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平成14年第3回江別市議会会議録(第4号)平成14年9月13日 2ページ

印刷用ページを表示する 掲載日:2014年1月30日更新

6 議事次第

開議宣告

議長(五十嵐忠男君)

 これより平成14年第3回江別市議会定例会第10日目の会議を開きます。
 ただいまの出席議員は30名で定足数に達しております。

議事日程

議長(五十嵐忠男君)

 本日の議事日程は、お手元に配付いたしましたとおりであります。

会議録署名議員の指名

議長(五十嵐忠男君)

 日程第1 会議録署名議員の指名を行います。
 会議規則第111条の規定により、坂下議員、堀内議員を指名いたします。

一般質問

議長(五十嵐忠男君)

 日程第2 一般質問を行います。
 稲垣議員の江別駅周辺地区市街地再開発について、ほか2件についての質問を許します。通告時間30分。

稲垣良平君

 ただいま発言の許可をいただきましたので、通告に従いまして順次質問をさせていただきます。
 最近、市政に関連して起こったことあるいは報道されたこと、固定資産税の問題、江別駅周辺整備の損害賠償問題、野幌駅再開発計画の着工準備採択の遅延の問題、市立病院での預金窃盗事件問題など。
 私は、これらを内容を知るにつけ、真っ当な市政を進めるための歯車、この歯車の一部が壊れているのではないかというふうに感じております。中でも江別駅周辺整備の損害賠償こそ、現在、江別の市政が持っているいいかげんさ、責任についての誤解、無責任さが濃縮されているのではないかというふうに感じております。
 この損害賠償額の決定については、現在、この議会に議案として付託されております。つきましては、その額の決定に関する質問については、質疑に関する留意を解説した書籍の内容を念頭にして質問をいたしたいと思います。
 この損害賠償の問題については、私は3つの視点からこれを理解し、判断する必要があると思っております。
 その1つは、そもそも企業に対して計画変更から生じたとされる損害賠償をする責任があるのかどうかという視点であります。
 2つ目の視点、この2つ目の視点というのは、損害賠償の必要性を責任を議論しなければならないような、言ってみればずさんな行政運営をしてきた、行政の市民に対する責任はどうなのかという視点であります、これが2つ目。
 それから、3つ目。もう1つの3つ目、これは仮に江別市が行政計画の変更に伴う今回の損害賠償について、今までの判例などと違う見解によって、この損害賠償に応じた場合、今後江別市の自らの計画の変更や事業の見直し、これに及ぼす悪影響、そして江別市のみならず国や道、地方公共団体等の計画変更に伴う損害賠償に及ぼす影響、その責任はどうなのかということであります。
 こういうことを、まず第1番目のことを検討するに当たっては、今回この議会に損害賠償について議決を求めている根拠。地方自治法の第96条を正確に理解する必要があります。今回の議案第66号、この提案理由には、こう書いてあります。
 市は次により損害を賠償する。よって、地方自治法第96条第1項の規定により議会の議決を求める。
 多分、関心のある議員の方はごらんになっていると思う。第96条は議会の権限の中で最も基本的であり、本質的なものであって、議会が議決すべき事項を規定しています。
 1から15まであって、1番目は当然のこととして、最も重要な条例を作るあるいは改廃する。2番目には予算を定める。そして8番目には今回のほかの議案にもなっている財産の処分だとか取得だということがある。それが順々行って、13番目に今回の事項に該当することが示されている。すなわち法律上、その義務に属する損害賠償の額を定めること。
 これを議会で決めることができるということです。今回はこれに基づいて提案されている。では、法律上その義務に属する損害賠償額、これはどういうことを言っているのかと。これを地方自治法のあまた出ている解説書にはこう書いてある。
 普通地方公共団体が、国家賠償法の規定により賠償義務を負うような場合とされている。では、国家賠償法で規定する賠償の義務を負う場合というのは具体的にはどうなのか。これは国家賠償法を読めばいい。
 第1条、国又は地方公共団体の公権力の行使に当たる公務員が、その職務を行うについて故意又は過失によって、ここが大事です。違法に他人に損害を与えたときは、国又は地方公共団体はこれを賠償する責に任ずる。
 要するに違法に他人に損害を与えたときにはやらなければならない。そういう場合には議会で、それを議決するのですよということです。
 では、そういうことに対して、議会はどういうふうな対応が求められているのか。これは第96条で損害賠償の決定を議会にかかわらしめている、その理由というものを理解すればどう対応すればいいのかということがよく分かる。すなわち、議会がかかわっている第一の重要なことは損害賠償を決定する、そのことが地方公共団体にとっては、異例な支出義務、大変異例なことなのだと、だから議会がかかわっていくのだということが1つ。そして、その責任の所在を明らかにする必要があると。それから、それこそ今回の議案になっている、そうだとすればその額を適正に決める必要があるということであります。要するに、損害賠償というのは異例な支出、だから、その責任の所在と、その水準というものは執行当事者に任せておいたのでは駄目ですと。議会がしっかりかかわっていかなければならないのですということの内容です。
 ちなみに、もっと踏み込んで言うと、既にその損害賠償について裁判で答えが出ている。責任がある。それから、その水準も裁判ではっきり出ている、その場合は議会はかかわる必要はないとされている。このことは言わば、裏を返せば市が議会に対して賠償額の議決を求める、またそれにこたえて議会がそれを審議するに際しては裁判に代わるような厳密で慎重な審議が必要であるということを示していると思います。
 さて、そういうふうな基本的な考え方を具体化するためには、それこそ議会での慎重な審議が求められるわけですけれども、具体的な作業としてはもう既にご承知のとおり、政策、事業計画の変更から生じる関係者の損害について、代表的な損害賠償訴訟として定着している福島県郡山市の駅前再開発事業計画の見直し、損害賠償請求事件。そして、沖縄県の宜野座村の工場誘致事業見直し損害賠償請求事件というのが代表的な判例として示されております。そして、その内容については代表的な判例集に包含されています。
 私はインターネットでそういうやつを検索しておりますが、あらゆるところでそういう代表的な例が示されておりました。
 まず、郡山市の例を見てみます。郡山市は福島県の今第2の都市、34万人ぐらいの人口の都市であります。新幹線の駅もある。その駅前の再開発、昭和50年に再開発する、すなわち商業ビルを建てる、駅前広場をつくる、そういう計画をもう都市計画決定もしていた、昭和50年に。それから順々と計画を進めてきて、10年たった。昭和60年に選挙があって、新しい市長になった。新しい市長は駅前再開発について反対の立場で当選をした。だから、駅前再開発の計画は見直しをするということになった。そうすると、その駅前再開発にかかわっていた地権者の方たちは、それは、おかしいと、今まで約束していたことと違うという裁判を起こしたということであります。
 そして、福島の地裁で第一審が平成元年に出た。その内容は原告の請求は慰謝料と損害賠償、この両建てだった。そして判決は1人当たり50万円から500万円の限度で合計1,570万円の慰謝料を容認したと、損害賠償は棄却された。慰謝料を容認。
 申し遅れましたけれども、損害賠償総額は7,500万円を要求した。7,500万円を要求して慰謝料として1,570万円が容認された。しかし第二審、当然のこととして郡山の市長は控訴した。第二審は平成6年に原告の請求を却下。原告はさらに最高裁に上告した。最高裁は第二審の判決を維持。要するに原告の請求を却下です。これは具体的にどういうことかと申し上げますと、地方公共団体が将来にわたって継続する施策としての事業計画を事実上あるいは法律上決定した場合でも、それが社会情勢等の変動に伴って変更され得ることは、制度自体が予定している。だから、計画内容の見直し、計画変更も事業計画における裁量権の逸脱又は濫用に当たらない限り、それ自体が当然に違法とされるものではないという判断がなされたということです。要するに判決というのは社会情勢等の変動に伴う自治体の事業計画の見直し、変更等に関して裁量を広く認める判決になっているわけです。当然です。
 ただ、ただというよりも昭和50年に都市計画決定して、それ以前もずっと準備していたでしょう、当然。それから10年の間、どんどん事業計画を進める。それはもう都市計画決定されたものにのっとってやっているわけです。地権者は当然のこととして、多大な期待もする。そういう場合において、裁量権、変更するということについての裁量権を広く認めて、損害賠償の責任を課さなかったということであります。
 この裁判を参考にすれば私どもは今、当面している問題に対する対処の仕方というものについて、極めて明確な見通しを持てるのではないかというふうに思うところであります。
 ただ、この郡山の裁判。これは平成10年に最高裁で下されていますが、この判決に際してもそれがすべてではないのだよということは言われています。すなわち、施策の変更に当たって損害賠償を講ずることが必要になるようなこともあるよというふうに示されています。すなわち、それはどういう場合かといいますと、計画の見直しによって、社会通念上見過ごすことのできない程度の損害を、被害を被り、それが事業の手続において補償されない性質のとき、その場合にはそれを代償的に救う措置が講ずることなく計画を見直しては駄目だよと。その場合に見直す場合には違法性が生じるよということであります。
 その代表的な例が先ほど申し上げた、沖縄県の宜野座村の例です。
 では、宜野座村はどういうふうなことがあったのか。昭和45年に原告となる実業家が宜野座村を訪れて、宜野座村の一部村有地の中に製紙工場を建てたい、誘致していただけませんか、協力をいただけませんかということを申し入れた。村長は歓迎をしてすぐに議会内にこれに関する特別委員会を設置することを諮問して、特別委員会が設置された。そして、委員会ではその企業を誘致する決定がなされた。そして、その決定に基づいて正式に定例会で誘致、そして村有地の一部をそこに譲渡するという議決もなされている。そしてその後、工場が使う水利権、それから工場を建てるための資金。それらの獲得に関連して宜野座村は便宜を供与してきている。その原告となる事業者というのは、当然のこととして、その工場に必要な機械、施設、プラントを契約する。そして、工場用地の整備をしてしまう。そういうことが順次進んでいる。45年にそこからスタートして、ところが48年に選挙があった。村長選挙があった。それで、工場建設に反対する村長が当選した。そして、原告となる人から上がってくる工場建設に関する建築確認をけっちゃった。それから、約束をされている水利権のことについても、申請が上がってそれも具体的にけっちゃった。ということが起きた。そうすると建設は水は使えない。工場が建てられない。だから、ギブアップしてしまった。それで大きな損害を受けたとして、原告となる実業家の人が村長を訴えたという内容であります。
 では、そのことはどうなったかといいますと、一審では原告の請求を棄却、二審でも棄却、それは裁量権というものが広く認められていたという経過があるわけです。で、最高裁、昭和56年に損害賠償を認める、一部認めるという判決を出して、高裁、福岡高裁に差戻しをして高裁で和解がなされた。その額は、当初一審で原告が請求した額は約1億円。それを積極的損害と消極的な損害に分けて、積極的な損害を5,500万円としてそのうちの約2,700万円を損害賠償として支払うという和解が最終的に成立しているということであります。
 江別市のはどうなのか、確かに誘致しました。でも、別にオーソライズしているわけではない、委員会でやっているわけではない、議決しているわけではありませんね。計画の熟度はどうであったか。別に本当は、何でしたか、法定再開発事業にのっかる予定だったけれども、その前の段階、言ってみれば構想段階だった。そして企業の参入の形態はどうだったか。土地を買うわけではない。機械施設を、自分でプラントをつくるわけでもない。言ってみれば基本的にはテナントとして入店する、そういう格好であった。損害額の程度。先ほど宜野座村の例に比べると、では積極的な損害はというと、非常に心もとないというふうにも思えるところであります。
 私は第1番目、先ほど3つの視点を申し上げましたけれども、第1番目の視点からすると、どうしてその額自体は委員会に付託されておりますから、我々は言及しませんけれども、どうしてこのような請求、請求ということではない、賠償をするというふうな見解を持たれるに至ったのか、ご説明をいただきたいと思います。
 第2点目であります。私は江別地区の問題については、12年に質問させていただきました。私はそのときも申し上げたように平成8年に作った構想というものはよくできている。どういう意味かと申しますと、公共でやるべき分野と民間でやるべき分野というものがきちんと整理されて、それにのっとって進めようというふうになっていた。ところが、現実は活性化施設、これは民間が主にやるべきことと整理されていた。そこにどっぷり漬かってしまったということであります。その結果、当然のこととして経済事業の分野であります活性化拠点施設の整備については、事業採算性が大きく問われて、結果として公有地信託の手法が崩れ、振興公社の手法がつぶれ、現在の姿に至っているということであります。ホテルの計画についても、その需要について江別駅周辺地区基本計画報告書では、ホテルの需要は近隣都市の中で最も低いと明確にされている。そういう資料が掲載されているにもかかわらず、ホテルの必要性を論じる、そういう報告になっている。商業需要についても同様でありました。要するに、先ほど申し上げましたように、郡山では、宜野座村では前の長い取り組みをした村長、市長が選挙で変わって、新しい首長になった。そして訴えられた。ところが私どもの場合、平成7年に現市長になって、平成8年にあそこの江別の計画を作って、その間、変わることなくリーダーとしてそれを担われてきた。ところが、こういう結果になっているということであります。
 私は、ずさんな計画、事業運営を行ってきたことについて、検討すべきは企業への必要のない損害賠償ではなくて、市民に対してその責任をどう明確にするかであると思いますし、ましてや、仮にも賠償を行うというふうになった場合には、自らの責任を明らかにすることは避けられないというふうに考えます。
 この点について、お考えをお聞かせいただきたいと思います。
 3番目の視点についてであります。
 これまでのお話の中で、明確に言えることは地方自治体の施策や計画変更の裁量は広く認められているということであります。これまで出されている計画見直しに対する損害賠償請求の判例からすると、先ほど来、申し上げましたように今回の江別市の対応、提案というものはいかがなものかというふうに思わざるを得ない。にもかかわらず、これを行うということになりますと、これが前例になる。今後、どうしても避けられない各種の施策や計画の見直しに際して、損害賠償が求められる可能性に道を開くことになりかねない。結果として施策や計画の見直しを抑制する、そのような悪影響が考えられるというふうに思います。
 これに対応した郡山市長の考え方を述べたいと思います。
 郡山市長は、どうしても自分が首長の間、福島地裁の郡山支部が下した判決、要するに一部慰謝料を容認する、これを認めるわけにはいかない、これを認めてしまうと計画の見直し等に対する損害賠償に道を開くことになりかねないという視点で極めて厳しい立場に置かれた。このとき、郡山の市議会で交わされた議論、その際の市長の立場を市長はこういうふうに述べておられます。
 仙台高裁の控訴を取り下げるということになりますと、要するに議員から取り下げたらどうだというふうな質問を受けたわけです。それに対して仙台高裁の控訴を取り下げるということになりますと、郡山の裁判そのものが生きてくるのです。その裁判をもってすれば全国的に行われている国の公共事業、県の公共事業あるいは市町村が行っている公共事業というものが非常にばくだいな件数あります。これに遅れを生じた場合の一切の責任はいずれも国か県とか、自治体がその賠償の責めを負うことになるということで、これは全国でも初めての法律判断に道を開くことになるという重要なケースになることであります。簡単にそうするわけにはいかないのですというふうに答弁しておられます。
 ついては、市長にお伺いします。一つにはこのことに応じることが自らの計画変更等への自縄自縛にならないか。そして、国・道は及ばず他市町村の行政施策への影響、悪影響を及ぼすということにはならないのか、市長の判断をお聞きしたいと思います。
 これで第1回目の質問とさせていただきます。

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