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平成19年度江別市政執行方針

印刷用ページを表示する 掲載日:2014年1月30日更新

平成19年6月5日 第2回江別市議会定例会において三好市長が述べた市政執行方針です。

  1. はじめに
  2. 基本姿勢
    (1)市民協働の推進
    (2)未来への投資
    (3)改革への挑戦
    (4)発信力の強化
    (5)「5つの街づくり」
  3. 重点項目
    (1)安心できる医療の確保
    (2)子育て、教育の充実
    (3)地域内経済循環の推進
    (4)高齢化への対応
    (5)コンパクトなまちづくりの推進
  4. 平成19年度補正予算案
    (1)歳出の概要
    (2)歳入の概要
  5. おわりに

 ただいま上程されました、補正予算案をご審議願うにあたり、私の市政に対する基本的な考えと予算の大綱についてご説明申し上げます。
 江別市民の皆さん並びに市議会議員の皆さん、私は、去る4月の統一地方選挙において「明日の江別を確かなものに」を掲げて立候補し、市民の皆さんの温かいご支援をいただき江別市長に就任いたしました。
 市政に寄せられる市民の期待の大きさを考える時、その責任の重さを自覚し、身の引き締まる思いであります。
江別市は、石狩平野の中央部に位置し、北海道の母なる大河石狩川を擁し、多くの可能性を秘めた街です。
 今までは北海道庁という全道的立場から江別市を見てまいりましたが、長年培ってきた経験と何ものにもとらわれない新たな発想をもとに、市民の目線をもって誠心誠意、江別市の発展に取組む所存であります。
 今後の都市経営を担うにあたり、皆さんのご理解とご協力をよろしくお願い申し上げます。


 まず、時代認識について述べたいと思います。
 地方自治体を取り巻く環境は、従前にも増して大きく変わりつつあります。
 国が財政赤字の解消を目指して支出の削減を進めていることから、市政運営の基盤ともいうべき地方交付税は更に縮減される可能性が高まっています。
 また、全国的に見ますと景気の回復基調が続いておりますが、北海道では未だ実感できる状態にはなく、この江別においても同様であると私は思うのであります。
 こうした中で江別市の将来を考えますと、市税収入を大きく左右すると言われる団塊の世代の大量退職や住宅建設の低迷などが予想される一方、高齢者の増加などから財政負担が増大し、今後の財政運営には一段と厳しさの増すことが懸念されます。
 しかし、これからは、それぞれの自治体の自立に向けた具体的戦略が問われる地方分権の時代です。江別市においても、街の進むべき方向性を自らが判断し、自らの足で歩き続けていくために、これまで以上に市民の皆さんがまちづくりに参画する仕組みを築いていくことが必要であります。
 私は、この厳しい環境の時にこそ、積極的に議論し、互いに知恵を出し合うことによって、おのずと道が拓けていくものと信じています。
 今こそ、江別市民全員が力を合わせ、輝かしい明日の江別に向かって新たな船出をしてまいりたいと思います。

  次に市政を担当するにあたっての私の基本姿勢を申し上げます。

 一点目は、「市民協働の推進」であります。
 まちづくりを行う上で重要なことは、市民ニーズの適確な把握のほかに、地域コミュニティの実態など街の現状や課題を市民と行政とが共有し、ともに議論を重ねることによって対応策を見出し、それを実行すること、更にその成果を検証し、必要な改革を行っていくことであります。
 また、そこに流れる理念は、市民それぞれのできることは市民自らが行い、一人でできないことは互いに支えあい、市民だけで難しいことは行政とともに行うという市民協働の思想であると考えます。
 私は、市民との対話と連携を重視した、市民協働のまちづくりを進めてまいります。

 二点目は、「未来への投資」であります。
 日本の人口は2年前から減少しています。北海道はそれに先立って人口減少期に入っており、少子化と高齢化とが相まって社会構造が加速度的に変貌していくこととなります。
 江別市は、先人の優れた叡智とたゆまぬ努力のお陰で、道央圏に位置する自治体として今までは順調に発展してきました。しかし、現状のままでは少子高齢化などによる財政負担の増加と税収入の減少が想定されています。
 江別市が今後も魅力的に発展し、市民ニーズに応えた行政を行っていくには、産業振興や雇用増加を図る施策を展開するなど、税収入を確保するための基盤となるべき環境を整える的確な投資が必要となってきています。
 私は、財政が厳しい今こそ、知恵と勇気を出し、強い意志をもって未来への投資を進めてまいります。

 三点目は、「改革への挑戦」であります。
 環境が変化している時、何もしないことは時代から取り残されることを意味します。我々は過去にしがみつくことなく、新たな発想で自らを変えていかなければなりません。
 また、限られた財源の中で各種施策を効果的に展開するためには、選択と集中を基本とした取組みを行うことが重要です。
 私は、しがらみにとらわれず、立ち止まることのない改革への挑戦を進めてまいります。

 四点目は、「発信力の強化」であります。
 これからの自治体は、自らの力で都市経営を行うことが求められています。
 そのためには、江別が目指す方向性や考え方を内外に分かりやすく発信し、多くの皆さんに江別を認識してもらうメッセージを発することが必要と考えております。
 私は、江別という街の存在を高めるために、自ら先頭に立ち、発信力の強化を進めてまいります。

 私は、明日の江別を確かなものにするために、スピードと総合性を意識しながら、

  • みんなが元気でやさしい街
  • 子どもたちの未来を育む教育・文化の街
  • 多彩な産業活動を生み出す活力あふれる街
  • 市民とともに歩む街
  • 確かな明日に向けてしっかり歩きだす街

の5つの街づくりを進める考えであります。

 次に、その重点項目について申し上げます。

 私達は、安心して子育てができ、健やかに暮らせ、しっかりと働くことができるもっと元気な江別を創りあげなければなりません。
 私は、将来に向けた準備を着実に行い、近隣の自治体にも誇ることができるオンリーワンのまちづくりを進めていきたいと考えます。
 そのテーマである「江別に住んで良かった、住み続けたい、住んでみたい」と思える街にするため、次の施策を展開するとともに、それらを推進するための組織体制の整備を図ってまいります。

 第一は、「安心できる医療の確保」についてであります。
 必要な医療をいつでも受けることができることは、市民が地域で安心して暮らしていくための大切な機能です。
 高齢化が進行することに伴い、医療や保健などに対する市民ニーズは更に高まっていくことでしょう。
 こうしたことから、市民の健康意識を高め、市民の主体的な健康づくりへの取組みを支援するほか、市立病院の医療体制を整備して経営を一日も早く建て直すとともに、民間医療機関の協力を得て地域医療を守ってまいりたいと考えております。
私は、市民の医療が確保され、お年寄り、子ども、障がい者の皆さんの生活環境の充実した「みんなが元気でやさしい街」を創ってまいります。

 第二は、「子育て、教育の充実」についてであります。
 子どもたちの笑顔が輝き安心して子育てができること、子どもがその個性と可能性を大きく伸ばしながら楽しく学ぶことができること、これらは市民共通の願いです。
 そして、このような街には、活力が溢れ、多くの人に住んでいただけると思っています。
私は、次代を担う子どもたちのために、子育て支援や教育環境の更なる整備を図り、生涯学習の充実した「子どもたちの未来を育む教育・文化の街」を創ってまいります。

 第三は、「地域内経済循環の推進」についてであります。
 江別市は大都市札幌に隣接しているため、ともすれば市外へ購買力が流出する傾向にあります。
 しかし今後は、行政区域内での消費を高めることなどによって、江別市の税収が向上する仕組みを作り上げなければ、これまでの市民サービスを維持することが難しい時代になると考えられます。
 私は、ハルユタカに代表される全国的にも誇れる数多くの江別ブランドを確立するほか、顔づくり事業などの推進による中心市街地の活性化や活力ある産業の育成などを通して、資金や人材などが地域内で循環するシステムを築き、「多彩な産業活動を生み出す活力あふれる街」を創ってまいります。

 第四は、「高齢化への対応」についてであります。
 急速な高齢化の進行により、一人暮らしのお年寄りや他の地域に住まいを求める人が増えてきています。その影響などから、地域に住む人々が互いに支えあうコミュニティの力が弱まってきました。こうした状況は、かつて一斉に住宅開発が行われた地域で特徴的に見ることができます。
 私は、大学や市民、NPOなどの知恵を結集して、高齢者が安心して地域に住み続けることができるための方策をはじめ、高齢者と若者との共生や地域再生のあり方などをまとめ、今後のまちづくりに反映してまいりたいと考えております。そうして、地域の自治活動や市民活動団体の主体的な取組みを支援する「市民とともに歩む街」を創ってまいります。
  第五は、「コンパクトなまちづくりの推進」であります。
 人口減少が現実のものとなった今日、都市経営においては、限られた財源を効率的かつ有効に使うことが求められています。
 そのためには、住宅地や生活の場が郊外に拡がるのではなく、環境を大切にしながらも、都市機能が中心市街地や地域の核となる拠点に集約され、土地利用が立体的となるコンパクトなまちづくりを進めることが重要と考えています。
 私は、用途地域のあり方や遊休未利用地の活用などといった土地利用の方向性についての検討を行い、将来を見据えた「確かな明日に向けてしっかり歩きだす街」を創ってまいります。

 以上、市政執行にあたっての私の基本姿勢、重点項目などにつきまして申し上げましたが、江別市民の皆さん並びに市議会議員の皆さんのご支援とご協力をよろしくお願い申し上げます。

 次に、平成19年度の一般会計、老人保健特別会計及び水道・下水道事業会計並びに病院事業会計補正予算案につきまして、その概要をご説明申し上げます。
 本年度は統一地方選挙の年でありますことから当初予算の編成におきましては、いわゆる骨格予算とし編成して参りましたが、今次ご提案申し上げます補正予算は、先ほど申し上げました市政執行の基本方針に基づく政策予算等につきましてそれぞれ措置するものであります。

その結果、今次補正の歳出予算総額は

一般会計:3億5,061万9千円
老人保健特別会計:6,588万4千円
企業会計:9億6,901万2千円
計:13億8,551万5千円

となり、これを当初予算に加えました各会計の総額は

一般会計:384億1,161万9千円
特別会計:296億7,718万4千円
企業会計:153億  341万8千円
計:833億9,222万1千円

となるものであります。

 以下、その概要につきまして一般会計から順次ご説明申し上げます。

 まず、歳出でありますが、総務費の企画費では、大麻地区は高齢化が進行している地域でありますことから、個人住宅や老朽化した道営住宅等が空き家・空き地となっており、このことにより自治会運営や若い世帯との交流が停滞しつつあります。
 このため、地域の活性化や若者定住策など高齢者と若者との交流が活発な他の先進的地域を参考にしながら、産学官民の連携により今後の大麻地区のまちづくりにつなげていくための費用として83万6千円を、 新たに措置するものであります。
 戸籍住民基本台帳費ではIT技術の活用による事務の効率化及び市民サービスの向上を目指し戸籍事務の電算化を進める経費として85万1千円を、 新たに措置するものであります。

 次に民生費の老人福祉費では、平成20年度から始まる後期高齢者医療制度に対応いたします電算システムの導入経費として2,950万円を、児童福祉総務費では、子育て世代を地域で支えあうファミリーサポート制度の新たな創設に対して214万1千円を、また母子福祉費では母子家庭の自立促進に向けた教育訓練事業に36万8千円を、保育所費では、認定こども園制度を含めた就学前児童の今後の保育のあり方について外部識者を含めた議論を行う事業として 19万5千円を、それぞれ新たに措置するものであります。

 衛生費の清掃費では、循環型社会の形成を目指し、現在稼動しているクリーンセンター等のごみ処理施設について安全で安定的な運用を行い、かつ効率的なごみ処理が可能となるよう、今後14年6ヵ月にわたる施設運営等の包括的委託を本年10月から開始するための費用として既定の維持管理経費等の一部組替えを行い 4億7,720万7千円を、新たに措置するものであります。

 次に農林水産業費の畜産業費では、国の制度を活用した畜産農家の担い手育成事業として388万1千円を、土地改良事業費では、農村地域の維持保全や環境に配慮し、田や畑地の機能維持に向けた農地・水・環境保全向上対策事業を市内4地区で開始するための費用として既定の事業費の一部組替えを行い2,165万6千円を、 それぞれ新たに措置するものであります。  

 商工費の工業振興費でありますが、企業の活性化や企業の立地を促進させるため、既存の工業団地や東インター付近さらにはRTN地区等を含めた地域への企業立地のあり方等について検証・検討するための費用として154万円を、また、観光費では、市内中小企業の活性化や地場産品の紹介、地産地消を積極的に進めるために、市内中小企業者が中心となって行う「WE(ウィー)えべつ祭り」に対する開催助成金として100万円を、それぞれ新たに措置するものであります。
 次に教育費の教育指導振興費でありますが、小学校での英会話学習活動支援事業として指導講師を増員し、英会話学習の充実を進める費用として245万8千円を、 さらに文部科学省の委託事業として、新たに小学校の英語指導の研究モデル校設置のために85万5千円を、また、子どものための読書環境整備事業として市内各学校への図書館司書の派遣体制を充実するための費用等として 137万2千円を、保健体育費の体育施設費では、少子化の進行に伴い市内小学校で生じている余裕教室の有効な活用策として、市内スポーツ少年団等の活動の場を確保するための事業として341万3千円を、それぞれ措置するものであります。

 以上が歳出の概要でありますが、次に歳入に関してご説明申し上げます。

 歳出に必要な財源として 地方交付税で1億円、 基金繰入金で400万円、 繰越金で2億3,469万8千円 のほか、国・道の支出金等をそれぞれ計上するものでございます。

 次に特別会計について申し上げます。
 老人保健特別会計につきましては、前年度に支払基金等から概算交付された交付金等の精算結果により償還が必要になったため、6,588万4千円を、措置することとし、その財源は繰越金及び過年度国庫支出金等を計上するものであります。

 次に企業会計についてご説明申し上げます。
 まず、水道事業会計及び下水道事業会計につきましては、ともに未償還企業債の高金利対策に基づく臨時特例措置として、該当する企業債の借換えに必要な措置を行うものであります。  
 病院事業会計につきましては、当初予算におきまして、現状の医師体制を前提に予算措置を行ってまいりましたが、新年度に入り内科医師が北海道からの派遣を含め5名の診療体制に拡充され、今後も一定の収益増が見込めますことから、これに伴う所要額を措置するものであります。
 また、市立病院あり方検討委員会の提言や院内プロジェクト委員会の意見等も踏まえ、今後の経営再建計画の策定に向けた取組みを進めてまいりたいと考えております。今回の経営危機を乗り越えるためには、何と言いましても病院職員の意識改革が重要であり、患者さんと接する機会が一番多く、しかも職種の中で多数を占める看護職員をはじめとした全職員の意識改革や取組みが、患者さんに対するサービスの質の向上に大きくつながるものと考えております。
このため、職員の意識改革を進め先進的活動を行っている病院の状況を肌で感じ、吸収し自らの病院運営に役立て「職員は変わった、そして病院は変わった」と患者さんや市民の皆さんから評価されるよう、先進的病院の事例等について研修する費用を措置するものであります。

 以上、一般会計、特別会計及び企業会計補正予算案の概要につきましてご説明申し上げましたが、よろしくご審議ご決定賜りますようお願い申し上げます