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最期の時まで、愛し続ける 【広報えべつ2019年(平成31年)4月号特集記事】

印刷用ページを表示する 掲載日:2019年3月29日更新

中川さん一家の写真

最期の時まで、愛し続ける

 暖かな日差しと優しい家族に囲まれ、幸せそうに主人を見つめる犬。市内に住む中川昌幸さんと貴子さんの愛犬「咲」です。撫でられるのが好きな咲はいつも甘えるように擦り寄ってくるそうです。

 中川さんは、咲と出会う前、雑種犬のハッチという犬を飼っていました。
ハッチは晩年、ヘルニアを発症し、後ろ脚を動かせなくなってしまいました。走り回ることが大好きだったハッチを思い、懸命に介護をした中川さん。効果があると言われた、犬用のお灸や鍼治療、酵素など、ありとあらゆる治療法を行ったそうです。「亡くなった当時は、悲しみばかりでとても辛かったのですが、思い返せば、楽しい思い出の方が多いんですよね」と当時のことを思い出し話します。

 ハッチが亡くなり、しばらく犬のいない生活を送っていましたが、そんなとき、もう一度犬を飼いたいと思い、訪ねた動物保護団体で咲と運命の出会いを果たします。
野犬の子として生まれた咲は、生後2か月の頃、兄弟と共に保護されました。収容された行政機関では新しい飼い主が見つからず、動物保護団体に引き取られることになった咲。その後、一度は他の家庭にもらわれましたが、訳あって施設に戻され、新しい出会いを待っていました。
そこへ保護犬の見学に訪れたのが、中川さんでした。中川さんと目が合った途端、咲は、まるで昔から知っていたかのようにお腹を見せ、しっぽを振って甘えたそうです。
やっと、愛してくれる家族と巡り会えた瞬間でした。

今月号の特集は動物愛護。動物と人がともに幸せに暮らしていくために必要なことを考えます。

人間の都合で処分される命

幸せを掴んだ中川家の咲も、かつては保護犬でした。保護され、保健所に収容された犬や猫は、どのような運命をたどるのでしょうか。

迷子・負傷・放棄

 保健所に収容される犬や猫は、(1)迷子の状態で保護される、迷子犬猫 (2)負傷し保護された犬猫 (3)飼い主が直接放棄する犬猫の3種類に分けられます。

(1)の場合は、迷子として保健所で飼い主のお迎えを3日間待ちますが、お迎えがなかった場合、譲渡対象となるか、殺処分となるかが検討されます。残念ながら、殺処分と判断された場合、最短で5日目に処分が行われます。
(2)の場合は、動物病院で最低限必要な治療が施され、その後、迷子犬猫と同じ取り扱いになります。
(3)の場合は飼い主が判明しているので、即日、譲渡か殺処分の検討が開始されます。

どのような方法で殺処分されるか

 江別保健所では、麻酔薬を注射で投与する、安楽殺処分が行われています。
 道内の保健所による殺処分数を見てみると、年々減少していますが、昨年一年間だけでも、犬と猫あわせて、708頭が殺処分されました。一日平均にしてみると、毎日約2頭が殺処分されているのが現状です。
また、保健所に持ち込まれた犬や猫は飼い主からの放棄が全体の15%も占めています。保健所に持ち込むということは、死と隣りあわせにする行為であることを忘れてはいけません。

社会意識の変化

 一方で、平成24年に動物愛護法が改正され、動物愛護に対する社会の意識も、少しずつ変化が生まれています。
 動物保護団体の活動に広がりが見られたり、犬や猫を飼いたいと保健所に見に来る一般の方も少しずつ増えてきているそうです。

【インタビュー】~動物保護の現場から伝える~「不幸な犬猫を救いたい」

しっぽの会の活動写真

認定NPO法人HOKKAIDOしっぽの会 上杉理事長にお話を伺いました

上杉理事長の写真 認定NPO法人HOKKAIDOしっぽの会 上杉 由希子理事長

保健所に収容された犬や猫を保護し、新しい飼い主を探す活動や、動物愛護・福祉、適正飼育などを啓発する活動を行っている。

人も動物も、幸せに

 HOKKAIDOしっぽの会の活動趣旨は、不幸な犬猫を一頭でも減らすこと。
 言いかえれば、幸せな犬猫を一頭でも増やすことです。 人間社会で暮らす彼らが幸せになるためには、共に暮らす人も幸せに共生できる社会を作っていかなければいけないと考えています。

活動の両輪

 平日は毎日、道内の保健所などに収容中の犬猫の情報をホームページに掲載し、行き場を失った犬猫の情報を多くの方にお伝えしています。
 実際に引き取り手のない犬猫を保護する際は、動物福祉の観点から緊急性を考慮し、引き取りを行っています。
また一方で、目の前の1頭を救っていく活動と同時に、行政機関や獣医師会とも連携し、啓発活動やイベントなども開催しています。

ペットにとっての幸せ

 犬や猫は、野生の生き物ではないので、人間に依存して生きています。
 ペットとの暮らしをより良くするためには、その動物の特性や習性、健康、安全の確保などの動物福祉に配慮し、愛情をかけて飼育することが必要です。そのためには、適切な飼育方法を学び、実践することが大切です

動物と人が共生するには


 動物の虐待や動物に関するご近所トラブルなどから感じることですが、私は動物が好きな方が、動物嫌いの方を生み出している側面もあるのではないかと思います。
 たとえば、犬の散歩でふんを片付けない、犬が苦手な方がいるのにリードを長くする、ノーリードで公園を歩かせるといったマナーを守らない行為は周囲の人に良い印象を与えません。
動物が嫌いな方にも、動物が人間社会で生活していることは認めてほしいですが、動物が好きな方こそ、周囲の方を動物嫌いにしないように、マナーを守ってほしいです。
 動物と人が幸せに共生する社会とは、マナーを守り、お互いの存在を許容しあうということではないでしょうか。

ペットを飼っている人に伝えたいこと

 ペットにとって頼れるのは飼い主さんだけです。ペットの幸福は飼い主さんにかかっています。大切な家族の一員として終生大切に、行動や気持ちにも理解をもって接していただきたいです。
 私たちは、飼い主がペットを安易な気持ちで飼育し、飼いきれなくなって、手放す場面を何度も見てきました。
ペットを飼うということは、その子の命や生涯に対し責任を持つということです。
 可愛い、癒しを与えてくれるといった、人間の一方的な想いだけを押し付けるのではなく、人間もペットのために、気持ちや行動について学び、適切な飼育環境や関わり方を実践するなど、双方が互いに必要な存在になれることが理想だと思います。

これからペットを飼う方へ


 生涯、愛情と責任を持ち、動物の気持ちを考慮して飼育できるかを考えてください。
 また、ペットを飼うには、ご自身の年齢や家族構成、経済状況や飼育環境など、ペットを終生適切に飼育できるか、多方面から考えなくてはなりません。
 家族で十分に話し合い、生涯適切に飼育する自信が持てないのなら、飼育しないこともまた、立派なペットへの愛情ではないでしょうか。

 

【インタビュー】 しっぽの会卒業生の家族に聞く! 保護犬との暮らしってどう?【中川さんご家族編】

保護犬を飼ってみた感想は?

 施設にいる犬や猫たちは心身ともに傷を負っている子が多いですが、職員の方が人間不信になっている状態をしっかりとケアされていて本当に感心しました。
咲は保護犬ですが人に慣れており、何も不安はありませんでした。困ったことがあってもすぐにしっぽの会に相談できるので、助かっています。

咲ちゃんが来てから、家族や咲ちゃんに変化はありましたか?

 うちに来た頃は痩せていましたが、今はすっかり筋肉もつき、お散歩も大好きになりました。私たち飼い主も運動量が増え、体力がついて健康になりました。また家の中に笑顔や会話が増え、毎日が楽しく、咲からたくさんの幸せをもらっていると実感しています。

生き物を飼うことをどう思う?

 生き物を飼うことで、癒しや楽しさを得ることができます。でも、ただ寂しさを埋めたい、かわいいだけでは、生き物は飼えないと思います。病気で介護が必要になる場合もあります。自分の時間を費やしてでもお世話をしなければいけないし、もちろんお金も使います。ロボットではないので、しつけもしなければいけません。経済状況や自分の体力、家族の状況などを考え、飼うことができる状況かを見極めてほしいです。
 生涯どれくらいの費用や手間がかかるかといった情報は、インターネットなどでも簡単に得ることができますが、動物を飼ったことがない人向けの、飼育に関する講習やお世話の体験ができる場がもっとあると良いかもしれませんね。

犬や猫の飼育で気をつけること

北村さやか主査と高橋理彩主査の写真

江別保健所の高橋さん、石狩振興局の北村さんに伺いました

 動物の飼い方は、動物愛護法で定められています。
 動物愛護法第7条では、ペットの飼い主の責務として、次の6つのことが明記されています。(1)健康と安全の保持と迷惑防止 (2)病気の知識と予防 (3)逸走防止 (4)終生飼養 (5)繁殖制限 (6)身元表示です。大きく分けると、「動物を健康で安全に飼養すること」と「近隣などの社会に対する配慮」に分けられます。これらが果たされてはじめて、適正に飼養されているということになります。
 近隣の迷惑になるような不適切な飼育を行っている場合は、保健所や市役所に通報が入り、行政が対応することがあります。

猫の飼育は室内で


 猫の場合は室内飼育を推奨しています。外に出れば、交通事故や猫同士のけんかで亡くなる場合もありますし、虐待される場合もあります。近所の庭や畑を荒らしてしまって、近隣の迷惑になる場合もあります。猫は室内に食べ物、安心して休める場所、十分に運動ができる場所などがある適切な飼育環境であれば、室内をテリトリーとして活動します。危険を冒して外にいく必要はありません。
 動物の習性をきちんと把握して、周りにも迷惑をかけないようにしてほしいと痛切に思います。

犬はしっかりしつけを


 特に中型以上の和犬や大型犬は、しつけや人間との信頼関係が十分でないと、人間を傷つける恐れがあるため、飼う場合には注意が必要です。
 小さいうちは飼育できていても、大きくなってから飼いきれなくなり、保健所に持ち込まれるケースもあります。そのような場合は殺処分に繋がってしまうので、十分に検討してから飼ってください。
しつけに困る場合は、飼い主さんが責任を持ち、ドッグトレーナーを探すなど、しっかりと勉強してほしいです。

高齢の方による飼育について


 江別保健所に持ち込まれる、放棄の犬猫は「飼い主の入院・急死」「飼い主の体調不良」などの理由が多く、高齢の方による放棄がとても増えています。
年をとってから子犬や子猫を飼わないことや、あらかじめ、万が一のときの引き取り手を決めておくなど準備をしておいてほしいです。
 動物愛護法の改正により、終生飼養の原則に反する場合など、保健所はすぐに引き取らない方針になりました。いざというときに慌てないように、まずは飼い主の方ご自身で準備をしてみてください。
保健所は犬や猫を収容する機関ですが、同時に殺処分をする場所でもあります。できるだけ、保健所に収容される不幸な犬猫が少なくなることを祈っています。

 

環境省の冊子の写真 https://www.env.go.jp/nature/dobutsu/aigo/2_data/pamph/h2609.html

犬や猫の正しい飼い方をまとめた冊子を環境省が作成しています。ペットを飼っている方、これから飼おうと思っている方は、ぜひご覧ください。

 

正しい飼い方マスターしよう! 犬と猫の飼い方

犬と猫の飼い方に関するチラシの写真