさと納税のPR活動を行ったとのことですが、これらの施策は、寄附額の減少対策にどの程度の効果があったのかについてお伺いいたします。
総務部長(白崎敬浩君)
再質問に御答弁を申し上げます。
先ほども市長から御答弁申し上げましたが、市では、一人でも多くの方に応援していただけるよう、ポータルサイトの活用や返礼品の充実、出前講座の実施など、寄附者の目に触れる機会の確保に努めてきたところであります。
これらの取組の結果、高校・大学応援制度の寄附額は増加となったほか、ふるさと納税全体では、寄附件数の減少に比べ、寄附額の減少は小幅となっており、一定の効果があったものと考えております。
以上であります。
野村和宏君
こちらも再質問は致しませんが、要望としてお伝えしておきたいと思います。
効果があった取組については、さらに伸びる可能性もあると思います。ひどく落ちる取組を追うことよりも、伸びているものに牽引してもらうという考え方もありますので、伸び代のあるものにぜひ力を注いでいっていただきたいというふうに考えて、こちらは要望とさせていただきます。
続いて、3つ目の質問について、御答弁のとおり、ふるさと納税制度は、江別市の知名度アップと同時に、貴重な自主財源確保の手段でもあり、事業者の販路拡大についても御理解いただいたことについては評価させていただきたいと思います。
貴重な財源であるとの御認識からも、昨年より考え方については前に進んだものと感じております。今後の取組の中に、幅広い分野において魅力ある返礼品の充実に取り組むとされております。経費率の低い無形の生活関連のサービスなどの返礼品開発とともに、冒頭にも述べました、自治会や市民から要望の多い高齢者への交通支援の財源確保を目的とする、これは案ですけれども、おじいちゃん・おばあちゃん応援制度を、高校・大学応援制度同様に加え、除雪支援サービスなどの無形のふるさと親孝行納税的なアプローチも、市内の高校・大学で学んだ学生や家族へのアプローチ同様に、積極的に取り組む必要があると考えるところですが、市のお考えをお伺いいたします。
総務部長(白崎敬浩君)
再質問に御答弁を申し上げます。
市では、これまでも、通常の返礼品のほかに、家族への恩返しを目的とした住宅のリフォームやお墓の清掃などのサービス型の返礼品や陶芸体験などの体験型の返礼品をメニューに加えてまいりましたが、今のところニーズは少なく、ふるさと納税の増加に結びついていないところであります。
ふるさと納税は、寄附者が寄附金の使い道を選べる制度でありますことから、今後も、高齢者の支援を含め、幅広い分野において魅力ある返礼品の充実に向け、サービス型や体験型の返礼品について、他市の事例などを調査しながら、様々な可能性を検討してまいりたいと考えております。
以上であります。
野村和宏君
こちらも再質問は行わず、要望としてお伝えしたいと思います。
ふるさと納税に関しては、今後も制度変更があり得ると思います。
安定性という面では難しいこともあろうかとは思いますが、自治体間競争が激しくなっていることも事実であります。勝ち組に残る取組として、寄附額を伸ばすことが本当に大切なことだというふうに思っております。その上で、市民サービスの充実、とりわけ高齢者への支援などの原資として、ぜひ期待をさせていただきたいと思うところでありますし、ふるさと納税に関しましては、今後も注視してまいりたいと思います。
また、先般、令和6年第3回札幌市議会定例会において、専門部署の設置を求めるという代表質問が村山拓司議員からあったと伺っております。それに対して、札幌市側からの答弁としては、前向きな答弁があったというふうにも伺っておりますので、ぜひ、江別市においても、専門部署の設置等を考えて、力を入れたふるさと納税をぜひともお願いしたいと要望させていただいて、ふるさと納税に関する質問を終わらせていただきます。
続きまして、自衛官募集業務について再質問をさせていただきます。
1項目めの改正後の個人情報の保護に関する法律に基づき対象者情報を提供することに対する御認識については、あくまでも法令の趣旨に重きを置き対応される認識であると理解いたしました。
その上で、再度お聞きしますが、個人情報の保護に関する法律という共通の規定により、個人情報を提供できるようになったものとの御認識ですけれども、共通の規定には、自衛官募集の対象者の個人情報の提供は、法令に基づく場合という国の見解も含まれるものとお考えであると理解してよろしいでしょうか。
生活環境部長(近藤澄人君)
再質問に御答弁を申し上げます。
個人情報の保護に関する法律の施行による対象者情報の提供についてでありますが、先ほども御答弁申し上げましたとおり、令和5年4月の個人情報の保護に関する法律施行後は、全国の市町村において、この法律の規定により個人情報を提供できるようになったところであります。
議員が御質問の自衛官等の募集に関する対象者情報の提供は、市と致しましても、自衛隊法施行令という法令に基づくものとして、個人情報の保護に関する法律の規定により、情報提供することが可能になったものと認識しております。
以上であります。
野村和宏君
この件については理解いたしました。
続いて、2項目めの質問をさせていただきたいと思います。
2項目めの対象者情報の提供方法の見直しについてですが、先ほども申し上げましたけれども、平成27年には、法令及び解釈の変更に伴い、名簿提供から閲覧に変更したわけです。今回も同様に、法律の改正、解釈の変更に伴い、名簿での提供について、法令遵守の観点からも問題になる点はなく、北海道内の各自治体の対応を見たときに、江別市においても、多くの北海道内他市と同様の対応にすることで何ら問題はないと思いますし、これまでそのように対応されてきたものと思います。
御答弁にありますように、プライバシーの侵害、また、法律に明記されていないとの理由とありますが、どちらも法律で禁止されているものではありません。また、そのような御意見があるにしても、国が違法性はないと判断されていることについて、中止要請や訴訟のおそれがあるからと御対応が変わることについては、今の御答弁では、ダブルスタンダードではないかと強く指摘せざるを得ません。
平成27年の対応と今回の対応の違いについて、もう少し詳しく説明をお願いいたします。
生活環境部長(近藤澄人君)
再質問に御答弁を申し上げます。
対象者情報の提供方法に関する経過についてでありますが、市では、自衛官等の募集に関する対象者情報の提供については、住民基本台帳法に定められた台帳の一部を閲覧する方式により行っております。
平成22年度には、自衛隊札幌地方協力本部から、事務作業の効率化等のため名簿提供を要請され、自衛隊法施行令を参照した結果、市町村には裁量の余地がないと判断し、北海道内他市の動向も参考に、閲覧方式から名簿提供へ変更したところであります。
その後、平成26年9月に、国から、名簿提供は義務ではなく、各市町村の判断であるとの見解が示されたため、平成27年度からは、再び閲覧方式で対応しているところであり、令和5年4月の個人情報の保護に関する法律施行後も、国の見解に変わりはないことから、引き続き住民基本台帳法の規定に基づき、閲覧方式により対応してまいりたいと考えております。
以上であります。
野村和宏君
再々質問をさせていただきます。
自治体の裁量の有無によって判断されたことは理解いたしますが、どうして江別市が自治体として判断すると、閲覧での提供となるのかがいま一つ分かりません。
先ほど申し上げましたが、中止要請や訴訟のおそれがあるということが判断に影響しているのではないかと思うところですけれども、個人情報を提供するという意味では、閲覧でも名簿提供でも、個人情報の提供という意味では結果として同じではないかと思うところであります。
むしろ他の多くの自治体が実施しているように、除外申請の受付をして、該当者の情報を削除したものを名簿として、データもしくは紙媒体で提供するほうが、自衛官の募集情報を希望しない方には、ダイレクトメールなどにより情報を提供しないで済むということになります。
さらには、自衛官の募集事務の業務効率を上げることにも貢献することを考えると、除外申請を受け付けた上で名簿提供、できればデータでの提供が合理的で望ましいと思います。
そのような観点から、再度御検討いただければと思いますが、お考えをお聞かせください。
生活環境部長(近藤澄人君)
再質問に御答弁を申し上げます。
対象者情報の提供方法についてでありますが、先ほども御答弁申し上げましたとおり、市では、自衛官等の募集に関する情報提供につきましては、個人情報の保護に関する法律等の規定を参照するとともに、国からの通知や見解を踏まえ、必要とされる情報が住民基本台帳の記載事項であることから、住民基本台帳法に定められた閲覧方式により対応することとしております。
今後におきましても、関係法令を参照し、法律の規定等に基づいて対応してまいりたいと考えております。
以上であります。
野村和宏君
質問に答えていただけていないというふうに思うのですが、最後、質問とは致しませんけれども、閲覧での提供という御対応の根拠は、あくまでも住民基本台帳法に沿ったものであるということです。個人情報の保護に関する法律の改正や情報の提供に関して、法令に基づく場合との解釈に伴い、他の市においても対応を変えてきていることにも注目し、閲覧から書き写しをする前近代的な、昭和以前の時代のような作業を行う自衛官の人件費も国民の税金であることを考えると、もう少し柔軟に御対応いただけるものと期待を持って質問させていただいたわけですが、御答弁では、適齢者の除外を望む方への配慮でもなく、また、自衛隊の業務効率に貢献するというわけでもなく、理由を明確にお示しいただけないため、名簿提供に関する江別市側の除外申請の受付などの事務作業が増加することを嫌っての御判断なのかと考えずにはいられないところでございます。
また、先ほどの岩田議員の行政のDX化に関する質問に関して、市長から、業務効率を向上させることは非常に重要なことだという御答弁がありました。こちらの対応等を考えると、真逆のことになるというところは指摘をさせていただきたいというふうに思います。
大変厳しい言い方をして恐縮ではございますけれども、私も、多くの市民の皆さんの負託を受けて、自覚と責任を持ってこの場に立っております。質問に対して、できない理由を明確に示さない、提案への対応についても答えていただけないということについては、市民の皆さんの声を受けて質問させていただいていることを考えると、大変残念に思います。
この先、状況の変化等に合わせて御対応される場合には、ぜひとも前向きな形で御検討いただくことを切にお願いしまして、私の質問を終わらせていただきます。
副議長(内山祥弘君)
以上をもって、野村和宏議員の一般質問を終結いたします。
◎ 散会宣告
副議長(内山祥弘君)
本日の議事日程は全部終了いたしました。
これをもって散会いたします。
午後 2時56分 散会