平成20年度江別市政執行方針
平成20年3月4日 第1回江別市議会定例会において三好市長が述べた市政執行方針です。
- はじめに
- 基本姿勢
(1)市民協働の推進
(2)未来への投資
(3)改革への挑戦
(4)発信力の強化・スピードと総合性の発揮 - 5つの街づくりと重点項目
(1)みんなが元気でやさしい街
(2)子どもたちの未来を育む教育・文化の街
(3)多彩な産業活動を生み出す活力あふれる街
(4)市民とともに歩む街
(5)確かな明日に向かってしっかり歩きだす街 - 平成20年度予算案
(1)歳出の概要
ア.環境と調和する都市の構築
イ.明日につながる産業の振興
ウ.安心を感じる保健・医療・福祉の充実
エ.安全で快適な都市生活の充実
オ.豊かさと創造性を育む生涯学習環境の充実
カ.市民協働によるまちづくり
キ.計画実現に向けて
(2)歳入の概要 - 新篠津村との合併協議
- おわりに
ただいま上程されました、平成20年度予算案及びこれに関連する諸案件をご審議願うにあたり、私の市政に対する基本的な考えと予算の大綱についてご説明申し上げます。
私は、「明日の江別を確かなものに」を掲げ、市民の皆さんの負託により市長に就任いたしまして10か月が過ぎ、いま改めて「江別は自然環境に恵まれ、大学を始め豊富な人材が揃う、限りない魅力や可能性にあふれた街」であると認識したところであります。
今後は、江別の魅力や可能性をさらに高め、揺るぎない経済基盤を築くためにはどのような方向に舵を切るべきかを考え、市政を執行してまいりたいと考えております。
さて、最近の我が国の経済情勢でありますが、昨年当初は企業部門の業績が底堅く推移し、景気回復基調が続くと期待されておりました。しかし米国における金融不安や原油価格の高騰などによる株価の下落など、今後の景気の行方は予断を許さない状況となっております。
一方北海道経済でありますが、日銀の地域経済報告においては景気判断を2期連続下方修正するなど、未だ回復の兆しが見えない状況であります。
こうした状況は市内経済も同様であります。江別駅前ビルのオープンや野幌駅周辺の高架事業が本格化するなど再生への兆しがあるとはいえ、依然として景気動向指数の悪化傾向が続いており、総じて厳しい状態にあるといえます。
私はこのような厳しい時だからこそ、自らの創意工夫とチャレンジ精神により試練を乗り越え、若者が希望を持ち、お年寄りが安心して生活できる街をつくる必要があると考えております。
そのために今後は、以下に述べる4つの基本姿勢と5つの街づくりを基本として、市政を進めてまいります。
まず4つの基本姿勢としまして最初は、市民とともに歩む「市民協働の推進」であります。
江別は多彩な人材の宝庫であります。高度な、あるいは専門的な技術や知識を持つ方、また芸術や文化に秀でた方、そして江別を愛し、子どもたちが誇れる街としたいという方々など、そういった方の力や思いが街づくりに活かされることが大事です。
私は、これからも自治会や市民活動団体、企業などといった街づくりにおいて欠くことのできない団体はもちろんのこと、市内4大学との連携も強めてまいります。そして多くの市民の方々と納得のいくまで議論をする中で、江別の街づくりを進めていくことが市政の基本であると確信しております。
第二には、持続可能な都市の基礎を固める「未来への投資」であります。
市民のライフスタイルやニーズの多様化、少子高齢化による人口や所得の構成が変化するなど、江別市をとりまく環境は大きく変化してきております。
こうした変化の時代だからこそ将来の方向を示すこと、その環境変化をタイムリーに捉え、そして未来に向かっての対応を論議しお示しすることで、「人々が住んでみたい、そうして企業の方々が魅力を感じ投資したい。」そう思ってもらえる街になることを目標に、そのためには、どのような風が吹いても揺るがぬ屋台骨を作り上げることが必要です。
私は、江別の顔づくり事業など将来に向けての基盤整備をしっかりと進め、持続可能な都市の基礎を固める「未来への投資」を着実に進めてまいります。
第三には、市民の目線で進める「改革への挑戦」であります。
行政の改革に終わりはありません。また、その改革は市民から見て納得できるものでなくてはなりません。私たちにはこれからの分権社会にふさわしい組織と、持続可能な財政基盤を確立することが求められております。
私は、行政改革大綱を基本に、市民満足度の向上や効率性の重視などを意識しながら、凛とした姿勢で立ち止まらない改革を進めてまいります。
第四には、「発信力の強化」と「スピードと総合性の発揮」であります。
今や、戦後の中央集権社会から地域の多様な知恵による新たな創造性豊かな分権社会に変わりつつあり、地域の判断と責任に基づく自治が求められています。
こういった時代においては、過去にとらわれない、しがらみに縛られない的確な判断を持って、江別が目指す方向性や考え方を内外に発信する必要があります。
私は自ら先頭に立ち、市民の皆さんとの共通認識のもと、スピードと総合性を発揮し、市政を進めてまいります。
次に、目指すべき5つの街づくりとその重点項目について申し上げます。
第一は、「みんなが元気でやさしい街」であります。
少子高齢化社会を迎え、心も体も健康で、安全安心に生活できる街は市民の願いであります。また環境に優れ、身近にいつでも安心して医療にかかれる街づくりが求められるのは言うまでもありません。
そのためにも子どもたちへの環境教育を充実し、緑豊かな街づくりを進めるとともに、市立病院の体制整備など、必要な医療が安定的に提供される体制のもとに、市民の健康づくりを推進していく必要があります。
私は、「安心できる医療の確保」を重点項目に、すべての人が安心して生活できる街づくりを進めてまいります。
第二は、「子どもたちの未来を育む教育・文化の街」であります。
子どもたちはそれぞれに個性を持ち、無限の可能性にあふれています。私たちには、未来を担う子どもたちの可能性を伸ばすために、豊かな人間性を培い、その個性を存分に発揮できる環境を整える義務があります。
また地域社会の中で子どもたちを育むシステムを整備し、安心して子育てができるネットワークを充実することも必要です。
私は、「子育て・教育の充実」を重点項目に、大学とも連携し、安心して子育てできる教育・文化の街づくりを進めてまいります。
第三は、「多彩な産業活動を生み出す活力あふれる街」であります。
江別市は購買力の多くが札幌に流れるなど、経済的な基盤を札幌に依存しております。しかし地産地消や物流コストを考慮に入れたフードマイレージという考え方が進みつつある今、域内の資源を活用することが地域の自立につながります。
例えば都市と農村との交流を深めるグリーンツーリズムを推進することによって、都市と農村が相互に補完しあい、共生していくことで農業の活性化を目指すこともできます。
また、江別の顔づくり事業など中心市街地の活性化や企業誘致を積極的に進めることで、江別市が持つポテンシャルを最大限に活用し、その都市基盤を確立して成長していくこともできます。
私は、「地域内経済循環の推進」を重点項目に、札幌へ流出している資源や人材が地域内で循環し、多彩な産業活動を生み出す活力あふれる街づくりを進めてまいります。
第四は、「市民とともに歩む街」であります。
急激な少子高齢化の進行は、地域コミュニティのあり方を確実に変化させます。また、これまで日本経済の発展を支えてきた、いわゆる団塊の世代の方々が定年退職を迎える今、時を同じくして江別市の人口減少も予測されるなど、社会構造の変化は急激に進むものと考えられております。そしてその影響は、大麻地区など、かつて一斉に住宅開発が行われた地区において大きいものと考えられ、今後とも住環境の活性化を図り、高齢者にとって住みやすい街づくりのための調査研究を進める必要があります。
私は、「高齢化への対応」を重点項目に、市民がお互いに助け合い、安心して暮らせるコミュニティづくりを進めてまいります。
第五は、「確かな明日に向かってしっかり歩きだす街」であります。
平成20年度は、第5次総合計画・前期基本計画の最終年となります。成果が目に見えるよう達成目標を数値化し、計画に取り組んで4年が経過することから、今年度は当初掲げた目標の達成に向け着実に進めてまいります。
また、近隣市町村との広域的な連携や機能分担など、横断的な取り組みの検討も行ってまいります。
私は、「コンパクトな街づくりの推進」を重点項目に、環境に配慮しつつ都市機能を集約し、誰もが安心して暮らせる街づくりを進めてまいります。
以上、市政執行にあたっての基本姿勢と私の街づくりに対する考え方などについて申し上げました。
次に、平成20年度の市の予算でありますが、国における「経済財政改革の基本方針2007」等での考え方や、地方財政計画で新たに示された都市と地方の格差是正に対処するための「地方再生対策費」の措置、さらには公立病院の不良債務解消に向けた「公立病院特例債」の制度等も考慮し、第5次総合計画に掲げた6つの政策について、民間の活力や資源の活用を含め、緊急度・優先度等を検証する中で、過去からの実績なども踏まえながら予算編成を行ったものであります。
その結果、平成20年度の各会計予算規模は、前年度当初予算と対比してみますと、
一般会計:385億9,000万円 1.4%の増
特別会計:204億9,020万円 30.8%の減
企業会計:148億2,829万1千円 3.5%の増
合計:739億849万1千円 9.9%の減
となるものであります。
以下、平成20年度の予算案の概要について申し上げます。
第1に、「環境と調和する都市の構築」について申し上げます。
環境への負荷軽減を基本とした循環型社会の形成は、今や地球規模での解決すべき重要な課題となっており、本年7月には北海道洞爺湖サミットが開催され地球環境問題が主要テーマとして議論されると言われております。
こうした中、人々の生活様式や価値観の見直しが強く求められ、特に身の回りの自然環境や生活環境の中で解決すべき課題が提起されるなど、これらの課題は地域の方や企業などとも連携しながら行政と一体となって解決していかなければならないものと考えております。
そのため、環境への関心を高めてもらうために、特に小学生に対してNPOとの協働により環境教育活動を実施するとともに、レジ袋の使用抑制のほか、市民団体や小売店、スーパーなどと協力して過剰包装の抑制やマイバッグ運動を推進し、さらに家庭用廃食油の回収を進めてまいります。
また、資源の有効活用を図るため、ごみの分別収集による減量化を推進し市民の自主的な集団資源回収活動に対して引き続き助成するとともに、ごみの分別方法等について見直しを行ってまいります。
次に、人と地球にやさしい環境の創出につきましては、市民環境講座や環境広場の開催を継続するとともに、親と子が一緒に身近な環境問題について考える環境学校の取り組みを始めるなど、市民の環境や省エネに対する意識の啓発を行ってまいります。
また、水とみどりの保全と創出活用では、引き続き工業団地協同組合との協働により世田豊平川河川敷での市民植樹を行うとともに、自治会などにおける花のある街並みづくりに対して助成するほか、新たに野幌原始林を中心とした身近な自然についてのガイド等を行う人材の育成事業に対して支援を行ってまいります。
第2に、「明日につながる産業の振興」について申し上げます。
先程も申し上げましたが、景気回復の動向にも不透明感が出てきており、市内経済への影響も懸念される中で、企業等の誘致や競争力のある産業を振興し、意欲を持った個人や企業の経営基盤の強化を図り、さらには地域での雇用環境の創出等を図るための施策を進めてまいります。
まず都市型農業の推進につきましては、「初冬まき小麦ハルユタカ」の種子の安定的な確保を図るとともに、「えぞ但馬牛」の優良繁殖牛導入を支援するほか、「農業振興計画」や「グリーンツーリズム計画」に基づき農村地域の活性化を進めてまいります。
また、畜産農家の担い手育成のために、草地改良や施設整備等の実施による支援を行ってまいります。
次に、産学官連携推進のため、引き続き経済ネットワークなどによる人的交流、新事業の創出や新製品開発を目指す活動を支援するとともに、新たに雇用の創出などに対する企業立地優遇制度を導入してまいります。
そのほか、RTNパーク地区への企業誘致に向けた手法・方策、さらには既存工業団地のイメージアップや新たな魅力創出の可能性について企業経営者の考え方等も参考にしながら、引き続き庁内プロジェクトチームによる検討を進めてまいります。
また、商工業の振興につきましては、商工業近代化資金等の融資枠の増額を図り市内における起業や経営の近代化等を支援するほか、 江別駅前地区活性化のため、誘致を進めているコールセンター企業用施設として駅前業務ビルの活用を図るとともに、地域の賑わいや活力の創出に寄与するやきもの市、北海鳴子まつりなどのイベントに対して助成してまいります。
次に、就業環境の整備では、就職を希望する高校生に対してビジネスマナーの習得支援や個別カウンセリングなどを実施するとともに、市内経済団体等と連携し若手経営塾を開催するなど企業後継者の育成を支援してまいります。
また雇用環境の創出や人材の育成については、国からの事業指定を受けた「地域雇用創造推進事業(新パッケージ事業)」と連携して事業展開を進めてまいります。
第3に、「安心を感じる保健・医療・福祉の充実」について申し上げます。
すでに策定している地域福祉計画、次世代育成支援行動計画、障がい者福祉計画、さらには、介護保険事業計画及び高齢者保健福祉計画に基づく各施策を総合化するとともに、障がい者の自立支援への対応や地域で支え合う保健・医療・福祉の取り組みを支援してまいります。
このため、計画に基づく社会福祉センター大規模改修事業に対して補助を行うほか、「健康づくり推進事業」においては、引き続き健康管理指導や健康づくり活動などに取り組むとともに、麻しん等の流行を防ぐため予防接種の充実を図るほか、「妊産婦健康診査」では健診助成回数を5回に拡大し、安心して子どもを産み育てられる環境の整備を図り、市民の生涯を通じた健康の維持・増進について支援してまいります。
次に、子育て環境の充実についてでありますが、市内3か所の子育て支援センターの運営を支援するとともに、ボランティアによる子育てサポーターを活用して、子育て中の方々が気軽に交流できる「子育てサロン事業」を実施するほか、新たに新生児全員の家庭を訪問する「こんにちは赤ちゃん事業」と連携して、子育てにおける本の読み聞かせを通した親と子のふれあいの重要性に鑑み、新生児全員に絵本を配布する「親と子の絵本事業」を開始いたします。
また、2か所増となる民間放課後児童会や私立幼稚園への助成、さらには保育料の減免に対する幼稚園就園奨励費の補助を引き続き行うとともに、乳幼児医療費では小学校6年生までの入院医療費について助成を拡大するほか、新たに母子家庭世帯の自立に向けたお母さんの高等技能資格取得について支援を行ってまいります。
さらに、障がい者福祉の充実では、障害者自立支援法に基づき介護の給付や施設訓練を行うとともに、精神障がい者の地域における支援のためのケアマネジメントなど総合的な支援体制を整備するほか、重度心身障害者医療費では精神保健福祉手帳1級を所持する方の通院医療費について助成の拡大を図ってまいります。
次に、高齢者の在宅介護につきましては、地域包括支援センター等を中心にして相談業務を実施するほか、在宅福祉サービス公社による介護支援事業の展開、さらにはデイサービス事業や高齢者筋力向上トレーニングなどの在宅介護支援事業等について引き続き実施してまいります。
また、社会保障の充実では、新たに「中国残留邦人等に対する支援給付事業」を設けるほか、生活に困窮する世帯への生活保障の適正な実施や、新たに就労支援員を配置して支援の充実を図るとともに、住宅困窮者に対する市営住宅の環境改善を引き続き実施してまいります。
次に、平成20年度から開始される後期高齢者医療制度については、新たに国の制度に基づき「後期高齢者医療特別会計」を設けるほか、北海道後期高齢者医療広域連合に対して医療費の負担を行うとともに、平成21年度に開催される「全国健康福祉祭(ねんりんピック)」開催の準備事業に対して補助を行ってまいります。
また、国民健康保険事業につきましては、後期高齢者医療保険への新たな課税区分が設けられることになりましたが、保険税の収納強化や保健事業等の適正化による調整交付金の確保、さらには一般会計からの繰入支援等を行う中で、国の制度に合せた課税限度額の改正にとどめ、制度化される特定健診の実施等により引き続き医療費の適正化を図り、国民健康保険事業の健全化に努めてまいります。
次に、介護保険事業につきましては、第3期介護保険事業計画の3年目となり、介護予防事業を含めた地域支援事業の実施に努めるほか、在宅給食サービス事業について独居老人等の見守りや安否確認等も含め実施してまいります。
また、厳しい経営状況にある病院事業につきましては、平成19年度末に予想される不良債務について、公立病院改革ガイドラインに基づく改革プランを策定し「公立病院特例債」の発行により不良債務を解消するとともに、職員が一丸となって休止中の病棟再開を進めるなどにより入院や外来患者の増加を図り、収益の確保や民間委託の推進等による経費節減を行い、健全化に向けて努力するほか、救急医療の確保等に対して一般会計からの繰入支援を強化してまいります。
第4に、「安全で快適な都市生活の充実」について申し上げます。
今後も持続可能な都市であり続けるためには、快適で住みやすい都市機能を目指すとともに、事故や犯罪、各種の災害から市民の生命・財産を守っていくことが必要であります。
まず、交通環境の充実に向けては、市道幹線としての兵村4丁目通りを継続して整備するとともに、新たに大麻東駅通り道路工事について駅周辺のバリアフリー化の視点から事業を進めるほか、道路の維持管理では、路面凍上改修や道路再整備事業を実施し、市民生活の基盤となる生活道路の整備に努めるとともに、引き続き市内バス路線確保のための助成を行ってまいります。
また、冬の市民生活を支えるために、市民と行政が協働して雪対策基本計画に基づく「除排雪事業」や「自治会排雪支援事業」等を継続して実施し、快適な冬の生活が確保できるよう努めてまいります。
次に、防災の強化・充実を図るため、豊幌川の浚せつ工事を継続して進めるほか、排水機場の適正な管理を行い水害等に備えるとともに、地域の防災力向上に向けた市民防災講座や災害時の要援護者支援について、関係機関連絡会議などを通じた連携を図り防災組織体制の強化を進めてまいります。
また本年8月に予定される「北海道防災総合訓練」の開催を通して防災への市民の関心を高め、意識啓発に努めるとともに、災害時の避難場所となる学校体育館などの耐震化について計画的に進めてまいります。
次に、市街地整備の充実では、都市生活の快適性を確保するため、中心市街地の活性化を図り、コンパクトな街づくりの具体化を目指す「江別の顔づくり事業」において、北海道が実施する連続立体交差事業の仮駅舎設置や高架本体の工事が本格化する中、市が実施する土地区画整理事業については、仮換地の指定や物件移転等を開始するなど、計画的に事業を進めてまいります。
また、市民と行政による協働の取り組みとして、引き続き地元自治会と市がともに力を出し合いながら公園の適正管理を行うアダプト制度や「市民参加による公園づくり事業」を実施するとともに、自治会等による街路灯の設置や維持費に対して助成してまいります。
次に、上水道の整備につきましては、石狩東部広域水道企業団の構成団体の一員として、引き続き事業に参画するとともに、安全で良質な水道水の安定的な供給に努めてまいります。
また、下水道につきましても、災害に強い安全で快適な生活を実感できる地域づくりを推進するため、引き続き大麻地区等の雨水幹線整備を実施するほか、浄化センターの整備を引き続き実施してまいります。
次に、電子情報化の推進につきましては、新たに戸籍システムの運用を開始するとともに、アウトソーシングを基本とした住民情報システムの運用のほか、情報セキュリティ確保のための評価や監査を実施するなど、情報システムの基盤整備を進めてまいります。
消防・救急の充実につきましては、救急業務の高度化を進めるため、引き続き救急救命士に対して必要な研修を実施するほか、住宅用火災警報器の設置普及に努めてまいります。
また本年7月には、北海道洞爺湖サミットが開催され市消防部隊の応援派遣を予定しているほか、老朽化している消防ポンプ自動車の更新整備を行い消防力等の充実強化を図ってまいります。
第5に、「豊かさと創造性を育む生涯学習環境の充実」について申し上げます。
人間性豊かで、自ら考え自ら主体的に行動することができる子どもたちを育成していくために、学校教育の諸施策を展開するとともに、生涯学習の「場」づくりや参加・育成型のスポーツ・文化活動、さらには、良好な地域コミュニティの形成を支援してまいります。
このため、まず、子どもの可能性を伸ばす教育の充実として、引き続き小学生の英会話教育の充実に努めるほか、地域の社会人による授業を行うとともに、子どもの確かな学力の向上を目指した「えべつチャレンジ塾モデル事業」による小中学校の学習支援活動に取り組んでまいります。
次に、特別支援教育の推進では、発達障がい等の児童・生徒に対して特別支援教育補助員を増員するほか学生ボランティアを含めて対応していくとともに、新たに設置する特別支援学級を含めて生活介助員の増員を図ってまいります。
また、小中学校における読書環境整備のため、引き続き学校図書館に司書を派遣するほか、調べ学習などに対応するための資料の整備等を充実するとともに、中学生の職業観を育てる観点から、職場体験を基本にした「キャリア教育推進事業」を継続して実施してまいります。
さらに、授業中や部活動等における突発的な心臓けいれん等の事故に対応するため全小中学校にAED(自動体外式除細動器)の設置を進めてまいります。
学校施設整備では、中央小学校の屋体改修を実施するほか、第二小学校の教室の照明改修、野幌若葉小のボイラー更新等を行うとともに、大麻西小学校及び第三中学校の耐震改修実施設計を行ってまいります。
次に、青少年の健全育成につきましては、いじめや不登校などへの対策として、家庭や地域との連携並びに学校全体での取り組みを推進するため、引き続きスクールカウンセラー及び心の教室相談員を配置するほか、心のダイレクト・メール事業を実施してまいります。
また、人間尊重教育の推進事業として、豊かな心を育んでいくことを啓発するため「(仮称)江別中学生サミット」の開催について必要な支援を行ってまいります。
さらに、ふるさと意識の醸成と地域文化の創造では、ふるさと江別を大事に思い、次代に引き継いでいくため、やきものの街江別としての陶芸文化や地域の貴重な歴史・文化などについて振興を図ってまいります。
また、市民スポーツ活動の充実につきましては、社会人のスポーツ活動に対して学校施設の開放事業を実施するほか、街路事業により支障となる東野幌体育館の研修室について建て替えを行ってまいります。
第6に、「市民協働によるまちづくり」について申し上げます。
街づくりのすべてを行政が担うのではなく、市民や自治会、大学・企業などがともに担い手・パートナーとして、その役割に応じ主体的に参加し、協働しながら事業を展開していくことが非常に重要であると考えております。
このため、市民活動団体やボランティアなどが活動する場として、NPOが自主的に運営する市民活動センターに対して支援するほか、 引き続き協働の街づくりを実践している各種団体に対して助成するとともに、地域での自治活動に積極的に取り組んでいる自治会に対して支援を行ってまいります。
次に、男女共同参画社会の形成につきましては、(仮称)男女共同参画のための条例制定に向けて、家庭や地域さらには職場での意識啓発のための講演会や基本計画等の説明会などを行ってまいります。
また、国内・国際交流の推進につきましては、友好都市土佐市との提携30周年や姉妹都市グレシャム市との相互交流により、異なる風土や文化への理解を醸成するとともに、引き続き江別市国際交流推進協議会への助成を行ってまいります。
第7に、「計画実現に向けて」これまでの6つの政策を支える施策について申し上げます。
国・地方を通じ非常に厳しい財政状況や限られた行政資源の中で、市民意識と時代変化を的確に捉えつつ、事業の重点化を進め、将来に向けた持続可能な都市形成をどのように進めていくかが大きな課題になっております。
そのため、第5次総合計画の進行管理や後期計画に向けた分析及び検証、事務事業評価、施策別予算編成並びに人事考課制度等の取り組み、さらには市有財産の効果的活用や再編について検討を行うなど、市民サービスの維持・向上と効率的な行財政運営に向けた取り組みを進めていく必要があります。
また、市民自治の根幹であり、街づくりの基本となる(仮称)自治基本条例につきましては、市民への広報や啓発などを行い、条例制定に向けて取り組んでまいります。
以上が予算編成方針に基づき措置いたしました歳出予算の概要であります。
次に、歳入の見通しの主なものにつきまして、ご説明申し上げます。
まず、市税につきましては、税源移譲に伴い個人市民税では、住宅ローン等特別控除が始まることから、前年度とほぼ同額程度と見込まれる一方、法人市民税では企業の景気動向などから決算見込みに比べマイナスとなるものの、前年度当初に比べると3%程度の伸びを見込んでいるほか、固定資産税では家屋の新増築分等が見込めるなど、市税全体では126億7,400万円、前年度当初に比べ1.1%増を見込んでおります。
次に、地方譲与税では、決算見込みや地方財政計画等から前年度当初に比べ5.1%の減、一方、地方交付税につきましては、地方財政計画の中で投資的経費などの削減があるものの、新たに「地方再生対策費」が措置されたことから、95億8,600万円、前年度当初に比べ1.9%増と見込んだものであります。
また、地方特例交付金では、住宅ローン等特別控除に対する国からの補てん措置により、前年度当初に比べ133.9%の増加を見込んでいるものであります。
なお、市税全般を通じて、公平負担の原則から、税源の的確な把握と収納率の向上に引き続き努力してまいります。
次に、市債の発行につきましては、将来的に財政負担を伴うことから発行を抑制することとし、発行総額は17億8,030万円で前年度当初に比べ19.6%の減となったものでありますが、このうち臨時財政対策債は、9億9,100万円で前年度当初に比べ6%の減になるものであります。
市債につきましては、将来世代と現役世代との負担のバランスを十分に検討し、市債残高や償還額の推移を考慮する中で、投資的事業の重点化・平準化などにより、計画的な発行を図っていく必要があると考えております。
以上、平成20年度予算の大綱について申し上げました。
なお、新篠津村との合併協議についてでありますが、平成19年1月に合併協議会を設置して以来、幹事会等を精力的に開催したほか、小委員会での議論を踏まえ、8度にわたる協議会での真摯な検討をいただいているところであります。
これまでに予定された協議事項は概ね確認されたところでありますが、なお農業や教育を始め、新市まちづくり計画や財政計画など結論に至ってない項目もありますことから、私としては、いましばらく協議を継続する必要があるものと考えております。
終わりに、ますます厳しさを増す地方財政においては、これまで以上に地域独自の戦略を持ち、慣例や先例にとらわれることなく、時の変化に応じた一定のルールの中で行財政の効率化や健全化に取り組み、次代を担う子どもたちのために将来につながる街づくりを進めていかなければなりません。
誰もがいきいきと生活し、やさしさや豊かさを実感でき、そしてみんなが元気で活力あふれる街を目指し、市民の皆さん、自治会やNPOなどの市民活動団体、大学・企業などと力を合わせ、確かな明日に向けて一歩ずつ、そして着実に歩んでいきたいと考えております。
市民の皆さん並びに議員各位の特段のご理解とご協力をお願い申し上げ、平成20年度の市政執行方針並びに各会計予算案の説明とさせていただきます。